ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

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ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.27

(4767:東証1部) テー・オー・ダブリュー 企業HP
川村 治 会長兼社長
川村 治 会長兼社長

【ブリッジレポート vol.27】2012年6月期第1四半期業績レポート
取材概要「2012年6月期のスタートは順調に切ったと言える決算内容だった。外部環境も一時のパニック的様相から脱却しつつあることが追い風になっている・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年12月6日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社テー・オー・ダブリュー
会長兼社長
川村 治
所在地
東京都港区虎ノ門 4-3-13 神谷町セントラルプレイス
決算期
6月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年6月 10,570 378 377 131
2010年6月 12,575 671 670 357
2009年6月 14,210 1,401 1,392 876
2008年6月 14,397 1,362 1,343 729
2007年6月 13,070 1,051 1,041 551
2006年6月 12,341 781 784 423
2005年6月 10,705 771 782 465
2004年6月 9,638 781 765 466
2003年6月 9,441 1,103 1,073 537
2002年6月 8,600 940 920 462
2001年6月 7,555 756 730 371
2000年6月 5,995 556 537 238
株式情報(11/25現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
439円 11,397,175株 5,003百万円 4.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
26.00円 5.9% 32.70円 13.4倍 440.39円 1.0倍
※株価は11/25終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE・BPSは前期末値。
 
テー・オー・ダブリューの2012年6月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
イベント・プロモーション業界のトップカンパニー。イベントの企画・制作・運営・演出、セールスプロモーション(SP)に関するグッズ・印刷物の制作及び付帯業務を手掛ける。実際のイベント現場では照明、音響、映像、舞台制作、モデル・コンパニオンや警備員の派遣、整理、撤収、清掃等様々な業務があるが、これらの専門業者を外注先とし、イベント全体をコントロールすることで主催者が来場者に伝えたいことを具現化することが重要な任務となる。プロモーションの場合も、印刷、グラフィックデザイン、事務局運営、OOH(交通広告や屋外広告など家庭以外の場所で接触するメディア広告の総称)、ウェブ制作等の業務があるが、これらをトータル的にコントロールし納品することが任務となる。
日本では大半のイベント主催者が大手広告代理店を通じてイベントを発注する傾向が強い。そのため、実際にイベントの企画・制作・運営を行う会社は、イベント主催者から直接受注するのではなく、大手広告代理店を介して受注するケースが多い。同社グループも例外ではなく、電通グループ、博報堂グループ、アサツーディ・ケイグループに対する売上高が、全体の72.7%(2011年6月期実績)を占めている。
このような業界において、小規模事業者が特定領域において各々対応しているのが実状である。その中、同社グループは数少ない総合プロモーション会社として事業領域を拡大させている。業界としてもマス広告からきめ細やかなプロモーションの時代へとシフトしていることから、総合的な企画力、制作力、営業力を兼ね揃えた同社の比較優位性は今後も高まっていくと考えられる。
同社ではワンストップ体制の確立に加え、プロモーション提案力の強化にも注力している。具体的には、店頭領域においては(株)ジェイコムホールディングスと業務・資本提携、ノベルティ領域においては(株)トランザクションと業務提携を締結。ウェブ領域においては、イベントへの誘引・拡散に強みを持つ(株)カヤック、メディアを絡めた循環に強みを持つ(株)インフォバーン、ウエブプロデュースとクリエイティブ開発に強みをみせる(株)クルーソー、ウェブ制作体制とインフラを完備している(株)フォークとそれぞれ業務提携している。M&Aや業務提携については今後も積極的に検討していくとのことである。
 
 
2012年6月期第1四半期決算
 
 
安堵と不安が介在する市場環境
2012年6月期第1四半期の売上高は前年同期比16.1%増、営業利益は同3.8倍にジャンプアップした。期初計画に対する進捗率は売上高22.8%、営業利益26.6%となっており、概ね期初計画線で推移したと考えていいだろう。足下の国内広告市場には回復傾向が見られるものの、欧米を中心とした海外経済の減速、為替動向を勘案すると、依然として楽観視できるような状況にはないようである。
 
 
前期は前々期の大型案件(横浜開港150周年記念テーマイベント、海のエジプト展、モーターショーなど)の反動減が色濃かったことと比較すると、幾分底入れ感を感じる状況にはなっている。一部の大手広告代理店の業績は前年並みに戻りつつある。プロモーション領域においても、全体的には厳しさの残る中、自粛措置等を取っていたクライアント各社の販促活動に持ち直しの傾向も見られるようになってきている。手法についても、単なる人数集めのイベントではなく、高いリーチを求める声が高まっていることから、同社がこれまで培ってきたワンストップ体制とプロモーション提案力の比較優位性が高まっていく可能性がある。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
2011年9月末の総資産は8,478百万円と、前期末比1,087百万円増加した。借方では、未収入金の減少を現預金、売上債権、未成業務支出金の増加がカバーした。一方、貸方では仕入債務、その他流動負債が増加している。
 
 
 
2012年6月期業績予想
 
 
本格回復は下期からとなろう
2012年6月期は、前期比8.5%増収、同78.3%営業増益を計画。同社が属するプロモーションメディア広告費(電通調ベ)は2010年まで3年連続で減少し、2011年に入ってからも東日本大震災の影響もあり、受注環境は弱含みで推移してきた。しかしながら、足下では受注の戻りもみられるようになってきている。依然として楽観視できるような状況にはないものの、同社の強みを生かせる環境になってきていることに注目したい。
収益面では、間接原価の抑制をベースに利益率改善を図る計画。なお、(株)ペッププランニングの株式売却益17百万円が期初段階で特別利益に織り込まれている。
 
 
今後の対策
 
日本の広告費は2007年の70,191億円をピークにその後は減少基調が続いている。とくに4マスメディア(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)の落ち込みが顕著になっており、全体に対する構成比は47.5%まで低下してきた。同社が密接に関係するプロモーション領域も厳しい環境が続いている。
外部環境が厳しい中、一層の営業強化を図るため、ワンストップ体制の確立、プロモーション提案力の強化(具体的にはウェブ対応力の強化、ノベルティ商品の開発、店頭での販売促進強化)に注力している。ウェブ強化については、営業・企画・制作・運用の流れの中で強みの異なる4社(カヤック、インフォバーン、クルーソー、フォーク)と業務提携することで組織力を高めている。ノベルティ強化についてはトランザクションと、店頭強化ではジェイコムホールディングスと業務提携を行なっており、今後はこれまで取り組んできたことの成果を確実に挙げていくべきタイミングを迎える。
 
 
取材を終えて
2012年6月期のスタートは順調に切ったと言える決算内容だった。外部環境も一時のパニック的様相から脱却しつつあることが追い風になっている面もあるが、総合的な企画力、制作力、営業力を兼ね揃えた同社の比較優位性が着実に高まってきたことも見逃してはならないと我々は考える。クライアントの求めるものがマス広告からきめ細やかなプロモーションへとシフトしていく中、同社のワンストップ体制と高いプロモーション提案力が時代にマッチし始めているとも言える。第2四半期は依然として大震災の影響が残るだろうが、下期以降を見据えて如何に同社の比較優位性をアピールしていけるかが重要となるだろう。企画本数が復調基調にあるうえ、企画勝率も高まってきていることから、今後に期待したい。