ブリッジレポート
(4847:JASDAQ) インテリジェント ウェイブ 企業HP
山本 祥之 社長
山本 祥之 社長

【ブリッジレポート vol.11】2012年6月期上期業績レポート
取材概要「証券系事業が厳しい事業環境を反映して苦戦しているものの、「Linux NET+1」の商談が計画通り進んでいる他、大日本印刷(株)とのシナジーも顕・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年2月21日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インテリジェント ウェイブ
代表取締役社長
山本 祥之
所在地
東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー
事業内容
クレジットカード決済システム首位。大日本印刷グループ入りで営業力強化が進展
決算期
6月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年6月 4,762 321 341 129
2010年6月 4,956 358 387 211
2009年6月 5,527 228 235 187
2008年6月 6,695 417 403 -5
2007年6月 6,367 389 407 -295
2006年6月 7,137 1,482 1,452 947
2005年6月 5,174 678 688 264
2004年6月 5,257 371 365 156
2003年6月 5,891 1,177 1,161 539
2002年6月 5,505 1,854 1,846 1,003
株式情報(2/10現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
19,130円 263,400株 5,039百万円 2.8% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
500.00円 2.6% 1,492.03円 12.8倍 17,865.65円 1.1倍
※株価は2/10終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
インテリジェント ウェイブの2012年6月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
クレジットカードの決済システムに強みを持つソフトウェア開発会社。リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術、システムを止めないためのノンストップ技術、更には高度なセキュリティ技術を技術基盤としており、証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する他、カード不正利用検知システムや内部情報漏洩対策システム等も手がける。大日本印刷(株)が議決権の50.61%を保有する筆頭株主。子会社は、米国の販売子会社と韓国の開発・販売会社子会社の2社(いずれも連結子会社)。
 
<事業内容>
事業は、カードビジネスのフロント業務、システムソリューション業務、及びセキュリティシステム業務に分かれ、11/6期の売上構成比は、それぞれ58.1%、31.3%、10.6%。
 
カードビジネスのフロント業務
クレジットカード会社、銀行、大手小売業等向けに、「NET+1」をベースにしたカード決済にかかるフロント業務のシステム構築を行っている。フロント業務のシステムとは、カード利用者の信用照会(オーソリゼーション)等、クレジットカード会社が加盟店や信用情報センターとの接続に必要なシステム。「NET+1」はハードと自社開発のパッケージソフトからなり、大手クレジットカード会社向けではシェア70%の実績を有する。
 
システムソリューション業務
証券取引所等から提供される市況データや気配値等を素早く社内の各端末に配信する「市況情報配信システム」、クレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」等の自社製品及び他社製品(海外商品)を用いたシステム構築を行っている。
 
セキュリティシステム業務
自社製品である内部情報漏洩対策システム「CWAT」や「EUC Secure」を中心にセキュリティ関連の製品・サービスを提供しており、親会社である大日本印刷(株)と共にセキュリティ関連の新事業(サービス)の開発も進めている。
 
その他 製品販売(新規事業)
セキュリティ強化や業務効率の改善等、自社製品と他社製品(パッケージ)を組み合わせたクロスソリューション事業。大日本印刷(株)との連携の下、営業活動を行っている。
 
<カードビジネスのフロント業務の特徴>
クレジットカードの利用に際しては、その都度、与信限度額や返済状況の確認作業が行われ、また、キャッシシングの際には口座残高の確認も必要となる。こうした確認作業はネットワークを介してリアルタイムで行われ、特にクレジットカードの場合、世界的なネットワークを介しての作業となる。また、システムが止まるとカードが使えなくなるため、24時間365日システムを止めないための技術やノウハウも必要だ。つまり、「カードビジネスのフロント業務」には、リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術やシステムを止めないためのノンストップ技術、ノウハウ、そして何よりも顧客となる金融機関等からの信頼性が不可欠(このため参入障壁が高い)。また、単年度での振れはあるものの、ハードウェアが5年程度で更新を迎える事に加え、技術やネットワークの進歩、或いは様々な社会犯罪等への対応で更新需要が絶えず発生している。
 
 
2012年6月期上期決算
 
 
前年同期比22.1%の増収、33百万円の経常利益
売上高は前年同期比22.1%増の2,528百万円。前年同期に大型の更新需要があった反動でカードビジネスのフロント業務の売上が減少したものの、ハイブリッド書店システムの開発等、親会社大日本印刷(株)のグループ会社向けシステム開発をけん引役にシステムソリューション業務の売上がほぼ倍増した。利益面では、「Linux NET+1」(後述)の開発費及び販売開始に伴う先行費用等の負担増を、増収効果とシステムソリューション業務における開発効率の改善で吸収し、前年同期は61百万円の損失だった営業損益が29百万円の利益に転換。繰延税金資産173百万円の計上により、四半期純利益は174百万円となった。
尚、繰延税金資産の計上は、子会社Intelligent Wave USA, Inc.の解散及び清算(12年6月を予定)決議に伴い、過年度に計上した同社株式評価損(497百万円)の税務上の損金算入時期が明確となったため。
 
 
カードビジネスのフロント業務
売上高1,064百万円(前年同期比15.8%減)、セグメント利益335百万円(同32.5%減)。ハードウェア販売の減少が減収・減益の主な要因だが、前年同期に大型の更新があった反動であり想定に沿った着地。販売を開始した「Linux NET+1」の商談がまとまる等で、ソフトウェ開発や自社パッケージが堅調に推移した。利益率が悪化したのは(39.3%→31.5%)、「Linux NET+1」の開発費及び販売立ち上げに伴う先行費用によるもので、これも当初から想定していたものだ。
尚、「Linux NET+1」とはクレジットカード会社や銀行で高い実績を持つ「NET+1」のLinux 版。「NET+1」と異なり、高価な専用ハードウェアを必要とせず、安価(もしくは無償)なLinux OS搭載のハードウェアで利用できる。このため、メンテナンスの負担も少なく(初期投資の抑制に加え、ライニングコストも低減)、小規模な加盟店、決済代行会社、アクワイアラー(加盟店の開拓と管理を行う業者)等へ客層の広がりが期待できる。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発    600百万円 → 598百万円
自社開発パッケージ   16百万円 →  49百万円
保守売上        204百万円 → 190百万円
ハードウエア販売    435百万円 → 222百万円
 
システムソリューション業務
売上高1,290百万円(前年同期比98.2%増)、セグメント利益227百万円(同238.8%増)。売上の内訳は、カード系・その他事業が856百万円(前年同期316百万円)、証券系事業が433百万円(同335百万円)。カード系・その他事業において、ハイブリッド書店システムの開発等、親会社大日本印刷(株)のグループ会社向けシステム開発受託が伸びた他、厳しい事業環境下にある証券系事業も期ズレ案件の売上計上等で売上が増加。増収効果に加え、開発業務の効率化で短納期案件の開発が効率的に進んだ事で利益率が大幅に改善した。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発    392百万円 → 716百万円
自社開発パッケージ   27百万円 →  18百万円
保守売上        155百万円 → 151百万円
ハードウエア販売    16百万円 → 242百万円
仕入パッケージ     55百万円 → 157百万円
 
セキュリティシステム業務
売上高149百万円(前年同期比3.9%減)、74百万円の損失(前年同期は190百万円の損失)。ほぼ想定に沿った着地。契約の累積効果で利益率の高い保守売上が着実に増加し、経費節減努力と相まって微減収ながら損失が縮小した。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発    23百万円 → 12百万円
自社開発パッケージ   22百万円 → 17百万円
保守          92百万円 → 102百万円
仕入パッケージ     14百万円 → 17百万円
 
上記の他、新規事業として、「セキュリティ強化」と「業務効率化」をテーマに海外メーカー製品の取り扱いを拡大している。上期は売上24百万円を計上したものの、ニーズが強い一方で価格面での要求が厳しく74百万円の損失。
 
 
 
2012年6月期業績予想
 
 
上振れ期待大きい下期業績
上期の売上・利益が上振れする中、通期の業績予想を据え置いたため、結果として下期の業績予想は保守的なものとなった。保守契約の更新の増加でセキュリティシステム業務の売上が伸びる他、「Linux NET+1」の寄与等でカードビジネスのフロント業務の売上もわずかに増加。新規事業は、現在進めている商談の刈り取りで126百万円の売上が見込まれる。一方、ハイブリッド書店システムの開発がピークアウトするシステムソリューション業務は案件の端境期を迎える。
利益面では、業務の効率化でセキュリティシステム業務の利益が増加する他、上期は利益が減少したカードビジネスのフロント業務も増益に転じる見込み。新規事業も、価格交渉には厳しさがあるものの限界利益の増加で利益を確保できる見込みだが、売上が減少するシステムソリューション業務の利益が減少。各業務でのコストの見積もりが全般に保守的である事もあり、連結営業利益は370百万円と同3.1%減少する見込み。

もっとも、業績予想が保守的である事は会社側も認めるところであり、カードビジネスのフロント業務及びシステムソリューション業務を中心に売上・利益の上積みを図りたい考え。
 
 
 
通期業績予想に変更はなく、前年同期比11.8%の増収、同19.9%の経常増益予想
上期の売上・利益が上振れしたものの、通期の業績予想に変更はなかった。売上の減少でカードビジネスのフロント業務の利益が減少するものの、システムソリューション業務の売上・利益が伸びる。また、保守契約の取り込みと業務の効率化で前期は141百万円の損失だったセキュリティシステム業務の損益が50百万円の利益に転じる見込み。配当は1株当たり500円の期末配当を予定している。
 
 
(3)下期の取組み
12月に発表された日銀短観によると、11年度の金融機関等のソフトウェア投資の計画は、証券等の金融商品取引業が1.2%の減少を計画しているものの、前年度は0.6%の増加にとどまった銀行業が13.1%の増加を計画しており、前年度は4.0%の減少だったクレジットカード会社を含む貸金業等も2.7%の増加を計画している。12年度以降については不透明感が強いが、同社では業務の効率化に向けた投資等は堅調に推移するとみている。
こうした中、同社は各業務において、次のような取り組みを進めている。
 
カードビジネスのフロント業務
カードビジネスのフロント業務では「Linux NET+1」の商談が順調だ。Web通販におけるカード決済化の進展で(カードが使えるチャネルや加盟店が拡大)、チャネルや加盟店を管理するアクワイアリング業務の権利を取得する事業者が増えている。「Linux NET+1」はこうしたアクワイアリング業者からの引き合いが強い他、地域で発行するプリペイドカード関連の事業者からのニーズも多いという。 また、上期よりクレジットカード会社向けのチャージバック業務に関する業務コンサルを開始した。チャージバック業務とは、不正利用が発覚した後の売上の取り消し等、不正発覚後の対応業務の事。同社はシステムソリューション業務においてクレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」の販売を行ってきたが、今後はチャージバックを含めた一気通貫のシステムを提案していく。
 
システムソリューション業務
システムの受託開発において、大日本印刷のグループ会社向け案件の取り込みに注力していく考え。ハイブリッド書店システム関連の開発は今期で一巡するものの、印刷を含めた業務の効率化とコスト削減関連の開発ニーズは強い。また、証券系事業においても、従来からの高速情報基盤に加え、業務の効率化に寄与する業務システムのソリューションを強化する。 この他、海外展開として、カード系ソリューションで「ACE Plus」の中国展開を進めている他、証券ソリューションにおいて、インドネシア、シンガポール、更にはインドへの展開を視野に入れ、海外提携先との人的交流や関係強化に努めている。
 
セキュリティシステム業務
セキュリティ対策製品とサービスの拡充により事業拡大を図る考えで、従来からの「CWAT」や「EUC Secure」に加え、業務システムの脆弱性を検知するソースコード解析ツール「Cx Suite」(イスラエルのCHECKMARK社製)やWebサイトの脆弱性診断ツール「Web Sanitizer」を用いた対サーバー攻撃ソリューションを強化する。「Web Sanitizer」は韓国KAISTサーバーセキュリティ研究センターとBitscan社が共同開発したSaas(Software as a service)型リモートセキュリティサービスでWebサイトの脆弱性をリアルタイムで診断できる。

この他、上記の3業務とは別に、Webサイトのナビゲーションやレコメンデーション業務等を自然言語による対話形式で円滑化に行うWebコンシュエルジュサービスの開発にも取り組んでいる。
 
 
今後の注目点
証券系事業が厳しい事業環境を反映して苦戦しているものの、「Linux NET+1」の商談が計画通り進んでいる他、大日本印刷(株)とのシナジーも顕在化しつつあり、全般に順調と言える。通期の業績予想を上方修正しなかったため、結果として下期の見通しが保守的になったが、現状では下期の見通しを下方修正する理由がない中、上期業績の上振れに加え、大日本印刷(株)を通して新たに「Linux NET+1」関連の商談も出てきたようだ。今期業績については、「どの程度の上積みが可能か」がポイントと考える。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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