ブリッジレポート
(4319:東証1部) TAC 企業HP
斎藤 博明 社長
斎藤 博明 社長

【ブリッジレポート vol.5】2012年3月期業績レポート
取材概要「12/3期は会計系資格の魅力の毀損により会計系3講座(12億円弱の売上減少要因)を中心に現金ベース売上高が落ち込み、固定費化した営業費用・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年6月5日掲載
企業基本情報
企業名
TAC株式会社
社長
斎藤 博明
所在地
東京都千代田区三崎町3-2-18
事業内容
「プロフェッションの養成」を基本理念として、社会人、大学生を対象に資格教育、実務教育を核とした人材育成事業を展開
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 22,578 -606 -530 -799
2011年3月 24,575 465 283 -244
2010年3月 23,991 623 442 40
2009年3月 21,092 1,330 1,352 669
2008年3月 20,741 1,069 1,230 443
2007年3月 20,553 1,173 1,333 742
2006年3月 19,828 421 631 249
2005年3月 19,669 459 558 81
2004年3月 19,542 988 943 470
株式情報(5/28現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
144円 18,234,832株 2,626百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 36.12円 4.0倍 120.17円 1.2倍
※株価は5/28終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
TAC の2012年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「資格の学校TAC」として、資格取得スクールを全国展開。社会人や大学生を対象に、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士、司法試験、司法書士等の資格試験や公務員試験の受験指導を中心に、企業向けの研修事業や出版事業等も手掛ける。

グループは、同社の他、人材紹介・派遣事業の(株)TACプロフェッションバンク(TPB)、2008年2月に設立され保険関係の企業研修に特化した(株)LUAC、資格取得に関連した出版事業を手掛ける(株)早稲田経営出版(W出版)、TAC出版(単体)とW出版の営業支援を手がける(株)TACグループ出版販売、及び中国大連でBPO(Business Process Outsourcing)を手掛ける太科信息技術(大連)有限公司の連結子会社 5社。なお、W出版は09年9月に(株)KSS(旧・早稲田経営出版)から「Wセミナー」ブランドの資格取得支援事業及び出版事業を譲受した際、「Wセミナー」ブランドの出版事業を行うために吸収分割によって新たに設立された。このため、社名は同じだが、旧・早稲田経営出版とは別会社である。
 
【沿革】
1980年12月、資格試験の受験指導を目的として設立され、公認会計士講座、日商簿記検定講座、税理士試験講座を開講。2001年10月に株式を店頭登録。03年1月の東証2部上場を経て、04年3月に同1部に指定替えとなった。09年9月には司法試験、司法書士、弁理士、国家公務員擬錙Τ位垣賁膺εの資格受験講座を展開していた(株)KSS(旧・早稲田経営出版)から資格取得支援事業及び出版事業を譲受。これにより、会計分野に強みを有する同社の資格講座に法律系講座が加わると共に、公務員試験のフルラインナップ化も進んだ。

会社設立当時の資格取得スクール業界は、各スクールが会計分野や法律分野など専門分野に特化しており、また、社会人を対象としスパルタ的なスクール運営がなされていた。これに対して同社は、後発ながら、いち早く大学生市場に着目。大学1年生を対象に簿記の基礎からスタートして最終的に公認会計士や税理士の試験合格を目指すカリキュラムを作成して大学生市場に参入した。多忙な受験生に配慮した無料のテープレクチャーの導入や試験問題作成者の傾向分析といった試験対策への取組み等、受講生中心主義の下で提供される斬新なサービスが受講生の支持を集め各講座が拡大、確固たる経営基盤と業界でのポジションを確立した。その後、情報処理技術者、社会保険労務士、不動産鑑定士等へ講座を拡大。全ての分野をNo.1もしくはNo.2に成長させ、「資格の学校TAC」のブランド確立にも成功した。

他分野への展開は先行投資が必要でリスクを伴うため資格取得スクール各校は得意分野に特化していたが、同社は、斎藤社長のリーダーシップの下、大学生市場の開拓も含めて積極的に新しい分野にチャレンジすることで業界トップに上り詰め、業界初の株式上場も果たした。資格スクールと言うと、どちらかと言えば、保守的で地味なイメージを持つ投資家が多いと思うが、こうしたイメージだけで同社を見るとその本質を見誤る。もちろん、受講者の利便性を考慮した様々な受講形式の導入や毎年行われるテキストの改訂等、きめ細かい対応力と教育に対するこだわりは資格取得スクールのNo.1企業たる所以だが、その一方で、同社は進取の精神に溢れたチャレンジングな一面を有する。そしてそれが、同社の成長の原動力となっている。良い意味で、同社は資格取得支援ビジネスに特化したベンチャー企業なのだ
 
 
【同社の強み】
(1)試験制度の変化や法令改正へのきめ細かい対応
同社は、会社設立間もない頃から講師陣が毎年テキストを改訂し、試験制度の変化や法令改正にきめ細かく対応することで他社との差別化を図り受講生の支持を得てきた。事業規模が200億円を超えた今となっては毎年発生するテキスト改訂コストを吸収することが可能だが、新規参入を考える企業はもちろん、同社よりも事業規模の劣る同業者にとっても、テキストを毎年改訂することは大きな負担である(ノウハウの蓄積が進み高い生産性を実現していることも強みとなっている)。
 
(2)積極的な講座開発と充実したラインナップ
既に説明したとおり、同社は大学生市場の開拓も含めて積極的に新しい分野(新講座の開設)にチャレンジすることで業界トップに上り詰め、業界初の株式上場を果たした。また、09年には、Wセミナーの資格取得支援事業を譲受し、従来手薄だった法律系講座や公務員試験のラインナップを拡充した。法律系講座及び公務員試験は、会計系3講座(公認会計士、税理士、簿記検定)と共に3本柱を形成し、マーケットの大きい3本柱を中心に多様な講座をラインナップしている。
 
(3)受講生中心主義の下でのサービスの先進性
サービスの先進性も同社の強みである。教育メディアや講師を受講生が自由に選択できるシステムを、資格取得学校市場で最初に導入したのは同社である。その背景にある受講生中心主義の経営姿勢は、テキストの品質と共に、「資格の学校TAC」のブランド醸成に一役買っている。
 
 
【市場動向】
(1)資格取得学校市場
矢野経済研究所「教育産業白書(2011年版)」によると、10年度の資格取得学校市場は前年度比5.1%減の2,250億円。不況の影響で受験者が家庭で独学する傾向が強まった事、講座単価の低下、教育訓練給付金対象講座の利用者数減少(家庭での独学の増加が要因の一つと思われる)等が市場縮小の要因とみている。続く11年度も、東日本大震災による4 月の生徒募集の不調で苦戦が続くものの、市場規模は2,200億円と50億円の減少とどまり、前年度の120億円の減少から減少幅が縮まると予測している。
 
 
(2)合格者の未就職問題で主力の公認会計士講座が苦戦
事の発端は、02年12月に金融庁が発表した「公認会計士監査制度の充実・強化」である。その中で、公認会計士を当時の2万人から5万人に増強することが謳われ、これに伴い年間の試験合格者を2千名から3千名に引き上げる意向であることが示された。この発表は公認会計士を従来の日本型から米国型へと転換し、米国のように公認会計士が社会の様々な分野で活躍することを念頭に置いたもの。具体的には、日本では公認会計士試験合格者のうち希望者の大半が監査法人に就職でき、会計士試験イコール監査法人への就職試験と言っても過言ではなかったが、米国では34万人いる会計士の42%が一般企業で働き、会計事務所で働く38%を上回っていたと言う。言い換えると、日本では会計士試験合格者を監査法人が抱え込む監査法人独占スタイルになっていたが、米国では会計士が社会の至る所で活躍するスタイルになっていた。
この方針に基づき、公認会計士・監査審査会は、07年度及び08年度の試験において、合格基準を引き下げて合格者数を増加させた。監査法人も内部統制監査等への対応をにらみ積極的に試験合格者を採用したが、08年秋のリーマン・ショック以降の急激な景気悪化もあり市場が縮小、監査法人は余剰人員を抱えることとなり、その後の採用を手控えた。一方、市場環境が大きく変化したにもかかわらず、金融庁が何の対策も講じなかったため合格数はその後も需要を上回る水準で推移し、合格者の多くが就職できず合格者の未就職問題として社会問題化した。

公認会計士講座は同社のルーツとも言える講座であり、収益性も高い。また、簿記検定講座は公認会計士試験のエントリー的な位置づけであり、税理士講座も相関性が高い。このため、未就職問題が社会問題化して以降は会計系3講座が大きな影響を受けている。
 
 
需給は徐々に改善へ
03年には1,260人強だった合格者が、ピークの08年には3,000人を超えたが、09年以降は抑制され、11年には1,500人を下回った。しかし、合格者の未就職率が46%と依然として高い水準にある事から、金融庁は12年以降も合格者の削減を進める考えであることを表明した(12年1月5日に開催された公認会計士・監査審査会において、「合格者の活動領域の拡大が依然として進んでいないこと」及び「監査法人による採用が低迷していること」から、12年以降について「なお一層抑制的に運用されることが望ましい」と考えを示した)。
また、12年1月13日には合格者の実務経験の範囲の見直し案も公表され、資本金5億円未満の開示会社や開示会社の連結子会社(海外子会社も含む)における実務経験や、正職員以外の雇用形態での実務経験も認める方向であることが示された。
 
直近の試験動向
12年第1回短答式試験(11年12月実施)は受験者数13,573人(前回の試験に比べて3,671人減)で、合格者数は820名と前年同期の1,708名から半減し、合格率も6.0%と前回の9.9%を大きく下回った。また、12年5月27日に実施された12年第2回短答式試験の出願者は12,991人と前回の試験に比べて4,383人減少しており、今後の需給改善が期待される。ここ数年の公認会計士講座の受講者数の減少は難関を突破しても就職できない不条理に起因するものだっただけに、合格後の展望が開けてくれば受講意欲も高まってくるものと思われる。
 
 
 
 
2012年3月期決算
 
売上高について
各講座の受講者は受講申込時に受講料全額を払い込む必要があり(同社では、前受金調整前売上高、あるいは現金ベース売上高と呼ぶ)、同社はこれをいったん「前受金」として貸借対照表・負債の部に計上する。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金が月毎に売上に振り替えられる(同社では、前受金調整後売上高、あるいは発生ベースの売上高と呼ぶ)。前受金調整前売上高(現金ベースの売上高)とは、受注産業における受注高に似ており(現金収入を伴うため、キャッシュ・フローの面では大きく異なるが)、その後の売上高の先行指標となる。損益計算書に計上される売上高は、前受金調整後売上高(発生ベース売上高)だが、同社では経営指標として前受金調整前売上高(現金ベースの売上高)を重視している
 
 
悪材料が重なり、大半の講座で現金売上高が減少
現金ベース売上高は前期比7.6%減の217.5億円。公務員講座(国家一般職・地方上級コース)、中小企業診断士講座及び宅建主任者講座等の売上が増加したものの、多くの悪材料が重なり他の講座のほとんどが前期の実績を下回った。具体的な悪材料として、政策のミスマッチが引き起こした合格者の未就職問題を抱える公認会計士講座や司法試験講座の低迷、東日本大震災(以下、震災)の影響で大学学事日程がズレたことによる期初の大学生向け営業の不足、震災以降の大学生・社会人層の自己投資に関する嗜好の変化、更には長期コースの一括払い申込みから短期コースの分割申込みへのシフト等を挙げることができる。
 
 
コスト面では、原価低減努力により人件費(講師料等で同1.5%減)、教材制作のための外注費(同8.2%減)、及び賃借料(同5.3%減)等を中心に売上原価が145.9億円と同5.0%減少したほか、販管費も賃借料(同1.5%減)や人件費(同1.7%減)を中心に削減を進めたものの(賃借料と人件費が販管費全体の60%程度を占める)、減収の影響をカバーするには至らず、6.0億円の営業損失となった。教室用賃借ビルの値下げ交渉による未払賃借料取崩益(35百万円)の計上や投資有価証券運用損益の改善(△174百万円→70百万円)等で経常損失は5.3億円にとどまったが、投資有価証券評価損(80百万円)や拠点移転損失(126百万円:高田馬場校の閉鎖等による契約解約損及び賃借ビル建替えに伴う八重洲校移転の際の退去期間賃借料等)を特別損失に計上したため、7.9億円の当期純損失となった。
 
 
同社の業績には季節性があるため、四半期の業績についてはその特性に留意する必要がある。具体的には、同社が扱う主な資格講座の本試験は、第2四半期(7月〜9月)及び第3四半期(10月〜12月)に集中している。特に主力の公認会計士及び税理士講座等においては、第2・第3四半期は試験が終了した直後で、翌年受験のための新規申し込みの時期にあたり、第4四半期(1月〜3月)及び第1四半期(4月〜6月)は全コースが出揃う時期にあたる。このため、第2・第3四半期は、現金売上及び売掛金売上は多いものの、これらは受講期間に応じて前受金に振り替えられる。一方、経費は毎月一定額計上されるため売上総利益が減少する傾向がある。これに対して第4・第1四半期はこれらの前受金が各月に売上高に振り替えられる期になるため売上総利益が増加する傾向がある。
 
 
上記は発生ベース売上高の内訳だが、以下の概要説明では、販売状況を示す現金ベース売上高を用いて説明する。
 
財務・会計分野(簿記検定、ビジネス会計検定、建設業経理士、公認会計士)
合格者の未就職問題で新規学習者が減少傾向にある公認会計士講座の現金ベース売上高(以下、現金ベースを省略)が前期比23.8%、簿記検定講座が同7.3%、それぞれ減少した。ただ公認会計士試験は、12年第1回短答式試験(11年12月実施)が前回の試験と比べて受験者数が21%強減少し、合格者数も820名と前回の1,708名から半減しており(合格率:9.9%→6.0%)、今後の需給改善が期待される。また、震災の影響で11年6月の本試験受験者数が約20%減少した簿記検定も、12年2月の本試験受験者数は14%の減少にとどまり、緩やかながら底打ちに向かいつつある。
 
経営・税務分野(税理士、中小企業診断士、IPO実務検定、財務報告実務検定)
税理士講座は、分納制度を利用する本科生申込者の増加や夏の本試験後及び12月の合格発表後の申込状況が芳しくなく、売上高が前期比8.2%減少した。一方、中小企業診断士は、夏場の節電対応として実施した「朝活」が社会人に支持されたほか、資格そのもの及び同社講座がニュースやテレビ番組で紹介される等の露出度の高まりで受講者が増加。新規コースの投入効果もあり売上高が同4.3%増加した。
 
金融・不動産分野(不動産鑑定士、宅建主任者、マンション管理士、FP、ビジネススクール、保険検定等)
不動産関係資格では、緩やかな景気の回復や震災後の復興の流れに乗った宅建主任者講座の売上高が前期比1.7%増加したものの、受験者減少と市場の縮小に歯止めがかからない不動産鑑定士講座の現金ベース売上高が同17.6%減少した。
金融関係資格では、証券アナリスト講座(同5.5%減)やビジネススクール講座(同5.2%減)が苦戦したものの、新たに開始した低価格コースの受講者増でFP講座が前期並みの売上高を確保した。
 
法律分野(司法試験、司法書士、弁理士、行政書士、ビジネス実務法務検定等)
公認会計士講座と同様に合格者の未就職問題を抱える司法試験講座の売上高が前期比18.4%減少したほか、司法書士講座も競合他社による価格競争に対抗するためのキャンペーンで同12.1%の減収。この他では、弁理士講座及び通関士講座はそれぞれ前年並みの売上高を確保したものの、行政書士講座の売上高が同5.9%減少した。
 
公務員・労務分野(社会保険労務士、年金アドバイザー、国家総合職・外務専門職、国家一般職・地方上級)
震災後の学事日程ずれ込みによる混乱の影響や公務員の定数削減等の悪材料を吸収して国家一般職(同国家脅錙法γ亙上級コースの売上高が前期比3.7%増加したほか、年金アドバイザーコースの開講が後押しとなった社会保険労務士講座の売上高も同0.5%増加したが、優秀な大学生のキャリア官僚離れ等で国家総合職(旧国家擬錙縫魁璽垢稜箴綛發同3.8%減少した。
 
情報・国際分野(情報処理技術者、米国公認会計士、CCSA:内部統制評価指導士等)
震災による春の本試験日程の混乱や秋の本試験の受験者数の大幅な減少に伴う企業研修の中止・後ろ倒しで情報処理講座の売上高が前期比17.9%減少したほか、米国公認会計士講座も日本で受験が可能になった効果の一巡やIFRS(国際財務報告基準)対応の社会的な動向がやや停滞気味となったことで同1.7%の減収。CompTIA講座も同18.1%の減収と低迷した。
 
その他(発生ベース売上高と現金ベース売上高が等しい)
Wセミナーの営業譲受に伴い計上された前受金の戻入れがほぼ完了したことが響き(3.6億円の減収要因)で売上高が前期比28.7%減少した。商品・サービス別では、税務申告書ソフト「魔法陣」の売上高が同1.3%減少した他、人材ビジネスを手掛けるTACプロフェッションバンクも同11.8%の減収(連結修正前)。各スクールでの受講者数低迷の影響で受付雑収入等も同15.6%減少した。
 
 
個人教育事業は東日本大震災後の消費マインドの低下で一部の講座を除き総じて苦戦(特に公認会計士、税理士、簿記検定の会計系3講座の落ち込みが響いた)。スクール面積の減床により賃借料を低減したものの、5.6億円の損失を計上した。法人研修事業は、企業研修における宅建及び保険検定関係研修といった好調な分野もあったが、震災の影響で企業研修や大学内セミナーが落ち込んだ。一方、地方専門学校に対するコンテンツ提供が前期比5.3%増加した他、提携校事業も同0.6%減と堅調に推移した。
出版事業は、同社が展開するTAC出版が同1.3%の減収にとどまったものの、子会社(株)早稲田経営出版が展開するW出版が刊行の遅れで同17.9%の減収。TAC出版が簿記等のベストセラーシリーズをリニューアルしたことに伴う原稿料・外注費の増加でセグメント利益は同43.7%減少した。なお、5月7日に、税務・会計分野における老舗出版社清文社と合弁会社(株)プロフェッションネットワークを設立した(50%出資)。(株)プロフェッションネットワークは、試験に合格し実務界で活躍する多くのTAC卒業生を対象にしたビジネスを展開する。具体的には、税務会計に関するWeb型情報誌の発行を計画しており、今夏に試験的な発行を開始し、13年の初めには有料化する考え。
この他、人材事業は、人材派遣(連結相殺消去前で同19.6%減)、人材紹介(同4.0%減)、求人広告(同4.4%減)のいずれも売上が減少したが、売上原価・及び販管費の削減が進み営業利益は小幅な減少にとどまった。
 
(3)受講者数
受講者数は前期比5.5%減の205,182人。このうち個人受講者は同10.2%減の146,571人。特に会計系3講座の落ち込みが大きかった。一方、法人受講者は同8.8%増の58,611人。東日本大震災の影響による大学学事日程のずれで大学内セミナーの人数が減少したものの、自治体からの委託訓練が比較的堅調に推移した他、低価格コースを開講したFP講座の受講者も増加した。講座別にみると、増加した講座は、FP講座(同11.6%増)、社会保険労務士講座(同7.8%増)、公務員講座(同5.3%増)。減少した講座は、簿記検定講座(同10.7%減)、公認会計士講座(同43.8%減)、税理士講座(同3.4%減)、情報処理講座(同20.5%減)等。
 
 
2012年3月期業績予想
 
 
事業構造改革の推進により営業損失が大幅に減少
現金ベース売上高に基づく損益を重視するべく、13/3期は前受金調整額が発生しないとの前提の下(現金ベース売上高=発生ベース売上高)、業績予想を策定した。
現金ベース売上高は前期比0.9%増の219.5億円。個人教育事業(各種講座)は横ばいを想定しているが、震災の影響による一時的な要因がなくなる法人研修事業と新たな取り組みの成果が期待できる出版事業で増収を見込んでいる。コスト面では、拠点校の減床(直営校賃借物件の一部解約:445百万円)及び講師料等の削減(450百万円)で原価低減を図る他、希望退職者の募集(人件費削減効果336百万円)と役員報酬(49百万円)及び給与カット(44百万円)で販管費も削減する(売上原価と販管費合計で1,358百万円のコストを削減)。希望退職者に対する特別退職金(450百万円)を特別損失として織り込んだものの、新宿校の移転補償金(1,750百万円)を特別利益に計上するため、最終損益は6.5億円の利益を確保できる見込み。
 
(2)事業構造改革
大幅な損失計上となった12/3期決算を踏まえて、拠点体制・人員体制を適正規模に再構築するべく事業構造改革に着手した(公認会計士試験合格者や司法試験合格者の未就職問題に端を発した講座の苦戦や東日本大震災の影響等、経営努力の及ばない部分が大きかったことも事実だが)。
 
 
具体的には、13/3期から14/3期にかけて直営校賃借物件の一部解約、講師料等の削減、及び不採算講座の縮小により、原価を15億円強削減すると共に、13/3期に希望退職者の募集と役員報酬カット及び給与カットにより販管費を4.3億円弱削減し損益分岐点を引き下げる(コスト削減額:13/3期13.5億円、14/3期6.0億円、合計19.6億円)。

この結果、13/3期は現金ベース売上高が219.5億円と前期比0.9%の増加にとどまるものの、営業損失が7割強減少。来14/3期は現金ベース売上高216.8億円(13/3期予想比1.2%減)を前提に、営業利益5.6億円の計上が可能となる見込み。
 
 
今後の注目点
12/3期は会計系資格の魅力の毀損により会計系3講座(12億円弱の売上減少要因)を中心に現金ベース売上高が落ち込み、固定費化した営業費用を吸収できなかった。ただ、公認会計士試験合格者の未就職問題の解決に向け金融庁が本腰を入れ始めた事で、状況が改善に向かいつつある(政策効果が表れるまでには数年が必要と思われるが)。今後2年間で固定費の削減が進むため増収に転じれば大きな利益の伸びが期待でき、震災以降、悪化した大学生・社会人層の自己投資に関する意識が前向きなものに変わってくれば業績回復速度が一段と加速する。それまでは手堅く稼ぐ法人研修事業及び出版事業が業績を牽引する形となろう。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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