ブリッジレポート
(7552:東証1部) ハピネット 企業HP
苗手 一彦 社長
苗手 一彦 社長

【ブリッジレポート vol.3】2012年3月期業績レポート
取材概要「12/3期のポイントは、好業績もさることながら、収益性の高いアミューズメント事業のブラッシュアップが進んだ事と期初の想定通り映像音楽事業を黒・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年6月12日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ハピネット
社長
苗手 一彦
所在地
東京都台東区駒形2-4-5 駒形CAビル
事業内容
玩具、映像・音楽ソフト、ビデオゲーム、アミューズメント商品を扱うエンタテインメント総合商社。最適流通システムによる高付加価値物流を提供。オリジナル玩具・映像作品の企画・製作にも注力。
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 198,021 4,855 5,032 2,458
2011年3月 190,891 2,855 3,013 1,376
2010年3月 194,246 2,327 2,513 1,179
2009年3月 166,778 2,137 2,322 1,135
2008年3月 168,958 1,451 1,569 -1,490
2007年3月 160,606 2,153 2,554 1,616
2006年3月 155,703 3,470 3,786 2,270
2005年3月 140,461 2,966 3,030 1,580
株式情報(5/25現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
797円 22,402,010株 17,854百万円 11.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
22.50円 2.8% 111.60円 7.1倍 972.13円 0.8倍
※株価は5/25終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ハピネットの2012年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
 
会社概要
 
エンタテインメントの総合商社。玩具、映像・音楽ソフト、ビデオゲーム、アミューズメント(カプセル玩具・カードゲーム)等、幅広い領域で事業展開しており、オリジナル玩具や映像コンテンツの企画・製作、或いは玩具自動販売機によるカプセル玩具やカードゲームの小売事業といった中間流通(商社事業)の枠を超えた事業にも力を入れている。12年3月末現在、バンダイナムコホールディングス(7832)が筆頭株主として、議決権の26.3% (588万株)を保有する。
 
 
<事業セグメント及びグループ>
事業は、玩具事業、映像音楽事業、ビデオゲーム事業、アミューズメント事業に分かれ、12/3期の売上構成比は、それぞれ、39.0%、28.1%、21.6%、11.3%と、バランスの取れた売上構成となっている。また、チャネル別では、家電・カメラ量販店を含む専門店31.6%、量販店20.4%、コンビニ13.3%、eコマース12.7%、その他22.0%。 連結子会社7社及び非連結子会社1社と共にグループを形成している。
 
 
<沿革 −玩具卸の個人商店からエンタテインメント総合商社へ−>
1968年2月、現在、代表取締役会長を務める河合 洋氏が(株)バンダイを退社し玩具の卸売業を個人で創業。69年6月に(有)トウショウとして法人化し、72年9月に(株)ポピー(現(株)バンダイ)と本格的に取引を開始した(この際に株式会社に改組)。91年10月にはバンダイ商品の販売会社だった(株)ダイリン及び(株)セイコーを吸収合併し、商号を(株)ハピネットに変更。以来、少子化や遊びの多様化による市場の変化に対応して、玩具からアミューズメント、ビデオゲーム、映像ソフトへと事業領域を広げていった。資本政策では、97年8月に日本証券業協会に株式を店頭登録(現在のJASDAQ上場に相当)。98年12月の東証2部上場を経て、00年3月に東証1部に指定替えとなった。
 
<強み>
(1)圧倒的な経営基盤
同社は、玩具、DVD・CD、及びカプセル玩具・カードゲームの卸会社として、いずれの分野においてもトップクラスの実績を有し、カプセル玩具・カードゲームに至っては約6割の市場シェアを持つ。また、家庭用ゲーム機では全てのメーカーの製品(国内販売を対象とする製品)を取扱う唯一の卸会社である。同社は業界最大手としての豊富な情報とその情報を活かしたマーケティング力を活かし、メーカーに店頭の状況と消費者ニーズをフィードバックする事で、また、小売業者にはメーカーの戦略を伝えると共に、最適な店頭戦略と品揃えをアドバイスする事で、両者のビジネスを支援している。
 
(2)最適流通システム
情報力を支えているのが、EDI (Electronic Data Interchange:電子データ交換)、POS、Web等を活用し、メーカーから小売店までを結んだ「最適流通システム」である。その拠点となる国内4ヶ所のロジスティクスセンターの合計面積は77,134屬傍擇咫東京ドームの1.7倍。リアルタイム・高精度の在庫管理と迅速かつ適切な出荷業務を特徴とし、誤納率は10万分の1以下。サプライチェーンマネジメントによる生産数量の適正化支援や流通在庫のスリム化など流通の合理化に寄与している。尚、ロジスティクスセンターは、連結子会社(株)ハピネット・ロジスティクスサービスが運営している。
 
 
(3)マネジメント力
優れたマネジメント力も同社の強み。M&Aにより商権と商圏を拡大させる一方、グループマネジメントと商品管理により高い収益性を維持してきた。また、M&Aで業容が拡大する中、売上債権及びたな卸資産の管理を徹底する事で安定したキャッシュ・フローを実現しており、現在、有利子負債に依存しない強固な財務体質を構築している。
 
 
 
 
第5次中期経営計画の総括と第6次中期経営計画
 
(1)第5次中期経営計画「CAP(Change And Progress)11」
   (10/3期〜12/3期)の総括
第5次中期経営計画では「エンタテインメント総合商社としての基盤の強化」をスローガンに掲げ、利益構造改革を最重要課題として取り組んだ。リーマンショック後の景気の落ち込みとその後の円高デフレ、更には東日本大震災と悪材料が重なり売上を計画通りに伸ばす事は出来なかったが、売上を伸ばし難い事業環境だけに収益性に磨きをかけた。この結果、経常利益率が目標としていた1.5%を上回る2.5%に改善する等、利益体質へ大きく変革を遂げる事ができた。
 
 
(2)第6次中期経営計画「CAP14」(13/3期〜15/3期)
「エンタテインメント総合商社としての成長と新たな事業領域への挑戦」をスローガンとして掲げ、ヾ存事業の継続的な成長、⊃靴燭併業領域への挑戦、及びN通機能の強化・確立に取り組む。成熟した国内エンタテインメント市場ではあるが、既存事業の深耕と未開拓領域への展開で成長余地は依然として大きいと言うのが同社の考えだ。
 
ヾ存事業の継続的な成長
主要メーカー各社と連携して業界販社としてのポジショニングの確立を目指すと共に、オリジナル商品や独占販売商品の拡大で収益力を強化する。
 
 
⊃靴燭併業領域への挑戦
新たな事業領域へ挑戦する事で更なる成長を目指す考え。具体的施策として、オリジナルや独占販売商品の拡大を図る他、SNSゲーム市場等、デジタルエンタテインメント分野を含めて新規事業分野へ積極的に展開する。また、各事業の周辺事業でビジネスチャンスを模索する。尚、SNSゲームは大手以外のゲームメーカーとの提携を進めており、4月9日には第1弾として、iPhone、iPod touch 向けカードバトル型SNSゲーム「アストラルサーガ【創世の神々】」の配信を開始した。2か月で10,000人を目指している会員の確保も順調に推移しており、上期中に更に4本のリリースを予定している。
 
 
N通機能の強化・確立
ハード、ソフトの両面で機能の高度化を図り、既存事業の拡大や新規事業への進出等、持続的な成長に対応できる流通機能の強化・確立に取り組む。この一環として、メーカーと販売店をつなぐ一気通貫支援システムの構築に着手した。この支援システムを介する事で、メーカーは最適な店頭展開を実現すると共に店頭の販売状況の把握を通して売上高・利益の最大化を図る事ができ、販売店は最適な品揃えと最適な店頭展開を実現する事で売上高・利益の最大化を図る事ができる。従来、マンパワーで対応してきたサービスだが、システマティックに、かつ、より機能を高めて提供しようという考えだ。
 
 
た値目標
最終となる15/3期の数値目標として、売上高2,500億円、経常利益70億円を掲げている。経常利益については、70億円のうち、玩具事業及びアミューズメント事業で50億円を目指しており、新規事業で上積みを図る。映像音楽事業及びビデオゲーム事業については、収益の安定性を第一とする。
 
 
 
2012年3月期決算
 
 
(株)ハピネットとして節目となる20周年を迎えた12/3期は売上高・利益共に好調
売上高は前年同期比3.7%増の1,980億円。バンダイの「仮面ライダーフォーゼ」、「海賊戦隊ゴーカイジャー」、「たまごっち!」といった男女児キャラクター商材を中心に主力の玩具事業が伸びた他、小売事業であるアミューズメント事業(玩具自動販売機によるカプセル玩具販売)も事業構造改革とヒット商材の寄与で売上が増加した。

利益面では、限界利益率の高いアミューズメント事業の売上構成比の上昇や返品・在庫対策等の構造改革効果による映像音楽事業の利益率改善等で売上総利益率が12.6%と0.9ポイント改善。一方、販管費は倉庫寄託料等の変動費を中心に小幅な増加にとどまり、営業利益は4,855百万円と同70.0%増加した。減損損失669百万円など特別損失724百万円を計上したものの(前期は投資有価証券売却損・評価損153百万円など特別損失341百万円を計上)、当期純利益は2,458百万円と同78.6%増加した。
 
 
予想との比較
期初予想との比較では、ヒット商材に恵まれた玩具事業やアミューズメント事業を中心に売上が上振れ。利益面では、売上の上振れに加え、返品対策及び在庫管理の徹底による映像音楽事業の収益性改善が要因。尚、第3四半期決算発表時に通期業績予想を上方修正したが、売上・利益共に修正値を若干上回る着地となった(修正値:売上高198,000百万円、営業利益4,800百万円、経常利益4,900百万円、当期純利益2,300百万円)。
 
配当
期末配当は、1株当たり11.25円の普通配当に(株)ハピネット生誕20周年の記念配当5円を加えた16.25円を予定しており、上期末配当と合わせて年38.75円となる見込み(11年12月に1株を2株に分割しているため、これを考慮すると実質年55円)。尚、同社は91年10月に玩具卸売業3社が合併し、(株)ハピネットとして新たなスタートを切った。
 
 
玩具事業
売上高77,313百万円(前期比11.9%増)、セグメント利益3,009百万円(同29.6%増)。(株)バンダイの「仮面ライダーフォーゼ」、「海賊戦隊ゴーカイジャー」、「たまごっち!」といった男女児キャラクター商材が好調に推移した。例年通り期末に実施した在庫処分は13億円と前期比2億円増加したものの(期末在庫は同1億円増の23億円)、前期は31.3回だった在庫回転率が33.6回に高まり利益率も改善した。
仕入先別では、タカラトミーが63億円と前期比10.2%減少したものの、バンダイが423億円と同13.1%増加した他、その他メーカーも264億円と同14.1%増加した。また、同社オリジナル製品も22億円と同53.7%増加した。
 
映像音楽事業
売上高55,719百万円(前期比3.5%減)、セグメント利益448百万円(前期は656百万円のセグメント損失)。インターネットを利用した配信等の普及でパッケージ市場が縮小しており、同社の売上もこれを反映したものとなった。ただ、11年4月から取り組んだ構造改革の成果で急速に採算が大幅に改善した。主な経営指標を上期と通期で比較すると、返品率が上期の6.8%に対して通期6.2%、在庫金額は第2四半期末21億円に対して期末18億円、在庫回転率は22.3回に対して24.6回。
 
 
※構造改革について
11年4月1日付で、(株)ハピネットの映像音楽販売部門を子会社である(株)ハピネット・ピーエム(旧社名(株)ウイント)に業務を移管し事業構造改革を実施した。具体的には、販売店との間で法人別返品率の再設定を行うと共に、(株)ハピネット・ピーエム内での在庫に対する意識改革を行い売れ筋商品へのタイトルの集約を行った(毎期14,000程度の新作CDを扱っていたが、売上全体の95%は5,000程度のタイトルによるものだった)。
 
ビデオゲーム事業
売上高42,704百万円(前期比8.1%減)、セグメント利益936百万円(同19.0%減)。新型ゲーム機の発売に加え、ヒット作が全く無かった訳ではないが、ソーシャルゲームの普及等で市場全体の低迷が続いている。独占販売権を取得したソフトの販売が伸びた他、PlayStation3が健闘したものの、WiiやNintendo DSの苦戦が目立った。
製品別では、PlayStation 3(PS3)が同22.3%増の67億円(セグメント内売上構成比15.9%)、PlayStation Portable(PSP)が同11.2%減の103億円(同24.2%)、Wiiが同30.2%減の32億円(同7.7%)、Nintendo 3DSが同262.0%増の87億円(同20.6%)、Nintendo DSが同78.0%減の16億円(同3.9%)、Xbox360等のその他が同30.0%減の98億円(同23.1%)。
 
アミューズメント事業
売上高22,282百万円(前期比26.8%増)、セグメント利益1,801百万円(同34.3%増)。構造改革効果(商圏規模や商圏特性に合わせた拠点作りを念頭に拠点の再配置を実施した)に加え、「仮面ライダーオーズ」、「ワンピース」、「海賊戦隊ゴーカイジャー」を中心とした男児キャラクター商材のヒットで、玩具自動販売機商材であるカプセル玩具の売上が伸びた。
構造改革の一環として実視した生産性を重視したロケーションの絞り込みが奏功し(10,000ロケーションを4,500ロケーションに絞込み)、固定費生産性が152%へと向上し、在庫回転率17.3回と前期の16.6回から上昇。好調な販売を受けて在庫の積み増しを行った結果、期末在庫は14億円と前年同期(11億円)比3億円増加した。
 
 
販売好調なAmazon.comや楽天等にけん引されe コマースが伸びた他、最大手チェーンを中心にしたコンビニ向けやカードが寄与した量販店向けの売上も増加した。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
期末総資産は前期末比5,815百万円増の54,323百万円。CFの改善で現預金が増加した他、期末が土曜日だったため売上債権及び仕入債務が両建てで増加した。営業CFの減少は、税金費用の増加による(△574百万円→△1,499百万円)。
 
 
 
 
2013年3月期業績予想
 
 
好調だった前期並みの売上を見込むものの、先行投資が負担となり同10.6%の経常減益
売上高は前期比1.0%増の200,000百万円。玩具自動販売機やカードゲーム機の設置台数の増加でアミューズメント事業の売上が伸びる他、独占販売商品の強化でビデオゲームの減収にも歯止めがかかる。一方、映像音楽事業は減収が続く見込みで、前期はヒット商材に恵まれた玩具事業も見通しは慎重。

先行投資負担を織り込んだ結果、営業利益は同11.4%減の4,300百万円。アミューズメント事業における玩具自動販売機及びカードゲーム機の購入・設置費用及びカードゲーム機のバージョンアップ費用として1,400百万円(前期は800百万円)、新基幹システムの開発費として370百万円(前期は計上無し)を織り込んだ。この他、減価償却費はわずかな増加にとどまるものの(12/3期688百万円→13/3期700百万円)、のれん償却費が45百万円弱減少する見込み(12/3期337百万円→13/3期292百万円弱)。

配当は記念配を落とし、1株当たり年22.5円を予定(上期末配当11.25円を含む)。この他、株主優待として、保有株数に応じて同社オリジナル・独占販売商品を贈呈する(株主優待カタログが6月上旬頃に株主総会の招集通知と同封で送付される)。
 
 
 
今後の注目点
12/3期のポイントは、好業績もさることながら、収益性の高いアミューズメント事業のブラッシュアップが進んだ事と期初の想定通り映像音楽事業を黒字転換させた事である(想定の2.2倍の利益を計上)。アミューズメント事業は玩具事業と並び、当面の成長のけん引役として期待されるほどの事業に変貌を遂げ、映像音楽事業については今後、緩やかではあるが、シェアアップによる事業拡大フェーズに入っていく。映像音楽のパッケージメディアはWebによる配信に押されて市場縮小が続いているが、業界2位の同社グループでもシェアは14%に過ぎない。トップの(株)星光堂や3位の(株)MPDのシェアを切り崩す事は難しいが、残りの約50%を占めるメーカー直販の取り込みによるシェアアップの余地は大きく、実際、同社グループは日活(株)(09年8月)やバンダイビジュアル(株)(10年4月)から業務の移管を受けた。メーカー側は物流業務を移管した事で、コアコンピタンスであるコンテンツ制作に経営資源を集中する事ができ、かつパッケージ流通の整備とより一層のサービスの向上が可能になった。
「エンタテインメント総合商社としての基盤の強化」をスローガンとして掲げた第5次中期経営計画は計画通り進んだ。具体的な目標を設定し、それを着実に達成するマネジメント力が同社の強みだと実感する。「エンタテインメント総合商社としての成長と新たな事業領域への挑戦」をスローガンとして掲げ、ヾ存事業の継続的な成長、⊃靴燭併業領域への挑戦、及びN通機能の強化・確立に取り組む第6次中期経営計画に注目したい。
 
http://www.hap-net.com/ir/ir_data/pdf/1104-1203/1104-1203_results.pdf
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
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