ブリッジレポート
(2708:JASDAQ) 久世 企業HP
久世 健吉 社長
久世 健吉 社長

【ブリッジレポート vol.3】2012年3月期業績レポート
取材概要「国内の食材卸市場は成熟しているが、市場規模を考えると確かにシェアアップによる成長余地が大きく、厳しい事業環境の中で売上・利益が高・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年7月10日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社久世
社長
久世 健吉
所在地
東京都豊島区東池袋2-29-7
事業内容
首都圏の業務用食材卸No.1。フードサービス・ソリューション・カンパニーを標榜し、外食産業及び中食産業への食材卸を中心に子会社で食材製造も手掛ける
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 51,053 380 408 173
2011年3月 46,774 230 342 80
2010年3月 42,666 271 394 123
2009年3月 42,181 225 334 171
2008年3月 42,540 283 443 240
2007年3月 42,847 402 507 262
2006年3月 41,491 336 390 246
2005年3月 39,087 255 297 126
株式情報(6/28現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
429円 3,879,022株 1,664百万円 4.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.00円 2.8% 64.45円 6.7倍 1,076.01円 0.4倍
※株価は6/28終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
外食産業や中食産業向けの食材卸を中心に、グループでソース、ブイヨン、スープ及び調理食品など食材の製造・販売も手掛けている。取扱品目は約21,000アイテムに上り、冷凍・常温品はもちろん生鮮品から消耗品等のノンフードまで幅広い。グループは、同社の他、ソース・スープ類の製造・販売を手掛けるキスコフーズ(株)、生鮮野菜など農産品の仕入・販売を行う(株)久世フレッシュ・ワンの連結子会社2社、ニュージーランドでソース類の製造を手掛ける持分法適用子会社のキスコフーズインターナショナルリミテッド、及び海外戦略の立案と情報収集の役割を担う非連結子会社の久世(香港)有限公司の4社(この他、中国での業務用食材卸売事業を目的に12年5月に設立した久華世(成都)商貿有限公司)
 
【事業内容】
事業は、食材卸売事業、食材製造事業、及びグループ会社向けが大半を占める不動産賃貸事業に分かれ、12/3期の売上構成比は、それぞれ、93.3%、6.4%、0.3%。また、販売チャンネル別(個別ベース)では、居酒屋・パブ33.6%、ディナーレストラン・ホテル・会館19.6%、惣菜・デリカ・娯楽施設・ケータリング16.4%、ファーストフード・ファミリーレストラン・カフェ30.5%。
 
食材卸売事業
取扱が難しい生鮮品を含めた業務用食材全般に加え、割りばし、ナプキン、洗剤といった消耗品等のノンフードまでを幅広くカバーし、取扱品目は約21,000アイテム。近年、PB商品や生鮮三品の取扱いに力を入れている。また、売上面、利益面で下期偏重である事も当事業の特徴である。
 
食材製造事業
連結子会社キスコフーズ(株)が食品製造工場を有し、ソース、ブイヨン、スープ及び調理食品等の自社ブランド製品及びOEM製品の製造・販売を行っている。
 
 
リーマン・ショックの影響を受けたものの、第一次C&G経営計画(10/3〜12/3期)の下で進めた、\果目標の明確化、期限管理の徹底、更にはC惨間でのPDCAマネジメントといった取り組みの成果が、11/3期下期以降、顕在化しつつある。
 
【沿革】
1934年4月、現在本社を置く池袋にてトマトケチャップやソースの製造を開始。直販(中間流通を通さず飲食店等に直接販売)を特徴とするケチャップやソースのメーカーとして経営基盤を確立したが、トマト加工品の輸入自由化が進められた70年代に食材の卸事業にシフト。元来、直販メーカーとして飲食店等のユーザーと直接取引していた強みに加え、外食チェーン等の市場拡大も追い風となり事業が順調に拡大した。

食材関連ビジネスに限定しつつも多角化に取り組み、79年8月には結婚式利用の増加で繁忙を極めたホテル厨房等を支援するべく、キスコフーズ(株)を設立して業務用高級スープやソースの製造を開始。89年7月には、トリュフ、フォアグラ等、高級食材の輸入・販売を目的にアクロス(株)を設立した(その後、吸収)。90年代には、中京地区、関西地区への拠点展開も進め、2001年9月にJASDAQに株式を上場。09年7月には、生鮮品の取扱い強化の一環として、生鮮野菜類の卸に特化した(株)久世フレッシュ・ワンを設立。11年5月には、ソース類の製造強化を目的に、キスコフーズ インターナショナル リミテッド(KISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITED)をニュージーランド、クライストチャーチ市に設立した。また2011年9月に、今後の海外戦略の拠点として、久世(香港)有限公司を設立した。更に12年5月に中国内陸部での業務用食材卸売事業を目的に、久華世(成都)商貿有限公司を設立した。
 
メニューの提案と開発の支援、食材セミナー(年9回)と食材展示会(年2回)の開催、更には情報誌「久世通信」によるトレンド情報の提供といった他社に無いきめ細かい顧客フォローで首都圏No.1のポジション確立を標榜している。
 
 
 
第2次C&G(Change and Grow for The Good Company)中期経営計画
 
同社の推計では、外食産業約23兆円のうち同社の事業対象となる全国の業務用食材マーケットは約3兆6千億円。12/3期の同社の売上高は500億円を超えたが、シェアは1.4%に過ぎない。成熟した国内食材市場に大きな成長を求める事はできないが、同社においてはシェアアップによる成長余地が大きい(売上高トップの首都圏に限っても、市場規模は国内市場の約40%に当たる約1兆4,700億円で同社のシェアは3.5%程度)。
中期的な目標としては、創業85周年を迎える20/3期に売上高1,000億円、営業利益20億円の達成を掲げている。
 
 
(1)「第1次C&G経営計画」(10/3期〜12/3期)
同社は、これを実現するべく10/3期に「C&Gプロジェクト」を立ち上げ、「意識改革」と「行動改革」に着手した。具体的な施策をまとめたものが、「第1次C&G経営計画」(10/3期〜12/3期)であり、営業力強化(国内営業拠点7ヵ所→10ヵ所)、物流拠点の見直し(北海道から九州をカバーする物流網が完成)、及びPB商品の開発強化に取り組んだ。また、(株)久世フレッシュ・ワンを設立して生鮮野菜など農産品の仕入・販売を開始した他、製造子会社キスコフーズ(株)がニュージーランドに製造子会社を設立。更に、久世グループ海外戦略のコントローラーとしての機能を持たせた久世(香港)有限公司を香港に設立した他、中国内陸部 成都において、日本型業務用食材卸売業を手掛けるための布石も打った。
 
 
(2)「第2次C&G経営計画」(13/3期〜15/3期)
13/3期から始まる「第2次C&G経営計画」では、国内外での攻めの営業体制の確立、商品開発を軸とした戦略推進、1,000億円企業への体制構築を基本戦略とし、「三大都市圏No.1」及び「お客様満足度No.1」企業の実現と海外事業の基盤整備に取り組む。

"国内外での攻めの営業体制の確立"では、国内において首都圏(約1兆4,000億円市場)、中京圏(約4,100億円市場)、関西圏(約6,700億円市場)でシェアアップを図るべく地域別の営業戦略を進めると共に、商品・物流戦略を並行して進める。また、海外では中国・東南アジアでの業務用食材卸売事業を展開すると共に食材の供給拠点であるニュージーランドで「世界的な味の洋風化」に対応した製造事業を推進する。"商品開発を軸とした戦略推進"では、グループに製造子会社を有する強みを活かして販売とのシナジーを高め、顧客ニーズを踏まえた商品開発を推進。"1,000億円企業への体制構築"では、人材育成や次世代情報システムの導入で経営基盤の強化を進めると共に、M&Aやアライアンスに積極的に対応する事で外部成長力の取り込みも図る。
 
 
2012年3月期決算
 
 
前期比9.1%の増収、同19.4%の経常増益
売上高は前期比9.1%の510.5億円。首都圏エリアでの営業強化で主力の食材卸売事業の売上が同8.8%増加した他、下期にフォンドヴォーやベシャメルソースの海外生産が本格化した食材製造事業の売上が同14.6%増加した。
利益面では、シェアを優先した事や東日本大震災の混乱もあり値上げが遅れたため、売上総利益率が16.7%と0.5ポイント低下。国内営業拠点の増設や子会社の設立による人件費の増加(1.3億円増)や売上の増加に伴う運賃の増加(1.2億円)等で販管費も増加したが、増収効果で吸収。営業利益は3.8億円と同64.8%増加した。ニュージーランド現法の立ち上げに伴う持ち分法投資損失の計上(1.0億円)等で営業外損益が悪化したものの、特別損益の改善で当期純利益は1.7億円と同115.6%増加した。尚、特別損益の改善は、退職給付制度改定益0.6億円を特別利益に計上する一方、資産除去債務0.3億円等の計上が無くなった事による。

尚、国内では、11年4月に中京地区の機能強化のため名古屋営業所を移転した他、12年2月に海老名営業所(神奈川県海老名市)、12年3月に墨田営業所(東京都墨田区)及び目黒営業所(東京都目黒区)をそれぞれ開設。海外では、11年5月にソース類の製造強化のため、キスコフーズ インターナショナル リミテッド(KISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITED)をニュージーランド(クライストチャーチ市)に設立した他(11月よりフォンドヴォーやベシャメルソースの海外生産を本格化)、11年9月にグループの海外法人持株会社として「久世(香港)有限公司」を設立した。
 
 
 
 
期末総資産は前期末比35.7億円増の174.3億円。順調な事業の拡大を反映して売上債権及び仕入債務が増加した他、ニュージーランドでソース類の製造を手掛けるキスコフーズインターナショナルリミテッドの増資や、海外戦略の立案と情報収集の役割を担う久世(香港)有限公司の設立等で投資有価証券(投資その他)が増加した。
 
 
CFの面から見ると、利益の増加に加え、仕入債務の増加等による運転資金の減少で前期は5.2億円だった営業CFが13.6億円に増加。子会社の増資や設立等で投資CFのマイナス幅が拡大したものの、6.3億円のフリーCFを確保した。長期を中心にした借入金の積み増しで財務CFも黒字となり、現金及び現金同等物の期末残高は36.9億円と前期末比9.4億円増加した。
 
 
2013年3月期業績予想
 
 
前期比5.8%の増収、同22.4%の経常増益予想
売上高は前期比5.8%増の540億円。前期に開設した営業所の寄与もあり首都圏中心に食材卸売事業及び食材製造事業共に売上が増加する見込み。利益面では、値上げ効果の浸透に加え、ニュージーランド子会社のオペレーションの軌道化で営業利益が4.5億円と同18.4%増加。持分法投資損益の改善も見込まれる。

尚、国内では、4月に関西地区の営業強化を目的に関西営業所を大阪支店に呼称変更・改組した他、6月には中京地区の業務基盤固めを目的に(株)サカツ コーポレーションと業務提携を行った。また、海外では中国での食材卸売事業の展開を目的に5月に河南三明食品有限公司との合弁会社 久華世(成都)商貿有限公司(出資比率90%)を四川省成都市に設立した。
 
 
(2)13/3期の施策
国内でシェアアップを図ると共に海外(中国及び東南アジア)の成長を取り込む事で事業拡大の原動力とする。
 
 
商品施策
新商品69アイテム、リニューアル商品16アイテムのPB商品を発売する予定。
 
 
物流施策
効率化を図るため、短期間で配送コースの更なる見直しを実施(年4回の見直し徹底)すると共に、引き続き、滞留品の削減、廃棄ロス撲滅に注力する。また、物流拠点の見直し・新設を進める他、物流品質の向上にも取り組む。

この他、原材料、製造、商品開発、商品、受発注、営業、物流、サポート部門等、全ての業務部門において品質向上を図り顧客満足度を高めると共に、ISO22000/FSSC22000 取得を目指す。
 
海外
今後、成長が見込める中国・成都市において業務用食材卸売事業を開始する(5月に設立した久華世(成都)商貿有限公司が7月に稼働)。中期的には海外外食企業に対する日本の外食産業のオペレーション提案等も手掛けていく考え。また、生産機能の海外移転も進めるべく、拠点新設のための市場調査に着手する。
 
 
今後の注目点
国内の食材卸市場は成熟しているが、市場規模を考えると確かにシェアアップによる成長余地が大きく、厳しい事業環境の中で売上・利益が高い伸びを示した12/3期決算がポテンシャルの一端を示しているものと思われる。また、卸売業の海外展開は未だ例が少なく実感が乏しかったが、実際に子会社が設立されプロジェクトが動き出した。現地の日系レストラン等では日本的なサービスに対する要望が強いだけに、早期に事業基盤を確立できる可能性が高い。更に中期的には高品質な日本の外食産業のオペレーション提案が、生活水準の向上への対応を迫られるローカルの外食企業に受け入れられていく可能性が高い。このように国内外での成長戦略が順調過ぎるくらい順調に進んでいるが、予想PER6.7倍、PBR0.4倍、配当利回り2.8%の水準にある株価には顕在化しつつある大きな潜在成長力が織り込まれているとは言い難い。食材の卸売事業は地味な事業なため投資家の関心を引きにくいが、同社の戦略とその進捗状況を吟味すると、実に味わい深く、興味深い。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
Copyright(C) 2018 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

« ブリッジレポート:(3034)クオール vol.15 | ブリッジレポート:(2136)ヒップ vol.19»

ブリッジレポート(バックナンバー)
最新のブリッジサロン動画
アンケート
ブリッジメール
アラート申込み
CLOSE