ブリッジレポート
(3034:東証2部) クオール 企業HP
中村 勝 社長
中村 勝 社長

【ブリッジレポート vol.15】2012年3月期業績レポート
取材概要「薬学部が6年生に移行したため、ここ数年間は新卒を採用できず薬剤師が不足していたが、今期以降、この足かせが無くなる。同社は積極的な採用と・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年7月10日掲載
企業基本情報
企業名
クオール株式会社
社長
中村 勝
所在地
東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー37階
事業内容
調剤薬局チェーン大手。首都圏中心に東北、中部、北陸、関西に店舗展開。
決算期
3月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 66,201 3,308 3,238 1,560
2011年3月 60,915 2,804 2,807 1,137
2010年3月 56,305 2,031 2,032 828
2009年3月 49,010 1,526 1,506 653
2008年3月 38,002 1,314 1,298 547
2007年3月 24,827 937 875 403
2006年3月 21,701 779 763 333
2005年3月 20,193 611 580 74
2004年3月 18,500 28 10 -134
2003年3月 11,869 253 413 -33
2002年3月 8,107 5 153 68
株式情報(7/6現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
840円 26,082,200株 21,909百万円 13.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
18.00円 2.1% 70.64円 11.9倍 488.87円 1.7倍
※株価は7/6終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
首都圏を中心としつつ、調剤薬局を全国店舗展開。主に民間中小病院やクリニックを対象とし、医療機関とのマンツーマン体制を堅持する事で調剤薬局間の無駄な顧客獲得競争を排除している。また、新業態店舗にも積極的に取り組んでおり、(株)ローソンと組み調剤薬局とコンビニエンスストアが融合した「ナチュラルローソンクオール薬局」では、従来の調剤薬局のイメージを一新するような外観や明るく快適な店舗づくりで差別化を図っている。この他、子会社がSMO事業、食品CRO事業、人材・派遣事業、出版関連事業を手掛ける。
 
【事業セグメントとクオールグループ】
事業は調剤事業と非調剤事業に分かれ(12/3期は調剤事業の売上が全体の97%を占めた)、連結子会社13社、持分法適用関連会社1社、及びその他の関係会社1社等と共にグループを形成している。
 
調剤事業(クオール、連結子会社5社、持分法適用関連会社1社)
同社及び連結子会社であるきずな(株)、三条ドラッグ(有)、螢瓮妊カルフィールドが調剤薬局の経営を行っており、また、(株)医療総合研究所は医療機関を対象とした医療事務受託業務を行っている。この他、連結子会社ホスピタルクオール(株)が病院内コンビニエンスストアの運営を行っており、持分法適用関連会社ジーエムキュー(株)がドラッグストア併設型調剤薬局の経営を行っており、12年7月現在のフランチャイズ店5店舗を含めたグループ店舗数は335店舗。
 
非調剤事業(連結子会社6社)
メディカルクオール(株)が手掛ける出版関連事業、フェーズオン(株)のSMO事業、クオールメディス(株)の人材・派遣事業、メディプロ(株)の医療関連の経営コンサルティング事業、クオールアシスト(株)の社内業務代行事業(「障害者雇用の促進」を目的とした特例子会社)、及び(株)エスカルラボラトリーズの食品CRO(特定保健用食品の臨床試験及び機能性食品等の臨床評価試験の受託)事業が当セグメントに含まれる。
 
 
【ブランディング強化に向けた取り組み  −QOL branding New philosophy, logo, slogan−】
調剤及び医薬品の販売を目的に92年10月に設立された同社は12年10月に設立(創業)20周年を迎える。電通の調査によると、現状ではコンシューマー(消費者)のクオール認知率は低く、20周年の節目を迎えるに当たって、クオールブランドを確立・強化し認知率の引き上げを図る考え。この一環として、今回、企業理念とロゴマークを刷新した。ブランドアイデンティティの精査・構築とアウター向け施策、更にはインナー向け施策(本社と薬局とのベクトルの統一=横のつながり)を加えた3つのブランディング施策を統合的かつ戦略的に進めていく考え。
 
新企業理念:
わたしたちは、すべての人の、クオリティ オブ ライフに向きあいます。いつでも、どこでも、あなたに。
スローガン:
あなたの、いちばん近くにある安心
 
認知度向上とクオールブランドの確立を図るべく、企業名の「Q」「O」「L」を使用している。

QOLの一筆書きは、「社会とのつながり=絆」を象徴したもので、家族、医療、社員の「絆」、或いはアライアンス先である ローソンやビックカメラ等、各種各様の「絆」を表現。また、QOLの一筆書きは「人の顔」にも似ており、「ひとつのキャラクター」としての存在感を象徴している。

また、力強く、動きのある「Q」「O」「L」の文字には、クオール全体が大きな勢いで発展する事への願いが込められている。
 
12年7月末現在、35都道府県に335店舗を展開(FCを含み、GMQ株式会社のM&M薬局を含まず)。

地区別構成比は、関東()51.9%、近畿()14.0%、東北()13.7%。
今後、北海道、関西での店舗ネットワークの強化に取り組んでいく考え。
 
【長期目標】
当面の目標は、新中期計画(後述)で掲げた15/3期に売上高1,150億円以上だが、長期的には売上高を3,000億円規模に引き上げる必要があると考えており、調剤事業における店舗ネットワークの拡大やM&A、更には新たなアライアンス(当面は、ローソン及びビッグカメラとの連携強化に注力)を成長の原動力としていく考え。また、クオールブランドの強化にも取り組み、この一環として、クオールカードの全店導入を進める他、店舗名称を「クオール薬局」に統一する。この他、非調剤事業(SMO、食品CRO、人材派遣、出版関連)も経営資源を投下して強化を図る。

尚、調剤事業における店舗ネットワークの拡大では、現在、全国12拠点を有する医療モールを強化する他、ローソン併設店の拡大、更にはホスピタルローソンによる病院施設内への出店も計画している。
 
 
新中期経営計画(13/3期〜15/3期)
 
最終年度の15/3期に売上高1,150億円以上、営業利益率6.4%(営業利益73.6億円)以上を目指す新中期経営計画が、この4月にスタートした。「わたしたちは、すべての人の、クオリティ オブ ライフに向き合います。いつでも、どこでも、あなたに。」の企業理念の下、『「選ばれる薬局」「QOLサポート企業」としてのクオールブランドを確立し、変化に強い企業体質を実現』を中期ビジョンとして掲げており、この中期ビジョンの下、\長性の維持、医療連携の強化、社会貢献、ご超への配慮、)調剤の正確性・安全性の確保、災害対策、適時適切な情報開示の7項目の基本方針に沿って計画を進めていく考え。
 
 
出店形態の多様化も含めた積極的な新規出店と異業種とのアライアンスやパートナーシップによる共同出店等で主力の調剤事業を強化すると共に、特定保健用食品の臨床試験分野への展開や拠点増設及び人員拡充で非調剤事業の拡大を図る。また、潜在成長力の大きい在宅関連事業の育成と専門性の強化に向けたQOL認定薬剤師制度の充実やクオールブランドの強化にも取り組む考え。

薬剤師の採用力が今後の成長の鍵となるが、採用面では、13/3期から15/3期にかけては、毎期、薬剤師300名、医療事務100名の採用を計画している。尚、13/3期は6年生薬学生の第一期生を積極的に採用した事で利益率が悪化する(薬剤師187名、医療事務101名等、新卒302名が入社)。
 
 
ローソン併設店が14/3期には100店舗を超え、15/3期は130店舗にまで拡大する他、12/3期末で133店舗を展開している在宅医療への取り組みも加速する(在宅医療の当面の売上目標は13/3期に20億円以上)。
 
 
2012年3月期決算
 
 
前期比8.7%の増収、同15.3%の経常増益となり、8期連続の増収・増益
売上高は前期比8.7%増の662.0億円。出版関連事業やSMO事業が東日本大震災(以下、震災)の影響を受けた事等で非調剤事業の売上が20.0億円と同18.0%減少したものの、主力の調剤事業が新規出店効果と既存店の好調(同10.6%増)で642.0億円と同9.8%増加した。
利益面では、適正な人員配置等の経費コントロールで調剤事業の売上総利益率が改善した他、SMO事業を中心に非調剤事業の利益率も改善。グループ企業の増加等で人件費を中心に販管費が増加したものの、営業利益は33.0億円と同18.0%増加した。東証2部上場に伴う株式交付費(7百万円)及び株式公開費用(56百万円)の計上やシンジケーション方式のコミットメントライン設定にかかるアレンジメントフィーの増加(4百万円→33百万円)等で営業外損益が悪化したものの、税負担率の低下で四半期純利益は15.6億円と同37.2%増加した。

配当は東証2部上場を記念し、記念配を実施することに伴い配当予想の修正を発表した。
*平成24年3月期1株あたり配当予想の修正の内容(同社リリースより)
 
 
同社は平成23年10月1日を効力発生日として1:2の株式分割をおこなっている。
期末配当は株式分割前の中間配当1,450円に加え株式分割後の期末配当1,725円の合計3,175円。
*株式分割前を基準とした場合の配当は中間1,450円に期末3,450円(うち普通配当1,450円、記念配2,000円)を加えた4,900円となる。
*株式分割に伴う遡及修正をした場合は中間配当725円に加え期末配当1,725円の合計2,450円。

期末店舗数は前期末比43店舗増の327店舗(直営321店舗、フランチャイズ6店舗)。新規出店は直営34店舗に加え、子会社化による取得7店舗、事業譲受による取得8店舗、フランチャイズ1店舗の計50店舗。一方、東日本大震災の津波により流出した1店舗を含む7店舗を閉店した。
 
期初予想に対しては売上・利益共に下振れ
主因は、震災の影響によるローソン併設店の出店の遅れ(25店舗計画→5店舗)とクオール薬局の出店の下期へのずれ込み(新規出店の70%が下期に偏重)。また、非調剤事業での受注のずれ込みも響いた。
 
 
調剤事業の売上が57.2億円増加したが、その内訳は、既存店33.6億円、新店9.1億円、M&A4.4億円。また、左記に含まれるが、ローソン併設店の売上も10.0億円増加。この他、長期処方の増加で処方せん単価が468円上昇した。
 
 
期末総資産は前期末比39.5億円増の325.8億円。東証2部上場(11年12月20日)に際しての増資(6.2億円を調達)や借入金の積み増しで資金を調達(この他、当期純利益15.6億円を計上)。この資金を基に、直営店の出店やM&Aを積極的に展開した事で売上債権や固定資産が増加した。
 
 
 
ジェネリック医薬品(後発医薬品)の普及促進策として、後発医薬品調剤体制加算制度が導入されており、ジェネリック医薬品の調剤比率が一定の基準を満たしている店舗は、基準に係る区分に従い点数が所定点数(調剤基本料)に加算される。同社の対応状況は上のグラフ(同社資料より転載)の通りで、上期末には加算店舗の割合が30%に達する見込み。

ジェネリック医薬品の調剤比率22%(20%)以上 ⇒ 加算 5点( 6点)
ジェネリック医薬品の調剤比率30%(25%)以上 ⇒ 加算15点(13点)
ジェネリック医薬品の調剤比率35%(30%)以上 ⇒ 加算19点(17点)

※()内は3月末までの基準と加算点
 
 
2013年3月期業績予想
 
 
9期連続の増収増益を見込む
売上高は前期比27.3%増の842.8億円。調剤事業(169億円増の811億円)、非調剤事業(11億円増の31億円)共に売上が増加する見込み。調剤事業では前期に出店した50店舗がフルに寄与する等で既存店の堅調な推移が見込まれる他、新規出店やM&Aを含めたアライアンスの構築にも積極的に取り組む考え。一方、非調剤事業ではSMO(医薬品治験)、食品CRO(食品の臨床評価試験)、及び人材派遣(薬剤師の派遣)といった注力分野での売上の増加が見込まれる。

尚、調剤事業の売上が169億円増加するが、内訳は、既存店・新規出店・M&Aで160億円の増収、在宅で9億円の増収。また、新規出店は93店舗を計画(ローソン併設店42店舗、医療モール含むクオール薬局及びM&A 51店舗)。

配当は1株当たり上期末8円、期末10円の年18円を予定。
 
 
今後の注目点
薬学部が6年生に移行したため、ここ数年間は新卒を採用できず薬剤師が不足していたが、今期以降、この足かせが無くなる。同社は積極的な採用と教育・育成ノウハウを強みに新規出店を加速していく考えで、今13/3期はローソン併設店を含め、前期比ほぼ倍増の93店舗の新規出店を計画している。新規出店計画を着実に実行していく事が新中期経営計画の達成にもつながるだけに、その動向が注目される。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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