ブリッジレポート
(8860:大証1部,東証1部) フジ住宅 企業HP
宮脇 宣綱 社長
宮脇 宣綱 社長

【ブリッジレポート vol.29】2012年3月期業績レポート
取材概要「同社は建築・不動産に事業領域をフォーカスしつつも、その中で多様な商品とサービスのポートフォリオを有しており、事業環境に応じて商品・サービス・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年7月10日掲載
企業基本情報
企業名
フジ住宅株式会社
社長
宮脇 宣綱
所在地
大阪府岸和田市土生町1丁目4番23号
事業内容
大阪府下を中心に阪神間、和歌山県北部地域で分譲住宅・中古住宅再生・土地有効活用・賃貸及び管理事業・注文住宅事業を多角的に展開。 平成23年7月より分譲マンション販売事業を再開。
決算期
3月
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 71,594 4,928 4,903 2,767
2011年3月 59,796 3,648 3,680 2,027
2010年3月 48,614 2,137 2,118 1,237
2009年3月 45,300 2,584 2,388 1,361
2008年3月 48,793 2,723 2,413 2,097
2007年3月 52,221 4,233 4,090 911
2006年3月 41,333 3,229 3,196 1,312
2005年3月 43,954 3,208 2,799 1,661
2004年3月 34,387 2,034 1,891 684
2003年3月 32,905 1,198 1,028 545
2002年3月 33,419 899 692 297
2001年3月 31,433 2,928 2,681 1,503
2000年3月 34,268 1,596 1,117 -2,237
株式情報(6/20現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
402円 35,383,545株 14,224百万円 14.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 5.0% 68.39円 5.9倍 567.57円 0.7倍
※株価は6/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
地盤である大阪府下を中心に阪神間で、戸建分譲・中古住宅等の住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計方式」と50〜150戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。この他、金融機関とタイアップした土地有効活用事業、賃貸・管理事業、個人投資家向けの賃貸マンション販売事業、及び中古住宅の改装販売等も手掛けている。各事業の内容は次の通り。
 
分譲住宅事業(12/3期売上構成比39.4%)
用地仕入・許認可の取得から、宅地造成、設計、建築、販売までの一貫体制を構築しており、「自由設計方式」と「街づくり」が特徴。マンション分譲も事業領域だが、地価上昇とその後の供給過剰と需要の低下に伴う事業リスクの高まりを予見し、市場の悪化を予測し05年春の顧客への引渡しを最後に停止していた。リーマン・ショック後の地価の下落と分譲マンション市場の需給改善を踏まえ、12年2月より駅近の利便性の高い立地に1次取得者向け低価格帯の分譲マンション販売事業を再開した。
 
住宅流通事業(同38.9%)
「快造くん」のブランド名で展開している中古住宅の再生・販売や、小規模分譲地に廉価な新築建売住宅の販売を手掛けている。エリアごとに住まい探しの情報拠点となる「おうち館」や、仕入・販売の拠点となる「フジホームバンク」を設け、地域密着営業により交差点単位での地域情報の収集・分析力をベースとした物件の鑑定力や仕入・販売価格の査定の速度と正確性、更にはリフォーム業者の育成とマニュアル化等、独自のノウハウが強み。
 
土地有効活用事業(同10.2%)
賃貸住宅の建築請負と個人投資家向け一棟売賃貸マンションに分かれる。賃貸住宅の建築請負では、遊休地の有効活用を目的とした賃貸マンション・アパート等の建築提案を行なっており、市場調査・企画・設計・建築・竣工引渡後の運営管理までを一貫してサポート。コスト競争力の高い木造アパート「フジパレス」シリーズに08年11月サービス付き高齢者向け住宅「フジパレスシニア」が加わり、より独自性が強まった。金融機関や既契約者からの紹介案件が多い。また、個人投資家向け一棟売賃貸マンションでは、1棟あたり1億円前後の賃貸アパートを中心に展開。資金運用手段として根強い需要がある。
 
賃貸及び管理事業(同11.0%)
100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が手掛けている。安定収益源となるばかりでなく、土地有効活用事業や個人投資家向け賃貸マンションの販売等との相乗効果も高い事業。
 
注文住宅事業(同0.5%)
建替え案件を中心にした注文住宅建築及びリフォームを手掛ける。これまでテストマーケティングを行ってきたが、11/3期より新たなセグメントとして独立させた。
 
 
中期事業計画
 
今後、少子高齢化の進展で、新築住宅市場は縮小が避けられない。このため、同社は住まいに関するあらゆるニーズに応える「地域に根付いた住まいのトータルクリエーター」として、新築戸建住宅、新築分譲マンション、注文住宅、改装付中古住宅、土地有効活用提案によるアパート建設提案、個人投資家向け一棟売マンション販売、分譲マンション管理、賃貸管理といった多様な商品・サービスを提供する事で事業環境の変化に対応していく。また、市況変動への対応策として、地価の急激かつ大きな下落にも耐え得る独自の財務指標を設定して在庫コントロールを行っていくと共に、市況の影響を受け難い注文住宅の建築請負やリフォーム工事の請負等の非不動産販売事業を強化していく考え。
 
数値目標とその根拠
(1)数値目標
最終の15/3期に向けた数値目標は次の通り。
 
 
(2)数値目標の根拠
13/3期
分譲住宅事業は、リーマン・ショック後の地価下落時に積極的に仕入れた物件の一巡で自由設計住宅が減少するものの、事業環境の改善を踏まえて7年ぶりに再開する分譲マンション(700戸を発売し48戸の引渡を見込む)の寄与でほぼ12/3期並みの売上を確保する。住宅流通事業は、12/3期にオープンした「フジホームバンク西宮店」及び「おうち館泉佐野店」の本格稼動等で中古住宅を中心に堅調な推移を見込んでいる。土地有効活用事業ではサービス付き高齢者向け住宅「フジパレスシニア」を中心に売上が増加し、これにリンクして賃貸及び管理の売上も増加する。育成中の注文住宅事業も単独展示場の開設効果等で売上が増加し営業損益の黒字転換が見込まれる。

利益面では、リーマン・ショック後に仕入れた収益性の高い分譲物件が前期で一巡する中、分譲マンション販売や阪神間及び堺市での大型現場の販売開始に伴う先行費用が負担となり営業利益が減少する見込み。

尚、11年4月に、住宅情報展示場「フジホームバンク 西宮店」(兵庫県西宮市)を、同年6月に「フジホームバンク おうち館 泉佐野店」(大阪府泉佐野市)を、それぞれオープンした。
「フジホームバンク 西宮店」は阪神間及び神戸方面の中古住宅の仕入・販売の拠点としての役割を担い、「フジホームバンク おうち館 泉佐野店」は南大阪地域において、中古住宅だけでなく、新築から賃貸住宅に至る豊富な住まい探しの情報拠点として位置づけられている。
 
 
14/3期
引渡しが本格化する分譲マンションをけん引役に売上・利益が大きく伸びる。分譲マンションの引渡は456戸を計画しており、戸建では阪神間及び堺市での大型現場(自由設計住宅)の引渡しが始まる。中古住宅は新店舗を展開する堺方面を中心に引渡しが1,720戸と120戸増加する見込み。土地有効活用事業は、北摂・阪神間を深耕による「フジパレスシニア」の増加を見込んでいる。また、強みであるきめ細やかなアフターサービスを徹底する事で、リフォームを含めた注文住宅事業の拡大を図る。
 
15/3期
国会で論議されている消費税引き上げ等の不透明感がある上、今後の地価の状況いかんで土地の仕入れが影響を受けるため、分譲マンション、自由設計住宅共に慎重な見通し(分譲住宅事業は減収を見込んでいる)。一方、外部環境の影響を受け難い他の事業は堅調な推移が見込まれ、住宅流通事業及び土地有効活用事業は北摂・阪神間での営業強化の成果が期待でき、土地有効活用事業や分譲マンション引渡しの増加に伴い賃貸及び管理事業の管理物件も増加する。事業が軌道化してくる注文住宅事業は、堺方面に展示場を展開し地域密着型の営業を進めていく。
 
 
 
2012年3月期決算
 
 
前期比19.7%の増収、同33.2%の経常増益
売上高は前期比19.7%増の715.9億円。自由設計住宅や個人投資家向け一棟売賃貸マンションの引渡しが順調に進んだ他、事業サイクルが短く期中受注・期中売上物件の多い中古住宅の受注(契約)も予想以上に伸びた。
利益面では、自由設計住宅において、リーマン・ショック後の地価下落時に取得した高採算物件の引渡しが進んだ事で前期と同水準の売上総利益率を維持。営業部門の増員等に伴う人件費の増加(4,484百万円→5,122百万円)や住宅展示場の開設に伴う賃借料(263百万円→323百万円)の増加等を吸収して営業利益は49.2億円と同35.1%増加。経常利益、当期純利益は共に最高益を更新した。
期末配当は1株当たり11円の期末配当を実施(上期末配当と合わせて2円増配の年20円)。
 
 
 
分譲住宅
売上高は前期比14.2%増の281.8億円、セグメント利益は同78.8%増の32.2億円。リーマン・ショック後に土地を仕入れた高採算物件の引渡しが順調に進み、売上が増加すると共に利益率も改善した(7.3%→11.4%)。一方、受注高は同22.0%減の244.9億円。地価の動向等を踏まえて自由設計住宅の仕入を慎重に行っている事が受注減少の理由だが、分譲マンション用地は中小デベロッパーの淘汰が進んだ事で中規模物件の仕入れ条件が改善してきたため、7年ぶりに仕入を再開した。
 
住宅流通
売上高は前期比32.0%増の278.5億円、セグメント利益は同5.4%減の12.3億円。フジホームバンク大阪店の仕入・販売が順調に拡大した他、「フジホームバンク西宮店」や「フジホームバンク おうち館 泉佐野店」も寄与し、受注高が281.2億円と同33.2%増加。引渡も順調に進み売上が増加した。ただ、上記店舗の立上費用に加え、期末にかけて中古住宅の在庫調整を実施したため利益が減少した。
 
土地有効活用
売上高は前期比11.9%増の73.1億円、セグメント利益は同16.4%減の8.6億円。相対的に利益率の高い賃貸住宅等建築請負の売上が減少し、相対的に利益率の低い個人投資家向け一棟売賃貸マンションの売上が増加したため増収・減益となった。一方、受注は低賃料タイプサービス付き高齢者向け住宅「フジパレスシニア」の好調で91.6億円と同39.7%増加。受注残高も102.1億円と前期末比22.1%増加した。
 
賃貸及び管理
売上高は前期比7.9%増の78.6億円、セグメント利益は同39.6%増の4.2億円。土地有効活用事業にリンクして賃貸物件及び管理物件の取扱い件数が増加した。
 
注文住宅
売上高は前期比90.4%増の3.7億円、セグメント損失31百万円(前期は5百万円の利益)。現在、当事業は先行投資の段階にあり(前11/3期に本格的に参入)、今後の営業展開に向けた営業社員の採用やモデルハウス展示場の開設等で営業費用が増加した。
 
 
 
 
期末総資産は前期末比28.9億円増の652.0億円。借方では、引渡が順調に進んだ事で販売用不動産が減少する一方(12,283百万円→10,913百万円)、現預金が増加。「フジホームバンク おうち館 泉佐野店」や「注文住宅展示場」のオープンに伴い固定資産も増加した。貸方では、好調な業績を反映して純資産が増加した他、受注の増加で前受金も増加。売上規模が急拡大したものの、たな卸資産や有利子負債のバランスをとりながら資産規模をコントロールしたため自己資本比率は30.8%と2ポイント改善した。

尚、「フジホームバンク 西宮店」は11年4月に、「フジホームバンク おうち館 泉佐野店」は同年6月に、それぞれオープンした。
 
 
 
CFの面では、税金費用が増加したものの(984百万円→1,948百万円)、引渡しが順調に進んだ事や前受金の増加等で前期は56.5億円のマイナスだった営業CFが32.9億円の黒字に転じた。「フジホームバンク 西宮店」及び「フジホームバンクおうち館 泉佐野店」の開設等に伴う投資CFのマイナスを吸収して28.2億円のフリーCFを確保。有利子負債の削減や配当の支払いで財務CFがマイナスとなったものの、現金及び現金同等物の期末残高は97.4億円と前期末比15.7億円増加した。
 
 
2013年3月期業績予想
 
 
前期比4.8%の増収ながら、同18.4%の経常減益予想
売上高は前期比4.8%増の750億円。自由設計住宅が減少するものの、前期にオープンしたフジホームバンク西宮店やフジホームバンクおうち館泉佐野店の寄与等で住宅流通事業が堅調に推移する他、豊富な受注残を抱える土地有効活用事業の売上も増加する。また、再開した分譲マンションの寄与や注文住宅事業の拡大も見込まれる。
利益面では、自由設計住宅において地価下落時に土地を取得した高採算物件が一巡する中、分譲マンションや阪神間及び堺市での大型戸建物件の販売開始に伴う先行費用が負担となり営業利益が41億円と同16.8%減少する見込み。
1株当たり配当金は上期末10円、期末10円の年20円を予定している。
 
 
12年2月に分譲マンション販売事業を再開した。物件は東大阪市、松原市及び八尾市の3棟225戸で駅近立地の利便性に優れた優良物件。通期では700戸を発売し、48戸の引渡を予定している。尚、分譲マンションの発売は7年ぶりとなる。
 
 
今後の注目点
同社は建築・不動産に事業領域をフォーカスしつつも、その中で多様な商品とサービスのポートフォリオを有しており、事業環境に応じて商品・サービス毎にアクセルとブレーキを踏み分けている。今回示された中期事業計画においても、その特徴が現れており、数値目標も無理の無いものとなった。消費税引き上げ後の不透明要因はあるものの、事業環境が極端に変わらない限り、15/3期の売上高・利益目標の達成確度は高いと考える。その際、発行済株式数が現在と変わらなければ、EPSは93円強となりバリュエーションが一段と高まる。

尚、同社は単元株主に送付している株主通信(通期)にアンケートを同封しているが、この回答者に対してお礼を兼ねてプレゼントを実施しており、今年は「徳島産すだち」、もしくは「淡路島産納豆菌栽培たまねぎ」のいずれかを選択できる。回答に多くの時間はかからないので、是非、回答して返信を。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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