ブリッジレポート
(2714) プラマテルズ株式会社

TOKYO PRO Market

ブリッジレポート:(2714)プラマテルズ vol.10

(2714:JASDAQ) プラマテルズ 企業HP
井上 正博 社長
井上 正博 社長

【ブリッジレポート vol.10】2013年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期は厳しい事業環境となったが、新興国の素材メーカーでは追従する事が難しいエンジニアリング系樹脂やスチレン系樹脂といった高・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年8月14日掲載
企業基本情報
企業名
プラマテルズ株式会社
社長
井上 正博
所在地
東京都品川区北品川4-7-35 御殿山トラストタワー
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 57,790 883 840 531
2011年3月 55,762 899 842 500
2010年3月 47,145 663 621 388
2009年3月 52,550 893 809 489
2008年3月 56,861 1,089 943 704
2007年3月 52,022 1,219 1,115 652
2006年3月 50,673 1,054 1,005 569
2005年3月 46,804 790 746 403
2004年3月 43,720 659 566 309
2003年3月 42,614 685 642 240
株式情報(7/26現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
336円 8,548,416株 2,872百万円 8.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
15.00円 4.5% 58.49円 5.7倍 733.35円 0.5倍
※株価は7/26終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
プラマテルズの2013年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
合成樹脂関連商品の専門商社。原料メーカーから仕入れた樹脂原料をセットメーカーや成形メーカー及び樹脂の二次加工メーカーに販売しており、最終用途は電子・電機・OA機器、玩具、住宅建材、自動車等。連結子会社9社 (国内2社、中国4社、香港1社、シンガポール1社、フィリピン1社)、持分法適用関連会社1社とグループを形成し、子会社で合成樹脂フィルターの製造・販売も手掛ける。総合商社の双日(株)グループにおいて合成樹脂部門を担う双日プラネット(株)が株式の46.5%を保有している。
 
【沿革】
1951年3月、合成樹脂の販売を目的とした日本樹脂(有)として設立され、52年3月に株式会社に改組。61年3月にニチメン(株)の出資を受け、94年12月にはニチメン(株)が55.5%の支配株主となった。同社の強みである合成樹脂原料に関する「高い専門性」と「提案力」がニチメン(株)の広範な顧客資産と融合し業容が拡大。95年9月のニチメン樹脂販売(株)への商号変更を経て、2000年1月、プラマテルズ(株)に商号を変更。01年10月、JASDAQに株式を上場した(11年10月にJASDAQ上場10周年を、12年3月に設立60周年を、それぞれ迎えた)。

グループでの拡大戦略や積極的な海外展開も同社の特徴で、03年1月に香港に現地法人を、同年4月に上海に現地法人を、それぞれ設立。その後、シンガポールに拠点を開設し(04年3月に法人化)、04年10月に天津に現地法人、06年2月には東洋インキ製造(株)との合弁でベトナムにコンパウンド製造・販売会社を設立(出資比率20%)。更に09年には1月にシンセン、同年8月に大連、11年7月にフィリピンと子会社を相次いで設立し、アジア進出を進める日系企業への供給体制の充実を図っている。
また、グループに製造部門も有し、上記の合弁会社の他、98年11月に二次加工等の(株)富士松を100%子会社化し、更に03年9月にはフィルタレン(株)を設立して(株)化研より合成樹脂フィルターの営業権を取得し、同年10月よりメディカル向け等の合成樹脂フィルターの製造・販売を開始した。尚、コンパウンドとは、目的とする性能や機能を得るために、プラスチックのベース樹脂に強化材や添加剤を配合した成形材料のことである。
 
 
株式上場後の10年間(02/3期~12/3期)で連結売上高は387億円から577億円へ1.5倍に拡大した。

売上高の約60%程度を占めるエンジニアリング系樹脂やスチレン系樹脂は付加価値が高く、海外では成長が続いており、成熟しつつある国内でも需要は堅調。
 
 
【プラスチックって おもしろい!】  ~同社Webサイトより~
同社は合成樹脂の専門商社で、唯一の上場企業であり、プラスチック原料に関する「高い専門性」、「提案力」と「ネットワーク」を強みとしている。
 
 
ところで、同社の取扱商品について「合成樹脂」と言うと難しく聞こえるが、「プラスチック」と言うと身近に感じる。「プラスチック」は我々の暮らしの中の様々なシーンで活躍しており、例えば、テレビやパソコン、文具、オモチャ、自動車部品、ペットボトル、ポリ袋等、数え上げるときりが無い。それだけ、世の中に必要とされている素材なのだが知らない事が結構多い。歴史や種類、作り方、更には、その未来に至るまで、同社のWebサイトを見ていると勉強になる。詳しくは、下記URLへ
http://www.plamatels.co.jp/plamatels/beginning.html
 
プラスチックは、いつ生まれたの?
1835年フランスの科学者ルニョーが、塩化ビニールとポリ塩化ビニール粉末を発見したのが最初と言われており、初めて商品化されたプラスチックは1869年にアメリカで開発されたセルロイド。セルロイドは多くの分野で活用されるようになったが、燃えやすい事が欠点で、今日では他のプラスチックにその主役の座を譲っている。
 
プラスチックって、どんな性質?
電気を通しにくい、錆びない、着色が自由にできる、複雑な形状も容易に加工できる、衛生的、軽い、大量に安くつくれる、等の長所を有する一方、金属等に比べると、熱に弱い、強度、剛性が低い、表面が軟らかい、ほこりが付きやすい、薬品や溶剤に弱い、と言った短所を有する。
 
プラスチックって、どうやってつくられるの?
プラスチックは原油を原料とし、原油→石油精製工場→ナフサ→プラスチック原料→プラスチック加工→プラスチック製品という流れで生まれる。ナフサに熱を加えて、「エチレン・プロピレン(気体)」「ベンゼン(液体)」等、プラスチックのもとになる製品原料がつくられる。これらは、水素と炭素が結びついた分子であり、この分子をつなぎ合わせて(「重合」と言う)「ポリエチレンやポリプロピレン」等のプラスチック原料がつくられる。これらのプラスチック原料に、柔らかくしたり、壊れにくくしたり、着色するための添加剤を加えたものを「ペレット」と言い、ペレットを成形機という機械に入れプラスチック製品ができあがる。
プラスチックには、どんな種類があるの?
エンジニアリング系プラスチック OA、事務機器、光学機器、精密部品、工業用ファスナー、医療機器等
スチレン系プラスチック 家電、OA、事務機器のハウジング、食品容器、玩具等
オレフィン系プラスチック 家電、医療器具、容器等
塩化ビニール系プラスチック 塩ビフィルム、床材、壁紙等の建材等
プラスチックの、未来は?
熱に弱い、強度が足りない等のプラスチックの短所は技術の進歩によって改善されてきた。また、他のプラスチックとのブレンドやガラス繊維、鉱物とのブレンドなど他素材との複合化する事で特性がより向上されるため、今日ではプラスチックの用途が更に広がっている。例えば、いままで金属だったクルマのエンジンの部品や、携帯電話の中に入っている小さなアンテナ、髪の毛の太さの50分の1の小さな精密機械の部品等に、プラスチック加工の最先端技術が注がれている(こうした分野の付加価値は極めて高い)。これからは、更にナノテクノロジー(十億分の1メートルを制御する技術)により、今まで考えられなかった分野への応用が期待されており、更なる市場拡大と関連ビジネスの高付加価値化が見込まれる。
 
 
2013年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比1.6%の増収、同3.8%の営業増益
石油化学工業協会の発表によると、石油化学製品の基礎原料となるエチレンの今年1-6月の国内生産量は前年同期比11.3%減の296万900トンだった。中国向け輸出の伸び悩みや円高による輸入品の増加等が要因で、半期ベースで300万トンを割り込むのは1994年1-6月(287万9000トン)以来、18年ぶりだと言う。

こうした中、同社の13/3期第1四半期は売上高が14,185百万円と前年同期比1.6%増加した。大連、上海、香港の中国子会社の寄与で、高付加価値商材であるエンジニアリング系樹脂やスチレン系樹脂を中心に海外の日系OA・事務機器、電子業界等向けが増加した。

利益面では、前年同期と同水準の売上総利益率を維持する一方、販管費をほぼ前年同期並みに抑えた事で営業利益が213百万円と同3.8%増加した。ただ、為替差益の減少や金融費用の増加で営業外損益が悪化した他、投資有価証券評価損(△22百万円)等の計上による特別損失の増加と税負担の増加で四半期純利益は98百万円と同22.8%減少した。
 
 
 
第1四半期末の総資産は、運転資金の増加等で25,021百万円と前期末比459百万円増加した。ただ、流動性に富んだ財務体質に大きな変化はなく、有利子負債への依存度も低い。自己資本比率は25.1%。
 
 
2013年3月期業績予想
 
上期及び通期の業績予想に変更は無く、通期で5.2%の経常減益予想
第1四半期は、国内・海外の連結子会社を含め、グループ全体としての連携強化により需要の回復を着実に捉える事できたものの、「欧州の財政危機を背景とした欧米経済の先行きへの懸念とそれに伴う中国経済の減速、更には円高の長期化など国内外の不安定要因により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いている」として業績予想を据え置いた。
配当は上場10周年記念配2.5円を落とした1株当たり15円を予定している(上期末7円、期末8円)。

尚、当第1四半期決算より、在外子会社等の収益及び費用の本邦通貨への換算基準を変更した。従来は、在外子会社等の決算日の直物為替相場により円貨に換算し、換算差額は純資産の部における為替換算調整勘定及び少数株主持分に含めて計上していたが、この第1四半期決算より収益及び費用は期中平均為替相場により円貨換算している。
12/3期の連結財務諸表を遡及処理した事に伴い、12年4月26日発表の決算短信に記載の前期比増減率が修正されている。
 
 
 
今後の注目点
第1四半期は厳しい事業環境となったが、新興国の素材メーカーでは追従する事が難しいエンジニアリング系樹脂やスチレン系樹脂といった高付加価値品を中心に、アジアに展開する日系の製品や部品メーカー等との取引が堅調に推移した。強みとする提案営業による需要の掘り起こしが進んでいる事を考えると、第2四半期(7-9月)の見通しは若干保守的と思われる。