ブリッジレポート
(9441:JASDAQ) ベルパーク 企業HP
西川 猛 社長
西川 猛 社長

【ブリッジレポート vol.1】2012年12月期上期業績レポート
取材概要「調査会社の資料によると、11年度末の携帯電話・PHS・WiMAXの加入数は1億3,502万加入となり、人口を上回った(人口普及率:106%)。人口普及率が・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年8月28日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ベルパーク
社長
西川 猛
所在地
東京都千代田区平河町1-4-12
事業内容
独立系で最大級の携帯電話販売代理店。東名阪に集中してソフトバンクショップ、ウィルコムプラザ、auショップを展開。
決算期
12月末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年12月 70,572 2,849 2,781 1,489
2010年12月 60,168 2,905 2,893 1,659
2009年12月 46,890 3,576 3,550 2,046
2008年12月 33,457 1,460 1,423 1,143
2007年12月 31,453 1,684 1,685 840
2006年12月 24,356 1,076 1,087 557
2005年12月 24,355 948 946 483
株式情報(8/21現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
148,200円 66,104株 9,797百万円 14.4% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,600.00円 1.8% 26,624.71円 5.6倍 164,765.12円 0.9倍
※株価は8/21終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
 
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ソフトバンクモバイル及びウィルコム専売の独立系携帯電話販売会社。12年6月末現在、直営中心にソフトバンクショップ200店舗(直営147店舗、フランチャイズ53店舗)を展開している。全国のソフトバンクショップ約2,700店舗に対するシェアは7%強。また、販売台数ベースのシェアも7%程度だが、量販店(端末販売が中心で、アフターサービス等への対応はほとんど行わない)での販売や法人向けを除くと同社のシェアは更に高くなる。尚、国内の携帯電話販売代理店では12位に位置し、12/12期の同社の販売目標85万台は、年間4,000〜4,200万台で推移している市場規模に対して約2%となる(調査会社の資料によると、11年の上位・有力30社の合計シェアは56%)。
95年の第1号店開店以来、一貫して特定キャリアの専売店(J-フォン→ボーダフォン→ソフトバンク)に徹してきた事、市場の大きい関東、東海、関西を中心とする店舗展開、及び人材育成を重視した正社員中心の店舗運営が特徴であり強み。
 
【沿革】
1993年2月、東京都千代田区に設立。95年4月、東京デジタルホン(後のJ-フォン。03/12期にボーダフォンにブランド変更)と代理店委託契約を締結し、同年5月に千代田区麹町に同社のキャリア公認店舗1号店「J‐PHONE SHOP 半蔵門」(現ソフトバンク市ヶ谷)を開設した。

成長軌道に乗ったのは、監査役だった現社長の西川猛氏によるMBO(Management Buy Out。96年2月)以降。資金が枯渇する中でのMBOとなったが、短期間で経営を軌道に乗せ、4年後の00年5月に株式を店頭登録(現JASDAQ上場)した。ボーダフォンが苦戦した05年にかけては業績が伸び悩んだが、この間に店舗オペレーションのブラッシュアップが進み、M&Aのノウハウ蓄積も進んだ。

大きな転機となったのが、06年10月のソフトバンク(株)によるボーダフォン(株)の買収(ソフトバンクへのブランド変更)。事業主体となったソフトバンクモバイル(株)が次々と打ち出す新施策への迅速な対応と優れた財務力を武器にした積極的なM&Aが成果をあげる中、番号ポータビリティ制度の開始や「iPhone」の発売による市場の活性化もあり成長軌道に回帰。割賦方式による新しい販売方式及び料金プランも、一時的には逆風となったが、その後の収益力向上につながった。

09年6月にはパナソニックテレコム(株)の運営していたソフトバンクショップ52店舗(直営22店舗、FC30店舗)及び卸売事業を譲受し、店舗ネットワークを一気に拡大。10年12月には、ソフトバンクグループに加わった(株)ウィルコムと代理店基本契約を締結した。

尚、西川氏は79年3月に東京大学法学部を卒業し、住友商事(株)に入社。12年間、国内外で自動車の輸出関連業務に携わった。その後、事業開発支援の会社に参画し、国内外で経営改善などのコンサルティングに従事。93年2月の(株)ベルパーク設立時に監査役に就任した。
 
 
手数料条件が大幅に改定された10/12期は総販売台数の伸びが売上総利益の増加に繋がらない中、119名の新卒採用等の人材投資が負担となった。続く11/12期は前期採用の人材を活用した店舗投資が負担となったが(直営店129店舗→145店舗。フランチャイズ52店舗を加えた期末店舗数は197店舗)、12/12期は前期の投資が利益に反映され、増益に転じる見込み。
 
【事業特性】
(1)商品売上高と手数料収入
同社の収益は、携帯電話やスマートフォン等のモバイル端末や関連するアクセサリーの販売による商品売上高と手数料収入からなり、手数料収入は更に、販売時の販売(契約)手数料、各種サービスの申し込みにかかるサービス取次手数料、毎月のARPUに応じて支払われる継続手数料、及び支援手数料に分かれる。手数料収入の内訳は開示されていないが、上記の手数料のうち、支援手数料はソフトバンクモバイル(株)のショップ評価インセンティブなどであり、量(新規販売台数)と質(ARPU向上等)に加えて、MNP獲得比率、CSの向上、携帯電話回線の負荷を軽減するオフロード網構築への貢献等、多項目化された課題の達成度に応じて金額が決まる(販売会社は各店舗の総合力を強化するように求められている)。尚、ARPUとはAverage Revenue Per Userの略で通信事業者の1契約当たりの売上。MNPはMobile Number Portabilityの略で通信事業者を乗り換えても電話番号が維持されるサービス。また、CSはCustomer Satisfactionの略で顧客満足(度)。

モバイル端末の販売については、キャリアから提示された販売価格で販売するが、通常、仕入価格を下回る価格で販売され、販売手数料を受け取る事で利益が出る仕組みになっている(新規の販売と機種変更では、新規販売の方が利益貢献が大きいと言う)。もっとも、店舗運営の基本は、継続手数料で固定費を賄い、販売手数料や支援手数料で利益の上積みを図る事。店舗運営を軌道に乗せるためには損益分岐点まで販売を積み上げる必要があり、継続手数料が少ない(もしくは計上がない)開店当初はキャリアから支援を受けている。尚、昨今のモバイル端末の販売は割賦販売が一般的だが、この場合、販売店は割賦債権を流動化する事で資金を回収している。
 
 
(2)ソフトバンクモバイル(株)との契約期間は1年毎の自動更新
同社とソフトバンクモバイル(株)との間で締結されている「代理店委託契約」は特別な事情が無い限り1年毎に自動更新される(契約上は、ソフトバンクモバイル(株)及び同社の双方共、2ヵ月前までに事前告知の上解除する事が可能)。また、手数料等は原則半年に1度、見直しが行われるが、新商品発売やキャンペーン等に際して特別な手数料が採用されるため、実際の変更頻度は数か月単位と考える事もできる。その時々でキャリアの販売政策が反映された手数料となるが、基本的にはキャリアの収益と販売会社(代理店)の収益がバランスするように配慮されているため、キャリアが打ち出す施策に対して迅速に対応し、結果を出していく事で販売会社は収益を拡大させる事ができる。

10/12期は手数料条件の変更で端末販売台数の増加が売上総利益の増加につながらなかったが、この時の変更は、通常の見直しとは異なり、06年のブランド変更以降も続いていたボーダフォンの手数料体系がソフトバンクの手数料体系に一新された事に伴う変更であり、こうしたケースは稀である。

ちなみに、同社の全売上高に占めるソフトバンクモバイル(株)向けの売上高の割合は、11/12期で43.4%(10/12期46.4%)。残りは契約者(携帯電話購入者・利用者)向けの売上等。また、手数料収入に占める割合は、それぞれ同97.4%、(同97.6%)。また、全仕入高に対するソフトバンクモバイル(株)からの仕入割合は同97.3%(同98.6%)。
 
(3)FC(フランチャイズ)の位置付け
FCに対して端末は仕入値で販売するため利益は出ず、手数料の受払(キャリアから受け取り、FC店に支払う)の差でわずかに利益が出るが、そもそも利益貢献は期待していない。このため、FCの販売台数の増加がそのままベルパークの収益の増加に直結するわけではない。同社は、「直営店とFC店が力を合わせソフトバンクブランドの向上と販売台数のスケールを拡大する事で代理店としての存在感を高めていきたい」としている。
 
【ベルパークの強み】
同社の強みとして、〔進を続けるソフトバンクモバイル及びウィルコムの専業、東名阪に集中・特化した地域集中型の店舗展開、人材への投資、及びず睫慨霹廚琉堕蠕の4点を挙げる事ができる。

このうち、.愁侫肇丱鵐モバイル及びウィルコム専業、地域集中型の店舗展開は、軍事作戦を応用したビジネス戦略の一種である「ランチェスターの法則」に基づくもの。「ランチェスターの法則」では、軍事戦略が定量的、統計的、数学的な見地から分析されており、その中で、「一騎打ちの法則」、「集中効果の法則」に基づき、強者と弱者が取るべき戦略が提唱されている。具体的には、「弱者は、1つの分野に特化し、1点に力を集中させ、大企業との競争に立ち向かう」と言うもの。経営難にあった同社を再建し、大手代理店に対抗して更なる飛躍を目指すべく、西川社長が重視してきた戦略である。
 
〔進を続けるソフトバンクモバイル及びウィルコムの専業
05/12期(ブランド変更前):売上高243.3億円、営業利益9.4億円 ⇒ 11/12期:売上高705.7億円、営業利益28.4億円
ソフトバンクへのブランド変更前の05/12期の売上高は243.3億円、営業利益は9.4億円だったが、06/12期のソフトバンクへのブランド変更を期に業績が急拡大。11/12期は売上高705.7億円、営業利益28.4億円を計上した。
 
 
東名阪に集中・特化した地域集中型の店舗展開
人口の多い関東・東海・関西に好立地の店舗を集中的に展開し、人材効率を高め、収益性の高い店舗ネットワークの構築を進めている(12年6月末現在、関東・東海・関西の店舗が90.5%を占める)。
 
 
人材への投資
同社の店舗は正社員中心で運営されており、契約社員やアルバイト等が中心の他の販売会社の店舗とは異なる。同社は、ソフトバンクモバイル(株)から次々と出される施策に対して迅速かつ柔軟に対応し、あらゆる評価指標を他の販売会社よりも圧倒的に高める事でソフトバンクモバイル(株)から高い評価を受け信頼を勝ち得てきた。また、09年6月にパナソニックテレコム(株)の運営していたソフトバンクショップ52店舗(直営22店舗、FC30店 舗)を譲受し一気に店舗ネットワークを拡大したが、各店舗のオペレーションを早期に軌道に乗せ収益貢献させる事ができたのも、地道な人材投資と人材育成のノウハウがあったからに他ならない。

前11/12期は55名の新卒が入社し、12/12期入社についても49名を採用した(11年12月末の正社員数は648名)。中途採用も含めて、引き続き優秀な人材の獲得に取り組んでいく考えで、採用した人材を独自の教育研修制度によりブラッシュアップする事で高い店舗オペレーションと販売の質を実現していく。また、同社は、ソフトバンクモバイル(株)のショップスタッフ資格認定試験にも力を入れており、直近での合格率が約75%となり、資格の中で最高位に位置するチーフアドバイザー(CA)の合格者が17.4%を占めた(この他、シニアアドバイザー34.5%、ジュニアアドバイザー48.1%)。
 
ず睫慨霹廚琉堕蠕
安定したキャッシュ・フローを背景に、実質無借金の流動性に富んだ財務体質を有する。
 
 
 
 
事業環境と成長戦略
 
(1)事業環境  市場の成熟で高まる販売店の重要性
(社)電気通信事業者協会によると、11年末の国内の携帯電話契約数は1億2,175万件と10年末に比べて762万件増加し、前年比で6.7%(10年:5.2%)となったが、ソフトバンクモバイル(株)については、「iPhone」、「iPad」及び「ULTRA SPEED」(下り最大42Mbpsのモバイルブロードバンドサービス)対応のデータ通信端末等、新しいデバイスや端末が寄与し、11年末の契約数は2,783万件と10年末に比べて343万件の増加し、前年比で14.1%(10年末:12.6%)となり、国内全体の伸びを大きく上回った。加入者純増数の年間No.1を4年連続で維持している。
新規加入者をめぐる通信事業者間の競争は激しさを増している。通信事業者は、これまでも累積回線数を増加させながらCSの向上に取り組んできたが、近年のスマートフォンの普及に伴い、ユーザー(契約者)サポートの重要性が一段と増しており、また、急増するデータトラフィックへの対応も急務となっている。このため、店頭でユーザーと直接接する販売会社(キャリアショップ)に対する通信事業者からの期待が高まっており、その重要性も増している。
 
 
(2)事業環境  ソフトバンクショップの役割の拡大
.皀丱ぅ襯ぅ鵐拭璽優奪隼代におけるショップ店員の役目
移動体通信事業者がモバイルインターネットを推進していく中で、ショップはフィーチャーフォン(従来型携帯電話)からスマートフォンへのシフトを加速させる役目を担っているが、ユーザーのブロードバンド環境やITリテラシー(ITを扱う能力)等が千差万別であるため、ユーザー毎に最適な製品やサービス、或いはブロードバンド環境の提案等、スマートフォンを快適に利用するためのコンシェルジェ(総合世話係)としてのショップスタッフの重要性も高まっている。これに伴い、店頭では接客時間の長時間化に加え、自店の顧客だけでなく他店でスマートフォンを購入したユーザーへのアフター対応も増えており、オペレーション負荷や人件費等のコストが従来よりも増している。
 
急増するデータトラフィックのオフロード網構築の役割
データ通信量の急増に対応するため、3G回線からのオフロード化が全キャリアの喫緊の課題となっている。このため、ソフトバンクモバイル(株)はWi-Fi(無線LAN)を中心としたオフロード網の構築に取り組んでおり、販売会社はFONルーターの普及やホワイトBBへの加入等で移動体通信事業者への貢献を求められている。尚、FONルーターとは、Wi・Fi経由でiPhone、スマートフォン、Wi-Fi携帯等を使うためのルーター。FONルーター(無縁LAN)を介してISP(インターネット・サービス・プロバイダー)経由でインターネットに接続するため、3G回線の付加を分散する事ができる(これを「オフロード化」と言う)。また、ホワイトBBはソフトバンクモバイル(株)が提供するインターネット接続とIP電話をパッケージにしたサービス。
 
CSの向上への寄与
キャリアショップは、ユーザーと接する最前線であるため、ブランドイメージやCSを左右するチャネルである。累積回線数が増加する中で加入者をめぐる競争が激しさを増しており、キャリアがCS向上に取り組む上でショップが果たす役割は、ますます重要なものとなってきている。
 
(3)ベルパークの成長戦略  −中期経営方針−
スマートフォンの市場拡大を背景に機種変更や2台目需要、更にはARPUの増加で携帯電話業界は活況を呈しており、同社の12/12期も堅調な業績が予想されている(前期比7.7%の増収、同14.0%の経常増益)。しかし、同社は潜在成長力を高めるべく、中期の経営方針として掲げた、ー益性の高い販売網の構築、販売の質とCSの向上、及び人材に対する投資、の3つの課題に取り組んでいる。
 
ー益性の高い販売網の構築
12年6月末現在でソフトバンクショップを1都2府18県に200店展開しており、その90%強が、関東、東海、関西エリアに集中している(店舗運営比率は、直営店73.5%、FC店26.5%)。引き続き人口の多い関東・東海・関西に好立地の店舗を集中的に展開し、人材効率を高め、収益性の高い店舗網の構築を進めていく考えで、直営店の新規出店と既存店舗の移転・改装を進めると共に、FC店の販売力強化とFC運営会社の収益力強化を支援していく。
 
・新規出店及び既存店舗の移転・改装
新規出店については、ソフトバンクモバイル(株)の店舗ネットワーク管理の下で行うため一定の制約があるものの、加入者増加に伴い新規出店が漸増傾向にある事から機会を逃さず速やかに出店していく。一方、既存店舗については、立地の改善による来客数の増加とコストのバランスを勘案しながら移転を進めていく他、端末の多様化に対応した展示スペースの確保、接客カウンター数増加による待ち時間の短縮、更にはキャリアショップのブランドイメージ向上を念頭に置いた店舗の改装や大型化(必要であれば、増床移転)に取り組んでいく。
 
・FC店の拡販力強化とフランチャイズ運営会社の収益力強化
同社の持つ販売ノウハウをフルに提供すると共に、キャリアとも目標と情報の迅速な共有化を図ってきた結果、東海・関西・東北の主要FC店はソフトバンクモバイル(株)から直営店と同等の高い評価を得ており、また、収益向上を背景に新規出店にも意欲的だ。今後、更にサポート体制を強化し、FC運営会社全体の底上げを図っていく考え。
 
・M&Aへの対応
手数料条件や販売台数の増減等を加味しながらM&Aにも機動的に対応していく考え。M&Aの基本方針として、〆睫海侶鯀汗を維持できる範囲に収める、△笋澆もに規模の拡大は追わない、6疥拏社店舗との補完の強弱をベースに慎重に検討する、ぞ緇譴靴討い覿罰κ振PERを超える価格は見送る、の4点を挙げている。
また、これまではM&Aの対象をソフトバンクの専売店に限ってきたが、今後はマルチキャリア代理店(ソフトバンクの他、NTTドコモやau等も扱う)も対処としていく考え。買収後に他キャリアの店舗を運営するか否かについては、「運営の規模、ケース毎に考え、都度検討する事になるだろう」としているが、ソフトバンクモバイル(株)からは「時代の流れを踏まえた経営判断であるならば、尊重する」との回答を受けているという。(株)インベストメントブリッジでは携帯市場が成熟する中で、優れた店舗運営能力を持ちながら未だドコモやauの取扱が無い事は同社の潜在成長力であると考えている。
 
販売の質とCSの向上
コンセプトは、「お客様のBest Mobile Concierge(ベストモバイルコンシェルジェ)」。この実現に向け、付加価値提案型販売の確立、ITを活用した業務効率の改善、リスク管理の強化、に取り組んでいる。
付加価値提案型販売を確立する上で必要な事は、ソフトバンクの求める施策を早期に販売現場に徹底する事(この結果が支援手数料に反映されるため収益性を高める事ができる)。そのためには、新商品、新サービスに迅速に対応する事はもちろん、コンシェルジェとしての能力を高める必要があり、スタッフに対する教育研修の充実が避けて通れない。ITを活用した業務効率の改善については、ITの徹底活用と業務手順の改善により、待ち時間の短縮と店舗業務の効率化を図る。また、リスク管理の強化については、従前よりコンプライアンス教育に注力してきたが、新しいタイプの事件も出てきていることを踏まえて、リスク管理の手法をアップデートしていく。
 
人材に対する投資
人材の優劣が将来の業績を左右するとの考えから、人材の採用と育成に注力していく。「同社の強み」で説明した通り、採用については、11年度に新卒社員55名が入社し、12年度入社についても49名を採用した。13年度入社については56名を予定しており、引き続き新卒・中途を問わず優秀な人材の獲得に努めていく考え。また、同社は教育研修を充実する事で店舗オペレーションと販売の質を向上させてきたが、今後、販売スタッフへの教育研修を更に拡充していく考え。
 
 
同業他社比較
 
株式を上場する携帯電話販売会社としては、同社の他、ティーガイア(3738)、アイ・ティー・シーネットワーク(9422)、NECモバイリング(9430)等を挙げる事ができる。同社は事業規模では劣るものの、成長力、収益性、更には財務の安定性等で存在感を示している。
 
 
ティーガイア(3738)  13/3期予想  売上高7,600億円(前期比6.6%増)、営業利益153億円(同2.9%増)
08年に三井物産系のテレパークと住友商事及び三菱商事系のエム・エス・コミュニケーションズが合併。携帯電話販売等のモバイル事業(12/3期売上構成比81%)の他、マイラインやFTTH等光回線サービス等の取次を行うネットワーク事業(同3%)、PIN販売システムを利用したプリペイド決済サービス事業(同16%)も手掛ける。営業利益の構成比は、75%、16%、9%。ROEが他社に比べて極単に高いのは、事業規模の割りに自己資本が少ないため(自己資本比率は低い)。
 
ITCネットワーク(9422)  13/3期予想  売上高1,600億円(前期比24.3%増)、営業利益62億円(同25.9%増)
伊藤忠商事系で販売台数はNTTドコモが83%。2012年10月にパナソニックテレコム(NTTドコモ100%)との合併を予定。大手カメラ店や家電量販店とキャリアショップの個人向け2チャネルを展開するコンシューマ事業と、法人向け携帯電話販売及び携帯電話を活用したマーケティング・ソリューション等の法人事業に分かれる。売上構成比は、88%、12%。営業利益(調整前)の構成比は70%、30%。13/3期が大幅な増収・増益となるのは、合併効果による。
 
NECモバイリング(9430)  13/3期予想  売上高1,265億円(前期比0.3%増)、営業利益105億円(同0.6%増)
NEC系。事業は携帯電話等の販売や関連サービスを提供するモバイルセールス事業と、携帯電話の修理・保守サービス及び携帯電話基地局のシステムエンジニアリング等の技術サービスを提供するモバイルサービス事業に分かれる。売上構成比は、76%、24%だが、利益の構成比は、45%、55%。営業利益率が高いのはモバイルサービス事業の利益率が18.9%と高いためで、モバイルセールス事業単独では4.9%。
 
 
 
2012年12月期上期決算
 
 
前年同期比8.1%の増収、同41.0%の経常増益
販売台数の増加を背景に売上高は350.6億円と前年同期比で8.1%増加した。上期の総販売台数は412千台(前年同期比26.1%増)で、内訳は新規販売台数257千台(同33.1%増)、機種変更台数154千台(同15.9%増)。売上単価の低いみまもりケータイや通信モジュール(データカード、フォトビジョン等)の伸び大きかったため、販売台数の伸びと金額ベースの伸びがリンクしなかった。
利益面では、販売拡大に伴う限界利益の増加と継続手数料の積み上がりで売上総利益率が20.5%と同3.2ポイント改善。前下期の新規出店による人件費・家賃の増加や競争激化に伴う販売促進費用の増加に加え、長時間営業に対応した人件費(時間外手当)の増加等もあり、販管費の伸びが大きくなったが、売上総利益の増加で吸収して営業利益は17.0億円と同36.8%増加した。
営業外損益の改善は為替差損益の改善(△20百万円→15百万円)によるもので、資産除去債務(前期は46百万円の計上)が無くなり特別損失も減少したため、四半期純利益は9.6億円と同50.1%増加した。

店舗ネットワークについては、ソフトバンクショップ2店舗を新規出店すると共に、2店舗で拡張を、7店舗で改装を、それぞれ実施。上期末店舗数は、直営147店舗、フランチャイズ53店舗の合計200店舗となった。
 
期初予想(売上高360億円、経常利益12.4億円)を大幅に上回る着地
売上高はほぼ期初予想に沿った着地となったが、営業利益、経常利益、四半期純利益は、それぞれ36.1%、38.5%、40.3%上回った。利益が予想を大幅に超過したのは新規販売台数が計画以上に伸びたためで、この要因は、春商戦でMNP(携帯電話番号ポータビリティ)が重要な指標となり、同社もMNPに力を入れた結果である。一方、機種変更台数が計画を下回ったものの、新規販売は機種変更に比べて売上総利益単価が高いため、利益面での大幅な上振れとなった。
 
 
 
(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前末比45.3億円減の175.1億円。3月の年度末を越えて売上債権の回収と仕入債務の返済が進展した他、プラチナバンド未対応機種の在庫削減を進めたため、たな卸資産も減少。この結果、自己資本比率は前期末の49.4%から66.7%に改善した。実質無借金ながら、流動性に富んだ優れた財務体質を有する。M&Aや新規出店に対して機動的な対応をしていく考えだ。

CFの面では、受払いのズレや税金費用の増加等で営業CFが減少したものの、2,7億円のフリーCFを確保した。有利子負債の返済や配当の支払で財務CFがマイナスとなったが、現金及び現金同等物の上期末残高は69.4億円と、前期末(69.8億円)と同水準を維持した。
 
 
 
2012年12月期業績予想
 
修正予想に変更は無く、前期比7.7%の増収、同14.0%の経常増益
通期の販売計画は850千台(上期は412千台)。iPhone新機種の発売時期が未だ不明だが(昨年は10月に発売)、発売を前にした買い控え等で第3四半期の販売環境は若干厳しくなりそうだ。加えて、iPhone新機種が発売されると機種変更が大きく伸びるため、上期に比べて利益率が悪化すると見ている。

また、4月から一部店舗の営業時間延長に人員増で対応している。人員の増員は、勤務時間延長による残業代の増加よりも人件費負担が大きいが、同社にとって最大の痛手は離職率の上昇によるサービス品質の低下である。同社は、一時的な人件費の増加よりも、長い目で見れば、営業効率の改善効果や社員定着率を維持する事によるサービス品質の維持・向上効果の方が大きいと考えている。こうした人件費の増加も下期の利益率悪化要因となる。

一方、手数料については、足元、当初の想定に沿ったものとなっており、下期も大きな変化はなさそうだ。

配当は1株当たり2,600円の期末配当を予定しており、また、株主優待として、1株以上保有の株主に対して、一律、クオカード2,000円分を進呈する考え。
 
 
 
今後の注目点
調査会社の資料によると、11年度末の携帯電話・PHS・WiMAXの加入数は1億3,502万加入となり、人口を上回った(人口普及率:106%)。人口普及率が100%を上回った事は新しいデバイス(スマートフォン、PHS、WiMAX、データ通信カード等)やサービスにより潜在需要が顕在化しており、必ずしも人口が成長の制約要因にならない事を示している。
また、同資料によると、12年度もスマートフォンを中心に加入者数の増加が見込まれる。ただ、スマートフォンの普及に伴い店頭でのユーザー(契約者)サポートの重要性が一段と増しており、また、通信量の急増に対応したオフロード網構築においても、ユーザーと直接接する携帯電話販売店に対する通信事業者の期待は大きい。社員教育に力を入れ、質の高い社員を育成する事で通信事業者の期待に応えていこうとする同社の戦略は的を射たものと言えよう。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
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