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(4847:JASDAQ) インテリジェント ウェイブ 企業HP
山本 祥之 社長
山本 祥之 社長

【ブリッジレポート vol.13】2012年6月期業績レポート
取材概要「業務領域と顧客ターゲットを絞り込む事で高成長・高収益を実現してきた同社だが、中長期的には顧客ターゲットを多様な業種に広げると共に、業務・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年9月11日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インテリジェント ウェイブ
代表取締役社長
山本 祥之
所在地
東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー
事業内容
クレジットカード決済システム首位。大日本印刷グループ入りで営業力強化が進展
決算期
6月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年6月 5,241 131 154 270
2011年6月 4,762 321 341 129
2010年6月 4,956 358 387 211
2009年6月 5,527 228 235 187
2008年6月 6,695 417 403 -5
2007年6月 6,367 389 407 -295
2006年6月 7,137 1,482 1,452 947
2005年6月 5,174 678 688 264
2004年6月 5,257 371 365 156
2003年6月 5,891 1,177 1,161 539
2002年6月 5,505 1,854 1,846 1,003
株式情報(8/24現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
17,970円 263,400株 4,733百万円 5.6% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
500.00円 2.8% 531.51円 33.8倍 18,679.92円 1.0倍
※株価は8/24終値。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
クレジットカードの決済システムに強みを持つソフトウェア開発会社。リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術、システムを止めないためのノンストップ技術、更には高度なセキュリティ技術を技術基盤としており、証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する他、カード不正利用検知システムや内部情報漏洩対策システム等も手がける。大日本印刷(株)が議決権の50.61%を保有する筆頭株主。子会社は、米国の販売子会社と韓国の開発・販売会社子会社の2社(いずれも連結子会社)。
 
【事業内容】
事業は、カードビジネスのフロント業務、システムソリューション業務、及びセキュリティシステム業務に分かれ、11/6期の売上構成比は、それぞれ58.1%、31.3%、10.6%。 この他、報告セグメントではないが、大日本印刷(株)との連携の下、自社製品と他社製品(パッケージ)を組み合わせたクロスソリューション事業にも力を入れている。
 
カードビジネスのフロント業務
クレジットカード会社、銀行、大手小売業等向けに、「NET+1」をベースにしたカード決済にかかるフロント業務のシステム構築を行っている。フロント業務のシステムとは、クレジットカード会社が加盟店や信用情報センターとの接続に必要なシステム。銀行(CD/ATM、海外ATM網等の対外系接続システムとの接続)や消費者金融等でも使われている。「NET+1」はハードと自社開発のパッケージソフトからなり、大手クレジットカード会社向けではシェア70%の実績を有する。また、「加盟店や決済代行会社等向けに初期投資の抑制とランニングコストの低減が可能なLinux 対応の「Linux NET+1」の提供も行っている。
 
システムソリューション業務
クレジットカード会社等に対するソフトウェア開発及びシステム保守、クレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」に係るソフトウェア開発及びシステム保守、オンライン証券会社・機関投資家(バイサイド)向けに高速情報基盤システム(証券取引所等から提供される市況データや気配値等を素早く社内の各端末に配信するシステム)の構築、及び大日本印刷グループ企業向けのソフトウェア開発等を行っている。
 
セキュリティシステム業務
自社製品である内部情報漏洩対策システム「CWAT」や「EUC Secure」を中心にセキュリティ関連の製品・サービスを提供しており、親会社である大日本印刷(株)と共にセキュリティ関連の新事業(サービス)の開発も進めている。
 
その他 製品販売(新規事業)
セキュリティ強化や業務効率の改善等、自社製品と他社製品(パッケージ)を組み合わせたクロスソリューション事業。大日本印刷(株)との連携の下、営業活動を行っている。決算書においては、システムソリューション業務及びセキュリティシステム業務に含まれている。
 
【沿革】
1984年12月、米国ノンストップコンピュータ・メーカーの日本法人 日本タンデムコンピューターズの社長等を務めた現会長の安達一彦氏が中心となり、コンピュータ機器の輸出入・販売、コンピュータソフトウェアの開発等を目的に設立された。当時のソフト開発会社はメーカーの下請けが多かったが、同社は自主独立を志向しパッケージソフトの開発を目指し、米国製の24時間稼動ノンストップコンピュータ向けパッケージソフトの開発に取り組んだ(24時間稼動ノンストップコンピュータに独自開発のパッケージソフトを組み込んで販売)。当時の日本において、24時間ノンストップでコンピュータが稼動しているのはクレジットカード業界のみであったため、自ずと同業界との関係が深くなったと言う。

転機となったのが89年の「NET+1」の開発。価格競争力や短納期といったパッケージソフトの持つ強みに加え、カスタマイズの容易さ等が評価され、大手クレジットカード会社や消費者金融等のノンバンクはもちろん、銀行等でも利用が広がった。「NET+1」の開発により、クレジットカード会社向けのパッケージソフト開発会社として認知され、クレジットカードビジネスの拡大に乗って業容を拡大、2001年6月に株式を店頭登録した(現在はJASDAQに上場)。

10年4月には大日本印刷(株)が同社株式の公開買付けを行い、議決権の過半を取得した(現在、大日本印刷(株)が議決権の50.61%を保有)。以後、大日本印刷グループ内での豊富な開発案件の取り込みに加え、大日本印刷(株)との連携による同グループの優良な顧客資産の掘り起こしに取り組んでおり、下記の通り、その成果も順調にあがっている。
 
 
 
【カードビジネスのフロント業務の特徴と同社の強み  −ネットワーク技術、ノンストップ技術、ノウハウ、信頼−】
クレジットカードの利用に際しては、その都度、与信限度額や返済状況の確認作業が行われ、また、キャッシシングの際には口座残高の確認も必要となる。こうした確認作業はネットワークを介してリアルタイムで行われ、特にクレジットカードの場合、世界的なネットワークを介しての作業となる。また、システムが止まるとカードが使えなくなるため、24時間365日システムを止めないための技術やノウハウも必要だ。

つまり、「カードビジネスのフロント業務」には、リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術やシステムを止めないためのノンストップ技術、ノウハウ、そして何よりも顧客となる金融機関等からの信頼性が不可欠(このため参入障壁が高い)。また、単年度での振れはあるものの、ハードウェアが5年程度で更新を迎える事に加え、技術やネットワークの進歩、或いは様々な社会犯罪等への対応で更新需要が絶えず発生している。
 
 
課題と取り組み
 
業務領域と顧客ターゲットを絞り込む事で高成長・高収益を実現してきた同社だが、市場の成熟化や事業環境の変化で、ここ数年は苦戦が続き利益の低迷は否めない。
課題は、新たな収益機会の獲得であり、その結果としてのトップラインの引き上げである。そのためには、金融関連、証券関連にフォーカスしていた顧客ターゲットを多様な業種に広げると共に、アライアンスや他社商品の活用も含めて業務領域を、従来からのフロント業務にとどまらず、ミドル・バックオフィスへと広げ、幅広く開発需要を取り込んでいく必要がある。
実際のところ、こうした取り組みは口で言うほど容易な事ではないのだが、同社の場合、資本提携先(親会社)である大日本印刷(株)が、グループ内に多くの開発案件を抱え、また、優良な顧客資産を有する。この恵まれた環境をフルに活かすべく、同社は大日本印刷グループとのシナジーを追求しつつ、各事業セグメントにおいて課題の解決に取り組んでいく考えだ。
 
(1)カードビジネスのフロント業務
課題は「案件規模の拡大によるトップラインの引き上げ」である。この一環として、フロントシステムの導入に当たって、ミドル及びバックオフィスシステムの開発需要にも対応していく考えで、12/6期は「Linux NET+1」の導入案件で、ミドル及びバックオフィスシステムの開発も含めた大規模案件にチャレンジした。新たな分野だけにプロジェクト管理がうまくゆかず不採算となってしまったが、この失敗を次の案件に活かすべく、生産性の向上と品質管理を目的とした業務推進室を前12/6期末に新設した。業務推進室を中心に原価管理の強化を含めたプロジェクトマネジメントの改善やプロジェクトマネージャーの養成・増員に取り組んでいく事で、開発プロジェクトの効率的な遂行につなげていく。また、アライアンスによる開発手法を取り入れ、他社の技術やノウハウを活用する事で業務領域を広げ、案件規模の拡大につなげていく考え。
 
(2)システムソリューション業務
大日本印刷グループとのシナジーを追求し受託開発を拡大していく考えで、12/6期はハイブリッド書店関連の開発で実績をあげた。13/6期は案件の規模拡大を念頭に大日本印刷(株)との連携を一段と強化し、トップラインの引き上げを図る。また、クレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」の海外展開を進める(現在、商談中)と共に、高速情報基盤ソリューションのバイサイド(機関投資家)向け営業に取り組む(前12/6期はオンライン証券向けで実績をあげた)。また、この他の新規顧客の掘り起こしにも努める。
 
(3)セキュリティシステム業務
新規顧客へ営業拡大
情報漏えい対策システム「CWAT」を中心に幅広い業種業態の情報セキュリティ対策に係る需要を開拓していく。12/6期は既存ユーザーの更新需要を確実に取り込む事ができたものの、大規模ユーザーの獲得は想定通りに進まなかった。13/6期は「CWAT」に、ユーザーからの要望が多かった資産管理機能を追加すると共に、12月を目途にWindows 8への対応を進める。また、「CWAT」の仮想環境への対応も進める考えで、企業の情報システムにおいて今後の普及が予想されるシンクライアント端末と「CWAT」の一元管理を実現する仮想化環境ログ管理システムの開発に着手する。
 
(4)その他 製品販売(新規事業)
ここでもやはり、トップラインの引き上げが課題である。12/6期はソースコード(機械語に変換される前のプログラム)の脆弱性をスクリーニングする「Cx Suite」(イスラエル・CHECKMARK社の製品)等、他社製品を活用したソリューションが好調だった。また、新製品「FACEコンシェル」の開発を完了し、営業を開始した。13/6期は企業向けセキュリティ関連商品やサービスの拡大に注力すると共に、「FACEコンシェル」の営業活動を本格化する考え。
尚、「FACEコンシェル」とは、Webサイトのナビゲーションやレコメンデーション等のWebコンシュエルジュサービスを自然言語によるチャット形式(対話形式)で円滑に行うシステム。メールやテキスト文書、Webコンテンツ等の非構造化データを解析し、Web利用者にレスポンスを返す。同社の技術と韓国Saltlux社製セマンティック・ソリューション(高品質キーワード検索)「IN2」とを融合させたシステムであり、Webサイト上でのコミュニケーション基盤(特にスマートフォンに最適化した)を提供する。また、状況に応じて、リアルチャットに切り替える事もできる(システムに代わってオペレータがチャットで対応する)。
 
 
2012年6月期決算
 
 
前年同期比10.1%の増収ながら、同54.8%の経常減益
売上高は前期比10.1%増の52.4億円。ハードウェアの更新需要の一巡や価格低下等でカードビジネスのフロント業務の売上が減少したものの、ハイブリッド書店システムを中心に大日本印刷グループ向けの開発案件が順調に進んだシステムソリューション業務の売上が伸長。セキュリティシステム業務も更新需要の取り込みが進んだ。

ただ、営業利益は同59.0%減の1.3億円。売上の減少や開発案件の品質管理強化に伴うコスト増に加え、フロント業務だけでなく、ミドル及びバックオフィス業務にも対応した大型案件の不採算化もあり、カードビジネスのフロント業務の利益が半減。システムソリューション業務の利益が5割強増加した他、セキュリティシステム業務の損益も大きく改善したものの、カバーできなかった。一方、当期純利益が2.7億円と同2.1倍に拡大したのは、特別損失の減少(前期はソフトウェア臨時償却費77百万円など118百万円を計上)と税効果会計の影響による。
 
 
 
カードビジネスのフロント業務
売上高22.9億円(前期比17.0%減)、セグメント利益5.6億円(同49.8%減)。ハードウェアの更新需要の一巡や価格低下等で売上が減少。利益面では、「NET+1」専用ハードは付加価値が高いため売上の減少が利益与える影響が大きい事に加え、ミドル及びバックオフィス業務のシステム開発にも対応した「Linux NET+1」の導入案件の不採算化や顧客要請に応えた管理強化に伴うコスト増が響いた。尚、利益が前期比約5.6億円減少したが、その要因と影響額は、減収の影響3億円、不採算プロジェクトの影響1.6億円、管理コストや外注費の増加1億円。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発   1,510百万円 → 1,252百万円
自社開発パッケージ    29百万円 → 71百万円
保守          400百万円 → 376百万円
ハードウエア販売    814百万円 → 587百万円
 
システムソリューション業務
売上高22.9億円(前期比54.2%増)、セグメント利益3.7億円(同53.5%増)。当セグメントの売上は大きく、カード系・その他事業と証券系事業に分ける事ができるが、当期は大日本印刷グループ企業向けのソフトウェア開発(ハイブリッド書店システム)の寄与でカード系・その他事業の売上が大きく伸びた。また、先送りとなっていた案件の取り込みで証券系事業の売上も増加した。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発    827百万円 → 1,220百万円
自社開発パッケージ   58百万円 → 52百万円
保守          312百万円 → 304百万円
ハードウエア販売    162百万円 → 464百万円
仕入パッケージ     121百万円 → 244百万円
 
 
セキュリティシステム業務
売上高5.2億円(前期比3.0%増)、セグメント利益32百万円(前期は141百万円の損失)。内部情報漏えい対策システム「CWAT」の保守サービスを中心に売上が増加。損益の大幅な改善(1.7億円強の改善)は、期初に組織体制を見直し、経費節減に努めた成果である。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発    48百万円 → 36百万円
自社開発パッケージ   51百万円 → 48百万円
保守         351百万円 → 355百万円
ハードウエア販売    0百万円 → 0百万円
仕入パッケージ     52百万円 → 82百万円
 
その他 製品販売(新規事業)
売上高1.2億円(当期より新規事業として開示)、セグメント損失1.1億円。事業の開始に伴い先行して発生する費用を吸収するまでには至らなかったものの、ソースコード(機械語に変換される前のプログラム)の脆弱性をスクリーニングする「Cx Suite」(イスラエル・CHECKMARK社の製品)を用いたソリューションが好調だった。
 
 
第4四半期(4-6月)の受注は、「Linux NET+1」の導入とフロント業務からバックオフィス業務までのシステム開発を連動させた大型プロジェクトの受注(分割発注されている)でカードビジネスのフロント業務が大きく伸びた。また、システムソリューション業務の受注も、大日本印刷グループ案件の取り込みや新規事業の寄与等で増加した。
 
 
期末受注残高の大幅な増加は「Linux NET+1」導入関連の大型プロジェクトによるもの。このため、13/6期の上期も採算面での影響が残る。また、システムソリューション業務も下期に売上計上される案件が中心のようだ。
 
 
2013年6月期業績予想
 
(1)半期見通し
上期は前述の「Linux NET+1」導入関連プロジェクトの寄与で売上が増加するものの、同プロジェクトの影響で営業利益が同65.5%減少する見込み。一方、同プロジェクトの影響がなくなり、管理体制の整備も進む下期は大幅な採算の改善が見込まれるも。売上面では、特にカードビジネスのフロント業務の見通しが慎重。確度の高い案件のみを業績予想に織り込んだようだ。
尚、新規業務分野への対応で苦戦した12/6期の反省や品質管理に対する顧客の要請を踏まえ、生産性の向上と品質管理を専門的に扱う業務推進室を新設した。今後、業務推進室を中心にプロジェクトマネジメントの改善やプロジェクトマネージャーの養成・増員に取り組んでいく事で、開発プロジェクトの効率的な遂行につなげていく考え。
 
 
 
(2)通期見通し
通期予想は前期比4.9%の増収、同42.9%の経常増益。ソフトウェア開発及び自社パッケージを中心に売上が増加する見込み。前期の反動もあり営業利益及び経常利益は高い伸びが見込まれるものの、当期純利益は税効果会計の影響による税額調整で同48.1%減少する見込み。尚、12/6期に77.3%に上昇した製造原価率は、前期に導入した開発ツールの全社的な浸透や品質管理の強化もあり、10/6期、11/6期並みの70%前後への低下が見込まれている。
配当は1株当たり500円の期末配当を予定している。
 
 
 
 
今後の注目点
業務領域と顧客ターゲットを絞り込む事で高成長・高収益を実現してきた同社だが、中長期的には顧客ターゲットを多様な業種に広げると共に、業務領域を従来からのフロント業務にとどまらず、ミドル・バックオフィスへと広げ、幅広く開発需要を取り込んでいく必要がある。12/6期は事業領域を拡大して取り組んだ大型開発案件の不採算化が響いたが、この教訓を次に活かす事ができれば、災いが転じて福となろう。親会社である大日本印刷(株)との協力関係を活かした新規顧客の開拓と共に注目していきたい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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