ブリッジレポート:(6065)サクセスホールディングス vol.1
(6065:JASDAQ) サクセスホールディングス |
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企業名 |
サクセスホールディングス株式会社 |
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社長 |
柴野 豪男 |
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所在地 |
神奈川県藤沢市鵠沼石上1-1-15 藤沢リラビル3階 |
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決算期 |
12月末日 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2011年12月 | 6,006 | 362 | 491 | 256 |
2010年12月 | 5,237 | 185 | 178 | 33 |
株式情報(9/4現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【事業内容】
事業は受託保育事業と公的保育事業に分かれ、12/12期上期の売上構成比は、それぞれ46.7%、53.3%(調整前営業利益の構成比は53.0%、47.0%)。事業内容は次の通り。
(1)受託保育事業
病院、大学、企業等が従業員の子ども向けに開設した保育施設の運営を受託している。こうした施設は、子育て中の女性等に対して働きやすい環境を提供する事を目的とした福利厚生施設との位置付けだが、一定の条件を満たす事で、設置主体に対して助成金が支給されている。主な取引先は、東京大学医学部附属病院、千葉大学医学部附属病院、筑波大学、大阪大学、神戸大学、三井物産(株)、武田薬品工業(株)等。同社は受託保育のパイオニアであり、20年以上の実績を有する(91年3月に第1号案件として病院内保育施設の運営を受託)。受託保育は初期投資が不要だが、多様な顧客ニーズへの対応や24時間365日体制の下でのサービス提供等、ソフト面でのハードルが高く、また、コストや人事管理等でのノウハウも必要となる。ただ、受託保育で培った高い生産性は公的保育にも活かす事ができ、また、受託保育事業での実績は公的保育事業の認可取得の際のアピールポイントとなる。この強みを生かし、児童定員10名程度の小規模施設でも利益計上が可能な体制を構築している。 (2)公的保育事業
認可保育園、認証保育所、学童クラブ、児童館・全児童対象施設といった公的保育施設の運営を手掛けている。従来、設置主体は原則として市町村や社会福祉法人等に限られていたが、00年3月に待機児童解消に柔軟に対応できるよう規制緩和がなされ、株式会社にも門戸が開かれた。公的保育事業は初期投資が重いが、受託保育と比較して施設規模が大きく、かつ、安定した運営が可能なため、1施設あたりの収益力が高い。
※補助金について
補助金は大きく運営補助金と設備補助金に分かれる。運営補助金は保育所の運営に対して自治体より給付される。一方、設備補助金は保育所を開設する際の設備投資額に応じて自治体毎の基準に基づき給付される。同社においては、運営補助金を売上として計上し、設備補助金を営業外収益として計上している。尚、給付水準は保育ニーズの高いエリアほど高くなる傾向がある。
【沿革】
1989年12月、学習塾事業を目的として(株)サクセスアカデミーを設立。子どもの成長と保護者への支援となる保育事業に事業性と将来性を感じ保育事業にシフト(生徒の保護者からベビーシッターの相談を受けた事がきっかけになったと言う)。91年3月に湘南中央病院(神奈川県藤沢市)から病院内保育施設の運営を受託し、以後、本社のある湘南地区(当時は神奈川県鎌倉市)や東京都西部で医療機関内保育施設の受託運営を拡大。2000年4月には公立病院内保育施設(横須賀市立市民病院)の受託運営を、03年7月には国立大学病院内保育施設(千葉大学医学部附属病院)の受託運営を、それぞれ開始した。また、規制緩和(株式会社に対する公的保育事業の門戸開放)を受けて、04年4月に公的保育事業の第1号となる認可保育園「にじいろ保育園 サクセス久里浜コスモス」(神奈川県横須賀市)を開園し、05年3月には東京都認証保育所「にじいろ保育園 サクセス町田」(東京都町田市)を開園。その後、浦安市高洲北小学校地区児童育成クラブの受託運営(千葉県、06年4月)や川崎市の公設民営保育園「塚越保育園」の運営(神奈川県、07年4月)等、公的保育事業も順調に拡大した。 08年4月には三井物産(株)企業内保育施設の受託運営を開始し、企業内保育施設でも実績を上げた。09年12月にジェイコムホールディングス(株)と業務資本提携し、10年11月には戦略的で機動的な体制を構築するべく持株会社体制へ移行。サクセスホールディングス(株)が設立され、12年8月にサクセスホールディングス(株)が大証JASDAQ市場へ上場した。 【特徴・強み】
認可保育園等の公的保育と、「24時間365日」対応が要求される受託保育のいずれにも対応できる事が同社の強み(多様なニーズへの対応力)。また、収益確保が難しい受託保育で培った高い生産性が公的保育に活かされており、豊富な受託実績が公的保育の許認可の際の評価のポイントにもなっている。また、IT化にも取り組んでおり、オリジナルシステムを構築する事で保育士の事務負担を軽減し保育へ専念でき(保育の質向上に寄与)、小規模施設でも利益計上が可能な体制を構築している。
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事業環境と成長戦略 |
(1)事業環境
市場動向
1世帯当たりの平均所得金額の伸び悩みもあり、共働き世帯が増加傾向にある。これに伴い、保育所の利用を希望する保護者が増えている。
しかし、こうした努力にもかかわらず、保育所の供給が需要に追いついておらず、待機児童数が高止まりしている事は周知の事実である。特に首都圏を中心に、三大都市圏で待機児童問題が深刻化している。 競合の状況
日本経済新聞 日経MJの調べによると、10年度の実績(10/12期売上高52.3億円)で同社は業界4位。トップは「JPホールディングス」(東証1部:2749)で売上高91.6億円(11/3期)、2位は「こどもの森」(非上場:東京都国分寺市)で同64.6億円、3位は「ピジョン」(東証1部7956)で同54.6億円(11/1期)。5位は「ポピンズ」(非上場:東京都渋谷区)で同50億円。「JPホールディングス」はオフィスコーヒーサービス事業からスタートし、パチンコ店でのコーヒーのワゴンサービス等を手掛けていた。2000年にパチンコ店の社員への福利厚生を目的にパチンコ店の駐車場内で託児所を開設した事がきっかけとなり保育事業に参入。都内での公的保育に集中する事で事業基盤を確立した(現在は保育所向け給食の請負や英語教室及び体操教室の請負も含めた子育て支援事業の単一セグメント)。 この他、「こどもの森」は保育事業を創業事業とし、公的保育に専念。「ピジョン」は国内で約8割のシェアを持つ哺乳瓶を中心に各種育児用品の製造・販売を手掛けており、保育事業の売上構成比は売上全体の10%に満たない(11/1期の連結売上高は570億円)。「ポピンズ」は教育ベビーシッターからスタートし、現在、子育て支援サービス、乳幼児教育支援サービス、子育て事業コンサルティングに加え、介護支援サービスや介護人材育成支援サービスも手掛けている。 上位5社で受託保育を手掛けているのは、サクセスホールディングス(実際には、子会社のサクセスアカデミー)と「ピジョン」、「ポピンズ」の3社。「JPホールディングス」及び「ポピンズ」は幼稚園の運営支援事業(前者は給食事業の受託、後者は幼稚園向けの保育士派遣・紹介)にも取り組んでいる。 また、鉄道各社による沿線での子育て支援施設の拡充や、現実味を増しつつある生損保の保育所直営(既に金融庁が検討に入ったとの新聞報道がある)等、成長市場である保育業界への参入や競合の動きは活発化している。 (2)成長戦略
中期的には公的保育事業が業績を牽引
日本政策投資銀行によると、10年6月に閣議決定された「新成長戦略」の目標の一つである"20年に就業率73%"を達成するためには、保育施設の充足率の引き上げが不可欠であり、児童97万人分の施設の新設が必要になると言う。また、この際の保育市場は4.9兆円と推測され、10年時点の市場規模(3兆円)の1.6倍強。同行では約87万人の雇用を創出するとみている。こうした中、保育業界では自治体の財政問題等を背景に官から民への委託が加速しており、07年には0.5%だった全運営主体に占める株式会社の割合が、10年には0.9%に上昇。20年には10.9%(市場規模にして5,000億円)に上昇するとの見方がある。 同社は、高い実績を誇る受託保育事業とのシナジーを追及し、関東(首都圏)だけでなく、今後も拡大が期待される東北、中部、関西エリアでの事業強化を行い、全国的な市場拡大への対応を図っている。また、保育士の採用・育成の強化やIT活用による業務の効率化にも取り組んでいく。 長期的には保育事業を起点とした新たな事業への進出も
同社のグループ理念である「人から"ありがとう"といわれるサービスを提供する」ために、長期的には現在の保育事業を起点とした新たな事業へ進出する考え。"既存の保育事業モデルのターゲットチェンジによる事業拡大"と"既存ターゲットに対する新たな商品・サービス付加による事業拡大"の2つの方向性を示しており、"既存の保育事業モデルのターゲットチェンジ"では中小企業向けサービスの研究に取り組んでいく考えで、"既存ターゲットに対する新たな商品・サービス付加"では、保護者への生活支援サービスを念頭に置いている。
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2012年12月期上期決算 |
上期は売上高3,409百万円、経常利益504百万円
セグメント別では、受託保育事業が売上高1,592百万円、セグメント利益212百万円。公的保育事業が売上高1,817百万円、セグメント利益188百万円。受託保育事業では、新たに7施設の運営を受託する一方、採算の悪い3施設と利用者の少ない2施設の合計5施設を未継続とした結果、純増は2施設。上期期末施設数は144施設となった。公的保育事業では、4月に認可保育園6施設を開園した他、公設民営保育園1施設及び学童クラブ4施設の運営を開始。一方、採算の低い児童館10施設が契約終了となった結果、純増は1施設。上期期末施設数は52施設となった。
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2012年12月期業績予想 |
前期比17.4%の増収、同14.2%の経常増益予想
売上高は前期比17.4%増の7,053百万円。内訳は、受託保育事業が5.1%増の3,220百万円、公的保育事業が同30.2%増の3,832百万円。両セグメント共に増収は新規施設の寄与によるもので、公的保育事業が売上高の過半を超える見込み。利益面では、公的保育事業の拡大に伴う先行投資負担の増加で営業利益率が5.2%と0.8ポイント低下するものの、増収効果で吸収し、営業利益がわずかに増加。公的保育事業に係る設備補助金285百万円を営業外収益に計上するため経常利益は561百万円と同14.2%増加する見込み。 受託保育事業
売上高は新規施設の寄与157百万円を含む3,220百万円(前期比5.1%増)。「主要な顧客である病院からの継続的な需要が見込まれる」としている。
公的保育事業
売上高は3,832百万円(前期比30.2%増)。4月に運営を開始した認可保育園6施設、公設民営保育園1施設、学童施設等4施設で、それぞれ、571百万円、139百万円、66百万円の寄与を見込んでいる。
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