ブリッジレポート
(4829) 日本エンタープライズ株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.22

(4829:東証2部) 日本エンタープライズ 企業HP
植田 勝典社長
植田 勝典社長

【ブリッジレポート vol.22】2013年5月期第1四半期業績レポート
取材概要「コンテンツのスマートフォン対応の進捗、的確なM&A、更にはアライアンスによる新たな事業展開と、本格的な拡大期を迎えるスマートフォン関連・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年10月23日掲載
企業基本情報
企業名
日本エンタープライズ株式会社
社長
植田 勝典
所在地
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8
決算期
5月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年5月 2,790 304 318 170
2011年5月 2,370 266 283 168
2010年5月 2,147 150 173 77
2009年5月 2,475 292 317 175
2008年5月 3,123 572 578 272
2007年5月 3,677 774 783 447
2006年5月 3,416 694 688 418
2005年5月 3,018 587 570 348
2004年5月 1,958 205 168 226
2003年5月 1,752 134 131 58
2002年5月 1,704 51 53 23
2001年5月 1,417 301 262 126
株式情報(10/2現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
8,680円 377,000株 3,272百万円 5.7% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
150.00円 1.7% 530.50円 16.4倍 8,132.79円 1.1倍
※株価は10/2終値。ROE、BPSは前期末実績。
 
日本エンタープライズの2013年5月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
モバイルソリューションカンパニーを標榜。コンテンツの自社開発にこだわり、音楽・ゲーム・デコメや生活実用系等のコンテンツを制作し携帯等に配信するコンテンツサービスと、企業のコンテンツ制作・運営、システム構築、アフィリエイト広告、更にはCDの制作・販売等を手掛けるソリューションが2本柱。コンテンツの自社開発にこだわり、版権を自社で保有すると共に、効率的なプロモーションと店頭アフィリエイトの自社活用による広告宣伝費の効率化で同業他社を上回る収益性を実現している(12/5期売上高経常利益率)。
 
海外展開
日本のコンテンツを世界へ広げるべく海外展開にも力を入れており、中国とインドでの事業展開では国内コンテンツプロバイダーの中で先頭を走る。中国では2G、2.5G向けのゲームコンテンツ配信を手掛け、3Gの拡大を見据えた電子コミック配信サービスを育成中(中国の作家や出版業界との連携による携帯電話向け電子コミックの配信を既に開始)。インドでもスマートフォン・3G端末の普及を見据えた取り組みを進めており、11年12月に業務提携先のMAGNA社(インドのライフスタイルマガジンの大手出版社)が出版している雑誌の電子(iPadアプリケーション)配信を開始した。
 
グループ
グループは、モバイルコンテンツやインド進出企業の支援事業を手掛ける(株)ダイブ、レーベル事業等を手掛けるアットザラウンジ(株)、交通情報を中心にした情報提供とシステム開発の交通情報サービス(株)、Web・Mobileサイト開発・保守及びコンテンツ開発等の(株)フォー・クオリア、因特瑞思(北京)信息科技有限公司、北京業主行網絡科技有限公司、瑞思創智(北京)信息科技有限公司の連結子会社7社、及び瑞思放送(北京)数字信息科技有限公司、NE Mobile Services(India)Private Limitedの非連結子会社2社。
 
 
※13/5期はスマートフォン対応の進捗とM&A効果で売上が伸長。スマートフォン対応やプロモーション活動等の費用先行が負担となるものの、増収効果で吸収して営業利益が同6.8%増加する見込み。
 
【事業内容と現況】
(1)事業内容
事業はコンテンツサービス事業とソリューション事業に分かれ、12/5期の売上構成比は、それぞれ54.9%、45.1%。
 
コンテンツサービス事業
携帯電話等のキャリア(移動体通信事業者)が運営するi-mode、EZweb、Yahoo!ケータイといったインターネットに接続が可能な携帯電話の公式サイトや、GREE、Mobage、mixiといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)へ自社開発したコンテンツを提供し、月額課金あるいはダウンロード課金制により、その代金をキャリア等から受取っている。中国・インドをターゲットとした海外事業にも取り組んでいる。
 
ソリューション事業
コンテンツサービスから派生したビジネス。モバイルサイト構築・運用業務、ユーザーサポート業務、デバッグ業務、サーバネットワークの運用・監視・保守、自社コンテンツの2次利用(以上、ソリューション)、他社コンテンツの制作・運営(ソリューションコンテンツ)、更には、広告(アフィリエイト広告:携帯電話販売代理店との協業による成功報酬型コンテンツ販売)、及び物販等を行っており、携帯電話はもちろん、パソコン等のあらゆるメディアに対応したソリューションを提供している。
 
(2)現況  スマートフォン対応の進捗と的確なM&Aで事業強化が進展
11年10月にCMS(Content Management System)やWeb・Mobileサイト開発・保守等の(株)フォー・クオリアを子会社化し、11年12月には交通情報の配信等を手掛ける交通情報サービス(株)を子会社化した。スマートフォン関連需要が本格的に顕在化してくるのはこれからだが、コンテンツの充実や開発スピードに加え、ソリューション能力の向上等で上記2社の貢献は大きく、連結決算に取り込んだ12/5期第2四半期以降、コンテンツのスマートフォン対応と相まって、日本エンタープライズ(株)の業績トレンドが一変した。

(株)フォー・クオリアは200以上の携帯公式サイトの開発実績を有する他、Web構築の簡素化を実現するCMSパッケージや自社デザイナーによる高度なWeb・モバイルコンテンツの開発に強みを持ち、日本エンタープライズ・グループのスマートフォン向けコンテンツの開発スピード・提供量・品質の充実に大きく貢献。コンテンツサービス事業において日本エンタープライズが消費者に提供するコンテンツの充実はもちろん、ソリューション事業における顧客向けコンテンツ開発で連結業績に寄与している。

また、交通情報サービス(株)は、93年7月に東京都と民間会社58社の半官半民で立ち上げた交通情報の提供会社で公益性も高い。①交通情報、交通関連情報、生活利便情報及び娯楽・文化・レジャー等の情報の提供、②上記情報提供に関する装置及びシステムの企画、開発、設計、製造、販売、工事、保守、リース等の関連サービスの提供、及び③前記各種情報等の利用等に関するコンサルティングを手掛けている。連結対象となった12/5期第2四半期以降、コンテンツサービス事業の拡大に貢献しており、ソリューション事業とのシナジーも期待されている。
 
 
 
成長戦略  -13/5期の取り組み-
 
国内事業においては、市場が拡大しているスマートフォンへのコンテンツの対応・強化を進めると共に、従来からの店頭アフィリエイト(後述)に加え、共通ポイントプログラムを活用したコンテンツマーケット「Ponta App Market」の運営や携帯電話販売会社との提携による有料会員サービス等、アライアンス事業の育成・拡大にも取り組んでいく。一方、海外事業においては、スマートフォンや3G端末の普及を見据え、軌道に乗りつつある中国及びインドでの事業の基盤固めを図る考え。
 
(1)国内事業
コンテンツサービス事業  -スマートフォン向けビジネスの拡大・強化-
IT市場を専門とするリサーチ・コンサルティングである(株)MM総研では、12年3月に25.2百万件(推定)だったスマートフォンの契約件数が15年3月には66.3百万件に拡大し、契約件数全体に占めるスマートフォンの比率が22.5%から55.8%に上昇するとみている。

同社はこのビジネスチャンスを捉えるべく、コンテンツのスマートフォン対応はもちろん、Googleが運営する「Google Play Store」やAppleが運営する「App Store」等グローバルに展開している各プラットフォームへのアプリ対応も進めている。また、交通情報をラインナップに加えた事でコンテンツの幅も広がった。今後は、コンテンツだけでなく、決済、プラットフォーム、更には端末に依存しないブラウザ対応等、多面的複合的なサービスの提供にも取り組み、幅広くスマートフォン関連需要を取り込んでいく考え。
 
ソリューション事業  -スマートフォン向けビジネスの拡大・強化とアライアンスによる新規事業の育成-
企業向けソリューションにおいて、アプリ開発やサイト構築等、引き合いが増えているスマートフォン向けコンテンツ制作への対応を進めると共に、アフィリエイト広告向けのシステム開発で培った技術を活かして携帯電話販売店の店舗運営支援にも取り組む(業務効率化システムの開発と提供)。ソリューションコンテンツでは、シェアモデルのフィーチャーフォンサイトのスマートフォン対応を進める他、交通情報サービス(株)が持つ情報系コンテンツを活かしソリューションの幅を広げていく。この他、スマートフォン向けの店頭アフィリエイト(広告)、ECサイトによる販売及び楽曲制作によるCD販売(物販)も強化する。尚、店頭アフィリエイトとは、携帯電話販売店にて、来店顧客向けにコンテンツ販売を成功報酬で行うリアルアフィリエイトの事。

また、新たな収益モデルの開発・育成を念頭にアライアンス事業にも取り組んでいく考えで、13/5期第1四半期にはAndroid向けコンテンツマーケット「Ponta App Market」の運営やアライアンス型有料会員サービスを開始した。
「Ponta App Market」は、(株)ロイヤリティ マーケティングとのアライアンスによるもので、共通ポイントプログラム「Ponta(ポンタ)」のPontaポイントでの決済が可能。
 
 
一方、アライアンス型有料会員サービスは、同社と同社の提携先が提供する各種有料サービス(電子書籍、コマースサイト、福利厚生サービス等)を携帯電話販売会社が店頭で販売するもので、同社にとっては新たな収益源となり、携帯電話販売会社にとっては、来店顧客の囲い込みや顧客満足度の向上につながる。
 
 
(2)海外事業
中国において、電子コミック事業が軌道化しつつあり、これに次ぐ第2の事業として育成するべく、中国電信(チャイナテレコム)との提携による携帯ショップ運営の準備も進めている。一方、インドでは、スマートフォンや3G端末の普及を見据えて電子雑誌の配信を行っている。
 
中国  -電子コミックから携帯ショップの展開も-
電子コミックの配信サービスを事業ドメインとしており、具体的には、中国の大手国営総合出版社である「中国軽工業出版社」との業務提携や中国の漫画家と出版社の団体である「漫画家新媒体連盟」との提携の下、コンテンツを確保し、子会社 北京業主行網絡科技有限公司(日系企業としては唯一、中国での配信ライセンスを保有)を通して自社サイトや通信キャリア及びメーカー等のサイトに配信している。ユーザーは増加傾向にあるものの、日本のように通信キャリアによる課金制度が確立されていない上、海賊版等の横行もあり、課金・収益化が課題となっている。
また、新規事業として中国電信(チャイナテレコム)の携帯ショップ運営にも取り組む。リアル店舗の展開による新たな事業モデルの構築を目指しており、日本式おもてなしや販売ノウハウを提供し、中国電信の直営店も含めて店頭アフィリエイトを展開していく。10月に中国電信の既存旗艦店であるチャイナテレコムショップ「東方路店」の共同運営を開始する予定で、新規出店(チャイナテレコムショップ「古北店」)も計画している。

尚、沖縄県尖閣諸島を巡り、日中両国が対立しているものの、モバイルコンテンツ事業においては、中国固有の素材を基に中国国内で企画・制作・配信しているものが大半のため直接的な影響は受けていない。一方、携帯ショップ事業については、古北店のオープンが遅れている。
 
インド  -電子雑誌-
スマートフォンや3G端末の普及を見据えた取り組みを進めており、この一環として、現地の出版大手MAGNA社と業務提携。同社が出版している映画関連雑誌「STARDUST」の電子書籍配信(iPadアプリケーション)を、11年12月20日に開始した。現在、プロモーションの強化と配信先プラットフォームの拡充(Google Play等)に取り組んでおり、取扱雑誌の拡大を図るべく雑誌社各社との関係強化にも力をいれている。
 
 
2013年5月期第1四半期決算
 
 
前年同期比43.0%の増収、同27.2%の経常増益
売上高は前期比43.0%増の902百万円。交通情報サービス(株)の寄与や携帯電話販売会社との共同展開による有料会員サービスの寄与でコンテンツサービス事業の売上が479百万円と同54.9%増加。(株)フォー・クオリアの寄与や広告(店頭アフィリエイト)やソリューション(コンテンツ制作支援、業務支援等)を中心にソリューション事業の売上も同31.5%増の422百万円と高い伸びを示した。

利益面では、相対的に原価率の高い(株)フォー・クオリアを連結した事で売上総利益率が低下したものの、増収効果で売上総利益が同22.3%増加。子会社の増加や積極的なプロモーション活動に伴う販管費の増加を吸収して営業利益は92百万円と同32.8%増加した。四半期純利益が同7.6%の増加にとどまったのは、税効果会計の影響や少数株主利益の増加による。
 
 
 
コンテンツサービス事業
売上高は前年同期比54.9%増の479百万円、セグメント利益は同16.6%増の139百万円。ゲームや音楽が苦戦したものの、前期の第3四半期(12-2月)から連結対象となった交通情報サービス(株)の寄与(売上高143百万円)や前期より開始している携帯電話販売会社と共同展開する有料会員サービスの売上計上(43百万円)で吸収した。
 
 
ソリューション事業
売上高は前年同期比31.5%増の422百万円、セグメント利益は同6.3%増の88百万円。スマートフォンの拡大と携帯通信キャリアのスマートフォン対応に合わせ、携帯電話販売店との協業を積極的に展開した結果、広告(店頭アフィリエイト)の売上が前年同期の67百万円から170百万円に拡大した他、(株)フォー・クオリアの連結子化もあり、スマートフォン向けのコンテンツ制作支援や業務支援等をけん引役にソリューションコンテンツの売上も同68.4%増と伸びた。
 
 
 
第1四半期末の総資産は前期末比433百万円増の4,010百万円。借方では、好調な業績を反映して現預金が増加した他、投資有価証券も増加。一方、貸方では、繰延税金負債や純資産が増加した。総資産の増加で自己資本比率は前期末比4ポイント低下したものの、81.7%と高水準を維持している。
 
 
2013年5月期業績予想
 
 
通期で前期比28.6%の増収、同5.3%の経常増益を見込む
売上高は前期比28.6%増の3,590百万円。交通情報サービス(株)の通期寄与やスマートフォン向け対応領域の拡大・拡張に加え、第2四半期(9-11月)にはソーシャルゲームの配信開始も予定しているコンテンツサービス事業の売上が1,860百万円と同21.3%増加。(株)フォー・クオリアの寄与や広告(店頭アフィリエイト)、ソリューション(コンテンツ制作支援、業務支援等)を中心にソリューション事業の売上も1,730百万円と同40.1%増加する見込み。
利益面では、スマートフォン対応やプロモーション活動の強化に伴う先行費用が負担となるものの、増収効果で吸収して営業利益は325百万円と同6.8%増加する見込み。配当は1株当たり20円増配の期末150円を予定。
 
 
今後の注目点
コンテンツのスマートフォン対応の進捗、的確なM&A、更にはアライアンスによる新たな事業展開と、本格的な拡大期を迎えるスマートフォン関連需要の取り込みに向けた体制整備が進んでいる。ただ、第1四半期の好決算はM&A効果によるところが少なくなく、対応を進めたスマートフォン関連の商材が収益に寄与してくるのはこれから。また、ソリューション事業におけるクライアントのスマートフォン対応も緒に付いたばかりで、今後、販売促進、売上拡大、業務効率改善、コスト削減、顧客満足度向上等の面から、ソリューションサービスに対するニーズが本格化してくるものと思われる。モバイルコンテンツとリアル店舗を結びつけたアライアンス事業等は同社ならではのもので、自社でシステム開発力を有する強みが発揮されている。07/5期の最高益更新以降、苦戦が続いていた同社だが、業績トレンドが大きく変わりつつある。