ブリッジレポート
(6498) 株式会社キッツ

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ブリッジレポート:(6498)キッツ vol.11

(6498:東証1部) キッツ 企業HP
堀田 康之 社長
堀田 康之 社長

【ブリッジレポート vol.11】2013年3月期上期業績レポート
取材概要「上期のポイントは、バルブ事業における海外の好調と収益性の改善。不採算案件の影響一巡が収益性改善に寄与した事も事実だが、こうした一時的な・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年12月4日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社キッツ
社長
堀田 康之
所在地
千葉市美浜区中瀬1-10-1
決算期
3月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 108,446 4,638 4,388 2,480
2011年3月 106,059 6,341 5,929 3,063
2010年3月 96,592 6,976 6,248 3,079
2009年3月 127,095 7,188 6,475 3,396
2008年3月 149,274 11,615 10,525 6,290
2007年3月 149,512 11,342 10,652 9,973
2006年3月 107,631 9,673 9,132 8,070
2005年3月 95,705 9,627 8,513 5,804
2004年3月 73,802 4,181 2,962 1,598
株式情報(11/13現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
345円 109,222,350株 37,681百万円 4.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
9.00円 2.6% 36.62円 9.4倍 490.65円 0.7倍
※株価は11/13終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
キッツの2013年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
バルブを中心とした流体制御機器・装置の総合メーカー。バルブは、「水道メータ周り」、「ガスメータ周り」、「給湯器」等でよく目にするが、家庭だけでなく、あらゆる産業設備に使われており、同社は素材からの一貫生産を基本に、青銅、鋳鉄、ダクタイル鋳鉄(強度や延性を改良した鋳鉄)、ステンレス鋼等を素材に数万種をラインナップしている。また、バルブの材料として使用される伸銅品の外販を行っている他、フィットネス事業やホテル事業等も手掛けている。バルブでは国内トップ。伸銅品では国内2位のポジションにある。同社を含めた32社でグループを構成している。
 
【沿革】
1951年1月、各種バルブの製造・販売を目的とした(株)北澤製作所として設立(62年9月に(株)北澤バルブに商号変更)。同年4月に長坂工場(山梨県北杜市長坂町)が完成し、青銅バルブの製造・販売を開始した。
 
「常により良い品を、より安く、早く」をキーワードに、高度成長期に事業基盤を確立。77年4月の東証2部上場を経て、84年9月に東証1部に指定替え。95年8月に(株)清水合金製作所を子会社化して水道分野に本格参入した。
 
2001年以降は、選択と集中を進めると共に、キャッシュ・フロー重視の経営を推進。01年11月に旧ベンカングループの半導体製造装置関連事業を、04年3月に東洋バルヴ(株)のバルブ事業を、それぞれ譲受する一方、伸銅品事業を分社化し(株)キッツメタルワークスを設立。05年から06年にかけて、京都ブラス(株)の伸銅品事業や(株)紀長伸銅所の資産を譲受し伸銅品事業を強化した。現在、世界有数のバルブメーカー・グループとして国内はもとより、欧米・アジアに展開。「キッツブランド」の商品は、国内外で高品質の商品として高い評価を得ている。
 
 
【事業セグメントの概要】
事業は、バルブ事業、伸銅品事業、及びその他に分かれ、12/3期の売上構成比は、それぞれ72.8%、18.5%、8.7%。
 
バルブ事業
バルブは、配管内の流体(水・空気・ガスなど)を「通す」、「止める」、「流れを絞る」等の機能を持つ機器で、ビル・住宅設備用、給水設備用、上下水道用、消防設備用、機械・産業機器製造施設、化学・医薬・化成品製造施設、半導体製造施設、石油精製・コンビナート施設など様々な分野で使用されている。同社は世界有数のバルブメーカーであり、耐食性に富む青銅製や経済性に優れた黄銅製の汎用バルブ、或いは付加価値の高いボールバルブやバタフライバルブ等のステンレス製バルブにおいて特に高いシェアを有する。鋳物からの一貫生産も同社の特徴で、日本で最初に「国際品質保証規格ISO9001」の認証を取得。材質や弁種のラインナップを充実させ、建築設備や各種プラントだけでなく環境・エネルギー・半導体分野にも展開しており、また、グローバルコストの実現に向けて海外生産拠点の強化にも取り組んでいる。12/3期の海外売上高は約26%。
 
 
伸銅品事業
伸銅品とは、銅に亜鉛を加えた「黄銅」、すず及びりんを加えた「りん青銅」、ニッケル及び亜鉛を加えた「洋白」等の銅合金を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造等の熱間または冷間の塑性加工によって、板、条、管、棒、線等の形状に加工した製品の総称。キッツグループの伸銅品事業は(株)キッツメタルワークスの事業分野であり、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」を製造・販売している(黄銅棒はバルブ部材の他、水栓金具、ガス機器、家電等の部材としても使用されている)。
 
その他
総合スポーツクラブの経営(フィットネス事業)やホテル・レストラン経営(ホテル事業)を行っている。
 
【バルブ産業の現況】
(社)日本バルブ工業会のデータによると(12年9月発表)、2011年のバルブの生産額は前年比1.3%増の3,975億円。リーマン・ショック後に急減した重要が回復過程にあるが、東日本大震災後の復興計画の遅れに加え、円高や欧州危機等による世界的経済の減速で本格的な需要回復に至っていない。また、輸出入では、共にトップは中国(日本の輸出額1,324億円、同輸入額566億円)、2位は米国(639億円、278億円)、この他、輸出相手国では韓国、タイ、台湾、輸入相手国ではベトナム、韓国、ドイツ。
 
 
 
キッツグループ長期経営計画「KITZ Global Vision 2020」と13/3期の施策
 
創立70周年に当たる2020年に向けた成長戦略であるキッツグループ長期経営計画「KITZ Global Vision 2020」が進行中である。急激な円高や東日本大震災の発生等で、13/3期に売上高1,357億円、営業利益100億円、経常利益93億円を目指していた当面の数値計画は修正せざるを得なくなったが、取り組みのポイントを、(1)国内市場の攻略、(2)プラント案件の収益改善、及び(3)海外市場の攻略の3点に絞り、収益性向上に取り組んでいる。
 
(1)キッツグループ長期経営計画「KITZ Global Vision 2020」
①定性的目標
「真のグローバル企業への進化」をスローガンとして掲げ、企業価値の最大化と強くて良い会社の実現を目指す。
 
 
②定量的目標
21/3期(20年度)に売上高2,500億円、営業利益200億円を目指しており、海外売上高比率を50%に引き上げる。また、有利子負債の削減(10/3期275億円→240億円)による自己資本比率の改善(10/3期54.3%→70%)と資本効率の改善(自己資本利益率の引き上げ、10/3期6%→7%)にも取り組み財務基盤を強化する。
 
(2)「KITZ Global Vision 2020」の達成に向けた13/3期の施策
①国内市場の攻略
多様な用途と幅広い価格帯を有する青黄銅バルブ、シェアアップの余地が大きいバタフライバルブ、付加価値の高い石油化学・一般化学向けステンレスボールバルブ、更にはダクタイルバルブ等、事業拡大余地の大きい分野に注力していく考え。また、青黄銅バルブでは、キッツブランド、東洋バルヴブランド、及び三吉バルブブランドの3ブランド体制を整備し、それぞれの強みを活かせる分野でマーケットを開拓していく。
 
 
販売面で上記3ブランド体制を整える一方、三吉バルブの川越工場閉鎖(11年6月)や東洋バルヴの製販分離を行い(12年1月、製造部門はキッツが吸収し、東洋バルヴは販売会社として再スタート)、製造及び開発部門をキッツ茅野工場とキッツタイに集約した。今後、キッツ茅野工場の生産体制を見直し生産効率を高める他、青黄銅バルブ事業全体を統括する担当執行役員を中心に営業拠点の統廃合や情報の共有化などグループが一体となって事業を進めていく。
 
 
②プラント案件の収益改善
重点市場である石油精製、石油化学、ガス処理等の大型プラント案件での競争力と収益力の強化を図るべく、11年12月に役員直轄によるプロジェクト統括部を新設した。プロジェクト統括部は、営業部門、エンジニアリング部門(設計、技術、品質保証)、及び管理部門(購買・生産管理)の3部門からなる大型プラント案件の専門組織で、エンジニアリング部門が見積もりに関与する事でその精度をあげ、管理部門が採算管理を徹底する。13/3期はプロジェクト案件全体で5億円の損益改善を目指している。
 
③海外市場の攻略
事業拡大余地の大きい中国及びアセアンに経営資源を集中投下していく。特に中国では、建築設備向けや機械・その他工業分野で「KITZブランド」、石炭化学・石油化学分野での「Perrin(ペリン)ブランド」(Perrin GmbH)、及び半導体分野でのキッツエスシーティーブランドの3ブランドで分野別に拡販を図る。
 
 
また、上海、北京、広州、香港において代理店網の拡充に取り組むと共に、現地機械メーカーへのマーケティングを強化している。また、建築設備向け汎用バルブ等のローエンド品から青黄銅バルブ等のミドルエンド品、更には自動ボールバルブ等のハイエンド品に至るまで、幅広い現地ニーズを取り込むべく、設計・開発機能の現地化も進めている。
 
 
また、アセアンでは、現地での拡販を図るべく11年10月にシンガポール現法「KITZ Corporation of Asia Pacific Pte.Ltd」(キッツアジアパシフィック)を設立した。キッツアジアパシフィックは、アセアン各国に密着したネットワークの構築が当面の課題である。
 
 
 
2013年3月期上期決算
 
 
前年同期比1.3%の減収ながら、60.6%の経常増益
売上高は前年同期比1.3%減の556億05百万円。銅相場の下落で伸銅品事業の売上が落ち込んだものの、海外をけん引役とするバルブ事業の伸びでほぼ吸収した。
利益面では、前年同期に不採算案件(中東での大型ガス処理プラント向け案件)の発生で利益が落ち込んだ反動に加え、収益構造改革の進展、海外での値上げの浸透、更には高付加価値品の販売増もあり、売上総利益率が2.8ポイント改善。子会社東洋バルヴの製造部門吸収に伴う退職金関連費用の発生やシンガポール拠点の開設等による販管費の増加を吸収して、営業利益は35億87百万円と同53.0%増加した。社債償還に伴う支払利息の減少等で営業外費用が減少したため(11年10月の償還に供え、10年12月に資金を前倒しで調達していた)、経常利益が34億03百万円と同60.6%増加。子会社三吉バルブの工場跡地売却決定による減損損失1億05百万円等を特別損失に計上したものの、四半期純利益は19億99百万円と同86.2%増加した。
 
 
(2)セグメント別動向
 
バルブ事業
売上高は前年同期比4.4%増の420億62百万円。このうち国内売上は前年同期とほぼ同水準(15百万円増)の274億55百万円。上下水道用バルブが震災の復興需要や水道用給水装置メーカー向けの好調で増加した他、石油化学、ガス、電力関係向けも堅調に推移。一方、半導体製造装置向けバルブ(半導体製造前工程のガス供給ライン等で使われる)が落ち込んだ他、主力の建築設備向けも東日本大震災(以下、震災)後の仮需(6~7億円)の反動で売上が減少した。
一方、海外は146億06百万円と同13.7%増加。石油精製・石油化学向け(売上の90%程度を占める)を中心に北米での売上が増加。欧州では拡販に注力しているキッツブランドで付加価値の高いボールバルブが伸びた。この他、中国を中心とするアジアやシンガポールに販売拠点を新設したアセアンも増収となった。
 
セグメント利益は同43.8%増の45億84百万円。中東での大型ガス処理プラント向けで不採算案件が発生したため前年同期の利益が落ち込んだ反動もあるが、内製化、国内外での調達コスト低減、ライン改善(生産性の改善)等の収益構造改革の成果が顕在化した事に加え、海外での値上げの浸透や高付加価値品の販売増によるところも大きかった。尚、銅相場の下落による収益性改善効果は、中国での鋳鋼バルブ原材料の値上がりでほぼ相殺された。
 
伸銅品事業
黄銅棒市場の縮小を反映して売上高は88億13百万円と前年同期比21.3%減少した。上期の黄銅棒市場は、需要の減少で数量が15,033トン/月と前年同期比9%減少し、単価(製品価格)も材料相場の下落により同17%低下した。利益面では、販管費の削減に努めたものの、売上重量が減少(同6%減)する中、マージンも縮小したため、セグメント利益が1億67百万円と同14.7%減少した。もっとも、第1四半期(4-6月)に発生した原価差益の影響で(一時的なもの)、当初想定していた1億円を67百万円上回った。
 
その他
売上高は前年同期比2.8%減の47億30百万円、セグメント利益は同11.3%減の2億68百万円。東日本大震災の影響がなくなり(前年同期は一時営業を休止した仙台店や水戸店がフル稼働)、フィットネス事業の売上が増加したものの、本年6月に「諏訪ガラスの里」を売却した影響等をカバーできなかった。利益面では、コストダウンでホテル事業の利益が増加する一方、広告宣伝費の増加でフィットネス事業も利益が減少。「諏訪ガラスの里」の売却も減益要因となった。
 
 
(3)会社別動向
 
半導体製造装置向けを手掛けるキッツSCTの売上・利益が大きく落ち込んだものの、キッツ個別の売上・利益が伸びた他、海外子会社も円高の影響を吸収して総じて好調だった。
 
キッツ個別
前年同期比20.4%の増収、同144.9%の経常増益。売上が同55億48百万円増加したが、その約50%は製造部門を吸収した東洋バルヴ向けの売上(27億円)。利益面では、増収効果に加え、キッツアメリカ向け移転価格調整や前年同期の中東向け不採算案件の反動もあり、営業利益が19億97百万円と同5倍弱に拡大した。営業外損益の悪化は東洋バルヴからの配当金がなくなったため。
 
子会社
建築・上下水道関連では、復興需要や水道用給水装置メーカー向けの好調で、上下水道向けを手掛ける清水合金製作所の売上が20%弱増加し、損益も大幅に改善(季節要因から上期は通常赤字となるが、今上期は利益を確保した)。一方、製販を分離した東洋バルヴの売上・利益が減少した他、円高の影響(1バーツ=2.66円→2.57円)等でキッツタイの売上・利益も減少した。
プラント・エネルギー関連では、キッツアメリカ(1USdドル=81.77円→79.77円)や独Perrin社(1ユーロ=115.98円→103.73円)の売上・利益が円高の影響を吸収して大きく伸びた他、付加価値の高いステンレスバルブを手掛けるキッツ昆山も売上・利益が増加。前期は赤字だった台湾北澤や汎用の鋳鋼バルブを手掛けるキッツ閥門は黒字転換した。一方、設備投資の落ち込みで半導体製造前工程のガス供給ライン等で使われる半導体製造装置向けを手掛けるキッツSCTや中空糸膜フィルターを手掛けるキッツマイクロフィルターの売上・利益が減少した。
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
 
上期末の総資産は前期末比18億71百万円増の968億52百万円。営業CFが改善したため、売掛金の流動化を減らした事が資産増加の要因。自己資本比率は56.8%と同0.4ポイント改善した。
 
 
利益の増加と税金費用の減少(△13億92百万円→△3億49百万円)で営業CFの黒字が大幅に増加したため、海外を中心に設備投資が増加したものの営業CFの範囲に収まった。現金及び現金同等物の上期末残高が前年同期末に比べて大幅に減少したのは前下期(11年10月)に社債60億円の償還があったため。前期末比では42百万円の減少にとどまった。
尚、上期の設備投資はタイでの青銅バルブやバタフライバルブ等の増産投資を中心に20億40百万円を実施。通期の設備投資は60億円を予定しているが40億円程度にとどまりそう。また、上期の減価償却費は13億70百万円。通期で27億50百万円を予定している。
 
 
2013年3月期業績予想
 
(1)下期及び通期の業績予想
 
半導体製造装置向けバルブの苦戦や伸銅品の軟調な需要を踏まえて下期予想は慎重
上期決算を踏まえて通期の業績予想を上方修正したが、下期については、営業利益予想を引き下げる等、総じて慎重なものとなった。バルブ事業は北米及びアセアン向けを中心に海外での売上の伸びが見込めるものの、半導体製造装置向け等の低迷を踏まえ国内の予想を下方修正。伸銅品事業も「事業環境が当初の想定以上に厳しい」として、見通しを引き下げた。為替及び銅価格の前提は、1ドル=80円、1ユーロ=105円、電気銅建値:1トン=700千円
 
 
通期では前期比2.4%の増収、同57.2%の経常増益予想
売上高は前期比2.4%増の1,110億円。市況下落と伸銅品需要の減少による伸銅品事業の落ち込みや「諏訪ガラスの里」売却による影響を、海外をけん引役とするバルブ事業の伸びで吸収する。利益面では、増収効果に加え、不採算案件の影響一巡や収益性の改善で売上総利益率が改善。販管費の増加を吸収して営業利益が72億円と同55.2%増加する見込み。為替及び銅価格の前提は下期前提と同額の、1ドル=80円、1ユーロ=105円、電気銅建値:1トン=700千円。配当は1株当たり4.5円の期末配当を予定(上期末配当と併せて年9円)。
 
(2)セグメント別見通し
 
バルブ事業
国内の半導体製造装置用バルブ(キッツSCT)や工業用フィルタ(キッツマイクロフィルター)等の低迷が続くとみて、下期の売上見通しを10億円強引き下げた。国内市場は建築設備向けバルブが下期も底堅く、上下水道向けバルブも堅調な推移が見込まれる。海外市場も中国向けに不透明感があるものの、北米やアセアンでの好調が続く他、欧州も今期は堅調な推移が見込まれる(尚、子会社は12月決算のため既に第4四半期の半ばにある)。予想利益の引き下げは売上見通しの修正を反映させたため。
 
伸銅品事業
黄銅棒市場の需要の弱さや銅相場の下落を踏まえて下期の売上見通しを引き下げた。ただ、経費削減の進展等で利益予想をわずかに上方修正。
 
その他
上期偏重型の業績のため、下期は上期に比べて売上・利益共に減少する見込み。
 
 
(3)下期の取り組み 欧州地域での販売体制の整備
欧州地域での更なる収益拡大を図るため、ドイツにあるグループ会社Perrin GmbH(以下、Perrin社)の持株会社であるKITZ Armaturen GmbH((株)キッツの100%子会社)を活用してグループシナジーを追及する。この一環として、これまで独自の営業活動を行っていた(株)キッツ、KITZ Corporation of Europe,S.A.(スペイン・バルセロナ、以下、KCE社)、Perrin社の販売体制の見直しを開始した。KITZ Armaturen GmbHが上記3社を統括する事で、意思決定の迅速化と各拠点の協力関係を強化すると共に、欧州におけるマーケティング、市場開拓、製品開発、及びキッツブランド製品の販売を一元的に進めていく考え。
 
 
 
 
※参考 国内で展開するブランドと用途別売上構成比
 
 
 
 
今後の注目点
上期のポイントは、バルブ事業における海外の好調と収益性の改善。不採算案件の影響一巡が収益性改善に寄与した事も事実だが、こうした一時的な要因だけでなく、内製化、国内外での調達コスト削減、更にはライン改善(生産性改善)等、これまでに取り組んできた収益構造改革の成果が顕在化しつつある事や、値上げや高付加価値製品の拡販が成果をあげつつある事にも留意したい。
一方、下期の予想は慎重なものとなったが、足元、シンガポールに拠点を開設したアセアンやシェールガスの開発・生産が活発な北米で好調が続いている。また、国内も半導体製造装置向け以外は概ね堅調で、代理店の在庫も安定的に推移している模様。債務問題が域内経済へ波及し始めた欧州や景気減速の影響がバルブ需要に現れ始めた中国において先行きの不透明感が高まっているが、同社の子会社は12月決算のため13/3期連結業績への影響は限定的だ。来14/3期は、好調なアセアン・北米と足元で減速感のある欧州・中国の綱引きになるが、欧州ではグループシナジーを追求した販売体制の見直し効果に期待したい。