ブリッジレポート
(3034:東証1部) クオール 企業HP
中村 勝 社長
中村 勝 社長

【ブリッジレポート vol.17】2013年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「薬剤師などの積極採用が上期減益の主因だが、一度にこれだけの採用ができるのは、薬科大学の学生や教授の「クオール薬局」に対する高い認知度と・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年12月25日掲載
企業基本情報
企業名
クオール株式会社
社長
中村 勝
所在地
東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー37階
事業内容
調剤薬局チェーン大手。首都圏中心に全国に店舗展開。
決算期
3月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 66,201 3,308 3,238 1,560
2011年3月 60,915 2,804 2,807 1,137
2010年3月 56,305 2,031 2,032 828
2009年3月 49,010 1,526 1,506 653
2008年3月 38,002 1,314 1,298 547
2007年3月 24,827 937 875 403
2006年3月 21,701 779 763 333
2005年3月 20,193 611 580 74
2004年3月 18,500 28 10 -134
2003年3月 11,869 253 413 -33
2002年3月 8,107 5 153 68
株式情報(12/14現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
777円 25,453,700株 19,777百万円 13.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
18.00円 2.3% 64.17円 12.1倍 477.10円 1.6倍
※株価は12/14終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
クオールの2013年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
首都圏を中心に、調剤薬局を全国店舗展開。主に民間中小病院やクリニックを対象とし、医療機関とのマンツーマン体制を堅持する事で調剤薬局間の無駄な顧客獲得競争を排除している。また、新業態店舗にも積極的に取り組んでおり、(株)ローソンと組み調剤薬局とコンビニエンスストアが融合した「ローソン+クオール薬局」では、従来の調剤薬局のイメージを一新するような外観や明るく快適な店舗づくりで差別化を図っている。この他、子会社がSMO事業、食品CRO事業、CSO事業、出版関連事業、売店事業を手掛ける。
※SMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)
 CRO(Contract Research Organization:受託臨床試験実施機関)
 CSO(Contract Sales Organization:医薬品販売業務受託機関)
 
【事業セグメントとクオールグループ】
事業は調剤事業と非調剤事業に分かれ(12/3期は調剤事業の売上が全体の97%を占めた)、連結子会社13社、持分法適用関連会社1社、及びその他の関係会社1社等と共にグループを形成している。
 
調剤事業
同社、きずな(株)、(株)メディカルフィールド等が手掛ける調剤薬局の経営が中心だが、(株)医療総合研究所が手掛ける医療機関を対象とした医療事務受託業務、ホスピタルクオール(株)による病院内コンビニエンスストア事業の収益も含まれている。2012年12月現在のフランチャイズ店1店舗を含めたグループ店舗数は421店舗。
尚、上記の他、持分法適用関連会社ではあるが、ジーエムキュー(株)がドラッグストア併設型調剤薬局の経営を行っている。
 
非調剤事業
フェーズオン(株)のSMO事業、(株)エスカルラボラトリーズの食品CRO(特定保健用食品の臨床試験及び機能性食品等の臨床評価試験の受託)事業、アポプラスステーション(株)及びクオールメディス(株)のCSO事業、メディカルクオール(株)の出版関連事業、メディコ(株)の売店事業、メディプロ(株)の医療関連の経営コンサルティング事業が当セグメントに含まれる。
 
 
【ブランディング強化に向けた取り組み
−QOL branding New philosophy, logo, slogan−】
調剤及び医薬品の販売を目的に1992年10月に設立された同社は2012年10月に設立(創業)20周年を迎えた。電通の調査によると、現状ではコンシューマー(消費者)のクオール認知率は低く、20周年の節目を迎えるに当たって、クオールブランドを確立・強化し認知率の引き上げを図る考え。この一環として、今回、企業理念とロゴマークを刷新した。ブランドアイデンティティの精査・構築とアウター向け施策、更にはインナー向け施策(本社と薬局とのベクトルの統一=横のつながり)を加えた3つのブランディング施策を統合的かつ戦略的に進めていく考え。
 
新企業理念: わたしたちは、すべての人の、
クオリティ オブ ライフに向きあいます。
いつでも、どこでも、あなたに。
スローガン : あなたの、いちばん近くにある安心
 
認知度向上とクオールブランドの確立を図るべく、企業名の「Q」「O」「L」を使用している。

QOLの一筆書きは、「社会とのつながり=絆」を象徴したもので、家族、医療、社員の「絆」、或いはアライアンス先である ローソンやビックカメラ、JR西日本グループ等、各種各様の「絆」を表現。また、QOLの一筆書きは「人の顔」にも似ており、「ひとつのキャラクター」としての存在感を象徴している。

また、力強く、動きのある「Q」「O」「L」の文字には、クオール全体が大きな勢いで発展する事への願いが込められている。
 
 
【長期目標】
当面の目標は、新中期計画(後述)で掲げた15/3期に売上高1,150億円以上だが、長期的には売上高を3,000億円規模に引き上げる必要があると考えており、調剤事業における店舗ネットワークの拡大やM&A、更には新たなアライアンスを成長の原動力としていく考え。また、クオールブランドの強化にも取り組み、この一環として、クオールカード※(2012年12月現在で会員数23万人突破)の全店導入を進め、患者さまの利便性を高めることで他社との差別化を図る。また、ホスピタルローソン(病院内売店)による出店を進め、更にメディコ(株)の売店事業をホスピタルローソンに切り替えていく(37店舗中ホスピタルローソンは2店舗)。これにより、クオール薬局とのコラボレーションを図るとともに、病院との関係強化を図り未分業先の開拓につなげていきたい考え。この他、非調剤事業では、ブランド力を生かした成長機会を創出し、収益改善を図るとともにSMO、食品CRO、CSOに経営資源を投下して強化を図る。
※クオールカード:患者さまの同意を得た上で、全国のクオール薬局で患者さま個々の処方情報を照会できるサービス
 
 
新中期経営計画(13/3期〜15/3期)
 
最終年度の15/3期に売上高1,150億円以上、営業利益率6.4%(営業利益73.6億円)以上を目指す新中期経営計画が、この4月にスタートした。「わたしたちは、すべての人の、クオリティ オブ ライフに向きあいます。いつでも、どこでも、あなたに。」の企業理念の下、『「選ばれる薬局」「QOLサポート企業」としてのクオールブランドを確立し、変化に強い企業体質を実現』を中期ビジョンとして掲げており、この中期ビジョンの下、\長性の維持、医療連携の強化、社会貢献、ご超への配慮、ツ敢泙寮騎寮・安全性の確保、災害対策、適時適切な情報開示の7項目の基本方針に沿って計画を進めていく考え。
 
 
出店形態の多様化も含めた積極的な新規出店と異業種とのアライアンスやパートナーシップによる共同出店等で主力の調剤事業を強化する。また、MRの派遣を中心とした医薬品の営業及びマーケティングの受託や特定保健用食品に必要なヒト臨床試験の受託で非調剤事業の拡大を図る。更に、潜在成長力の大きい在宅関連事業の育成と専門性の強化に向けたQOL認定薬剤師制度の充実やクオールブランドの強化にも取り組む考え。
薬剤師の採用力が今後の成長の鍵となるが、採用面では、13/3期から15/3期にかけては、毎期、薬剤師300名の採用を計画している。尚、13/3期は6年生薬学生の第一期生を積極的に採用した事で利益率が悪化する(薬剤師187名、医療事務101名等、新卒302名が入社)。
 
 
ローソン併設店が14/3期には100店舗、15/3期は130店舗にまで拡大する他、13/3期第2四半期で140店舗を展開している在宅医療への取り組みも加速する(在宅医療の当面の売上目標は13/3期に20億円以上)。
 
(2)13/3期の取り組みと成果
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2012年8月6日、New Pharmacyの確立による新たな顧客層及びマーケットの開拓を念頭に、近畿地区で駅構内店舗の企画・開発を手掛ける(株)ジェイアール西日本デイリーサービスネット(兵庫県尼崎市)と業務提携。2012年8月23日には、既存業務提携先である(株)ローソンとの関係強化を図るべく資本提携を行った(5%の出資受入)。また、ビックカメラとの事業では、有楽町店に続き、ビックロ(新宿)、名古屋、札幌に出店した。
 
(株)ジェイアール西日本デイリーサービスネットとの提携では、来春以降の近畿エリアでの出店が計画されている。ビックカメラとの提携がクオール薬局の認知度向上に一役買ったが、この提携ではビックカメラ以上の認知度向上効果が期待されている。
 
 
ローソン併設店舗は、13/3期に42店舗の新規出店を予定しており(11/3期3店舗、12/3期5店舗)、13/3期第2四半期累計期間に10店舗を出店した(累計18店舗)。認知度向上と共に処方箋の受付枚数も順調に増加しており、14/3期50店舗、15/3期30店舗の新規出店を計画している。
 
 
ビックカメラ店内へ新規出店した店舗も、認知度の向上と応需医療機関数の増加に伴い処方箋の受付枚数が順調に増加している。また、2012年12月1日に名古屋と札幌で新店がオープンした
 
ビックカメラ店内への出店状況
 
 
非調剤事業の拡大
2012年10 月31日に、CSO事業、薬剤師・看護師紹介派遣事業、及び薬局事業(福島県に4店舗を展開)を手掛けるアポプラスステーション(株)(東京都千代田区)を子会社化した。アポプラスステーション(株)は、1993年に創業し、薬剤師・看護師・保健師等の医療関連人材の紹介及び派遣事業を展開。1998 年には国内企業としては初めてCSO事業に参入。現在、CSO事業を主力事業領域とし、CSO業界でトップクラスの地位にある。
今回のアポプラスステーション(株)の子会社化は、新中期経営計画の取り組みの一つである非調剤事業拡大策の一環。アポプラスステーション(株)を通して成長分野であるCSO市場へ本格参入すると共に、医療関連人材紹介・派遣事業をクオールメディス(株)の同事業と統合する事で非調剤事業の強化・拡大につなげて行く。

尚、同社は新中期経営計画の2年目となる来14/3期の売上高目標として1,000億円を掲げており、その内訳は、調剤事業700億円(積極的な出店とM&Aで420店舗体制を構築)、非調剤事業100億円(治験・CSO事業に経営資源を投下)、及びLAWSON Business 200億円(首都圏を中心に100店舗体制の確立)。
非調剤事業においては、特定保健用食品の臨床試験分野へのCRO事業の展開や院内売店事業(病院との関係強化を図り、未分業先の開拓にもつなげる)の拡大に取り組んでいく考えだが、今回のアポプラスステーション(株)の子会社化により、来期の売上高目標100億円に目処が付いた。2013年1月には、連結子会社クオールメディス(株)とアポプラスステーション(株)が手掛ける人材派遣事業を統合する計画。
 
 
 
2013年3月期第2四半期決算
 
 
前年同期比7.1%の増収、同54.6%の経常減益
既存店の好調とM&A効果で連結売上高の約97%を占める調剤事業の売上が328億45百万円と同6.4%増加した。ただ、新規出店の遅れと前期以降の新規出店店舗の売上の伸び悩みで期初予想には届かず5.3%の下振れ。このため、薬剤師を中心にした人員増強が負担となった(人件費が11億20百万円増加)他、4月に実施された薬価及び調剤報酬改定の影響もあり、営業利益が6億05百万円と同57.6%減少。人員増強を織り込み減益を予想していた期初予想をも33.7%下回った。

ちなみに、クオール本体の新規採用は、薬剤師187名、医療事務101名など総計302名。この他、ローソンとの提携事業で、パート・アルバイトが307名増加した。
 
 
1Q(4-6月)は薬価及び調剤報酬改定の影響で原価率が88.6%と前年同期を1.5ポイント上回り、新卒の積極採用で販管費率も9.8%と1.4ポイント上昇した。一方、2Q(7-9月)は新卒薬剤師が店舗配属となった事と新規出店の遅れによる売上の伸び悩みで原価率が90.8%に上昇したものの、新卒薬剤師の人件費負担がなくなった事と経費コントロールで販管費率が7.3%に低下した。13/3期第2四半期決算には反映されなかったものの、第2四半期後半から新規出店ペースが加速しており、経費コントロール効果と相まって収益性は改善傾向にある。
 
 
 
調剤事業
新たに22店舗の新規出店を行うと共にM&Aにより38店舗を傘下に収めた。一方、閉店は2店舗にとどまり、上期末のグループ店舗数は385店舗(直営店380店舗、フランチャイズ店5店舗)と前期末(327店舗)比で58店舗、前年同期末(293店舗)比で92店舗、それぞれ増加した。尚、M&Aは、パラオ調剤薬局(北海道)、コマ薬局(神奈川県)、たくみ薬局(北海道)、及びメディコ(株)(全国でストア事業、レストランカフェ事業を手掛け37店舗を展開)の4件で、全て7月に実施した。

売上高は前年同期比6.4%増の328億45百万円、営業利益は同39.4%減の11億06百万円。新規出店の遅れで売上高が期初予想を下回る中、薬剤師及び医療事務の確保を期初計画どおり進めた事が負担となった他、4月に実施された薬価及び調剤報酬改定の影響も少なからず受けた。

既存店売上高は前年同期比11.2%(12億34百万円)増加。この他、M&Aによる増収効果が10億06百万円(前年同期比4.2%増)、ローソン店舗の物販による売上高の押し上げが7億09百万円。一方、処方箋単価の低いローソン店舗の新規出店が多かったため、新店の売上が9億72百万円(同53.1%)減少した。薬価改定の影響(△6.3%)もあり処方箋単価は9,455円と187円低下。ジェネリック変更率は29.6%と順調に上昇し、上期目標(30%)をほぼ達成。通期では35%を目指している。
 
非調剤事業
人材派遣・紹介事業をけん引役に売上高が11億21百万円と前年同期比30.1%増加したものの、受注堅調ながら売上計上が下期に集中するため上期は損失となった治験関連事業をカバーできず、4百万円の営業損失となった(前年同期の営業損益はほぼ均衡)。
 
 
上期末の総資産は前期末比2億18百万円減の323億64百万円。借方では、新規出店やM&Aに伴い現預金が減少する一方、固定資産が増加。貸方では、配当の支払等で純資産が減少。資金需要を賄うべく、短期から長期にシフトさせつつ有利子負債を積み増した。
CFの面では、利益の減少や店舗増による運転資金の増加で営業CFの黒字が減少する中、M&Aや新規出店で投資CFのマイナス幅が拡大したため、前年同期は5億76百万円だったフリーCFが9億28百万円のマイナスに転じた。また、配当の支払や「従業員持株ESOP信託」の導入に伴う自社株買い等で財務CFもマイナスとなった。尚、8月に業務提携先の(株)ローソンと改めて資本提携を行い、(株)ローソンが同社発行済株式数の5.0%を取得した。
 
 
 
2013年3月期業績予想
 
 
前期比18.8%の増収、同5.5%の経常増益予想剤事業
上期業績を踏まえると共に下期の見通しを引き下げ、通期業績予想を下方修正した。売上の面では、前期及び今上期に新規出店した店舗の売上が当初の予想ほどには伸びていないが、既存店が堅調に推移しており、通期の新規出店計画を達成するべく下期は新規出店ペースも加速する。利益面では、第2四半期以降、経費コントロールが機能し販管費率が改善傾向にある上、仕入先との価格交渉が進み原価低減が期待でき、下期は増益基調に転じる見込み。

通期の新規出店は、クオールグループ51店舗、ローソン併設店42店舗(ナチュラルローソン+クオール薬局、レギュラーローソン+クオール薬局)の合計93店舗の新規出店を計画。配当は、当初の発表通り1株当たり10円の期末配当を実施する予定(上期末配当8円と合わせて年18円)。

尚、2012年12月20日をもって、東京証券取引所市場第一部へ上場している。
 
 
 
今後の注目点
薬剤師などの積極採用が上期減益の主因だが、一度にこれだけの採用ができるのは、薬科大学の学生や教授の「クオール薬局」に対する高い認知度と評価があればこそ。来期の薬剤師の新卒入社は今期を大幅に上回る300名を予定しているが(内定者400名を既に確保)、異業種とのアライアンスやパートナーシップで新規出店余地も高まっているだけに積極採用の成果も早期に現れてくるものと思われる。ただ、売上を想定通りに伸ばす事ができなければ、大量採用は負担になる。上期は売上が下振れしたが、下期は想定した売上を確保できるか否か注目される。東京証券取引所市場第一部への上場を期に、更なる飛躍が期待される。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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