ブリッジレポート
(6465) ホシザキ株式会社

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ブリッジレポート:(6465)ホシザキ電機 vol.4

(6465:東証1部,名証1部) ホシザキ電機 企業HP
鈴木 幸彦 社長
鈴木 幸彦 社長

【ブリッジレポート vol.4】2012年12月期第3四半期業績レポート
取材概要「第3四半期(7-9月)については、特別に大きな変化があったわけではなく、第2四半期までの好調な流れが継続している。復興需要など外部・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年1月22日掲載
企業基本情報
企業名
ホシザキ電機株式会社
社長
鈴木 幸彦
所在地
愛知県豊明市栄町南館3-16
決算期
12月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年12月 169,297 13,808 13,750 7,220
2010年12月 169,379 13,842 13,058 8,884
2009年12月 160,291 8,738 9,455 4,896
2008年12月 170,281 9,364 7,144 4,209
2007年12月 178,379 9,770 9,768 3,546
2006年12月 86,793 3,861 4,586 1,939
2006年6月 34,106 2,971 3,521 1,629
2005年11月 51,231 4,463 4,854 3,204
株式情報(1/17現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,506円 72,128,727株 180,754百万円 6.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 1.2% 124.78円 20.1倍 1,585.30円 1.6倍
※株価は1/17終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
ホシザキ電機の2012年12月期第3四半期決算概要などについてブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
外食産業、病院・老人健康施設、学校・保育園、スーパー、コンビニ、オフィスなどを顧客とし、製氷機、業務用冷蔵庫を始めとした業務用厨房機器の研究・開発・製造・販売を行っている。
製氷機、業務用冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサなどの主力製品では国内トップシェア。製氷機に関してはグローバル市場でもトップシェアである。
独自の製品開発力、高品質、強力な営業力、迅速できめ細かなサービス&サポート体制などが強みであり、同業他社に対する大きな優位性となっている。
海外売上高比率は21.9%(2011年12月期)。ホシザキ電機を含まない連結グループ会社は国内17社、北中米13社、欧州・アジア等16社の合計46社。工場は国内9、中国1、北中米4、欧州2とグローバルでの生産体制を構築している。国内営業体制は、北海道から沖縄までの15販売会社及びその431営業所によって日本全国をカバーしている。また海外では北中米、ヨーロッパ、アジア・オセアニアに、100%独資の販売会社を配置し、全世界を幅広くカバーできる体制を整備している。
 
 
 
2012年12月期第3四半期決算概要
 
 
国内売上好調、利益率も上昇し、今期2回目の上方修正。
第3四半期(7-9月)については、特別に大きな変化があったわけではなく、第2四半期までの好調な流れが継続した。
売上高は前年同期比+5.8%の1,378億円。国内売上は、東北地方を中心とした復興需要の取込み、省エネタイプの業務用冷蔵庫の拡販、同社が「プラス領域」と呼ぶ飲食店以外の新規顧客開拓の進展などを要因に同+7.1%と好調だった。海外売上は、円高の影響と前年にあったディスペンサの特需の反動はあったものの、注力している業務用冷蔵庫の販売は好調で、同+1.2%の増収だった。(円高の影響を除くと同+4.5%と堅調。)
利益面では、国内において人件費の増加があったものの、売上高増加及び積極的な売上総利益率改善施策(原価低減、仕入商品の購買管理強化、利益率の高い製品の拡販等)でカバーし、営業利益は同+17.8%の増益。為替差損5.4億円を計上し、経常利益は同+20.8%の増益となった。

こうした状況の下、11月9日に、今期2回目となる通期業績予想修正を発表した。
前提となる為替レートについては1USD=78円を80円に修正している。(1€は100円で変更なし。)
 
 
(2)セグメント別動向
 
(国内)
・地域別では、関東圏の販社売上が前年同期比+10.7%と、飲食店及び飲食店以外で順調に伸びた。また、復興需要の取り込みにより東北圏も大きく伸びている。

・製品別では、引き続き省エネタイプの業務用冷蔵庫が好調だった。

・同社が「プラス領域」と呼び積極的に開拓を行っている飲食店以外への拡販が着実に進展している。中でも病院や老人健康施設を大きく伸ばした結果、飲食店以外の売上高構成比は50.1%と前年同期に比べ+1.1%増加した。
飲食店向け売上も、構成比こそ低下しているが売上高は前年同期比プラスで推移している。
 
(海外)
・円貨ベースで、前期の第2四半期から今期第1四半期にかけて前年同期比マイナスだった海外売上だが、今期第2四半期(4-6月)の前年同期比が+1.3%とプラスに転じたのち、第3四半期(7-9月)も同+3.2%と上向いている。

・地域別では、構成比はまだ小さいもののアジアが引き続き好調で、第3四半期累計では円貨ベース 同+29.4%、外貨ベース 同+26.3%と大きく増加した。
地域別では、アジアが好調だ。
第2四半期累計では円貨ベース 同 +29.7%、外貨ベース 同 +36.5%と大きく増加した。
米州は円貨ベースで同+1.0%、外貨ベースで同+2.5%と堅調だ。
債務危機問題が懸念される欧州市場は、第3四半期累計で円貨ベースでは同-5.2%と減収だが、外貨ベースでは同+5.6%とプラスになっている。

・製品では、「世界シェアNo.1」を中期的な目標として掲げ、海外市場での拡販に注力している業務用冷蔵庫が着実に伸びている。
 
(3)貸借対照表(BS)及びキャッシュ・フロー(CF)
 
 
総資産は前期末比146億円増加した。内訳としては、現預金が48億円の増加、売上債権が49億円の増加等で流動資産が、150億円の増加。
負債は、未払法人税、賞与引当金がそれぞれ25億円、36億円の増加などで82億円増加した。純資産は、利益剰余金64億円の増加等により64億円増加した。
自己資本比率は60.4%と前期末に比べ1.3%低下したが、第2四半期からは1.8%上昇した。
 
 
2012年12月期業績見通し
 
 
不透明要因はあるものの堅調な国内需要を背景に増収・増益を予想
国内売上は、震災に伴う復興需要の一服や、大手チェーン店による昨年の設備投資抑制からの反動増の息切れなどマイナス要因を、下取り強化など買替需要開拓や、営業・サービス連携強化で補い、10-12月の増収率を前年同期比+3.8%で想定している。
海外売上は、欧州債務危機の影響や子会社ランサーの状況を保守的に見積もり、10-12月を+0.1%と前期比横ばいで見ている。

利益面では、国内における人員補充のための経費支出、海外における業務用冷蔵庫の初期立ち上げや商圏拡大のための先行費用を織り込み、通期の連結営業利益は同+15.9%の増益を予想。
為替差損に関しては、第3四半期累計実績の5億円のみを見込んでいる。
 
(2)今後の取組
第4四半期以降のリスク要因とその対応として、以下の様な点を上げている。
<国内>
復興需要の一服、大手チェーン店による設備投資抑制の反動増の息切れの他、購買力の強い大手チェーン店向け売上比率が上昇しているため、価格競争が激しくなることも想定している。
同社ではこれまで通り、粗利率改善に向けた取り組みを強化していく。

<海外>
2012年11月に欧州の厨房機器メーカー「Aliグループ」が、製氷機メーカーの一つScotsmanグループを買収した。Aliは幅広い製品ラインアップを保有しているが、製氷機だけは持っていなかった。今回の買収によって売上高は世界トップクラスに躍り出る。Aliグループの今後の展開についてはまだ不透明だが、ホシザキ・グループでは、経費管理を強化すると共に、ホシザキアメリカにおける低コスト製氷機の販売開始、冷蔵庫の品揃え強化、代理店強化などで対応していく。この他、以前から進めている以下の様な施策を推進して継続的な売上・利益の拡大を追求していく考えだ。
 
「国内市場」
・営業・サービスの連携強化による市場の深掘
同社の大きな特徴・強みは全国431営業所に配属されている2,700名の営業スタッフと2,300名のサービススタッフだ。サービスに出向いた顧客先のニーズを営業部門に連絡し売上に繋げるように、営業・サービスの連携強化による市場の深掘や、マーケット情報の管理強化を更に推進していく。
 
・チェーン店との関係強化
同社では5店以上を展開している店舗を「チェーン店」と定義しているが、成長力のあるチェーン店との関係強化に力を入れている。
チェーン店売上高は2011年第3四半期累計が前年同期比+4.9%、今期が同+10.9%と堅調に増大している。
2006年にチェーン店向け営業の強化を目的に「チェーン店統括部」を設置した成果が表れていると考えており、今後も継続して関係強化を進めていく。
 
・他社との連携
強力な営業力によって最終顧客との関係強化に力を入れつつも、成熟した国内市場で着実に売上を伸ばしていくために、相互補完が可能な同業他社との提携も強化していく。
大手総合厨房メーカー10社向けの売上高は、2011年第3四半期累計が前年同期比+10.2%、今期累計が同+3.6%と着実に拡大している。
他社製品の取扱も含め、顧客ニーズにきめ細かく対応しボリュームアップを図る。

これらの対策の他、引き続き「下取り強化など買替需要の開拓」、「価格統制、高粗利率製品拡販など粗利率改善強化」、「経費管理強化」なども推進していく。
 
「海外市場」
・業務用冷蔵庫の拡販
同社では「業務用冷蔵庫世界シェアNo.1」を中期的な目標として掲げているが、今期順調に拡大し、着実に成果に結びついている。
今後も、商品性能について高い評価を受けるとともに、積極的な販促、販売チャネルと生産体制の強化など基盤整備に向けた先行投資を実施し、拡販を進めていく。
 
・大手バイインググループとの関係強化の継続
米国市場において、バイインググループ向け売上高は今期 前年同期比で+62.0%と大きく伸長した。
今後も積極的なアプローチを展開していく。
 
・中国における日系以外の市場開拓
今後はいかにして日系以外の現地企業を開拓するかが、成長のための重要なポイントとなるため、ホシザキ上海の総経理に中国人を抜擢し、営業活動を強化する。
また、今年度新たに、天津、南京の2拠点に出店し、販売ネットワーク拡充のための投資も行っていく。
 
 
今後の注目点
第3四半期(7-9月)については、特別に大きな変化があったわけではなく、第2四半期までの好調な流れが継続している。
復興需要など外部環境に恵まれた点もあるだろうが、「プラス領域の開拓」、「競争力の高い省エネタイプの業務用冷蔵庫の投入」、「海外での業務用冷蔵庫の拡販」など同社の特徴・強みが顧客ニーズを確実に取り込んでいると見るべきだろう。

第4四半期(10-12月)についても、足下10月、11月の動向は堅調の様であり、円安傾向もプラス要因だ。
一方、同社の事業構造から、売上高のウェイトが高いのは夏場を挟む4-9月であり、10-12月は最も構成比が小さいため、下振れのリスクも限られたものとなるだろう。
短期的な業績動向以上に、中国市場開拓の進捗やM&A先のシナジー効果をどのように強めて海外市場開拓を進めるか?に注目していきたい。