ブリッジレポート
(4847:JASDAQ) インテリジェント ウェイブ 企業HP
山本 祥之 社長
山本 祥之 社長

【ブリッジレポート vol.15】2013年6月期上期業績レポート
取材概要「13/6期は損失計上が避けられないが、不採算案件への対応が一巡し下期は利益を確保できる見込み。授業料は高くついたが、良好な財政状態が維持され・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年2月26日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インテリジェント ウェイブ
代表取締役社長
山本 祥之
所在地
東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー
事業内容
クレジットカード決済システム首位。大日本印刷グループ入りで営業力強化が進展
決算期
6月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年6月 5,241 131 154 270
2011年6月 4,762 321 341 129
2010年6月 4,956 358 387 211
2009年6月 5,527 228 235 187
2008年6月 6,695 417 403 -5
2007年6月 6,367 389 407 -295
2006年6月 7,137 1,482 1,452 947
2005年6月 5,174 678 688 264
2004年6月 5,257 371 365 156
2003年6月 5,891 1,177 1,161 539
2002年6月 5,505 1,854 1,846 1,003
株式情報(2/18現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
17,530円 263,400株 4,617百万円 5.6% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
500.00円 2.9% - - 18,679.92円 0.9倍
※株価は2/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
インテリジェント ウェイブの2013年6月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
クレジットカードの決済システムに強みを持つソフトウエア開発会社。リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術、システムを止めないためのノンストップ技術、更には高度なセキュリティ技術を技術基盤としており、証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する他、カード不正利用検知システムや内部情報漏洩対策システム等も手がける。大日本印刷(株)が議決権の50.61%を保有する筆頭株主。グループは、同社の他、韓国で開発・販売を手掛ける連結子会社INTELLIGENT WAVE KOREA INC.1社。
 
【事業内容】
事業は、カードビジネスのフロント業務、システムソリューション業務、及びセキュリティシステム業務に分かれ、12/6期の売上構成比は、それぞれ43.8%、43.8%、10.0%。 この他、報告セグメントではないが、大日本印刷(株)との連携の下、自社製品と他社製品(パッケージ)を組み合わせたクロスソリューション事業にも力を入れている。
 
カードビジネスのフロント業務
クレジットカード会社、銀行、大手小売業等向けに、「NET+1」をベースにしたカード決済にかかるフロント業務のシステム構築を行っている。フロント業務のシステムとは、クレジットカード会社が加盟店や信用情報センターとの接続に必要なシステム。銀行(CD/ATM、海外ATM網等の対外系接続システムとの接続)や消費者金融等でも使われている。「NET+1」はハードと自社開発のパッケージソフトからなり、大手クレジットカード会社向けではシェア70%の実績を有する。また、「加盟店や決済代行会社等向けに初期投資の抑制とランニングコストの低減が可能なLinux 対応の「Linux NET+1」の提供も行っている。
 
システムソリューション業務
クレジットカード会社等に対するソフトウエア開発及びシステム保守、クレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」に係るソフトウエア開発及びシステム保守、オンライン証券会社・機関投資家(バイサイド)向けに高速情報基盤システム(証券取引所等から提供される市況データや気配値等を素早く社内の各端末に配信するシステム)の構築、及び大日本印刷グループ企業向けのソフトウエア開発等を行っている。
 
セキュリティシステム業務
自社製品である内部情報漏洩対策システム「CWAT」を中心にセキュリティ関連の製品・サービスを提供しており、親会社である大日本印刷(株)と共にセキュリティ関連の新事業(サービス)の開発も進めている。
 
その他(新規事業)
企業ウェブサイトの付加価値を高める自社製のナビゲーションツール「Faceコンシェル」と、イスラエルCHECKMARX社製ソースコード解析ツール「CxSuite」によるセキュリティガバナンス強化改善等、自社製品と他社製品(パッケージ)を組み合わせたクロスソリューション事業。大日本印刷(株)との連携の下、営業活動を行っている。
 
 
※ ソースコード解析ツール「CxSuite」(イスラエルCHECKMARX社製品)
Webアプリやサイトの脆弱性を検出・解析・解決するためのパッケージ製品。個人情報の流出、システムダウン、改ざん等につながる脆弱性を静的に検出・解析・解決できる(ソースコードを解析する事で稼働テストに先駆けて、脆弱性を発見し、原因を特定すると共に修正作業を行う事ができる)。
 
【沿革】
1984年12月、米国ノンストップコンピュータ・メーカーの日本法人 日本タンデムコンピューターズの社長等を務めた現会長の安達一彦氏が中心となり、コンピュータ機器の輸出入・販売、コンピュータソフトウェアの開発等を目的に設立された。当時のソフト開発会社はメーカーの下請けが多かったが、同社は自主独立を志向しパッケージソフトの開発を目指し、米国製の24時間稼動ノンストップコンピュータ向けパッケージソフトの開発に取り組んだ(24時間稼動ノンストップコンピュータに独自開発のパッケージソフトを組み込んで販売)。当時の日本において、24時間ノンストップでコンピュータが稼動しているのはクレジットカード業界のみであったため、自ずと同業界との関係が深くなったと言う。
 
転機となったのが89年の「NET+1」の開発。価格競争力や短納期といったパッケージソフトの持つ強みに加え、カスタマイズの容易さ等が評価され、大手クレジットカード会社や消費者金融等のノンバンクはもちろん、銀行等でも利用が広がった。「NET+1」の開発により、クレジットカード会社向けのパッケージソフト開発会社として認知され、クレジットカードビジネスの拡大に乗って業容を拡大、2001年6月に株式を店頭登録した(現在はJASDAQに上場)。
 
10年4月には大日本印刷(株)が同社株式の公開買付けを行い、議決権の過半を取得した(現在、大日本印刷(株)が議決権の50.61%を保有)。以後、大日本印刷グループ内での豊富な開発案件の取り込みに加え、大日本印刷(株)との連携による同グループの優良な顧客資産の掘り起こしに取り組んでおり、下記の通り、その成果も順調にあがっている。
 
【カードビジネスのフロント業務の特徴と同社の強み −ネットワーク技術、ノンストップ技術、ノウハウ−】
クレジットカードの利用に際しては、その都度、与信限度額や返済状況の確認作業が行われ、また、キャッシシングの際には口座残高の確認も必要となる。こうした確認作業はネットワークを介してリアルタイムで行われ、特にクレジットカードの場合、世界的なネットワークを介しての作業となる。また、システムが止まるとカードが使えなくなるため、24時間365日システムを止めないための技術やノウハウも必要だ。つまり、「カードビジネスのフロント業務」で培った、リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術やシステムを止めないためのノンストップ技術、及びノウハウ、が同社の強みであり、この強みを電子コマース関連やセキュリティ等の分野に展開していく事で業容の拡大を図っていく考え。
 
 
2013年6月期上期決算
 
 
前年同期比5.8%の増収ながら、8億31百万円の経常損失(前年同期は33百万円の利益)
売上高は前年同期比5.8%増の26億76百万円と期初予想に沿った着地。前年同期に親会社大日本印刷(株)が手掛けるハイブリッド書店システムの開発等で売上が伸びた反動でシステムソリューション業務の売上が同16.8%減少したものの、バックオフィスシステムの構築を含めた大型案件の寄与でカードビジネスのフロント業務の売上が同30.3%増加。営業活動の成果で内部情報漏洩対策システム「CWAT」のライセンス収入が伸び、セキュリティシステム業務の売上も同13.4%増加した。
 
ただ、営業損益は大幅に悪化し、8億34百万円の損失。カードビジネスのフロント業務において増収に寄与した上記の大型案件だが、開発の遅れをカバーするべく予算以上の技術者投入を余儀なくされた上(第2四半期に第1期開発業務が完了しシステムが稼働)、稼働後も不具合対応で追加コストが発生。具体的には、予算を上回る技術者投入に伴う労務費及び外注費7億50百万円及び第3四半期に発生が見込まれる超過経費の一部引き当て1憶41百万円が想定外の売上原価として発生(合計で8億91百万円の損益悪化要因)。この結果、売上原価が29億27百万円となり、売上高を2億51百万円超過した。
 
 
不採算プロジェクトの影響がなければ製造原価16億40百万円にとどまり、製造原価率は80.6%だった。
 
 
大型案件は第鬼開発業務(開発全体の80%)が第2四半期前半に完了し11月に稼働した。しかし、第2四半期半ば以降は修正作業への対応を迫られ、第2四半期末には決済範囲の追加に伴う第2期開発業務がスタートした。第挟開発業務は3月末で終了する予定だが、苦労した甲斐があってユーザーの評価上々。更なる追加案件の引合を受けていると言う。
 
 
カードビジネスのフロント業務
売上高が13億86百万円と前年同期比30.3%増加したものの、4億95百万円の損失となった(前年同期は3億35百万円の利益)。既に説明した通り、売上が増加する中で、損益が悪化したのはチャレンジした大型案件が不採算となったため。加えて、リソースを重点的に大型案件に割いた影響で、受注が好調に推移する中、売上高は期初予想に届かなかった。サブセグメントでは、大型案件の寄与でソフトウエア開発が大きく増加する一方、前期に大型の更新需要があった反動でハードウエア販売が減少した。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発    598百万円 → 972百万円
自社開発パッケージ    49百万円 →  10百万円
保守売上        190百万円 → 193百万円
ハードウエア販売    222百万円 → 165百万円
仕入パッケージ      0百万円 →  43百万円
 
システムソリューション業務
売上高10億73百万円(前年同期比16.8%増)、セグメント利益95百万円(同58.1%減)。厳しい事業環境を反映して証券業界のシステム投資が低迷する中、親会社大日本印刷(株)が手掛けるハイブリッド書店関連の開発が一巡したため、ソフトウエア開発及びハードウエア販売を中心に売上が減少。開発業務の採算も悪化した。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発    716百万円 → 599百万円
自社開発パッケージ    18百万円 →  31百万円
保守売上        151百万円 → 151百万円
ハードウエア販売    242百万円 → 148百万円
仕入パッケージ     157百万円 → 133百万円
 
セキュリティシステム業務
売上高1億69百万円(前年同期比13.4%増)、セグメント損失1百万円(前年同期は74百万円の損失)。営業活動の成果で内部情報漏洩対策システム「CWAT」のライセンス収入が伸び、売上が予想を超過。コスト削減も進んだ。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発     12百万円 → 30百万円
自社開発パッケージ    17百万円 → 40百万円
保守売上        102百万円 → 84百万円
仕入パッケージ      17百万円 → 13百万円
 
その他
Webシステムの脆弱性を検出・解析するパッケージ製品「CxSuite」の販売及びカスタマイズ等で売上高47百万円(前年同期比95.6%増)を計上。営業損失は前年同期の74百万円から53 百万円に減少した。
 
(3)受注及び受注残高
過払い金対応が完了したクレジットカード会社を中心に案件が動き出しており、受注は回復傾向。第2四半期(10-12月)の受注高は12億87百万円と、11/6期の同期(7億41百万円)及び12/6期の同期(8億20百万円)を大きく上回り、第2四半期末の受注残高も22億50百万円と近年では高水準。
 
 
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
不採算案件の発生によるCFと損益の悪化で上期末の総資産は51億27百万円と前期末比12億35百万円減少した。ただ、無借金経営で自己資本比率も77.0%と高く、財政状態は良好。下期はCFの改善も見込まれる。
 
 
 
 
2013年6月期業績予想
 
 
前期比10.6%の増収ながら、5億30百万円の経常損失を見込む
上期決算を反映させると共に、上期の受注動向を踏まえて下期の見通しを修正した。具体的には、カードビジネスのフロント業務における受注回復を反映させ連結売上高を上方修正する一方、利益面では、カードビジネスのフロント業務において想定を上回った大型案件の影響を改めて織り込んだ他、各事業の売上及び収益性を現実に即して保守的に見直した。
配当予想に変更はなく、1株当たり500円の期末配当を実施する予定。
 
 
 
 
(2)事業環境と下期以降の取り組み
主要取引先であるクレジットカード会社において過払い金対応が一巡しシステム投資が動き始めた事に加え、ネットショッピングの拡大、ポイントサービスの拡充、更にはNFC(後述)端末の普及等、新しいチャネルの増加も追い風となる。
 
こうした中、同社の上期はバックオフィスシステムの開発を含めたチャレンジ案件が不採算となり苦戦を強いられたが得たものも多く、この経験を今後の受注と収益の拡大につなげていく考え。また、ここ数年、ハードウエアや仕入パッケージ等の商品売上の構成比が上昇してきたが、収益性改善にもつながる製品(ソフトウエア開発、自社開発パッケージ、保守等)販売を改めて強化する。
下期以降の業務区分毎の取組みは次の通り。
 
 
NFC
近距離無線通信規格のデファクトスタンダードで、搭載機器を近づけるだけでデータをやりとりが可能。ソニーとフィリップス(現NXPセミコンダクターズ)が共同開発し国際標準規格として承認された。
 
DNPモバイルWallet
モバイルWalletは大日本印刷(株)が開発したクラウド型サービス。スマートフォンでの決済やクーポン、ポイント等のサービスに対応した多様なアプリケーション(アプリ)を一元管理し、これらに関わる業務を総合的に支援する。利用者は、決済とクーポンの同時処理をはじめ、バンキング、ポイント、ヘルスケア等の複数のサービスを連動して利用でき、事業者は、ポイントサービスの活用や、利用者の購買履歴に基づくクーポン情報配信等によって売上拡大を図る事が可能。(株)ジェーシービーへの提供が決まっており、実証実験も終了している。
 
 
今後の注目点
13/6期は損失計上が避けられないが、不採算案件への対応が一巡し下期は利益を確保できる見込み。授業料は高くついたが、良好な財政状態が維持されている事もあり、「この経験が今後の経営に活かされるのであれば」と前向きに考えたい。同社の売上高は06/6期の71億37百万円をピークに減少傾向が続いたが(08/6期は増収)、前12/6期は4期ぶりの増収に転じ、今13/6期は2期連続の増収が見込まれる(02/6期以降の10年間で2期連続の増収は始めて)。主要取引先であるクレジットカード会社においてシステム投資案件が動き始めた事に加え、大日本印刷(株)とのシナジーもあり、JR東日本グループのクレジットカード「VIEWカード」の次期システム開発(2年案件)への参画やコンビニ系銀行の案件受注(プロセス毎の受注になるため、受注単価は小規模だが受注が継続する)にも成功している。また、協力会社の力量を踏まえた発注や見積もりの精査(事前にリスクを排除)を念頭に業務推進室を設置する等、管理面での強化も進んでいる。受注残及び足元の受注動向を考えると13/6期の売上高予想は保守的との声も聞かれる中、今回の経験が今後の経営にどのように活かされていくか注目していきたい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
Copyright(C) 2017 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

« ブリッジレポート:(5162)朝日ラバー vol.22 | ブリッジレポート:(4573)アールテック・ウエノ vol.15»

ブリッジレポート(バックナンバー)
アンケート
ブリッジメール
アラート申込み
CLOSE