ブリッジレポート
(6498:東証1部) キッツ 企業HP
堀田 康之 社長
堀田 康之 社長

【ブリッジレポート vol.12】2013年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「リーマン・ショック後の厳しい事業環境の中で同社はグローバルな生産体制の構築等に取り組んできたが、13/3期決算はその成果が顕在化しつつ・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年3月12日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社キッツ
社長
堀田 康之
所在地
千葉市美浜区中瀬1-10-1
事業内容
バルブ国内首位。特に建築設備や石油化学向け強い。海外開拓に積極姿勢。伸銅品も国内上位
決算期
3月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 108,446 4,638 4,388 2,480
2011年3月 106,059 6,341 5,929 3,063
2010年3月 96,592 6,976 6,248 3,079
2009年3月 127,095 7,188 6,475 3,396
2008年3月 149,274 11,615 10,525 6,290
2007年3月 149,512 11,342 10,652 9,973
2006年3月 107,631 9,673 9,132 8,070
2005年3月 95,705 9,627 8,513 5,804
2004年3月 73,802 4,181 2,962 1,598
株式情報(3/6現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
465円 109,221,725株 507,88百万円 4.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
9.00円 1.9% 36.62円 12.7倍 490.65円 0.9倍
※株価は3/6終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
キッツの2013年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
バルブを中心とした流体制御機器・装置の総合メーカー。バルブは、「水道メータ周り」、「ガスメータ周り」、「給湯器」等で目にする身近な存在だが、家庭だけでなく、あらゆる産業設備に使われており、同社は素材からの一貫生産を基本に、青銅、鋳鉄、ダクタイル鋳鉄(強度や延性を改良した鋳鉄)、ステンレス鋼等を素材に数万種をラインナップしている。また、バルブの材料として使用される伸銅品の外販を行っている他、フィットネス事業やホテル事業等も手掛けている。バルブでは国内トップ。伸銅品では国内2位のポジションにある。同社を含めた32社でグループを構成している。
 
【事業セグメントの概要】
事業は、バルブ事業、伸銅品事業、及び総合スポーツクラブの経営(フィットネス事業)やホテル・レストラン経営(ホテル事業)のその他に分かれ、12/3期の売上構成比は、それぞれ72.8%、18.5%、8.7%。
 
バルブ事業
バルブは、配管内の流体(水・空気・ガスなど)を「通す」、「止める」、「流れを絞る」等の機能を持つ機器で、ビル・住宅設備用、給水設備用、上下水道用、消防設備用、機械・産業機器製造施設、化学・医薬・化成品製造施設、半導体製造施設、石油精製・コンビナート施設など様々な分野で使用されている。同社は世界有数のバルブメーカーであり、耐食性に富む青銅製や経済性に優れた黄銅製の汎用バルブ、或いは付加価値の高いボールバルブやバタフライバルブ等のステンレス製バルブにおいて特に高いシェアを有する。鋳物からの一貫生産も同社の特徴で、日本で最初に「国際品質保証規格ISO9001」の認証を取得。材質や弁種のラインナップを充実させ、建築設備や各種プラントだけでなく環境・エネルギー・半導体分野にも展開しており、また、グローバルコストの実現に向けて海外生産拠点の強化にも取り組んでいる。12/3期の海外売上比率は約30%。
 
 
伸銅品事業
伸銅品とは、銅に亜鉛を加えた「黄銅」、すず及びりんを加えた「りん青銅」、ニッケル及び亜鉛を加えた「洋白」等の銅合金を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造等の熱間または冷間の塑性加工によって、板、条、管、棒、線等の形状に加工した製品の総称。キッツグループの伸銅品事業は(株)キッツメタルワークスの事業分野であり、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」を製造・販売している(黄銅棒はバルブ部材の他、水栓金具、ガス機器、家電等の部材としても使用されている)。
 
 
2013年3月期第3四半期決算
 
 
不採算案件の一巡と収益構造改革の成果で前年同期比40.9%の営業増益
売上高は827億44百万円。海外をけん引役にバルブ事業の売上が増加したものの、伸銅品事業やホテル事業の売上が減少。事業売却の影響もあり、ほぼ前年同期並みの売上にとどまった。

営業利益は同40.9%増の51億31百万円。不採算案件の一巡と収益構造改革の成果でバルブ事業の利益が同29.7%増加。売上が減少した伸銅品事業も販管費の削減が進み同43.3%の増益。
為替差損益の改善(△63百万円→20百万円)や有利子負債の減少による支払利息の減少等で経常利益は49億90百万円と同48.0%増加。三吉バルブの工場跡地売却確定に伴う減損処理費用1億05百万円の計上等で特別損失が前年同期の1億36百万円から2億17百万円に増加したものの、税効果会計の影響により四半期純利益は29億99百万円と同74.0%増加した。
 
 
(2)セグメント別動向
 
バルブ事業
売上高は前年同期比4.6%増の627億28百万円。このうち国内は同1.6%増の412億58百万円。半導体製造装置向けバルブ(半導体製造前工程のガス供給ライン等で使われる)が同30%減少したものの、主力の建築設備向けが同2%増加した他、耐震設計の長寿命バルブの好調で上下水道向けが同24%増加。石油精製・化学(同27%増)、ガス(同5%)、電力(同25%)を販売先とする工業用バルブも堅調に推移した。

一方、海外売上は同10.9%増の214億70百万円。石油精製・石油化学向けをけん引役に北米が同29%増と大きく伸びた他、欧州もキッツブランド製品を中心に同4%の増加。アジアも、経済成長鈍化の影響を受けた中国や大型プロジェクト物件が一巡した中東が減少したものの、シンガポールに販売拠点を新設し販売を強化しているアセアンをけん引役に同6%増加した。
尚、欧州では、「キッツブランド」の他、石油精製・石油化学のプロセスラインで使用されるメタルシートボールバルブに強みを持つドイツ子会社の「Perrin」ブランド、及び鋳鋼製やステンレス製のボールバルブが中心のスペイン子会社の「ISO」ブランド、の3ブランド体制の下で用途や地域特性に応じて展開している。

セグメント利益は同29.7%増の66億66百万円。中東での大型ガス処理プラント向けが不採算となった影響で前年同期の利益が落ち込んだ反動もあるが(7.5億円の損益改善要因)、内製化、国内外での調達コスト低減、ライン改善(生産性の改善)等の収益構造改革の成果や、海外での値上げ浸透及び高付加価値品の販売増によるところも大きかった。
 
伸銅品事業
伸銅品事業は連結子会社(株)キッツメタルワークスの事業領域である。需要(数量)の減少と価格の低下で売上高が131億34百万円と前年同期比15.5%減少したもの、販管費の削減等が進みセグメント利益は2億49百万円と同43.3%増加した。尚、需要動向の判断材料となる国内黄銅棒市場(月間取引量)は前年同期(4-12月)比5.4%減の14,927トン/月(11年通年の平均は15,600トン/月程度)。材料相場(電気銅相場)の下落で製品価格も前年同期比15.5%低下した。
 
その他
売上高は前年同期比5.2%減の68億81百万円、セグメント利益は同8.9%減の3億66百万円。東日本大震災の影響(前年同期は一時営業を休止した仙台店や水戸店が会計期間を通して稼働)がなくなり、(株)キッツウェルネスが手掛けるフィットネス事業の売上が増加したものの、団体客の減少や中央道笹子トンネル事故の影響(年末年始需要に影響)等で(株)ホテル紅や が手掛けるホテル事業の売上が減少。12年6月に「諏訪ガラスの里」を運営する(株)諏訪ガラス工房を売却した影響もあった。
 
 
(3)会社別動向
同社個別及び半導体製造装置向けを除くバルブ事業を手掛ける子会社の業績が総じて好調に推移したものの、既に説明した通り、伸銅品事業やホテル事業を手掛ける子会社が苦戦を強いられた。
 
 
売上高は前年同期比18.6%増の487億71百万円。金額ベースでは76億65百万円の増加で、12年1月に吸収分割した東洋バルヴ向けが41億86百万円増加した他、海外販売も24億98百万円増加した。利益面では、増収効果に加え、キッツアメリカ向け移転価格調整や前年同期の中東向け不採算案件の反動等で営業利益が同3.1倍に拡大(同18億48百万円増)。東洋バルヴからの配当が無くなったため営業外損益が悪化したものの、経常利益も同2.2倍に拡大した(同16億62百万円増)。
尚、12年1月に(株)キッツが連結子会社東洋バルヴ(株)の製造部門を吸収しており、東洋バルヴ(株)はキッツ製品の販売会社となった。
 
子会社の動向
建築・水関連では、製造部門を分離した影響で東洋バルヴ(株)の売上・利益が前年同期比で減少したものの、耐震設計の長寿命バルブの好調で上下水道向けを手掛ける(株)清水合金製作所の利益が同4.5倍に拡大(同16.1%の増収)、円高に振れたもののキッツタイの利益も増加した。
プラント・エネルギー関連では、若干の円高だったが台湾北澤の利益が同4倍弱に増加。中国ではステンレスバルブを手掛けるキッツ昆山の利益が1.5倍に拡大した他、鋳鋼バルブを手掛けるキッツ閥門が黒字転換。石油精製・石油化学のプロセスラインで使用されるメタルシートボールバルブの好調でドイツPerrin社の利益が同32.8%増加した。一方、米国ではキッツアメリカが31.4%の増収ながら、12.5%の減益。

伸銅品事業やその他の事業を手掛ける子会社はセグメント別での説明の通り。
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
 
第3四半期末の総資産は前期末比9億26百万円増の959億08百万円。借方では、CFの改善に伴い手形の流動化を抑制した事で売上債権が増加。貸方では、有利子負債が減少する一方、未払法人税等(4億84百万円→13億98百万円)や純資産が増加した。自己資本比率は58.3%と前期末比1.9ポイント改善した。
 
 
利益の増加や売上債権の回収及び棚卸資産の減少等による資金効率の改善、更には納付時期のずれによる税金費用の減少(△21億84百万円→△9億99百万円)もあり、前年同期は5億55百万円だった営業CFの黒字が40億52百万円に増加。設備投資の増加で投資CFのマイナス幅が拡大したものの、10億97百万円のフリーCFを確保した。余剰資金を有利子負債の削減に充て、財務の健全化を進めた。
 
 
2013年3月期業績予想
 
(1)第4四半期見通し
 
売上高の見通し
バルブ事業は総じて堅調な推移が見込まれ、国内は半導体製造装置用バルブの苦戦が続くものの、建築設備向けバルブが底堅く推移する他、需要期の終盤を迎えている上下水道向けバルブも堅調な推移が見込まれる。海外も、中国の苦戦が続くものの、アジア及び北米を中心に好調が続く見込み。また、前期に実施した海外子会社の決算期変更の影響(前期は10カ月決算だった)でタイや台湾の子会社の売上が押し上げられる。
伸銅品事業は素材である電気銅の建値が上昇傾向にあり製品価格への波及が期待される。また、過度な円安の修正も価格競争力の強化に一役買う。この他、フィットネス事業やホテル事業は計画内での推移が見込まれる。
 
利益の見通し
バルブ事業の利益が前年同期及び前四半期に比べて大きく伸びる見込み。前年同期に対しては、増収(27億56百万円)による限界利益の増加に加え、上記の海外子会社の決算期変更が1億円の利益押し上げ要因となる他、低価法による評価減の減少も1億円の利益押し上げ要因となる。一方、前四半期に対しては増収による限界利益の増加に加え、弁種ミックスによる利益率の改善が見込まれる(付加価値の高い製品が伸びる)。
伸銅品事業では、製品価格の上昇による採算の改善が見込まれる(緩やかな電気銅建値の上昇は収益にプラス)。
 
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比2.4%の増収、同55.2%の営業増益
通期業績予想に変更はなかった。進捗率は、売上高74.5%(実績ベースの前年同期進捗率76.3%)、営業利益71.3%(同78.5%)、経常利益72.3%(同76.8%)、当期純利益75.0%(同69.5%)。若干利益面での進捗遅れを感じるが、既に説明した通り第4四半期は収益性の改善要因が多い。
配当は1株当たり4.5円の期末配当を予定(上期末配当と合わせて年9円)。
 
 
 
 
今後の注目点
リーマン・ショック後の厳しい事業環境の中で同社はグローバルな生産体制の構築等に取り組んできたが、13/3期決算はその成果が顕在化しつつある事を示すものになりそうだ。生産面での進捗を受けて販売面でのグローバル体制の構築にも着手しており、欧州において、キッツブランド、Perrinブランド(ドイツ子会社)、ISOブランド(スペイン子会社)の3ブランドそれぞれが行っていた販売を一本化した他、これまで北米一辺倒だった米州において中南米市場の開拓に取り組んでいる。また、アジアではシンガポールにストックヤードを設け、現地採用の社員と日本から派遣した社員による販売チームを整備し、アセアン各国はもちろん、インド等への販売も強化している。
一方、国内では安倍政権による「金融・財政・成長」の3本の矢によるデフレ・円高対策が同社にとってポジティブな材料であり、また、東日本大震災の復旧・復興事業の効果も顕在化しつつある。現在進行中の長期経営計画「キッツグローバルビジョン2020」の目標達成に向けた歩みを確かなものにするべく、来14/3期は新中期経営計画(13年5月発表予定)が始動する。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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