ブリッジレポート
(6890) 株式会社フェローテックホールディングス

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ブリッジレポート:(6890)フェローテック vol.36

(6890:JASDAQ) フェローテック 企業HP
山村 章 社長
山村 章 社長

【ブリッジレポート vol.36】2013年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「来14/3期は、製造工程の見直しと合理化による人員の減少、業務内容の整理による人員の減少、テーマの絞込みによる研究開発費の効率化効果、更・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年3月26日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フェローテック
社長
山村 章
所在地
東京都中央区日本橋 2-3-4 日本橋プラザビル
決算期
3月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 60,088 4,124 3,287 1,715
2011年3月 57,880 6,931 6,290 4,483
2010年3月 31,541 703 524 156
2009年3月 36,653 2,790 2,097 743
2008年3月 36,625 3,057 2,414 1,903
2007年3月 32,517 2,288 2,081 1,703
2006年3月 23,946 1,210 1,040 708
2005年3月 21,105 1,762 1,456 633
2004年3月 15,000 615 -177 -645
2003年3月 12,845 111 -626 -899
2002年3月 14,775 916 984 -357
2001年3月 16,435 2,665 2,561 1,644
2000年3月 7,988 892 629 288
株式情報(3/5現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
379円 30,810,278株 11,677百万円 5.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
5.00円 1.3% - - 1,090.66円 0.3倍
※株価は3/5終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
フェローテックの2013年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
太陽電池用シリコン単結晶引上装置やシリコン単結晶の製造工程で使用される消耗品である坩堝(世界NO.1)等の太陽電池関連製品、半導体製造装置やフラット・パネル・ディスプレイ(FPD)製造装置の部品、半導体材料、各種温度調節に使われるサーモモジュール等の製造・販売を行っている。いずれも目に触れる機会はないものの、パソコンや携帯電話、液晶やプラズマ等、身近な分野で同社の技術が活かされている。グループは、同社の他、生産の中心を占める中国等の他、欧米、ロシア、台湾等に展開する連結子会社20社、持分法適用関連会社6社。
 
【事業セグメント】
事業は、半導体・FPD・LED等の製造装置に使われる真空シール、石英製品、セラミックス製品等の装置関連事業、サーモモジュールが中心の電子デバイス事業、及びシリコン結晶製造装置や装置に使われる坩堝等の太陽電池関連事業に分かれ、12/3期の売上構成比は、それぞれ41%、9%、46%、その他4%(ソーブレード、装置部品洗浄、工作機械等の報告セグメントに含まれない)。尚、シリコン結晶製造装置には、装置関連事業の主力製品である真空シールが主要部材として使われており、これまで蓄積してきた技術やノウハウが活かされている。
 
 
 
2013年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比41.4%の減収、31億60百万円の経常損失(前年同期は36億71百万円の利益)
売上高は前年同期比41.4%%減の291億51百万円。半導体関連業界及び太陽光関連業界の不振で装置関連事業及び太陽電池関連事業の売上が落ち込んだ他、自動車温調シート向けサーモモジュールの苦戦等で電子デバイス事業の売上も減少した。
 
営業損益は26億47百万円の損失(前年同期は45億44百万円の利益)。全セグメントで損益が悪化したが、特に太陽電池関連事業が「事業構造改革プラン」を進めた影響もあり30億29百万円(前期は12億85百万円の利益)の損失となった事が響いた。連結損益計算書ベースでその要因を分析すると、シリコン結晶製造装置用部材の在庫評価減(事業縮小に伴い部材等の在庫の見直しを実施)や価格が下落した原材料(ポリシリコン)の低価法による評価減を売上原価に計上した結果、原価率が81.4%と同9.5ポイント上昇。経費削減を進めた事や変動費の減少で販管費が同14.6%減少したものの、カバーできなかった。事業構造改革費用34億06百万円など特別損失39億10百万円を計上した結果、76億70百万円の四半期純損失となった。
 
もっとも、損益の悪化要因が金銭的支出を伴わない費用及び評価損が中心だったため、営業キャッシュ・フローは6億85百万円の黒字を確保(前年同期は13億90百万円の黒字)、設備投資の減少でフリーCFのマイナスも66億48百万円から19億56百万円に縮小した。
 
 
また、未だ売上に回復感が乏しいものの、構造改革の進捗で四半期ベースの損益も大幅に改善した。
 
 
 
装置関連事業
売上高141億82百万円(前年同期比29.6%減)、セグメント利益2億11百万円(同91.3%減)。主な製品と売上高の前年同期比は、真空シール(同39.1%減)、石英製品(同42.3%減)、セラミックス製品(同7.9%減)、シリコンウエーハ加工(同9.2%減)。このうち製造工程で使われる消耗品の石英製品やセラミックス製品はスマートフォン用半導体の微細化設備向けの販売が中心となったが、値下げ要求が厳しく販売価格が下落。各種製造装置に使用される真空シールは半導体・FPD・LEDの設備投資の低迷が響いた。
 
太陽電池関連事業
売上高96億79百万円(前年同期比58.8%減)、セグメント損失30億29百万円(前年同期は12億85百万円の利益)。主な製品と売上高の前年同期比は、シリコン結晶製造装置(同81.5%減)、太陽電池用シリコン(同40.6%減)、石英坩堝(同45.8%減)。太陽電池市場は、数量ベースでは欧州市場の落ち込みを日本・中国・インド・米国市場の伸びでカバーしているものの、太陽電池パネルの価格下落が続いておりパネルメーカーの設備投資が低迷しておりシリコン結晶製造装置の受注・売上が減少。ユーザーの生産調整に伴い消耗品である石英坩堝や角槽も総じて低調な推移となった。損益面では、減収による限界利益の減少に加え、回収に懸念のあるユーザー数社向けの売上債権に対する貸倒引当金計上や販売見合わせとなった装置部品及び調達原料等にかかる棚卸資産評価損の計上等で響いた。尚、シリコン結晶製造装置の需要低迷を受けて、需要の見込める一般産業向けの研磨装置やガラス加工装置等の開発に取組んでいる。
 
電子デバイス事業
売上高33億円(前年同期比23.4%減)、セグメント利益1億91百万円(同66.7%減)。主な製品と売上高の前年同期比は、サーモモジュール(同26.0%減)、磁性流体・その他(同9.3%増)。サーモモジュールは、年央にかけての世界的な自動車販売の落ち込みで主力の自動車温調シート向けが減少した他(現在は温調シートが搭載される高級車も含めて回復過程にある)、民生機器向けも消費低迷を受けて減少した。
 
 
業績の悪化を受けて現預金及び純資産が減少した結果、第3四半期末の総資産は658億65百万円と前期末比67億06百万円減少した。有利子負債もわずかに減少したが、事業構造改革引当金を計上したため投資その他が増加した。自己資本比率は38.5%と同7.5ポイント低下した。
 
 
2013年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前年同期比35.1%の減収、44億円の経常損失
通期予想から第3四半期累計業績を差し引いた第4四半期(1-3月)予想は、売上高98億48百万円(前年同期比4.5%減)、営業損失7億52百万円(前年同期は4億19百万円の損失)、経常損失12億40百万円(同3億84百万円の損失)、当期純損失6億29百万円(同4億59百万円の損失)。
配当は1株当たり5円の期末配当を予定している。
 
 
 
今後の注目点
来14/3期は、製造工程の見直しと合理化による人員の減少、業務内容の整理による人員の減少、テーマの絞込みによる研究開発費の効率化効果、更には報酬・給与・賞与のカット・減額等の効果も業績に反映されてくる。このため、今期予想売上高の390億円規模で最終黒字を確保できる収益体質に転換する見込みだ。「事業構造改革プラン」が進展しているだけに、待たれるのは受注・売上の回復。底打ち感が出てくるか否か、第4四半期(1-3月)に注目したい。