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(4847) 株式会社インテリジェント ウェイブ

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ブリッジレポート:(4847)インテリジェント ウェイブ vol.16

(4847:JASDAQ) インテリジェント ウェイブ 企業HP
山本 祥之 社長
山本 祥之 社長

【ブリッジレポート vol.16】2013年6月期第3四半期業績レポート
取材概要「13/6期の利益を圧迫した大型案件は、第Ⅰ期開発業務(開発全体の80%)が第2四半期(10-12月)前半に完了し11月に稼働。稼働後の修正作業を・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年5月21日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インテリジェント ウェイブ
代表取締役社長
山本 祥之
所在地
東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー
決算期
6月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年6月 5,241 131 154 270
2011年6月 4,762 321 341 129
2010年6月 4,956 358 387 211
2009年6月 5,527 228 235 187
2008年6月 6,695 417 403 -5
2007年6月 6,367 389 407 -295
2006年6月 7,137 1,482 1,452 947
2005年6月 5,174 678 688 264
2004年6月 5,257 371 365 156
2003年6月 5,891 1,177 1,161 539
2002年6月 5,505 1,854 1,846 1,003
株式情報(5/10現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
33,650円 263,400株 8,863百万円 5.6% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
500.00円 1.5% - - 18,679.92円 1.8倍
※株価は5/10終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
インテリジェント ウェイブの2013年6月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
クレジットカードの決済システムに強みを持つソフトウエア開発会社。リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術、システムを止めないためのノンストップ技術、更には高度なセキュリティ技術を技術基盤としており、証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する他、カード不正利用検知システムや内部情報漏洩対策システム等も手がける。大日本印刷(株)が議決権の50.61%を保有する筆頭株主。グループは、同社の他、韓国で開発・販売を手掛ける連結子会社INTELLIGENT WAVE KOREA INC.1社。
 
【事業内容】
事業は、カードビジネスのフロント業務、システムソリューション業務、及びセキュリティシステム業務に分かれ、12/6期の売上構成比は、それぞれ43.8%、37.6%、10.9%。 この他、報告セグメントではないが、大日本印刷(株)との連携の下、自社製品と他社製品(パッケージ)を組み合わせたクロスソリューション事業にも力を入れている。
 
カードビジネスのフロント業務
クレジットカード会社、銀行、大手小売業等向けに、「NET+1」をベースにしたカード決済にかかるフロント業務のシステム構築を行っている。フロント業務のシステムとは、クレジットカード会社が加盟店や信用情報センターとの接続に必要なシステム。銀行(CD/ATM、海外ATM網等の対外系接続システムとの接続)や消費者金融等でも使われている。「NET+1」はハードと自社開発のパッケージソフトからなり、大手クレジットカード会社向けではシェア70%の実績を有する。また、「加盟店や決済代行会社等向けに初期投資の抑制とランニングコストの低減が可能なLinux 対応の「Linux NET+1」の提供も行っている。
 
システムソリューション業務
クレジットカード会社等に対するソフトウエア開発及びシステム保守、クレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」に係るソフトウエア開発及びシステム保守、オンライン証券会社・機関投資家(バイサイド)向けに高速情報基盤システム(証券取引所等から提供される市況データや気配値等を素早く社内の各端末に配信するシステム)の構築、及び大日本印刷グループ企業向けのソフトウエア開発等を行っている。
 
セキュリティシステム業務
自社製品である内部情報漏洩対策システム「CWAT(シーワット)」を中心にセキュリティ関連の製品・サービスを提供しており、親会社である大日本印刷(株)と共にセキュリティ関連の新事業(サービス)の開発も進めている。
 
その他(新規事業)
イスラエルCHECKMARX社製ソースコード解析ツール「CxSuite(シーエックススイート)」によるセキュリティガバナンス強化改善等、自社製品と他社製品(パッケージ)を組み合わせたクロスソリューションを手掛けている他、企業ウェブサイトの付加価値を高める自社製のナビゲーションツール「Face(フェイス)コンシェル」の育成に取り組んでおり、大日本印刷(株)との連携の下で営業活動を行っている。
 
 
※ソースコード解析ツール「CxSuite」(イスラエルCHECKMARX社製品)
Webアプリやサイトの脆弱性を検出・解析・解決するためのパッケージ製品。個人情報の流出、システムダウン、改ざん等につながる脆弱性を静的に検出・解析・解決できる(ソースコードを解析する事で稼働テストに先駆けて、脆弱性を発見し、原因を特定すると共に修正作業を行う事ができる)。
 
※Webサイトのナビゲーションシステム「Faceコンシェル」(自社開発製品)
Webサイトのナビゲーションやレコメンデーション等のWebコンシュエルジュサービスを自然言語によるチャットによる対話形式で円滑に行うシステム。「NET+1」等では、カード決済を行うために構造化されたデータベースを安全かつ効率的に解析する技術が用いられていたが、「FACEコンシェル」では、メールやテキスト文書、Webコンテンツ等の非構造化データを解析し、Web利用者にレスポンスを返す。同社の技術と韓国Saltlux社製セマンティック・ソリューション(高品質キーワード検索)「IN2」とを融合させたシステムであり、Webサイト上でのコミュニケーション基盤(特にスマートフォンに最適化した)を提供する。また、状況に応じて、リアルチャットに切り替える事もできる(システムに代わってオペレータがチャットで対応する)。
 
【沿革】
1984年12月、米国ノンストップコンピュータ・メーカーの日本法人 日本タンデムコンピューターズの社長等を務めた現会長の安達一彦氏が中心となり、コンピュータ機器の輸出入・販売、コンピュータソフトウェアの開発等を目的に設立された。当時のソフト開発会社はメーカーの下請けが多かったが、同社は自主独立を志向しパッケージソフトの開発を目指し、米国製の24時間稼動ノンストップコンピュータ向けパッケージソフトの開発に取り組んだ(24時間稼動ノンストップコンピュータに独自開発のパッケージソフトを組み込んで販売)。当時の日本において、24時間ノンストップでコンピュータが稼動しているのはクレジットカード業界のみであったため、自ずと同業界との関係が深くなったと言う。
 
転機となったのが89年の「NET+1」の開発。価格競争力や短納期といったパッケージソフトの持つ強みに加え、カスタマイズの容易さ等が評価され、大手クレジットカード会社や消費者金融等のノンバンクはもちろん、銀行等でも利用が広がった。「NET+1」の開発により、クレジットカード会社向けのパッケージソフト開発会社として認知され、クレジットカードビジネスの拡大に乗って業容を拡大、2001年6月に株式を店頭登録した(現在はJASDAQに上場)。
 
10年4月には大日本印刷(株)が同社株式の公開買付けを行い、議決権の過半を取得した(現在、大日本印刷(株)が議決権の50.61%を保有)。以後、大日本印刷グループ内での豊富な開発案件の取り込みに加え、大日本印刷(株)との連携による同グループの優良な顧客資産の掘り起こしに取り組んでおり、その成果も順調にあがっている。
 
 
2013年6月期第3四半期決算
 
 
前年同期比35.5%の増収、同21.7%の営業増益
カードビジネスのフロント業務で手掛けた大型案件で89百万円の損失を計上したが、前年同期を上回る84百万円の営業利益を確保した。大型案件とは移動体通信業者向けのシステムで、従来からのフロントシステムの開発と新たなチャレンジであるバックオフィスシステム開発を一括して受託したもの。開発の途上で顕在化した不具合に対応するため想定以上の開発要員が必要となり、売上原価が膨らんだ。
 
売上高が前年同期比35.5%増の18億11百万円と大きく伸びたのは、上記大型案件の売上を計上したため(引き渡しが完了)。前期下期からの利益圧迫要因だった大型案件はこの第3四半期をもって収束した。カード会社各社がシステム投資に動き始めており、カードビジネスのフロント業務を中心に足元の受注も好調だ。
 
 
 
 
前年同期比16.1%の増収ながら、7億49百万円の営業損失
売上高は前年同期比16.1%増の44億88百万円。大日本印刷グループ関連の大型案件が一巡した事でシステムソリューション業務の売上が比較的大きな落ち込みとなった他、セキュリティシステム業務の売上も減少したが、前期から手掛けている大型案件の寄与でカードビジネスのフロント業務の売上が伸び吸収した。
 
一方、営業損益は7億49百万円の損失。増収のけん引役となった大型案件が不採算となり(9億80百万円の損失)、売上原価を中心に営業費用が前年同期の37億66百万円から52億37百万円へ14億71百万円増加した。
 
 
※売上原価の増加は、上記大型案件に係る人件費及び外注費の増加で、この案件がなければ、売上原価は24億92百万円となり、原価率は79.0%(通常、外注費は通期で10億円弱程度)。2億30百万円程度の営業利益を確保できた事になる。
 
 
カードビジネスのフロント業務
売上高は前年同期比61.5%増の26億87百万円。大型案件の寄与でソフトウエア開発が大きく伸びた事に加え、ネット銀行系カード会社の更新需要の取り込みもあり、ハードウエア販売もほぼ倍増した。ただ、大型案件が不採算となった事でセグメント損益は2億74百万円の損失。尚、大型案件は、この第3四半期に収束し、ユーザーから高い評価を得る事ができた。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発    941百万円 → 1,558百万円
自社開発パッケージ    63百万円 →   57百万円
保守          283百万円 →  293百万円
ハードウエア販売    372百万円 →  733百万円
仕入パッケージ      0百万円 →   43百万円
 
システムソリューション業務
売上高は前年同期比19.9%減の14億45百万円。当事業は大日本印刷グループ関連の受託開発を含むカード系・その他事業とオンラインの高速処理技術を活かした証券系事業に分かれるが、この第3四半期累計期間は、ネット証券向けシステム開発で証券系事業が堅調に推移したものの、大日本印刷グループ関連の大型案件(ハイブリッド書店システム)の一巡でカード系・その他事業の売上が大きく減少した。売上高の減少に加え、開発が遅れていたカードビジネスのフロント業務の大型案件に開発要員をシフトさせたため外注費が増加。セグメント利益は1億25百万円と同55.5%減少した。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発    992百万円 → 861百万円
自社開発パッケージ    27百万円 →  38百万円
保守          227百万円 → 221百万円
ハードウエア販売    373百万円 → 154百万円
仕入パッケージ     178百万円 → 156百万円
 
セキュリティシステム業務
売上高は前年同期比5.8%減の2億77百万円。情報漏えい対策システム「CWAT」の販売及び関連システムの開発や「CxSuite」の販売に伴う開発等もありソフトウエア開発や自社パッケージの売上が増加したものの、保守や仕入パッケージの減収をカバーできなかった。ただ、固定費削減による損益分岐点の引き下げで前年同期は51百万円の損失だった損益が22百万円の利益に転じた。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発     31百万円 →  52百万円
自社開発パッケージ    36百万円 →  66百万円
保守          167百万円 → 139百万円
ハードウエア販売     0百万円 →  0百万円
仕入パッケージ      58百万円 →  19百万円
 
その他
ソースコード上の脆弱性を検知するパッケージ製品「CxSuite」の販売等で76百万円(前年同期は1億01百万円)の売上を計上したものの、ナビゲーションツール「Faceコンシェル」の販売に向けた先行投資で87百万円の損失となった(前年同期は67百万円の損失)。
 
 
不採算案件の発生によるキャッシュ・フロー(CF)と損益の悪化で第3四半期末の総資産は52億06百万円と前期末比11億57百万円減少した。ただ、無借金経営で自己資本比率も79.2(前年同期末比1.9ポイント改善)と高く、財政状態は良好。不採算案件が収束し、足下のCFも改善傾向にある。
 
 
2013年6月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比10.7%の増収ながら、5億50百万円の営業損失
第4四半期(4-6月)は、売上高13億12百万円、営業利益1億99百万円。大型案件の一巡で売上高が前年同期及び前四半期を下回るものの、大幅な利益率の改善が見込まれる。また、第4四半期に入り、受注も回復ピッチを加速させている。
 
通期予想に変更はなく、売上高58億円(前期比10.7%増)、経常損失5億30百万円(前期は1億54百万円の利益)。増収のけん引役となるカードビジネスのフロント業務は、新規顧客の開拓が進んでいる事に加え(特に事業規模の大きい企業からの引き合いが増えている)、既存顧客も、新しい決済機能の追加や決済チャネルの増加等で新規案件が増えている。このため、売上の上積みが期待できるが、損益面では進捗が遅れ気味で下振れの懸念がある。また、その他(新規事業)も、6月に予定していたWebサイトのナビゲーションシステム「Faceコンシェル」のサービス開始が顧客都合で7月に期ズレするため下振れが予想される。
一方、システムソリューション業務は大型案件の反動で減収・減益が見込まれるものの、想定に沿った着地が予想される。また、主要取引先の契約更新で第4四半期に売上・利益が集中するセキュリティシステム業務は損益分岐点売上高の引き下げが想定以上に進んでおり、利益の上積みが期待できる(セキュリティシステム業務は、11/6期に損益が均衡し、その後、黒字体質が定着している)。
 
 
(2)事業環境の変化と取り組み
同社の13/6期は従来から手掛けているフロントシステムに加え、新たなチャレンジであるバックオフィスシステムの開発も含めた大型案件が不採算となり苦戦を強いられた。しかし、得たものも多く、この経験を今後の受注と収益の拡大につなげていく考え。幸い、クレジットカード会社の業績回復や証券市場が活気を取り戻した事で既存顧客がシステム投資に動き出した事に加え、ネットショッピングの拡大やポイントサービスの拡充に伴う新規開発や機能追加、NFC(後述)端末決済やプリペイドカード・デビットカード決済等の決済手段の多様化、更には決済業務への異業種参入等で、既存顧客の深耕と新規顧客の開拓の両面から事業環境は良好だ。
 
 
NFC
近距離無線通信規格のデファクトスタンダードで、搭載機器を近づけるだけでデータをやりとりが可能。ソニーとフィリップス(現NXPセミコンダクターズ)が共同開発し国際標準規格として承認された。
 
DNPモバイルWallet
モバイルWalletは大日本印刷(株)が開発したクラウド型サービス。スマートフォンでの決済やクーポン、ポイント等のサービスに対応した多様なアプリケーション(アプリ)を一元管理し、これらに関わる業務を総合的に支援する。利用者は、決済とクーポンの同時処理をはじめ、バンキング、ポイント、ヘルスケア等の複数のサービスを連動して利用でき、事業者は、ポイントサービスの活用や、利用者の購買履歴に基づくクーポン情報配信等によって売上拡大を図る事が可能。(株)ジェーシービーへの提供が決まっており、実証実験も終了している。
 
VeTracer
「VeTracer」は、パソコンやシンクライアント等の端末側の操作ログを管理する。仮想デスクトップ環境を提供するサーバソフト「CITRIX XenApp」上で操作されるパソコンやシンクライアント等の端末側の操作ログを管理を目的に開発された。大日本印刷グループの日本ユニシス(株)等、「CITRIX XenApp」の代理店経由での拡販を考えている。
 
 
今後の注目点
13/6期の利益を圧迫した大型案件は、第Ⅰ期開発業務(開発全体の80%)が第2四半期(10-12月)前半に完了し11月に稼働。稼働後の修正作業を経て、第2四半期末には決済範囲の追加に伴う第2期開発業務がスタートし、3月末に全ての業務が完了した。苦労した甲斐があってユーザーの評価も上々で、更なる追加案件の引合も受けていると言う。昨今、スマートフォン等の端末で決済する機会が増えおり、NTTドコモ、ソフトバンク、au等の携帯通信キャリアが、こうした決済業務の取り込みに力を入れ始めた。上記の大型案件も携帯通信キャリアによる決済業務取り込みに係るもので、ハードルは高く、また、授業料も高かったが、同社が得たものも大きかった。また、国際カードVISAインターナショナルがバーチャルな環境でも利用可能なプリペイドカードの普及に力を入れている事も同社にとってビジネスチャンス。カード会社や証券会社等の既存顧客もシステム投資に動き出しており、14/6期以降の見通しは明るさを増している。