ブリッジレポート
(7839) 株式会社SHOEI

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ブリッジレポート:(7839)SHOEI vol.33

(7839:東証2部) SHOEI 企業HP
山田 勝 会長
山田 勝 会長
安河内 曠文 社長
安河内 曠文 社長
【ブリッジレポート vol.33】2013年9月期第2四半期業績レポート
取材概要「昨年年末のアベノミクスの導入以降、ドル円相場及びユーロ円相場はわずか5ヶ月で20%以上の円安が進行、日経平均株価も60%以上上昇するなど・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年5月21日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社SHOEI
会長
山田 勝
社長
安河内 曠文
所在地
東京都台東区上野5-8-5
決算期
9月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年9月 8,606 97 143 65
2011年9月 9,047 395 371 217
2010年9月 10,078 898 978 638
2009年9月 10,300 1,047 1,335 837
2008年9月 14,995 3,608 3,532 2,214
2007年9月 13,586 2,942 2,751 1,630
2006年9月 11,796 2,310 2,117 1,248
2005年9月 10,661 1,581 1,510 890
2004年9月 9,725 1,364 1,282 732
2003年9月 9,575 757 703 381
2002年9月 8,700 379 190 85
2001年9月 9,088 694 592 359
株式情報(4/30現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
943円 13,772,097株 12,987百万円 1.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
21.00円 2.2% 43.56円 21.6倍 439.88円 2.14倍
※株価は4/30終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
SHOEIの2013年9月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
世界ナンバーワンのヘルメットメーカー。オートバイ用を中心に、航空機用や戦車用等の官需用のヘルメットを製造している。販売網は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界50カ国以上を網羅。「SHOEI」ブランドはその安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、高級ヘルメットの代名詞となっている。独自の技術とノウハウ、優れたデザイン力を持つ。
 
① 「世界一の品質」…Made In Japanのグローバルブランド
② 「世界一のコスト競争力」…ヘルメット業界唯一のトヨタ生産方式でコスト管理
③ 「世界一の楽しい会社」…お客様、株主の皆様、並びに従業員、役職員の満足度を追及
という、3つの世界一を実現する事を経営方針に掲げている。また、「商品戦略」、「生産戦略」、「市場戦略」を融合させた三位一体の事業戦略も同社の特徴。三位一体の事業戦略を進める事で、顧客満足度、株主及び役職員の満足度向上に努めている。
 
【事業内容】
二輪乗車用ヘルメット(以下、「プレミアムヘルメット」)の売上高が約90%を占めている。なかでも、高品質で高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県一関市)の国内2工場で生産。国内生産にこだわる事で、より高い品質を維持すると共に技術の流出防止にも努めている。また、業界では唯一の「トヨタ生産方式」導入企業として、高い限界利益率と在庫回転率、及び優れた資産効率を誇る。
 
【中長期的安定成長と安定利益の実現に向けた基本方針】
・自分の会社は自分で守る
・Made in Japanと雇用の維持(ものづくりの伝承)
・健全な財務内容の堅持
・投資の継続(新製品開発,コストダウン,品質向上,より確かな安全)
・世界中のプレミアムヘルメット市場でナンバーワンを目指す
・新市場開拓と既存市場の深堀り
・利益の公平、公正な分配(50%配当性向,従業員への配分、会社への分配(内部留保))
 
【SHOEIシステムヘルメットの新製品】
機能とデザインを、ひとつの形に。新世代のツーリングフルフェイスを創るにあたり、まずSHOEIが考えたこと。それは、確かな安全性や機能と、スタイリッシュなデザインの融合。 ツーリングフルフェイスとしての新基準を、「GT-Air」が創ります。
 
空力、デザイン、快適性、そして安全性。全てに究極を求めた、トップレーシングモデル「X-TWELVE」に、加藤 大治郎選手のレプリカモデル「X-TWELVE・DAIJIRO」が新たにラインナップ。
 
「K-DUB3」は、全米を始め世界各国のモトクロスライダーを魅了するVFX-Wに、ケビン ウインダム選手のレプリカグラフィックモデル“K-DUB 3”(ケーダブ 3) を新たにラインナップ。モトクロスシーンの本場アメリカを代表するモトクロス雑誌「TRANSWORLD MOTOCROSS」で最高評価を獲得。
 
(同社Webサイトより)
 
 
2013年9月期第2四半期決算
 
 
前年同期比14.1%の増収、同88.1%の経常増益
売上高は前年同期比14.1%増の46億円。国内市場は、2輪車市場の底打ちと新製品効果による販売の増加に加え、防衛省向けの販売の増加により前年同期比24.4%の大幅増収。海外市場も、同10.3%の増収。欧州は、南欧の低迷が継続しているものの、ドイツを中心に新製品投入の効果から同26.0%の大幅回復。一方、現地代理店の仕入調整が影響した北米は、同-7.4%の減収。また、同社の期中平均レートが、ドル円において前年同期比10.86円の円安となったことや、ユーロ円において同11.90円の円安となったことも売上高の増加に寄与した。
 
利益面では、売上高の増加、円安の影響、ヘルメット販売の好調に伴う工場稼働率の大幅な回復(2輪乗用車ヘルメットの生産数量が前年同期比6.9%増加)により、単体の損益は大幅に改善。欧州子会社の採算改善は第3四半期以降となるものの、連結ベースの粗利率は2.5%の上昇。コストダウンを中心に、売上高販売管理費率が3.4%も大幅に低下したことから、営業利益は、前年同期の144百万円から、433百万円へ大幅増加した。為替予約の影響で、営業外費用に為替差損(38百万円)を計上したことや前年同期の特別損益に計上した雇用調整助成金(22百万円)がなくなったことなどから、経常利益以下の増益率は縮小した。また、欧州直販子会社の販売が悪天候により一部先送りとなった影響から未実現利益が増加したことから、3月15日に上方修正した第2四半期の修正計画に対しては、営業利益で66百万円、経常利益で60百万円、当期純利益で35百万円未達となった。
 
 
 
 
 
 
今四半期末の総資産は前期末比11.7億円増の88.1億円。仕入債務の増加、未払法人税等の増加、為替換算調整勘定のマイナス幅縮小などが寄与し、現預金が8.5億円増加した。総資産の約42%を現預金が、約80%を流動資産が占める等、資産の流動性が高く、しかも無借金。自己資本比率も約75%と、高水準を維持している。
 
 
2013年9月期業績予想
 
 
通期業績予想は、前期比+24.3%の増収、同+597.0%の経常増益
13/9期の業績予想は、売上高が24.3%増の10,700百万円(期初予想9,500百万円)、経常利益が597.0%増の1,000百万円(同490百万円)へ上方修正された。為替相場の前提(下期の為替相場の想定レートは1米ドル95.00円、1ユーロ125.00円)を見直したことに加え、国内及びドイツを中心とする欧州市場におけるプレミアムヘルメットの好調な販売継続と北米市場の回復を予想し、下期の販売計画も見直された。
売上面では、期初に約41.1億円の売上を計画していた欧州市場を、48.7億円へ修正するなど、欧州の回復を強くみている。利益面は、販売数量の増加に甘んじることなく、従来から進めている投資対効果と費用対効果の実践や経費の圧縮による売上原価率の低下や、更なる販売管理費圧縮の取り組みを通じた利益水準の回復を目指している。
また、1株当たり期末配当金も期初予定の10円から、今回修正後の1株当たり予想連結当期純益43.56円の50%相当額である21円予定へ上方修正(前期比19円の増配)。
 
 
2013年9月の重点施策
(販売面)
 ① ツーリング用モデルの強化など需要の変化に対応した新製品の投入
 ② 国内・欧州市場での販売増加
(経費削減面)
 ① 恒常的な製造原価の低減
 ② P/L 保険の見直し
 ③ 輸出業務の自社への取り込みと直接金融への転換
 ④ SNSのグローバルな活用など広告宣伝費の費用対効果見直し
 
 
今後の注目点
昨年年末のアベノミクスの導入以降、ドル円相場及びユーロ円相場はわずか5ヶ月で20%以上の円安が進行、日経平均株価も60%以上上昇するなど、円安・株高のピッチの速さに警戒感が高まっている。一方、サププライムショック前は、1ドル120円台、1ユーロ160円台、日経平均株価18,000円台であったことを考えると水準訂正は道半ばとの見方もできる。いずれにせよ、日銀がインフレターゲットを導入し、「次元の異なる」金融緩和を継続する限り、同社を悩ましていた過度な円高を警戒する必要性が薄れてきたといえよう。為替面だけではなく、デフレ経済からの克服は同社の国内販売へも好影響を与えるものと思われる。更に、同社にとって最大のマーケットである欧州経済が落ち着きを取り戻し、ドイツを中心に販売が拡大していることは明るい。
こうした環境下、今期の売上計画が達成できれば、業績は2009年9月期に並ぶ水準まで急回復する。ここ数年の厳しい円高局面の中で、新製品開発並びに売上原価と販売管理費圧縮の取り組みを強化したことから、確実に企業体質は強化され、販売回復時に利益が出やすい構造となっている。しかし、2008年9月の過去最高益に近づくためには、グローバルな景気回復だけではなく、よりいっそうの自助努力が必要と思われる。来期以降の更なる業績拡大の基盤を築けるのか下期の施策に注目したい。