ブリッジレポート
(4709:JASDAQ) インフォメーション・ディベロプメント 企業HP
舩越 真樹 社長
舩越 真樹 社長

【ブリッジレポート vol.43】2013年3月期業績レポート
取材概要「同社は、国内で有力顧客を中心にした顧客深耕を図ると共に、アジアを中心にした海外での事業基盤の確立に取り組んでいく考えで、足元では・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年6月4日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インフォメーション・ディベロプメント
社長
舩越 真樹
所在地
東京都千代田区二番町 7-5
事業内容
独立系情報サービス会社。金融向けITアウトソーシング主力に幅広いITサービスを提供。
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 16,137 629 659 365
2011年3月 16,450 839 892 447
2010年3月 17,263 850 864 155
2009年3月 18,458 1,057 1,109 563
2008年3月 18,032 1,200 1,191 594
2007年3月 14,692 1,024 1,024 550
2006年3月 13,028 851 845 430
2005年3月 11,378 550 557 119
2004年3月 11,203 625 628 203
2003年3月 11,668 598 591 274
2002年3月 11,081 548 546 272
2001年3月 9,738 756 735 242
2000年3月 8,468 640 586 320
株式情報(5/29現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
518円 7,049,119株 3,651百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
21.00円 4.1% 46.81円 11.1倍 776.66円 0.7倍
※株価は5/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
インフォメーション・ディベロプメントの2013年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社。システム運営管理とソフトウエア開発・保守を二本柱とし、一つの顧客に対し、ソフトウエア開発からシステム運営管理等の複数のサービスを提供するBusiness Operations Outsourcing戦略を推進しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。
 
【事業セグメント】
事業は、システム運営管理、ソフトウエア開発・保守、及びその他に分かれ、各事業の概要と売上構成比は次の通り。
 
システム運営管理  (13/3期売上構成比61.4%)
1,300名規模の技術者を擁する専門部隊が、ミドルウェアのカスタマイズからハードウエアの保守、24時間体制のオペレーションまで、トータルかつ高付加価値のアウトソーシングを実現している。
 
ソフトウエア開発・保守  (13/3期売上構成比34.9%)
「独立系SE集団」として、特定のマシン、OS、ツール、開発言語にとらわれず、顧客の開発ニーズに合わせたシステム構築をサポート。大型汎用機から携帯端末まで、金融、公共、サービス分野を中心に豊富な実績を誇る。
 
その他   (13/3期売上構成比3.7%)
セキュリティ&コンサルティングを中心に展開している。海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供している。
 
また、顧客別では、メガバンク、有力地銀、生損保、農林系等の金融機関が52.1%、SIer、情報通信機器ベンダー、或いは通信キャリア系情報サービス大手等の情報・通信・サービスが31.9%、製造、輸送、公共団体、エネルギー等のその他が16.0%。
 
 
【IDグループ】
グループは、同社の他、国内外の連結子会社6社。このうち国内(3社)は、システム運営管理を手掛ける(株)日本カルチャソフトサービス(出資比率100%。以下、CS)、日本ユニシス(株)との合弁会社(株)ソフトウエア・ディベロプメント(同80%、SD)、情報システム・コンサルティング等の(株)プライド(同54.4%)。一方、海外(3社)は、中国でソフトウエア開発、システム運営管理等を手掛ける艾迪系統開発(武漢)有限公司(同100%、ID武漢)、シンガポールでソフトウエア開発やシステム運営管理等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT SINGAPORE PTE. LTD.(同100%、IDシンガポール)、及びアメリカで人材採用・育成、現地市場調査、情報収集等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT AMERICA INC. (同100%、IDアメリカ)。
 
 
【IDグループのサービスの特徴 − i-Bos24(ID's Business Operations-Outsourcing Service 24) −】
同社グループはコンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、クラウド・セキュリティ、BPOまで、トータルなITアウトソーシングサービスを「i-Bos24」のブランドで提供している。ソフトウエア開発事業ではユーザーの立場に立った柔軟な発想と姿勢でシステムを構築し、システム運営管理事業では24時間365日システムをノンストップで運営管理。セキュリティ事業ではセキュリティ製品の販売やネットワークセキュリティに関わる業務を行う。更にクラウドサービス「iD-CLOUD」では、コンテンツやセキュリティの運用・遠隔監視、Web会議システムの導入等のニーズに応え、BPO事業ではITを活用した事務作業を代行する事で顧客の業務効率化に貢献する。
 
 
【情報サービス業の動向と同社の業績推移】
(1)情報サービス業の動向
 
経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(13年5月14日発表)を見ると、情報サース業はシステム等管理運営受託が安定して推移する中、受託ソフトウエアに底打ち感が出てきた事がわかる。
 
また、内閣府が5月16日に発表した13年1-3月の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.9%増、年率換算で3.5%増と高い伸びを示した(名目成長率は0.4%増となり、年率で1.5%増)。けん引役は自動車の購入を中心に個人消費と米国向けを中心に4四半期ぶりにプラスに転じた輸出で、設備投資は0.7%減と5四半期連続の減少。ただ、設備投資の減少率は2四半期連続で縮小しており、下げ止まりの兆しが出てきた。このため、マクロ経済の面からも、円高修正や株価上昇による景況感改善 → 景気の本格回復 → 設備投資の回復  → IT投資への波及、と言うシナリオが描きやすくなってきた。
 
(2)同社の取り組み
 
キーワードは、「Business Operations Outsourcing」、「グローバル展開」、及び「iD-CLOUDの推進」。 具体的には、一つの顧客に対し、ソフトウエア開発からシステム運営管理、BPOまで、複数のサービスを提供する「Business Operations Outsourcing」を"i-Bos24" のブランドで展開し、既存顧客1,000社から抽出した13企業グループを深耕する。また、「グローバル展開」では、ITの導入支援から運用・保守までのワンストップサービスを日本仕様で提供する事でグローバル展開を進める日本企業のニーズを取り込んでいく。この一環として、100%子会社 ID武漢が、武漢、上海、無錫及び東京を活動拠点とし、日本と中国において、ソフトウエア開発からシステム運営管理、BPOまでのトータルITサービスを提供している他、米国、シンガポールでの子会社設立、英国における支店設立、業務提携でグローバルなITサポート体制の構築を進めている。
 
一方、「iD-CLOUD」の推進では、クラウドコンピューティングの普及に伴い、今後、需要の増加が見込まれる基盤系(プラットフォーム系)開発業務において要員の育成を行い、顧客ニーズに広範かつ迅速に対応できる体制を構築する。クラウド関連サービスを提供する他社との提携にも柔軟に対応していく考えだ。尚、基盤系開発業務とは、ハードウエア、OS、ミドルウェアの機能を最適な手段で活用し、低コスト高信頼性のシステム稼働環境を設計・構築するサービスの事。
 
これまでの業績推移と今後のイメージ
 
海外展開の軌跡
11年5月には、米国へ展開する日本企業の情報システムをサポートするべく米国SYSCOM社(代表取締役社長 佐藤誠詞)と提携。SYSCOM社は、米国における日系金融機関や商社を対象に、データセンターサービス(ネットワーク環境の設計・構築からシステム運営管理)、ERP導入、及び内部統制構築支援等のサービスを提供しており、サーバの仮想化など基盤系分野の実績も豊富だ。また、11年9月には英国Newton IT社(代表取締役社長 森本健至良)と提携。Newton IT社は、英国で日系金融機関や製造業等を対象に、業務システムのコンサルティング・構築支援、IT基盤構築・運用・保守、情報セキュリティコンサルティング、更には事業継続計画(BCP)構築支援等、幅広いサービスをワンストップで提供している。更に12年2月には、シンガポールにおいて日系商社や製造業等を対象に、PCサポートや社内LAN構築・運用・保守サポート、情報機器の販売及び導入まで幅広く提供しているKAWATEC社(代表取締役社長 川辺高峰)とも提携した。この提携で東南アジアをカバーする事となり、米欧での業務提携と合わせて、ITに関する導入支援から運用・保守までのワンストップサービスをグローバルに提供していく体制が整ってきた。
 
海外子会社では、12年5月に、KAWATEC社と連携しつつ、IDグループが得意とするシステム運営管理、IT基盤の設計・構築、ソフトウエア開発等のサービスを日本品質で提供していく事を目的にIDシンガポールを設立。同年8月には、グローバル化対応のための優秀な人材の確保・育成や海外における顧客のニーズの把握・情報収集、及びSYSCOM社との連携強化を目的にIDアメリカ(事業拠点:ボストン)を、同年11月には、現地日系企業の動向や周辺諸国における市場の調査、及びNewtonIT社との協業推進を目的にIDロンドンを、それぞれ設立した。
 
 
2013年3月期決算
 
 
前期比1.9%の増収、同32.0%の経常減益
売上高は前期比1.9%増の164億46百万円。国内でのデータエントリー業務からの撤退及び同事業を主力とした子会社の連結除外の影響(△2億90百万円)等でその他の売上が6億08百万円と同34.5%減少したものの、顧客ニーズを捉えた積極的な提案活動やオフショアを活用した一括受託サービスの提供等でソフトウエア開発の売上が57億44百万円と同9.7%増加(3期ぶりの増収)。主力のシステム運営管理も、大手ITベンダーとのパートナーシップの強化及び積極的な提案活動の成果で一部顧客の運用構築業務の一時的な落ち込みを吸収して売上が100億93百万円と同1.2%増加した。
 
一方、営業利益は同32.0%減の4億27百万円。上期までのソフトウエア開発の苦戦や不採算案件の発生(13/3期で収束)による外注費の増加(5億48百万円増)で売上総利益率が1.2ポイント低下する中、減価償却費、業務委託費、教育研修費等を中心に販管費がわずかに増加した。
最終損益が4億90百万円の損失となったのは、早期退職優遇措置の実施に伴う早期割増退職金等5億04百万円や固定資産の保有目的変更(一部社員寮の保有目的を自社使用から売却へ変更)に伴う減損損失 約4億02百万円など9億20百万円を特別損失に計上したため。
 
 
 
金融機関では、システム統合を控えたメガバンク向けが減少したものの(想定の範囲内)、大手生保向けや子会社が手掛ける農林系金融機関向けが伸びた。また、戦略パートナー向けを中心に情報・通信・サービスも増加した。一方、国内データエントリー業務から撤退した影響等でその他が減少した。
 
 
 
期末総資産は前期末比43百万円減の98億01百万円。借方では、CFの改善で現預金が増加した他、子会社設立等で投資その他(投資有価証券)が増加。一方、売却、減損処理、償却等で有形・無形固定資産が減少した。貸方では、最終損失を計上した事等で純資産が減少。新規の借入れを控えたため、有利子負債もわずかに減少した。自己資本比率は55.9%。
 
尚、CFの改善要因は、データエントリーからの撤退した効果や期末にかけて増加した外注費の支払いが期をまたいだ事による営業CFの増加と、有形固定資産や投資有価証券の売却による投資CFの改善。この結果、フリーCFが前期の3億42百万円から8億39百万円に増加し、新規の借入れを控えた事と株式給付信託(J-ESOP)の導入に伴う自己株式の取得(2億23百万円)による財務CFの悪化をカバーした。
 
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
前期比2.6%の増収、同38.4%の経常増益
抑制していた人件費の正常化等が予定されているものの、増収効果、構造改革効果(期中における自己都合退職および早期退職優遇措置の実施で200名強社員が減少)、及び不採算案件の影響一巡で利益率が改善し営業利益が同44.9%増加する見込み。配当は1株当たり21円の期末配当を予定。
 
 
 
今後の注目点
同社は、国内で有力顧客を中心にした顧客深耕を図ると共に、アジアを中心にした海外での事業基盤の確立に取り組んでいく考えで、足元では、そのための人材の育成と確保も進んでいる。国内企業の海外展開が活発化しているが、メガバンクなど有力金融機関を中心に、現地で日本仕様のITサービスの提供を希望するユーザーは多いと言う。同社は、こうしたユーザーニーズに応えていく事でグローバル戦略を推進してゆく。
「13年度後半には国内IT投資の本格的な回復が見込まれ、14年度まではそのトレンドが続く」と言うのが市場コンセンサスだが、同社においては、当面の事業環境の明るさだけでなく、中長期のビジョンも明確である。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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