ブリッジレポート
(4783:JASDAQ) 日本コンピュータ・ダイナミクス 企業HP
下條 治 社長
下條 治 社長

【ブリッジレポート vol.31】2013年3月期業績レポート
取材概要「サービスの低価格化により増収ながら減益となったが、新たなサービスを提供することで減益幅は最小限にとどめたともいえるだろう。政府が大胆な・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年6月11日掲載
企業基本情報
企業名
日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社
社長
下條 治
所在地
東京都品川区西五反田 4-32-1
事業内容
独立系ソフトウェア開発会社のパイオニア。システム開発事業、サポート&サービス事業、及びパーキングシステム事業が3本柱
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 11,272 252 307 68
2011年3月 10,658 -83 11 -113
2010年3月 11,542 56 129 26
2009年3月 12,521 415 460 212
2008年3月 9,539 553 581 315
2007年3月 9,292 261 315 186
2006年3月 8,851 409 424 199
2005年3月 7,607 321 348 228
2004年3月 7,570 340 368 160
2003年3月 6,859 322 283 74
2002年3月 6,168 293 292 152
2001年3月 5,088 247 182 46
2000年3月 4,447 307 339 149
株式情報(5/24現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
303円 8,721,484 2,642百万円 4.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 3.3% 14.90円 20.3倍 301.47円 1.0倍
※株価は5/24終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
日本コンピュータ・ダイナミクスの2013年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
独立系ソフトウェア開発会社のパイオニア。コンサルティングからシステム運用までを手掛けるシステム開発事業、システムの運用管理とテクニカル・サポートを主体としたサポート&サービス事業、及び自転車駐輪場システムの開発・運用を行なうパーキングシステム事業を展開。システム開発事業やサポート&サービス事業は優良顧客との継続的な取引が特徴。また、国内トップシェアを誇るパーキングシステム事業は成長性に富み、収益性も高い。グループは、同社及び(株)日本システムリサーチ、天津恩馳徳信息系統開発有限公司、及び(株)ゼクシスの連結子会社3社(いずれも出資比率100%)。
社名の“日本コンピュータ・ダイナミクス”には、「コンピューターをダイナミックユースして社会に貢献する(Dynamic use of Computer)」と言う創業時の思いが込められている。
 
【長期継続を特徴とする顧客資産が強み】
システム開発事業やサポート&サービス事業では、長期継続を特徴とする優良な顧客資産が同社の強みの一つ。主な取引先として、東京ガス、西部ガス、富士ゼロックス、商船三井、メットライフ アリコ、高砂熱学工業、三井住友海上火災、角川GHD、日本水産、エスアールエル、福岡県庁等を挙げる事ができる。
 
 
【IT企業としては異色のパーキングシステム事業で社会貢献】
駐輪場の設計、ラックや精算機の開発、更には運用までを一貫して手掛けている。時間貸し駐車場の自転車版とも言える事業だが、駐輪場の売上は自転車1台を1日駐輪して100円程度。このため、コンピューターを使うには安過ぎて採算が合わないと言われ、IT業界とは縁の無い世界だった。しかし、自治体等からのシステム開発に対する強い要望に加え、放置自転車問題が深刻化する中で社会貢献の意味もあり参入。先行企業としての優位性と業界No.1の実績に基づく提案力を強みとしており、現在、同社を語る上で欠く事のできない事業となっている。

街の駐輪問題を解決するシステム「EcoStation21」は同社の高度なネットワーク技術を駆使して1999年に開発したコンピューター遠隔操作による、「無人・駐輪場管理システム」。同社は駐輪場の導入から駐輪場管理まで、総合的にコンサルティングを行う。路上放置自転車の存在が社会問題となっている。このため各自治体が管理運営する駐輪場が多数あり、指定管理者制度の導入が進んでいる。同社は代理店方式により全国展開し、多くの自治体や鉄道事業者を顧客としている。品川区、渋谷区、大阪市、京都市、小田急電鉄、東急電鉄、京王ストア等が同社の顧客となっている。

コミュニティサイクルを実現する「ecoport」は街のいたるところに自転車の貸出場所を配置することで、利用者が自由に利用することができる「無人・自転車時間貸しシステム」。現在は社会実験として広島市や品川駅港南口で、同社と自治体等との共同で行われている。
 
13年3月より国内で初となるWebを活用した月極駐輪場運営サービス「ECOPOOL(エコプール)」の提供を開始した。東京都立川市の駐輪場「西武スマイルパーク西武立川駅南口第3駐輪場」(201台)、及び神奈川県藤沢市の藤沢駅最寄の玉半ビル(60台)の2箇所でサービスを開始する。
「ECOPOOL」は駐輪事業を既に運営している、または計画をしている法人、個人事業主へ提供するサービスで、駐輪場事業の収支改善、土地の有効利用を可能にする。また、利用者の募集からリスクのある個人情報の管理、駐輪場の清掃、巡回、緊急対応などを一括で請け負うことで事業主の負担を軽減させる。
既に駐輪場を運営している事業主は、その運営において新規・更新契約、現金収受のための「有人での管理・運営コスト」が収益上の課題となっていたが、「ECOPOOL」導入によりそのコストを圧縮することが可能となり、月極駐輪場事業の収益性向上が期待できる。
また、「ECOPOOL」は大きな初期投資を必要とせず、土地の形に柔軟に対応できるため、今まで事業が難しかった狭小地や変形地の土地所有者は土地の有効活用が可能となる。
「ECOPOOL」の利用者は、24時間いつでも・どこからでもスマートフォン、パソコンなどWebから契約・更新・解約・キャンセル待ちが可能で支払いはクレジットカード、またはコンビニエンスストアで決済することができるなど、利便性が向上する。
 
 
 
 
2013年3月期決算
 
 
前期比4.6%の増収、5.9%の経常減益
売上高は前期比4.6%増の11,790百万円。システム開発事業の売上が減少したものの、サポート&サービス事業は増収、加えてパーキングシステム事業が大きく売上を伸ばした。利益面では、システム開発事業やサポート&サービス事業で売上総利益が減少した。大幅増収のパーキングシステム事業が大幅増益、全体として販管費を削減したものの、経常利益は前期比5.9%減の289百万円にとどまった。税負担の縮小により純利益については同74.6%増の119百万円となった。
会社別では、同社単独ではシステム開発事業でIT環境の大幅な変化と低価格化の影響によりやや苦戦したものの、パーキングシステム事業の好調さを背景に増収増益となった。子会社では(株)日本システムリサーチは海外業務(アジアに進出する日本企業の現地子会社に対する開発サポート)における経費増などにより利益を確保できなかったが、(株)ゼクシスにおいては受注量の回復や経費削減などが功を奏し、前期業績を下回るものの利益を確保した。
 
 
システム開発事業は売上高5,215百万円(前期比5.4%減)、売上総利益565百万円(同24.8%減)。東日本大震災の影響で先延ばしや凍結されていた案件が徐々に再開されつつあり、事業環境は改善傾向にある。事業部統合による営業力向上も功を奏し始めた。しかし、当初予想した受注の確保までは届かず、利益面では低価格化の影響もあり売上高・売上総利益共に減少した。尚、事業部統合とは、12年4月に実施した「ITソリューション事業部」と「ITサービス事業部」の統合の事で(「ITソリューション事業部」として再スタート)、これにより開発部門と一体となっての営業もしやすくなったと言う。
 
サポート&サービス事業は売上高2,462百万円(前期比4.9%増)、売上総利益312万円(同5.1%減)。前期に開設した長崎営業所において増員要請が続き、基盤関連の受託も順調に推移して当初予想した以上の増収となった。
 
パーキングシステム事業は売上高4,039百万円(前期比22.6%増)、売上総利益779百万円(同13.6%増)。自治体から大規模市営駐輪場管理者の指定を受けた。また、優良駐輪場の獲得や、大規模駐輪場の機器の入れ替えなどが順調に進んでおり、売上高・売上総利益とも大幅に増加した。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
 
13.3期末の総資産は前期末比344百万円減の9,568百万円。現預金が494百万円減少し、工具、器具及び備品が195百万円減少した。一方、リース債権及びリース投資資産が338百万円増加し、受取手形及び売掛金が252百万円増加した。負債は前期末比389百万円減少し、6,939百万円となった。役員退職慰労引当金が212百万円、未払法人税等が190百万円、1年以内償還予定の社債が100百万円、それぞれ前期末比で減少した。純資産は前期末比44百万円増加し2,629百万円となった。この結果、自己資本比率は27.5%と前期末比1.4ポイント改善した。
尚、投資その他2,973百万円のうちの1,891百万円は、パーキングシステム事業にかかるリース資産である(前期末は1,773百万円)。
 
 
13.3期末の現金及び現金同等物は前期末比494百万円減の2,028百万円となった。営業CFは前期と比較して1,328百万円減少し、155百万円の流出となった。主な流出要因は法人税等の支払額301百万円、売掛債権の増加252百万円及び役員退職慰労引当金の減少額212百万円。主な流入要因は税金等調整前当期純利益279百万円及び減価償却費216百万円であった。投資CFは前期比18百万円増加し117百万円の流出となった。主な流出要因は、有形固定資産の取得による支出235百万円、主な流入要因は定期預金の純減少額149百万円。財務CFは前期比93百万円減少し、222百万円の流出となった。主な流出要因は社債の償還による支出100百万円及び配当金の支払額85百万円。
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
前期比1.8%の増収、3.8%の経常増益を予想
売上高は前期比1.8%増の12,000百万円、営業利益は同17.4%増の280百万円、経常利益は同3.8%増の300百万円、純利益は同8.6%増の130百万円を計画する。単独では売上高9,800百万円(前期比1.7%増)、営業利益は同5.0%増の300百万円、経常利益は同0.3%増の310百万円、純利益は同3.3%増の160百万円を計画する。配当は期末5円の年10円(うち上期末5円)を予定している。尚、13/3上期の業績予想は未定。
また、IT関連の新規事業を推進すべく、新たにスマートフォンやタブレット端末、クラウドコンピューティングに特化した「スマートビジネス部」、アジア諸国に進出している日系企業をターゲットにした「アジア推進部」を独立した部として発足させた。14.3期の収益への影響は軽微だが、将来の新たな柱となるよう育てていく。
 
セグメント別の取り組み
システム開発及びサポート&サービス事業では、引き続き事業部統合を活かした営業力強化により、案件に柔軟に対応することで、目標とする受注額の確保を見込んでいる。低価格化の利益に対する影響は大きく、技術基盤や開発ツール等を整備し、生産性を更に高める。新規顧客に関してはこれまで同社の強みとして長年にわたって培ってきた顧客密着型サービス、をパッケージソリューションやクラウドコンピューティングも意識したサービスとして提案していくことで、受注確度を高める狙い。更にシステム開発とサポート&サービス事業の垣根を取り払ったワンストップサービスをより充実させることで、事業領域の拡大を図る。
パーキングシステム事業は、ECO社会に向けた社会的意識の高まりから、自転車を取り巻く都市環境の整備は、ますます進むと見込む。しかし、同社事業の無人駐輪場において競合企業が増え、受注競争が激しさを増している。このような状況の中で同社の過去の実績とノウハウを最大限に利用することや、すでに開発を終え14.3期より投入する商品、現在開発中の新商品のコストダウン化を図ることで、新たな需要を確実に受注につなげる計画。また、新事業として広島市や品川区港南口にて行ったコミュニティサイクルの社会実験はある程度の成功は収めたが、事業化には課題も多くしばらく時間がかかる見通し。一方、月極め駐輪場管理運営のため新たな商品として開発したECOPOOL(エコプール)は展開次第では大きな収益となることも予想され、これまで以上に注力する。
 
今後の注目点
サービスの低価格化により増収ながら減益となったが、新たなサービスを提供することで減益幅は最小限にとどめたともいえるだろう。政府が大胆な金融政策によりデフレ脱却を目指している。サービスの低価格化に歯止めのかかることを期待したい。今後の注目点は、成長軌道につなげていくための中期的な成長シナリオであり、その意味で、3月からサービスを開始した「ECOPOOL」の収益貢献が楽しみなところ。JR武蔵浦和駅では、JR南与野駅に続き、会員制の無人レンタサイクル「さいチャリ」をスタートさせた。駐輪問題の解決や街の活性化など、駐輪場のコンサルティングが中期成長の牽引役となりそうだ。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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