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(2146:JASDAQ) UTホールディングス 企業HP
若山 陽一 社長
若山 陽一 社長

【ブリッジレポート vol.13】2013年3月期業績レポート
取材概要「13/3期は2012年問題を契機とした請負化ニーズの取り込みが進んだが、新規の顧客工場が急増し対応に追われた。また、結果として顧客工場数が大幅に・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年7月16日掲載
企業基本情報
企業名
UTホールディングス株式会社
社長
若山 陽一
所在地
東京都品川区東五反田1-11-15 電波ビル
事業内容
高度な分野に特化した製造派遣・請負事業を中心に設計/建設技術者派遣・再就職支援事業も展開。順調に稼動数増を達成し、業界No.1の従業員定着率を誇る。
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 24,106 1,453 1,379 880
2011年3月 20,227 1,442 1,309 766
2010年3月 18,056 290 182 -1,401
2009年3月 40,694 1,793 603 -10,861
2008年3月 51,787 4,200 3,473 1,203
株式情報(5/27現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
100,000円 195,020株 19,502百万円 31.7% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
13.50円 - 29.74円 - 13,898.58円 7.2倍
※株価は5/27終値。BPSは13/3期末(分割前)。配当利回り、PERは、期中分割予定のため省略。
 
UTホールディングスの2013年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
高度な分野に特化した製造派遣・請負事業を中心に、設計/建設技術者派遣事業、アウトプレースメント(再就職支援)事業も展開。新規の顧客開拓力と業界No.1の従業員定着率を強みに、順調に稼動数を伸ばしている。同社自身は純粋持株会社としてグループを統括し、実際のサービス提供は連結子会社7社が担う。
 
※パナソニック バッテリーエンジニアリング(株)は、14/3期第2四半期から連結。13年7月1日に発行済株式400株のうち81%にあたる324株を取得し、残りの76株(発行済株式総数の19%)を14年7月1日に取得する予定。
 
【事業内容とUTグループ】
事業セグメントは、アウトソーシング事業の単一セグメント。製造派遣・請負を中心に、設計開発技術者派遣、を手掛けており、建設技術者派遣及びアウトプレースメント事業を育成中。尚、製造請負では各工程の製造オペレーションから装置メンテナンスや保全業務までを一括して受託するが、同社が請負う事で、コスト削減はもちろん、構内作業全体のパフォーマンスも向上するため、取引先から高い評価を受けている。また、10/3期は半導体向けの売上が全体の79.2%を占めていたが、幅広い分野で受注活動を強化した事で“脱半導体”に成功。現在、半導体向けが45.4%に低下し、次いで電子部品17.8%、環境・エネルギー分野(太陽電池・2次電池等)13.3%、自動車関連10.2%、建材8.7%、その他4.4%となっている(13/3期)。
 
【労働者派遣法は規制緩和へ】
法規制の影響を受けやすい事業のため、その動向には注意を払う必要がある。特に大きな影響を受けるのが労働者派遣法だが、規制強化を進めていた民主党政権から、規制緩和を指向する自民党政権に代わった事は同社にとって追い風。規制改革会議において、現在、企業が外部労働力を活用しやすい環境を整備する旨の議論が進められている。規制改革会議とは、内閣総理大臣の諮問を受け、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制改革を進めるための調査審議を行い、内閣総理大臣へ意見を述べる。一方、13年4月1日に施行された改正労働契約法は、有期労働契約者の契約を通算5年更新した場合に、希望者を正社員へ転換する事を義務付けた。このため、有期労働契約者を自社で雇用するリスクが高まっており、今後、外部労働力活用へのシフトが予想される。
 
 
中期経営計画
 
現在、16/3期を最終とする中期経営計画(12/3期〜)が進行中だが、労働者派遣法の緩和の流れ、メーカー各社における固定費削減を念頭に置いた雇用流動化と派遣活用の同時進行、更には建設公共投資の拡大等、計画策定当初とは事業環境が大きく変化している。加えて、業績達成の蓋然性が向上している事もあり、14/3期から16/3期にかけての3期間の計画について見直しを行った。最終年度となる16/3期の数値目標は営業利益40億円(最高益は07/3期の42億円)、稼働数11,100名だが、これをステップとして早期に営業利益100億円、稼働数20,000名を達成し、質量共に「日本一の請負会社」としてのポジションを確立したい考え。
 
中期経営計画のビジョン
『半導体請負No.1』から、質・量ともに『日本一の請負会社』を実現します。
 
UTホールディングス(株)の社会における役割
 − Flexicurity Platform[雇用調整機能]の提供 −
・顧客   :Flexibility[雇用の流動性]を高める
・派遣社員 :Security[雇用の安定性]を高める
 
 
売上高の計画は過去の実績をベースにした積み上げであり、このうち製造派遣・請負事業は、稼働数を毎期1,000名増やし、40億円ずつ売上を積み増していく(14/3期:300億円、15/3期340億円、16/3期380億円)。一方、アウトプレースメントや建設技術者派遣等の新規事業の売上計画は、14/3期10億円、15/3期30億円、16/3期70億円。
 
(1)13/3期で投資フェーズが完了。既存顧客の深耕によるインハウスシェアの引き上げへ
13/3期までの2年間の取り組みで、顧客工場数(194社から395社に13.6%増加)と稼働数(5,346名から6,821名に27.6%増加)が順調に増加し、11/3期に202億27百万円だった売上高が13/3期には278億54百万円に37.7%増加した。また、新規開拓による顧客層の広がりで半導体比率が67.9%から45.4%に22.5ポイント低下した。顧客層拡大に向けた取り組みが一定の成果をあげた事を踏まえて、今後は既存顧客の深耕(インハウスシェアの引き上げ及び新サービスの提供)と新規事業の育成に取組んでいく。
 
(2)事業環境
政権交代で労働者派遣法は規制強化から規制緩和の流れに変わり、民主党政権下での懸念が払しょくされた。また、復興需要の本格化や公共投資の拡大で建設関連の人材が不足しており、新たなビジネスチャンスも芽生えている。一方、顧客メーカーは正社員の流動化を進めつつ、派遣の利用を増やしており、派遣ニーズ、雇用流動化ニーズ共に拡大している(⇒同社の収益機会拡大)。
 
(3)基本戦略と概要
・既存顧客シェアの拡大(既存顧客へ正社員派遣)  ⇒ 製造派遣・請負事業の収益性改善と安定成長
・既存顧客ニーズの深掘り(既存顧客へ新サービス) ⇒ アウトプレースメント事業の基盤構築
・正社員派遣の横展開(新規顧客へ正社員派遣)   ⇒ 製造派遣・請負以外で1/3の営業利益基盤の構築
 
 
顧客基盤が拡大・強化されリスク分散が進んだ事から、今後は、新規顧客工場数の開拓よりも、約400の既存顧客工場のインハウスシェアの引き上げに力を入れていく。ちなみに、領域拡大前の11/3期第1四半期は顧客工場数が93工場で、そのアウトソーシング活用の総計は13,738名。同社のシェアは31%だった。一方、現在の約400工場のアウトソーシング活用の総計は47,400名で、同社シェアは14%にとどまる。このため、シェア25%を当面の目標として、1工場30人規模に引き上げたい考え(以前は50人規模)。
 
 
シェアアップのターゲットとなるのは、環境・エネルギー及び自動車関連。両分野を中心に既存顧客のシェアアップを図る事で半導体の比率を引き下げ(半導体向けの売上高は趨勢的に増加)、リスク分散を図り事業の安定性を高めていく。尚、パナソニック(株)の100%子会社で、電池材料分析・評価・解析事業、電池製品加工・組立て・包装業務・製造・請負事業、及び派遣事業等を手がけるパナソニック バッテリーエンジニアリング(株)を7月1日付けで子会社化する。
 
 
尚、同社の主要顧客は電機業界と自動車業界だが、両業界共に、アウトソーシング先の選定基準は社員の定着率であり、業界No.1の定着率を誇る同社のアドバンテージは大きい。ちなみに、電機業界は既にアウトソーシング活用比率が高いが、引き続き請負ニーズが旺盛。また、自動車業界はアウトソーシング活用比率が低いが、労働者派遣法による規制緩和の流れを受けて派遣ニーズが高まっている。
 
②既存顧客ニーズの深掘り(再就職支援事業)
構造改革に取り組む企業の増加で、現在、再就職支援サービス市場は第2拡大期を迎えている(次項のグラフ参照)。リクルートとパソナの寡占市場で、両社が約2/3の市場シェアを有するが、両社ともに都市部でのホワイトカラー向けのサービスが中心。これに対して、UTキャリア(株)は、地方製造工場向けに特化する事で大手2社と差別化を図っていく。また、再就職先の斡旋でUTホールディングス・グループの顧客や営業基盤を活用できる事に加え、グループ内に再就職先を持つ事が何よりの強み(グループの請負職場を再就職先に活用できる)。
 
 
 
③正社員派遣の横展開
建設経済研究所「建設経済モデルによる建設投資の見通し」によると、12年度は18兆円だった建設公共投資額が13年度は20.2兆円に拡大する見込み。長期間にわたって持続可能な国家機能と日本社会の構築を目的に、自民、公明両党が今国会に「国土強靱化基本法案」を提出しており、復興需要と相まって、現状、逼迫している建設業界の労働力不足が更に進むと懸念されている。しかし、労働力不足は外部労働力活用ニーズにつながるため、アウトソーシング各社にとってはビジネスチャンスである。
 
ただ、その一方で、正社員雇用の議論が活発化している。具体的には、自民党が、若者雇用対策として新卒者が就職する際の正社員率を現在の80%から100%に引き上げる目標を掲げている他、政府の規制改革会議(雇用作業部会)も、勤務地や職種を限定した正社員の拡大に向けた雇用ルールの策定を検討中である。求職者の正社員就業ニーズが高まりを見せる中で、今後、与党や政府が雇用の安定を図るべく新たな政策を打ち出す可能性が高く、正社員雇用ニーズの高まりが予想される。
 
こうした市場動向を踏まえ、同社は強みである正社員派遣について、製造業以外への横展開を進めていく考え。その第1弾となるのが、建設技術者及び設計開発者である。この一環として、新卒者採用を開始しており、14年4月に1期生が入社する予定。また、既存社員を高付加価値業務へ社内異動させるべく、製造派遣・請負で勤務する社員について、建設技術者派遣業務への異動を促している。
 
 
 
2013年3月期決算
 
 
前期比15.5%の増収、同0.7%の経常増益
売上高は前期比15.5%増の278億54百万円。2012年問題を契機とした請負化ニーズの取り込みが進み、期末顧客工場数が395工場と前期末(237工場)に比べて158工場(66.7%)増加。採用も順調に進み、期末社員稼働数が6,821名と前期末(6,082名)に比べて739名(12.2%)増加した。
 
営業利益は同1.4%増の14億73百万円。新規獲得の急増で、立ち上げ関連費用、社員の採用費用、社宅等の福利厚生費用等も急増。例年と比べて解約も多く、退職関連費用等がかさんだ事や、新規事業の立ち上げに伴う先行投資もあり、営業費用が増加した。
雇用調整助成金の減少等による営業外損益の悪化や、特別退職金等(1億29百万円)の計上による特別損益の悪化で税金等調整前利益が12億17百万円と同4.4%減少したものの、税効果会計の影響で当期純利益は9億22百万円と同4.8%増加した。
配当は1株当たり100円増配の期末2,600円を予定している。
 
 
第4四半期は解約の影響等で稼働数が6,821名にとどまったものの、販管費の減少で営業利益率が大幅に改善した。新規工場の立ち上げに伴う一時的なコスト増は収束しているものの、解約が多かった1月・2月は売上が伸びず売上総利益率の改善が足踏みした。しかし、解約の影響が一巡した3月は売上総利益率が19%程度に改善した。
 
 
 
半導体向けの売上はほぼフラットだが、環境・エネルギー、自動車関連、建材等を中心に新規取引先の開拓が進んでおり、半導体の構成比は低下傾向にある。半導体については、現状の売上水準を維持しつつ、構成比を40%以下へ引き下げたい考え。
 
 
 
 
期末総資産は9億54百万円増の95億05百万円。売上の増加で売上債権が増加した他、新規事業を手掛ける戦略子会社の設立で投資その他も増加。事業拡大に伴う運転資金の増加に対応するべく、短期借入金を中心に有利子負債を積み増した。一方、純資産の減少は自己株の消却によるもの。12年8月20日から12月5日にかけて自社株買いを実施し、17,525株(取得価格の総額:7億99百万円)を取得。従前からの保有分1,911株を加えた19,436株を12月25日に消却した。自己資本比率は28.5%。
 
 
4億68百万円のフリーCFを確保した。営業CFの黒字減少は事業拡大に伴う運転資金の増加によるもので、設備投資や子会社設立等で投資CFはマイナス。財務CFもマイナスとなったが、有利子負債を積み増したためマイナス幅は縮小した。
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
前期比11.3%の増収、同33.4%の経常増益予想
売上高は前期比11.3%増の310億円。期末社員稼働数の前提は前期末比21.7%増の8,300名。既存事業で300億円、新規事業(アウトプレースメント及び建設技術者派遣)で10億円を見込んでいる。一方、第2四半期から連結対象となるパナソニック バッテリーエンジニアリング(株)については、売上押し上げ要因となるが織り込んでいない。
 
利益面は、予想営業利益が前期比35.8%増の20億円にとどまった。
 
配当は1株当たり13.5円の期末配当を予定している。7月1日を効力発生日として普通株式1株を200株に分割する予定であるため、これを考慮すると、実質的には1円の増配。
 
事業環境は良好
法規制の影響を受けやすい事業のため、その動向には注意を払う必要がある。特に大きな影響を受けるのが労働者派遣法だが、規制強化を進めていた民主党政権から、規制緩和を指向する自民党政権に代わった事はアウトソーシング業界にとって朗報。現在、規制改革会議において、企業が外部労働力を活用しやすい環境を整備する旨の議論が進められている。
また、有期労働契約者の契約を通算5年更新した場合に、希望者を正社員へ転換する事を義務付けた改正労働契約法が13年4月1日に施行された事で有期労働契約者を自社で雇用するリスクが高まっている。このため、企業は対応を迫られており、有期労働契約者への依存度が高かった自動車業界では、派遣の活用に動き始めた。今後、外部労働力活用へのシフトが本格化するものと思われる。
 
パナソニック バッテリーエンジニアリング(株)の株式取得
今後の成長が見込める電池製造分野での派遣・請負事業を拡大させるべく、パナソニック バッテリーエンジニアリング(株)を7月1日付けで子会社化する事となった。蓄電は、スマートグリッド、電気自動車、家庭等、様々な分野で需要の高まりが予想されるが、パナソニック バッテリーエンジニアリング(株)は、その核となる電池製造分野で高いノウハウを持つ人材を有する。
 
パナソニック バッテリーエンジニアリング(株)はパナソニック(株)の100%子会社で、電池材料分析・評価・解析事業、電池製品加工・組立て・包装業務・製造・請負事業、及び派遣事業等を手がける。今回の買収では、電池製品加工・組立て・包装業務・製造・請負事業及び派遣事業が対象となり、買収対象事業は年商約30億円(12/3期は売上高が42億06百万円、営業利益1億32百万円)。株式取得日は13年7月1日のため、第2四半期(7-9月)からUTホールディングス(株)の連結対象となる。
 
取得価格は総額1億円で、13年7月1日に発行済株式の81%に相当する324株を81百万円で取得し、14年7月1日に残りの19%に相当する76株を1,900万円で取得する。
 
 
今後の注目点
13/3期は2012年問題を契機とした請負化ニーズの取り込みが進んだが、新規の顧客工場が急増し対応に追われた。また、結果として顧客工場数が大幅に増加したが、終了した契約も多く、これに伴う退職関連費用も増加し利益の圧迫要因となった。しかし、顧客工場数の増加は今後の成長を考える上で何よりも重要だ。先行投資である新規の顧客工場開拓が進んだ事で、今後は既存顧客のインハウスシェアの引き上げに取り組む。言い換えると、ステージが収穫期に入るため、施策の進捗と共に収益性が改善していく。
また、新規事業もアウトプレースメントが順調な立ち上がりを見せており、建設技術者派遣も、製造派遣・請負勤務者の社内移動や新卒採用で体制整備が進む。特に同社のアウトプレースメントは、案件の受注で既存顧客や既存の営業ルートが活用でき、また、再就職先の斡旋でも既存顧客や既存の営業ルートが活用できる上、同社自身が受け皿になれる事が興味深い。先ずは第1四半期決算に注目したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
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