ブリッジレポート
(4549:東証1部) 栄研化学 企業HP
寺本 哲也 社長
寺本 哲也 社長

【ブリッジレポート vol.1】2014年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「同社は、みらかホールディングス(業界大手の富士レビオと受託臨床検査センターSRLが合併)、シスメックスに売上規模では大きく下回り、また広・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年8月20日掲載
企業基本情報
企業名
栄研化学株式会社
代表執行役社長
寺本 哲也
所在地
東京都台東区台東4-19-9 山口ビル7
事業内容
臨床検査薬大手。便潜血検査用試薬はシェア5割超。遺伝子関連強化中。アライアンスに積極的
決算期
3月末日
業種
医薬品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 28,645 2,548 2,812 2,453
2012年3月 27,702 2,363 2,543 1,460
2011年3月 27,562 2,709 2,775 1,672
株式情報(8/9現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,679円 18,192,890株 30,545百万円 10.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 1.8% 94.62円 17.7倍 1,294.26円 1.3倍
※株価は8/9終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROE、BPSは前期末実績。
 
東証1部上場の栄研化学株式会社について、ブリッジレポートにてご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
臨床検査の内、免疫血清検査、微生物検査、生化学検査、尿検査、遺伝子検査など、人体から採取した試料(検体)を調べる臨床検査薬の総合メーカー。検査機器の開発・販売も行っている。
国内シェア約57%である便潜血検査用試薬を始め、高シェア製品多数。また独自開発の遺伝子増幅技術「LAMP法」は世界的に高い評価を得ている。便潜血検査とLAMP法の2つを武器にグローバル企業への成長を目指している。
 
【沿革】
1939年 興亜化学工業(株)として創立し、栄養食品の製造販売開始(創業社長 黒住 剛)
1949年 日本で初めて細菌検査用粉末培地の製品化に成功
1961年 臨床検査部門を開設し、臨床検査薬の研究開発開始
1969年 創立30周年にあたり、栄研化学(株)と社名変更
1972年 尿試験紙「ウロペーパー‘栄研’」発売
1987年 便潜血検査用試薬「OC-ヘモディア」発売
1989年 便潜血測定装置「OCセンサー」発売
1990年 東京証券取引所市場第二部に株式を上場
1998年 新規遺伝子増幅技術LAMP法を開発、特許出願
2002年 3月 東京証券取引所市場第一部に株式を上場
2002年 3月 LAMP法が米国で特許成立
2002年 3月 LAMP法を用いた第1号製品の「Loopamp牛胚性判別試薬キット」および「Loopampエンドポイント濁度測定装置」を発売
2002年 5月 LAMP法が日本で特許成立
2004年11月 便潜血検査用試薬および装置の米国(FDA)での承認取得、発売
2005年 7月 FINDとLAMP法を利用した結核の遺伝子迅速検査法の共同開発契約を締結
2006年 8月 栄研生物科技(上海)有限公司の工場・社屋が竣工 (現・栄研生物科技(中国)有限公司)
2008年10月 栄研化学とFIND、LAMP法を利用した遺伝子迅速検査法で結核の追加契約を締結および新たにマラリア、睡眠病、HIVの共同開発に拡大
2009年 3月 新経営構想『EIKEN WAY ・ EIKEN ROAD MAP 2009』策定
2010年 7月 LAMP法を用いた体外診断用医薬品「Loopamp H1 pdm 2009インフルエンザウイルス検出試薬キット」「Loopamp マイコプラズマP検出試薬キット」「Loopamp レジオネラ検出試薬キットC」発売
2011年 6月 「Loopamp 結核菌群検出試薬キット」発売
2011年12月 栄研化学とFIND、LAMP法を利用した遺伝子迅速検査法で新たにリーシュマニア症の共同開発の契約を締結
*LAMP法、FINDについては「3.特徴と強み④LAMP法の優位性」を参照
 
【経営理念】
経営の基本として、「経営理念」、「経営ビジョン」、「モットー」を中心にEIKEN WAYを策定している。
 
 
【事業内容】
<国内市場>
臨床検査薬市場(検査用機器を含まない)の市場規模は、2011年度で約3,200億円(一般社団法人日本臨床検査薬協会調査)となっている。
行政は医療費を抑制するために特定健診(メタボ健診)やがん検診といった予防医療に力を入れており、今後、高齢化の進展と共に検査数(検体数)の増加が見込まれる。
一方でマイナス面としては少子化による人口減少および診療報酬改定(引下げ)の影響がある。ただ、診療報酬改定の対象である検体検査実施料の推移を見ると、1997年から2006年までの期間に約4割引き下げられたものの、その後はほぼ横ばいないし微減となっている。これは同社の含めた業界全体として予防、検査の重要性を働きかけた結果という事で、中長期的に見れば国内市場は年率3%程度の微増傾向が続くと思われる。
 
矢野経済研究所による「臨床検査市場の展望2009年版」によると、同社は売上高237億円で、シスメックス(6869、東証1部)、ロシュ・ダイアグノスティックス(独ロシュグループの日本法人)、富士レビオ(現 みらかホールディングス。4544、東証1部)、アボットジャパン(米アボットグループの日本法人)につぐ第5位、シェア5.8%となっている。
 
前述の協会会員117社(2013年6月時点)の内メーカーは80社で、売上200億円以上の企業は10社程度となっており、大多数は中堅・中小企業という構造。臨床検査は検査項目が多岐にわたっているため企業ごとに得意とする分野が異なり、企業間での棲み分けが出来ている。そのため、他社から製品を仕入れて販売するといった提携が多く見られる。また、そうした棲み分けが出来ている中、市場は小幅ながらも拡大しているため、明確な淘汰は現在のところ起きていないということだ。
 
<海外市場>
矢野経済研究所「グローバル臨床検査市場の展望2009年版」によれば、2008年の世界の検体検査薬・機器市場は445億USD(約4兆4,500億円。1USD=100円。)で、地域別構成比は米国41.2%、欧州36.9%、アジア・パシフィック12.0%などとなっている。
 
市場規模自体が国内市場の10倍超と巨大であると同時に、先進国では高齢化の進展に伴う検査数の増加、また新興国においては経済成長、所得増加に伴う医療ニーズの拡大などにより、年率7〜8%と国内市場を大きく上回る成長が見込まれるため、国内の各関連企業は積極的にグローバル化を進めている。
ただ、グローバル市場においては、ロシュ、アボット、シーメンス、ベックマンなど売上高が2,000〜9,000億円にも上る世界的大企業がメインプレーヤーとなっており、日本企業が競争に勝ち抜くためには独自性のある製品・システムの開発など競争力強化が不可欠である。
 
【事業内容】
 
1.臨床検査とは?
臨床検査には、レントゲン、CT、MRI、心電図、超音波など、医療機器を使用して体を直接調べる「生体検査」と、患者から採取した血液、尿・便、細胞などの生体試料(検体)を調べる「検体検査」がある。
同社が取り扱う臨床検査薬とは、検体検査に使用する試薬の事で、例えば感染症の検査や便に含まれた微量の血液の測定など、病気の診断をサポートするもの。
これら試薬の大部分は体外診断用医薬品と呼ばれ、試薬メーカーなどが厚生労働省に対し申請し、認可を受けたものである。
ユーザーは、病院、クリニック、受託を受けて検査を行う検査センター、健診センター、保健所、衛生研究所など。
 
2.主力製品
主として以下の各検査用試薬や機器を製造・販売している。
同社は幅広い検査薬を取り扱うために、自社製品に加え他社製品の仕入販売も行っている。
主要な自社製品は、便潜血検査用試薬、微生物検査用試薬、一般検査用試薬(尿試験紙など)、遺伝子検査用試薬など。
自社製品と他社製品の売上比率はほぼ半々。粗利率は自社製品が約55%、他社製品が約35%となっている。
 
 
便潜血検査用試薬
大腸がんのスクリーニング検査として糞便中ヒトヘモグロビンを特異的に検出・測定する便潜血検査用試薬・採便容器を主力製品とし、グローバルに販売している。
 
免疫血清検査用試薬(便潜血検査を除く)
自動分析装置用試薬「LZテスト‘栄研’」を始め、感染症、リウマチ、炎症、萎縮性胃炎、前立腺特異抗原などの診断、測定に使用する各種検査用試薬の開発、製造、販売を行っている。
また東ソー(株)から、医療機器及び試薬を導入・販売している。
 
微生物検査用試薬
同社は創立以来、感染症及び食中毒の予防を目的とし、生体試料や食品・環境の微生物検査用試薬を開発してきた。現在では、微生物検査用培地、薬剤感受性検査用試薬、迅速検査試薬など、微生物感染症の診断・治療に有用な各種検査用試薬を開発・製造・販売している。
 
一般検査用試薬(尿試験紙など)
尿中の潜血、たんぱく質、ブドウ糖など多項目の検査が行える尿検査用試験紙「ウロペーパー‘栄研’」シリーズ、全自動尿分析装置用には専用試験紙の「ウロペーパーα3‘栄研’」などを開発・製造・販売している。
 
生化学検査用試薬
生活習慣病との関連性が注目されている検査項目を中心に、血清や尿を検体とし生体成分を測定・分析する「エクディアXL ‘栄研’」シリーズなど、生化学検査用の試薬を開発・製造・販売している。
 
器具・食品環境関連培地
食中毒原因微生物の検査などの食品微生物検査用試薬や、作業環境の汚染実態などを把握できる環境微生物検査用試薬及び検査用器具・機材の販売を行っている。
 
医療機器関連(LAMP関連機器を除く)
各種自動分析装置を販売している。便潜血測定装置「OCセンサーシリーズ」は1989年の発売以来、技術革新と品質向上を重ねている。
また、独自技術であるカラーCCDセンサーを使用した尿自動分析装置「USシリーズ」、臨床検査分野で世界初となる全自動生物化学発光免疫測定装置「BLEIA-1200」など取り揃えている。
 
遺伝子関連(機器含む)
同社は1998年、新規遺伝子増幅技術LAMP法を独自開発し特許申請を行った。このLAMP法は、「簡易、迅速、精確」という特徴を有しており、今後のグローバル展開のための大きな武器となっている。(詳細は後述)
 
3.販売体制
国内の販売体制は11営業所、2営業部。学術部門が販売促進の支援を行っている。
2013年3月期の全従業員641名(連結)中、約280名が販売部門。
ユーザーである病院など医療機関向けチャネルに関する直接の販売先は医療系卸会社で、殆ど全ての卸会社と取引を行っている。
 
海外販売においては、基本的に1か国・1代理店体制をとっており、販売とメンテナンスを委託している。
輸出先は40か国(2013年3月期)。国の制度として便潜血検査を実施している、米国、イタリア、韓国、台湾が海外売上の大半を占めている。
アムステルダム(オランダ)に欧州事務所があるほか、中国に関しては連結子会社「栄研生物科技(中国)有限公司」での生産・販売体制の強化を行う他、中国事業室を設置しビジネス拡大を図っている。今後は規模拡大に伴い現地法人化も検討していく。
2013年3月期の海外売上高は1,949百万円。うち便潜血検査用試薬は1,443百万円、構成比は74.0%。
 
 
特徴と強み
 
①高シェアの製品群
便潜血検査用試薬の国内シェアは約57%でトップであるほか、尿試験紙で約23%(2位)、微生物検査用試薬で約18%(2位)等と多くの自社製品において高いシェアを有している。
特に便潜血検査用試薬は1992年に老人保健法の改正が行われ、大腸がん検診のスクリーニング検査法として公費で受診が可能(受診者負担が無料)になったのをきっかけに、普及が加速した。
同社が高いシェアを獲得することができた背景としては、1987年に便潜血検査用試薬「OC-ヘモディア」を発売していたこと、採便容器に関し衛生面や取扱い易さを追求した事、測定原理に免疫法(ラテックス凝集法)を採用し世界で初めて自動化装置を開発した事、試薬の性能が高い事などがあげられる。
特に、容器と装置の組み合わせがユーザーに受け入れられたことが大きな要因となった。
 
 
便潜血検査に関してはこの特徴を活かして海外展開を進めていく。
日本で実施されている免疫法は、ヒトの血液のみにしか反応しない試薬となっており、また、自動化装置による大量処理が可能である。
一方海外では化学法による古いタイプの試薬が使用されており、精度面に課題がある。近年になりようやく欧州の検診ガイドラインで免疫法による自動装置測定が推奨され、大きな市場の変化が表れ始めた。
また、市場が最も大きいアメリカでも化学法が主流であるが、徐々に免疫法へのシフトが始まっており、欧米、アジア・オセアニアの先進国には未開拓な大きな市場が控えている。
 
②研究開発に注力
研究開発型企業として独自性のある技術の研究開発と、それをベースとした顧客ニーズに対応したオリジナル製品の開発に注力している。研究開発要員は約100名。
顧客の要望は医療のクオリティ向上。具体的には、高感度・高品質による疾患の鑑別精度の向上、検出率の改善といった点が挙げられる。加えて、使用法が簡便であれば医療従事者の負荷軽減につながるため、そうしたニーズへの対応も重要なポイントとなっている。
同社は、1939年の創業以来培ってきた試薬製造の独自技術が蓄積されており、またその試薬の性能を有効に活用するための装置に関しても、便潜血検査用装置や尿自動分析装置、生物化学発光免疫測定装置など測定原理にも他社にはない独自技術が用いられている。
 
③アライアンス戦略による多品種・多分野展開
臨床検査薬はその対象、項目は多岐にわたり、すべてを自社で開発・製造・販売を手掛けることは困難である。同業他社の多くは自社の得意な技術・製品に絞っているが、同社は臨床検査薬の総合メーカーとして、収益構造の安定化をめざし、アライアンス戦略を通じて自社の有する強みの拡大、機能の補完、新技術の取得といったシナジー効果を追求しつつ、広範に取扱製品を揃え、医療機関を始めとした顧客、ユーザーのニーズに対応している。
多品種・多分野に展開しているもう一つの理由としては、経営理念「ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。」にあるように国民の健康を守るという責務を達成するためには、幅広い臨床検査に対応することが企業としての社会的責任であるとの想いも根底にある。
 
④「LAMP法」の優位性
遺伝子検査の中の過程の一つである遺伝子増幅プロセスにおける現在の主流技術は「PCR法」と呼ばれるもの。これに対し同社は1998年「LAMP法」という独自技術を開発した。
 
「LAMP法」はPCR法と比較して、以下の様な優れた特徴を持ち、簡易で迅速に特異性の極めて高い遺伝子検査を行う事が出来るものである。
 
 
現在、医療分野では感染症検査である結核やマイコプラズマ(真正細菌の一属で、肺炎の原因となることもある。)、インフルエンザ等の検査に使われている。
同社はLAMP法の地位確立のため感染症検査に注力すると同時に、LAMP法の普及・認知度向上のために、畜産・水産、食品・環境など医療以外の分野での利用を推進しており、実際にLAMP法に基づく製品は2002年以降次々と実現している。
また同様の目的から、LAMP法陣営構築のために外部に対し積極的なライセンス許諾を行っている。
 
LAMP法を世界的に普及させるための中心的な取り組みの一つが、「FIND」とのアライアンスである。
「FIND」は「Foundation for Innovative New Diagnostics」のことで、2003年5月に開催された国連の世界保健会議の場で設立されたスイス政府認可の非営利財団。当初5年間、Bill & Melinda Gates Foundationからの助成金を受けて活動を本格化している。
開発途上国における感染症撲滅のために、手頃な価格で、取り扱い易く、先進的な検査・診断方法を開発・導入する事を活動の目的としている。
 
FINDでは対象とする感染症として、結核、マラリア、アフリカ睡眠病などを上げているが、このうち結核について通常途上国で実施されている顕微鏡検査(塗沫検査)よりも精度を向上させることを目的として、LAMP法による結核検査の共同研究が同社とFINDによって2005年7月より開始された。
開発途上国の現場でも利用できるように、前処理工程の簡略化、試薬保存方法の改良、装置の簡略化など、PCR法では実現できない改良が加えられた。
LAMP法を利用したこの製品は2011年に日本で既に販売となっている。
現在FINDはWHO(World Health Organization、世界保健機構)の推奨獲得のために途上国各国で臨床実験を継続して実施している。
また、結核以外にも前述の疾病のほか、リーシュマニア症の検査薬に関しても共同開発を進めている。
同社では、これら共同研究の成果はLAMP法の普及を加速させるとともに、グローバルスタンダードとしての地位を確立させ、遺伝子検査市場の拡大に繋がるものと期待している。
 
*遺伝子増幅法
遺伝子検査では、検体に含まれる目的の遺伝子量が極めてわずかなため、遺伝子を検出するためにはまず目的とする遺伝子を増幅させなければならず、遺伝子検査において最も重要なポイントが遺伝子増幅となる。
 
*アフリカ睡眠病
熱帯アフリカの風土病で、トリパノソーマという原虫がヒトに感染して引き起こす重大な熱帯病。ツェツェバエが媒介する。ヒトの血液中のトリパノソーマがツェツェバエに吸血され、その体内で発育、増殖し2〜5週で終末トリパノソーマ型となって次の感染源となる。高熱、頭痛、嘔吐などをきたし、ひたすら眠るようになる。食事が摂れなくなるので痩せ、全身衰弱となり、多くは合併症を引き起こして死亡する。
 
*リーシュマニア症
リーシュマニアという原虫の感染によって引き起こされ、黒熱病といわれる内臓リーシュマニア症、皮膚と粘膜をおかすブラジルリーシュマニア症、皮膚をおかす熱帯リーシュマニア症があり、いずれも吸血昆虫、とくにサシチョウバエが媒介する。内臓リーシュマニア症は約3か月の潜伏期の後、高熱、発汗や下痢が生じ、1か月ぐらいすると肝臓と脾臓が腫れ、貧血が進み、放置すると衰弱し、半年から2年で死亡することもある。
 
 
2014年3月期第1四半期決算概要
 
 
小幅ながらも増収・増益
売上高は前年同期比+1.6%の75億円。微生物検査用試薬、一般検査用試薬が堅調だった半面、価格競争の影響で生化学的検査用試薬は減収だった。粗利率は、プロダクトミックスの影響などで同0.4%改善。売上総利益の伸びが販管費の増加(同+2.4%)を吸収し、営業利益は同3.6%の増益となった。
前年同期に比べ駐車場収入がなくなり、また、補助金収入も21百万円減少したため、経常利益は小幅増にとどまった。
 
 
○微生物検査用試薬
薬剤感受性検査用試薬の「ドライプレート‘栄研’」の売上が伸長し、また、2012年11月に発売した迅速検査試薬「イムノキャッチ−ノロ」の売上が加わった。
 
○一般検査用試薬
全自動尿分析装置用の専用試験紙「ウロペーパーα掘同標Α如廚稜箴紊伸長した。
 
○免疫血清学的検査用試薬
2013年2月からヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の除菌治療の保険適用が拡大されたことにより、血中のヘリコバクター・ピロリ抗体を測定する「Eプレート‘栄研’H.ピロリ抗体供弋擇咼悒螢灰丱ター・ピロリ検査と組み合わせて胃の健康状態を調べる(ABC分類)検査に使用する「LZテスト‘栄研’ペプシノゲン」の売上が増加した。
一方、前年同期は供給不足が解消され売上が伸びた便潜血検査用採便容器が、14/3期 1Qは売上が通常の水準に戻ったため、前年同期比で減収だった。
 
○生化学的検査用試薬
価格競争等により売上が伸びなかった。
 
○器具・食品環境関連培地
ほぼ横ばいだった。
 
○その他(医療機器・遺伝子関連等)
遺伝子検査(LAMP法)の「LoopampマイコプラズマP検出試薬キット」、「Loopamp結核菌群検出試薬キット」の売上及び特許料収入が伸長した。
 
○海外向け売上
北米向けの便潜血検査用試薬の売上が代理店の在庫調整の影響および国内同様、採便容器供給の正常化により減少した。
 
 
13年3月末に比べ、現預金およびたな卸資産の減少などで、流動資産が12億円の減少。総資産も12億円減少した。一方、流動負債、固定負債はそれぞれ、12億円、1億円減少し、負債合計は14億円減少した。
以上に加え、利益剰余金が1億円増加したことにより自己資本比率は13年3月末の67.0%から70.0%へ上昇した。
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
国内堅調に加え海外向け売上の伸張で小幅増収。営業利益も増益へ。
業績予想に変更はない。
国内市場においては、便潜血検査用試薬、尿試験紙、微生物検査用試薬、免疫血清学的検査用試薬(便潜血を除く)等を最重要販売製品と位置付けている。
また、海外市場では引き続き便潜血、LAMP製品の販売促進に注力する。また、中国において、LAMP試薬の拡販や新規ビジネスの探索を進める。
FINDとの事業においては、結核に関しWHO推奨取得に向けた途上国での評価を継続的に実施するほか、マラリア、アフリカ睡眠病、リーシュマニア症に関する試薬販売や臨床試験等を行っていく。
 
研究開発に関しては、LAMP法、BLEIA法、POCT(迅速検査)、薬剤感受性製品群の開発を推進する。既存技術のブラッシュアップによる製品改良や新規診断技術の探索研究も進める。
 
またコストダウンも重要な課題であることから、製造原価の低減、業務効率化による販管費削減も継続的に行う。
能力開発ビジョンによる基幹人材の育成も重要な経営課題と認識している。
 
 
配当は、中間15円/株、期末15円/株の合計30円/株を予定している。配当性向は31.7%。
 
 
新経営構想「EIKEN WAY・EIKEN ROAD MAP 2009」
 
2018年度に創立80周年を迎える同社は、そこを一つの目標点として捉え、「勝ち残りの経営」を推進するための基本方針として2009年3月、「EIKEN WAY・EIKEN ROAD MAP 2009」を策定した。
 
【背景】
日本国内では医療費抑制を目的とする医療制度改革の継続基調は変わることなく、診療報酬の改定、製品競争・価格競争の激化により、臨床検査関連企業には、一層の経営の効率化・合理化が求められている。
加えて、安全性の確保と法令遵守が更に重要な経営課題となっており、各企業間格差が一段と大きくなると考えられる。
こうした環境下、着実な成長と持続的な企業価値の向上を実現するためには長期的にEIKENグループが目指す方向性を明らかにした上で、経営資源の効率を最大化しつつ、新たな視点をもって環境変化を活かす戦略を、よりスピーディかつ大胆に進めることが必要不可欠であると同社は認識している。
そこで、同社では新経営構想として、堅実な経営を実践するためのよりどころとなる「EIKEN WAY」および長期的な目標を見据えた「勝ち残りの経営」を推進するための基本指針となる“EIKEN ROADMAP 2009”を策定した。
 
【概要】
1.事業ドメイン
EIKEN グループが保有する技術や強みを活かした事業領域として、『ヘルスケア』の中から「臨床検査事業」「食品・環境検査事業」の2つを事業ドメインと定め、着実な成長と収益性向上を実現する。また、このドメインの中で次の成長を担う新規事業を創出する。
 
2.EIKEN ROAD MAP 2009 グランドビジョン
『2018 年までに、検査のパイオニアとして人々の健康を守るため、グローバル企業“EIKEN”を実現する。』
 
 
 
5.経営目標
世界的な検査企業入りという未来のため、強固な事業基盤作りとして着実な収益性の向上を目指します。
 
 
投資家へのメッセージ
 
「EIKEN WAY・EIKEN ROAD MAP 2009」を中心に、今後の展望について寺本社長にお話を伺った。
 
<グローバル展開の推進>
国内市場も堅調な伸びを見せてはいるが、やはり将来的な人口減少、価格競争の進展などマイナス面も大きくなってくるため、海外事業の強化を進め、「EIKEN ROAD MAP 2009」のグランドビジョンにあるように、グローバル企業“EIKEN”を目指す。
具体的には自社の独自技術から生まれた「免疫法による便潜血検査」と「LAMP法」の2つを主軸に、世界市場を開拓していく。
 
①免疫法による便潜血検査
「感度・特異的が高い」、「ヒト血液にのみ反応する(受診者の食事や薬剤制限が不要)」、「全自動化・定量化ができる」といった日本発の独自技術である免疫法の優位性を活かし、欧米先進国を中心に拡大を進めていく。
2011年にEUは大腸がん検診ガイドラインの改正を行い、「免疫法(自動化)がベストである」との認識に至っており、イタリア、スロベニア、ハンガリー、デンマーク、ベルギー、マルタでは国家スクリーニング検査に当社製品が採用された。また、フランス、オランダ、ノルウェーなどは採用対応中である。
 
また大市場のアメリカでは、現在化学法が70%、免疫法が30%程となっている。
今後は、既存採用先での検査数増加と新規病院市場での採用を積極的に働きかけ、免疫法内でのシェア拡大と共に、化学法からのシフトを進める。
 
アジアでは、韓国、台湾、中国、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリアで販売を拡大しており、また、タイでの新規採用を工作中である。
 
②遺伝子検査LAMP法
前述のように、LAMP法の世界的な普及に取り組んでいる。
特に結核検査に関しては、大きなマーケットが期待できる。
 
<結核の現状>
・世界の総人口70億人の1/3が感染し、毎年940万人の新規患者が発生。180万人が死亡。
・全世界約200ヶ国のうち、約1割の22か国で全世界の結核患者の80%が発生。死亡者では98%を占める。
・日本では2008年には24,760人に患者が新たに発生し、2,155名が死亡した。
 
現在この22か国で年間約4,000万件の塗沫検査(顕微鏡検査)が行われているが、顕微鏡検査は検出率が低いため、簡易・迅速・安価に操作でき、高感度・特異的な結核検査方法である「LAMP法」に対する注目が高まっている。
仮に現在の顕微鏡検査年間4,000万件がLAMP法で行われると、約200億円のマーケットが誕生すると推定することができる。
 
また、免疫法、LAMP法に加えて、これも独自に世界で初めて開発し、2012年8月に発売した生物発光酵素免疫測定法「BLEILA法」を世界に打ち出してゆく。
この製品は、遺伝子検査に匹敵する超高感度と、免疫法ならではの迅速、簡易、低ランニングコストで大量処理が可能。まず手始めにノロウイルス検出試薬を発売したが、次いで高感度が要求される肝炎検査用試薬も発売した。大型製品として、中長期での拡販を図る。
 
<国内市場での自社製品のシェアアップ>
厚労省は、現在30%程度の便潜血検査受診率を40%まで引き上げることを目指して無料クーポン券の配布などの活動を行っている。当社は啓発活動に参加しつつ、シェア拡大に取り組んでいる。
また、その他製品もシェアを拡大するべく、既存製品のきめ細かい改良・改善にも取り組む。
 
<新規事業・新規市場の創出>
あくまでも「臨床検査事業」、「食品・環境検査事業」のフィールドではあるが、現在まだ手を付けていない製品群を、今後もアライアンスも含めて取り扱っていく。
 
<生産性の向上>
継続的に生産性の向上を図り、製造原価の低減を中心に取り組んでいく。
また、「顧客に対する付加価値の提供」を追求し、価格競争に対抗する。
 
<人材の育成>
今後も継続的な成長を遂げるためには、各分野での優秀な人材の確保と育成が課題だが、特に海外市場での販売体制再構築のためのグローバル人材の確保は急務である。
 
<配当について>
当社の企業価値の源泉は研究開発および製造だが、株主への利益還元も重要な経営課題であり、双方のバランスを考え、「配当性向 30%」を目途としつつ、最低30円/株の水準は維持していきたい。
 
<EIKENが目指す姿>
会社創立以来研究開発に力を入れてきた当社は、今後も、便潜血検査、LAMP法に代表される「固有技術・独自技術」による新市場の創造に挑戦していく。
世界市場には当社とは比べものにならない巨大企業が存在するが、当社は当社の強みを活かし、独自技術によって「その分野でのNo.1」を目指していく。
 
 
今後の注目点
以下は臨床検査試薬製造を主要事業としている上場企業一覧である。
 
 
同社は、みらかホールディングス(業界大手の富士レビオと受託臨床検査センターSRLが合併)、シスメックスに売上規模では大きく下回り、また広範な臨床検査項目をカバーするために自社製品のみならず他社仕入も行っているため、営業利益率もこの2社には及ばないものの、前期ROEは10%を超えている。2期前、3期前のROEもおおよそ7〜8%台であり、日本企業全般及び同業界においても決して低い水準ではない。便潜血検査、LAMP法といった独自製品およびその開発力が、比較的良好なROE水準の背景にあると言って良いだろう。
 
今後の注目点は何と言っても「EIKEN WAY・EIKEN ROAD MAP 2009」の中心的テーマである、グローバル展開をどういうスピード感で推進させることができるか?になろう。
結核検査におけるLAMP法利用に関するWHOの推奨取得は予定より若干遅れ気味であり、また免疫法による便潜血検査の普及も、その国の制度構築の進捗度合いに依存する部分が大きく、全てを自社の努力のみで解決できない点はあるものの、この2分野における同社の優位性は極めて堅固であり、揺るぐ可能性は現時点では小さいと考えられる。
そうしたアドバンテージを現実的に活かすためには、海外販売のための組織作り、人材の確保・育成を着実に進めていくことが不可欠だ。
足元の業績推移と並行してこうした取り組みの進捗をウォッチして行きたい。
 
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