ブリッジレポート
(2183:東証1部) リニカル 企業HP
秦野 和浩 社長
秦野 和浩 社長

【ブリッジレポート vol.16】2014年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「近年、医薬品開発のスピードアップを念頭に国際共同治験が実施されるケースが増えている。同社も、先行する米国子会社での人員増強、Asia・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年8月27日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社リニカル
社長
秦野 和浩
所在地
大阪市淀川区宮原1-6-1 新大阪ブリックビル
事業内容
CRO(臨床試験受託業)が柱。供Ν形蟷邯海貌嘆宗CSO(医薬品営業受託業)を育成中
決算期
3月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 3,599 1,003 998 616
2012年3月 3,110 728 723 424
2011年3月 2,512 288 278 147
2010年3月 2,404 480 473 273
2009年3月 2,036 549 515 300
2008年3月 1,273 505 494 296
2007年3月 613 186 195 114
2006年3月 118 16 19 11
株式情報(8/6現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,369円 11,394,906株 15,600百万円 46.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
14.00円 1.0% 60.31円 22.7倍 139.05円 9.8倍
※株価は8/6終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
リニカルの2013年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
臨床試験(治験)や医薬品の市販後臨床試験等に関わる業務の一部を代行する事で製薬会社の医薬品開発を支援するCRO(Contract Research Organization)事業を中心に、CSO(Contract Sales Organization:医薬品の営業・マーケティング受託)事業を手掛ける。
CRO事業では、治験の最も大切な段階である第Ⅱ相試験(フェーズⅡ)及び第Ⅲ相試験(フェーズⅢ)における「モニタリング業務」に特化している事が特徴。また、統合失調症、うつ病、アルツハイマー等の中枢神経系(Central Nervous System :CNS)領域やがん領域といった難易度の高い領域に注力する事で他社との差別化を図っている(これに対して、生活習慣病等の領域は差別化が難しく受託競争が激しい)。一方、CSO事業では、CRO事業で培ったノウハウを活かし、プロダクトマーケティング業務や市販後データの企画・収集業務の受託を手掛けており、MR派遣が中心の他社のCSO事業と一線を画している。
主な取引先は、武田薬品工業グループ、第一三共、エーザイ、大塚製薬、塩野義製薬、中外製薬等の国内主要製薬会社。尚、第Ⅱ相試験は安全性及び有効性・用法・用量を調べるために実施され、この結果を基に第Ⅲ相試験において、実際の治療に近い形での効果と安全性を確認する。
 
【沿革】
2005年6月、藤沢薬品工業株式会社(現 アステラス製薬株式会社)で免疫抑制剤等の開発に携わってきたメンバー9名によって設立された。大阪発理想の医薬品開発受託(CRO)事業を目的として、設立当初から、CNS領域やがん領域の育成に取り組み、会社設立後まもなく大塚製薬からCNS領域の案件を受注。その後、人材を補強し事業部として受注活動を強化した。また、がん領域も外資系製薬会社等でがん領域の医薬品開発を手掛けた人材等に恵まれ、足元、受注が拡大している。
SMO(治験施設支援機関)事業進出を念頭に、06年1月に同事業を手掛けるアウローラ(株)を子会社化したが、CRO事業への経営資源集中を図るべく07年5月に全保有株式を売却。08年7月に、国内の製薬会社の米国進出支援を目的に米国カリフォルニア州に全額出資子会社LINICAL USA, INC.を設立。同年10月の東証マザーズ上場を経て、13年3月に東証1部に市場変更となった。
 
 
【業務内容】
事業セグメントは、主力のCRO事業とCSO事業に分かれ、13/3期の売上構成比は、それぞれ95.3%、4.7%。CRO事業は「モニタリング業務」に特化しており、これに付随する「品質管理業務」や「コンサルティング業務」も手掛ける。一方、CSO事業は、プロダクトマーケティング業務や市販後データの企画・収集業務の受託を手掛け、MR派遣を中心とする他社と差別化を図っている。
 
 
 
【特徴】
(1)高難易度領域のモニタリング業務に強み
難易度が高く競争相手が少ないがん領域や中枢神経系領域のモニタリング業務に強みを有する。難易度が高いとは、がん領域であれば、薬の副作用によるものか、がんの進行によるものかの安全性の評価が難しく、中枢神経系領域であれば、アルツハイマー病の患者は問診等による薬の有効性評価が難しいため、高度なモニタリング技術が必用とされる。この他、急性疾患や特定疾患(いわゆる難病)と呼ばれる領域も難易度が高い分野で、がん領域や中枢神経系領域と共に新薬開発が活発だ(しかし、対応できるCROは限られる)。
新薬の開発トレンドは生活習慣病から治療満足度が低いがん領域や中枢神経系領域にシフトしているが、上記の通り、がん領域では安全性情報の取り扱いが難しく、中枢神経系領域では有効性評価の標準化が難しい。このため、これまでは製薬会社が社内で対応していたが、近年、こうした難易度の高い領域でもアウトソーシングされるケースが増えている。同社にとって、中枢神経系領域は会社設立時からの注力分野であり、がん領域については2年前よりアストラゼネカのイレッサ開発メンバーを迎えるなど受注活動を本格化している。13/3期末受注残高47億50百万円に対して、がん領域は11億55百万円(構成比24%)、中枢神経領域は19億98百万円(同42%)。
 
(2)高い収益性
CRO業務全般での知識・技術水準の高さは同社の大きな強みである。同社が手掛ける案件の逸脱率は非常に低く抑えられており、また、症例の組み入れやデータの回収期間を含め、全案件の8割程度において実施期間の短縮に成功している。難易度の高い分野で高品質・短納期を実現しているため適正価格での受注が可能となり、高い利益率を実現している。
収益力の源泉となるCRAの質については、GCPパスポート認定試験の合格率を指標としてあげる事ができる。GCPパスポート認定試験とは、国際共同治験に対応できる人材の育成を目的にした試験で、日本臨床試験研究会が実施している。
 
 
 
人員計画
 
リニカルブランドの確立(高品質・短納期・適正価格の浸透)、既存事業の強化・拡充、新規事業の育成(付加価値の高い創薬支援事業の展開)を経営戦略の3本柱とし、事業の拡大に向け早期に270名体制とする人員計画を立てている。
当第1四半期においても新規受託案件に対応すべく先行的に人員の採用を行っている。
 
 
 
2014年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比5.2%の減収、同66.1%の経常減益
売上高は前年同期比5.2%減の860百万円。CRO事業の売上は複数の新規案件を獲得したものの、一部案件の前倒し計上や大型新規案件の受託が重なり前年同期の売上水準が高かったのに対し今期はこうした特殊要因がなく対前年同期比で減少した。一方、CSO事業の売上は、営業活動を積極的に推進した結果、新規案件の受託に成功し増加した。
 
利益面では、CRO事業の売上減少に加え、CRO事業、CSO事業共に、先行して人員を採用し教育を実施したことから売上総利益率が30.9%と前年同期比12.7ポイント悪化した。また、人材募集費を中心に販管費が32百万円増加したことから、営業利益は83百万円と同65.8%減少した。
 
 
CRO事業、CSO事業共に、1年から3年の受託契約期間において、契約に従い毎月売上が発生する(受託総額が毎月案分計上される)。受注残高は、既に契約締結済みの受託業務の受注金額の残高である。このため、今後1年から3年程度の期間で発生する売上高を示しており、同社グループの今後の業績予想の根拠となる指標である。
第1四半期末の受注残高は、前期末(2013年3月)に比べ、6.6%減少した。また、第1四半期末と2013年7月26日との比較では、同3.4%減少した。しかし、アウトソーシング化及び国際共同治験の増加を背景に足元の受注環境は良好であり、既存・新規顧客からの受託案件の打診も多いことから、今後増加に転じてくるものと思われる。同社では、CRAの増員などにより、受託体制の強化を図る計画。
 
 
期末総資産は前期末比1億37百万円減の25億5百万円。税金等調整前四半期純利益の減少などからフリーCFが赤字となったものの、実質無借金で流動比率も高く引き続き財務体質は健全。自己資本比率も57.7%と引き続き高い。
 
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
前期比12.0%の増収、同14.6%の経常増益予想。8期連続増収、3期連続過去最高益更新を見込む
第1四半期決算を終え、期初の業績予想を据え置き。
売上高は前期比12.0%増の40億31百万円。一部受託内定案件の期ズレを想定するなど慎重な予想となったものの、既存プロジェクトの増員と新規案件の受注で吸収し8期連続の増収を見込む。利益面では、CRAの増員やグローバル展開に伴い営業費用が増加するものの、増収効果で吸収し営業利益は11億51百万円と同14.7%増加の予想。3期連続の最高益更新が見込まれる。
配当も1株当たり期末14円の予定を据え置き。
 
 
今後の注目点
近年、医薬品開発のスピードアップを念頭に国際共同治験が実施されるケースが増えている。同社も、先行する米国子会社での人員増強、Asian CRA の採用、台湾・韓国での子会社設立等、日本主導型国際共同治験への対応を本格化させている。採用した人材に対しては、研修を通じて日本品質の治験に対する知識やノウハウが注入され、海外各国において日本の大手製薬会社のニーズに応えられるよう、日本の治験に対する考え方の理解促進にも力が入れられている。同社の主要顧客である日本の大手製薬会社の中では、質の高い治験、早くて有効な治験が実施できる会社との信頼が厚い。そのため、米国をはじめとする海外において、日本と同レベルの質の高い治験体制が構築できるのであれば、これまで日本の大手製薬会社が海外のローカル企業にアウトソーシングしていたCRO事業の委託を同社へ全面的に切り替える可能性が高いと考えられる。言うまでもなく、日本における単独のCRO事業の受託に比べ、国際共同治験の受託は、売上規模の拡大と効率化による付加価値向上をもたらすと予想される。近年の攻めの先行投資(人員増強と教育の強化)が実を結び、今後どのタイミングで成長力が加速してくるのか引き続き注目したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
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