ブリッジレポート
(8912:東証マザーズ) エリアクエスト 企業HP
清原 雅人 社長
清原 雅人 社長

【ブリッジレポート vol.9】2013年6月期業績レポート
取材概要「一般に、「ビル管理業界はサービス面での差別化が難しいため、特に景気悪化局面では価格競争に陥りがち」と言われているが、同社は、こう・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年8月27日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社エリアクエスト
社長
清原 雅人
所在地
東京都新宿区西新宿六丁目5番1号 新宿アイランドタワー7階
事業内容
ビルテナント誘致が主力。借り主への店舗開発提案も。関東圏基盤に、ネット配信でも顧客開拓
決算期
6月 末日
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年6月 819 49 50 37
2012年6月 646 4 5 19
2011年6月 595 -45 -43 -50
2010年6月 735 12 14 3
2009年6月 879 -182 -179 -381
2008年6月 1,015 -311 -307 -556
2007年6月 1,530 -95 -94 -118
2006年6月 1,580 18 18 -139
2005年6月 2,091 240 236 189
株式情報(8/20現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
111円 20,997,100株 2,331百万円 7.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 0.0% 3.72円 29.8倍 25.31円 4.4倍
※株価は8/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
エリアクエストの2013年6月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“ビルコンシェルジェ”を標榜。東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の駅前商業地において、テナント誘致及び店舗・オフィス紹介等の「成功報酬型ビジネス」と、サブリースを含むビル管理及びメンテナンス(清掃、設備保守、警備管理等)や売買仲介を含む契約更新・契約管理の「ストック収入型ビジネス」を展開。テナント誘致等を手掛ける(株)エリアクエスト店舗&オフィス及びビル管理等の(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの連結子会社2社とグループを形成しており、同社自身はグループのマネジメントが中心。
 
【沿革】
現在代表取締役社長を務める清原雅人氏が野村證券(株)を経て起業。2000年1月にエリアリンク(株)として本格的なスタートを切った(01年3月、現商号に変更)。データベースマーケティングを駆使した営業力を武器にテナント誘致を中心とした成功報酬型ビジネスを急拡大させ03年2月に東証マザーズに株式を上場。その後も順調に業績を拡大させたが、米国での不動産市況の変調が国内にも波及し事業環境が一変。06/6期は前期の収益を押し上げた不動産売買が無くなった事とテナント誘致に伴う仲介手数料収入(成功報酬型収入)の減少で営業利益が急減。繰延税金資産の取り崩しもあり、1.4億円弱の最終赤字に転落した。
 
07/6期以降はグループをあげてのコスト削減に取り組むと共に構造改革に着手。テナント誘致を中心にした成功報酬型収入に依存する収益構造からストック型収入を中心とし安定成長が可能な収益構造への転換を進めた。ただ、リーマン・ショック後の世界的な不況が企業業績を直撃しオフィス需要の低迷が深刻化、09/6期にかけては成功報酬型収入の減少に歯止めがかからず、3期連続の営業赤字を計上。営業投資有価証券や投資有価証券の評価損・売却損等の計上で最終赤字も膨らんだ。
 
10/6期も成功報酬型収入の減少が続いたが、コスト削減が進んだ事と契約更新・契約管理・メンテナンス等のストック型収入が下支えとなり4期ぶりに営業損益が黒字転換。投資業務からの撤退も完了した。11/6期は景気低迷による企業活動の低下に加え、東日本大震災の影響で年度末にかけての契約も進まず成功報酬型収入が落ち込む中、コスト削減効果の顕在化の遅れで再び営業赤字となったが、12/6期以降、ストック型収入の着実な積み上げと固定費を中心にしたコスト削減の進展で黒字体質が定着してきた。
 
 
【成長戦略】
(1)ストック収入型ビジネスと成功報酬型ビジネスを両輪に安定成長を目指す
会社設立から3年で東証マザーズに上場した同社だが、当時はトラブル防止・解決やテナントとの各種折衝を含めたテナント誘致等(現在の成功報酬型ビジネス)が売上のほぼ100%を占めており、ストック収入型ビジネスとして、現在、力を入れているビル管理・サブリースや更新及び契約管理(現在のストック収入型ビジネス)は積極的な営業を行っていなかった。しかし、06/6期以降、事業環境の変化で成功報酬型ビジネスが急激にシュリンクした反省を踏まえて、景気の影響を受け難いストック収入型ビジネスの育成に取り組んだ。
ストックの積み上げは根気のいる作業だが、ストック収入型ビジネスの売上が順調に拡大しており、12/6期に連結ベースの営業損益が黒字転換する原動力となった。
 
(2)同社サービスの強みと今後の展開− Only Oneのサービスでストック収入型ビジネスを強化 −
足元、順調なストック収入型ビジネスだが、事業拡大の機転となったのが11/6期下期に導入した「パノラマクリーニング」である。今後は、「トラブル(カギ、水漏れ、ガラス)への迅速対応」、「賃貸借変更」、及び「テナント誘致」、をワンストップで提供する「ビルコンシェルジェ」サービスを提供する事でサービスの付加価値を高め、ストック収入型ビジネスの拡大ピッチを加速させていく考え。
 
「ビル管理はうちが一番です。誰にも負けないと思っています。」
掃除をさせたら日本一! 顧客本位のサービスが評価され新規開拓が進展
ストック収入型ビジネス強化のポイントは、一にも二にも「掃除」に力を入れる事。そのバイブル的な存在となっているのが、「パノラマクリーニング」である。「パノラマクリーニング」は、清原社長が実際に掃除サービスの現場を見て感じた課題を解決するべくまとめたもので、パノラマスケッチ、項目指示書、抜打ちチェック、月次報告書が1セットになっている。
わかりやすい指示書と定期的な結果報告を特徴とするパノラマクリーニングは清掃作業員の作業効率化と作業品質の向上につながったため、顧客からの評価が高まり、ひいては紹介案件の増加にもつながった。このため、導入から1年程度で月間350〜400百万円の粗利を確保できるようになり、11/6期には45百万円の損失だった連結ベースの営業損益が導入2年目の12/6期には4百万円の利益に転じた。
 
また、清掃業務を受託すると、ビルオーナー等が頭を悩ませる共用部のチェックと改善のためのテナントとの折衝も併せてサービスするのが同社のビル管理の特徴。これにより、ビルオーナー等がテナントを管理する事も容易になり、「パノラマクリーニング」による定期的な業務報告と相まって信頼を勝ち得ていった。
従来、同社が管理する物件の大半は仲介を世話した物件だったが、現在、年間50〜60件に及ぶ新規管理物件のうちの80%程度が仲介取引のない物件であると言う。近年の実績が評価され、ビルオーナー等の間で同社の知名度が着実に向上しているようだ。
 
 
Only Oneのサービス“ビルコンシェルジェ”で差別化・高付加価値化
13/6期からは、「トラブル(カギ、水漏れ、ガラス)への迅速対応」、「賃貸借変更」、及び「テナント誘致」、をワンストップで提供する“ビルコンシェルジェ”サービスの提供を開始した。
 
トラブル(カギ、水漏れ、ガラス)への迅速対応
80年代後半から90年代初めにかけてのバブル期に竣工したビルが20年を経過し、エアコンの故障や水漏れ等、トラブルが増えてくる築年数に入ってきた。しかし、「こうしたトラブルに対して、リーズナブルな価格ですぐに対応してくれるサービス会社が少ない」と言うのがビルオーナー等の共通の悩み。同社はこうしたオーナーニーズに応えるべく、作業内容を統一しマニュアル化すると共に、実際にサービスを提供する協力会社の整備を進めてきた。
具体的には、トラブルの多い水回り、電気、ガス、空調等、連絡を受けてから平均6時間以内に出動して対応すると共に、24時間以内に、写真、原因究明、改善策、見積もりを提出する。一連のサービスを「ビルコンシェルジェ」としてブランディングし、12年8月に営業を強化したところ顧客の反応は極めて良好で、13/6期上期は10百万円程度の利益を計上。来14/6期通期の利益貢献は34百万円程度(約24百万円増)に拡大する見込み。
 
 
「賃貸借変更」や「テナント誘致」への対応で更なる差別化
また、建て替えに備えて借家契約を定期借家契約へ変更する必要があるビル等で、ビルオーナー等に代わって、テナントとの交渉を代行する「賃貸借変更」(既得権が強いだけに、この交渉が実に難しい)や「テナント誘致」(ライバルよりも早く、かつ高い賃料で誘致)等のサービスを、「トラブル(カギ、水漏れ、ガラス)への迅速対応」と共に総合的に提供する事で、不動産会社やビルメンテナンス会社との差別化を図っている(同社は上記のサービスを総合的に提供できるOnly Oneの企業である)。
 
成功報酬型ビジネスの再強化で成長加速
また、今後の収益見通しには織り込まれていないが、改めて成功報酬型ビジネスにも力を入れ、ストック収入型ビジネスと車の両輪として収益拡大を加速させていく考え(この一環として、13/6期に人員を増強した)。ピーク時には10億円を超えた成功報酬型ビジネスの売上だが、現在は3億円程度。同社は5億円台への回復を当面の目標としており、収益性の高い事業だけに目標が達成できれば利益面でのインパクトも大きい。
 
 
 
2013年6月期決算
 
 
ストック収入型ビジネスの拡大で利益体質が定着
売上高は前期比26.8%増の8億19百万円。注力しているストック収入型ビジネス(サブリースを含むビル管理及びメンテナンスや売買仲介を含む契約更新・契約管理)において、新規開拓が想定以上に進んだ事に加え、第3四半期には大型案件の受注にも成功。同ビジネスの売上が5億54百万円と前期に比べて1億99百万円増加した。一方、ピーク時には売上が10億円を超えた成功報酬型ビジネス(テナント誘致及び店舗・オフィス紹介等)については、改めて強化する事でストック収入型ビジネスとの二本柱とするべく人員を増強した。
利益面では、新宿アイランドタワーへの本社機能移転(12年7月)と人員増強等で攻める姿勢に転じた結果、販管費が増加したものの、増収による売上総利益の増加で吸収。前期は4百万円にとどまった営業利益が49百万円に増加した。
 
 
 
 
 
期末総資産は前期末比3億35百万円増の9億29百万円。借方では、CFの改善により現預金が前期末比倍増した他、オフィス移転で有形固定資産及び敷金保証金が増加。投資有価証券も増加した。一方、貸方では、長期預り保証金及び純資産が増加。長期預り保証金の増加はストック収入型ビジネスが順調に伸びている事を示すもので、CFの改善にもつながっている。実質無借金経営で、自己資本比率は57.2%。
CFの面では、ストック収入型ビジネスの積み上げ効果で前期は5百万円だった営業CFが89百万円に増加。預り保証金の増加等で投資CFも小幅なマイナスにとどまり、85百万円のフリーCFを確保した。
 
 
 
2014年6月期業績予想
 
 
前期比20.8%の増収、同58.6%の経常増益予想
「売上高は前期比20.8%増の9億89百万円。契約の累積効果でストック収入型ビジネスが伸びる上、景況感の改善や企業業績の回復でオフィスを移転・拡張する動きが活発化しており、成功報酬型ビジネスの事業環境も明るさを増してきた。また、「トラブル(カギ、水漏れ、ガラス)への迅速対応」、「賃貸借変更」、及び「テナント誘致」、をワンストップで提供する“ビルコンシェルジェ”の寄与も見込まれる。
新規案件の立ち上げによる一時的な売上原価の増加や、15/6期、16/6期を視野に入れた先行投資と営業強化による販管費の増加を織り込んだものの、増収効果で吸収。営業利益は80百万円と同63.7%増加する見込み。
 
 
ビル管理業界は不動産市況や取引先の業績等の影響を受けやすい業界である。08年秋のリーマン・ショック後の落ち込みから緩やかな回復傾向を示していたが、アベノミクス効果による景況感の改善や、不動産市況及び企業業績の回復を受けて回復ピッチを速めているようだ。不動産管理や関連業務の売上高が60%を超える上場企業9社の売上高と営業利益の推移がその傾向を裏付けており、前項のグラフが示すように14/3期の見通しは明るい。
一方、同社の14/6期の業績は既に締結された契約を根拠とするため、足元の事業環境が今期の業績に大きな影響を与える事はないが、15/6期以降の業績につながる営業活動には追い風となる。
 
 
 
今後の注目点
一般に、「ビル管理業界はサービス面での差別化が難しいため、特に景気悪化局面では価格競争に陥りがち」と言われているが、同社は、こうした常識を覆すべく、“ビルコンシェルジェ”サービスの導入や大手が敬遠しがちな80年代後半から90年代初めにかけてのバブル期に竣工した築年数の古いビルにターゲットを絞る事で差別化を実現し、実際、事業拡大と収益性の向上を両立している。また、オフィス仲介の三鬼商事(東京・中央)によると、7月末時点の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は8.29%と前月末比0.17ポイント低下した。改善は2カ月ぶりで、8.29%と言う空室率は2010年1月以来、3年半ぶりの低水準だったと言う。アベノミクス効果による景況感の改善や企業業績の回復を追い風に、成功報酬型ビジネスの事業環境も明るさを増してきた。
同社が、自社の強みや良好な事業環境を活かして業容拡大を図るために必要な事は生命線である人的リソースの拡充である。質を落とさず、人材の増強ができるか否かが持続的な業績拡大のポイントと考える。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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