ブリッジレポート
(9441:JASDAQ) ベルパーク 企業HP
西川 猛 社長
西川 猛 社長

【ブリッジレポート vol.2】2013年12月期上期業績レポート
取材概要「12年4月から13年6月にかけて、携帯電話の代理店業界に大きな再編の波が押し寄せ、上位10社中3社(パナソニックテレコム、ITX、MXモバイリ・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年8月27日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ベルパーク
社長
西川 猛
所在地
東京都千代田区平河町1-4-12
事業内容
独立系で最大級の携帯電話販売代理店。東名阪に集中してソフトバンクショップ、ウィルコムプラザ、auショップを展開。
決算期
12月末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年12月 74,468 3,122 3,200 1,783
2011年12月 70,572 2,849 2,781 1,489
2010年12月 60,168 2,905 2,893 1,659
2009年12月 46,890 3,576 3,550 2,046
2008年12月 33,457 1,460 1,423 1,143
2007年12月 31,453 1,684 1,685 840
2006年12月 24,356 1,076 1,087 557
2005年12月 24,355 948 946 483
株式情報(8/13現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,810円 6,456,700株 18,143百万円 15.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
40.00円 1.4% 282.02円 10.0倍 1,891.07円 1.5倍
※株価は8/13終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
ベルパークの2013年12月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
移動体通信事業者のキャリアショップ運営を主力事業とする独立系携帯電話販売代理店。東名阪を中心に231店舗の店舗網を有する。13年6月末現在の内訳はソフトバンクショップ214店(直営160店・FC54店)、ウィルコムプラザ11店(直営8店・FC3店)、auショップ1店(直営1店)、Apple関連5店舗。
 
【沿革】
1993年2月、東京都千代田区に設立。95年4月、東京デジタルホン(後のJ-フォン。03/12期にボーダフォンにブランド変更)と代理店委託契約を締結し、同年5月に千代田区麹町に同社のキャリア公認店舗1号店「J‐PHONE SHOP 半蔵門」(現ソフトバンク市ヶ谷)を開設した。成長軌道に乗ったのは、監査役だった現社長の西川猛氏によるMBO(Management Buy Out。96年2月)以降。資金が枯渇する中でのMBOとなったが、短期間で経営を軌道に乗せ、4年後の00年5月に株式を店頭登録(現JASDAQ上場)した。ボーダフォンが苦戦した05年にかけては業績が伸び悩んだが、この間に店舗オペレーションのブラッシュアップが進み、M&Aのノウハウ蓄積も進んだ。
 
大きな転機となったのが、06年10月のソフトバンク(株)によるボーダフォン(株)の買収(ソフトバンクへのブランド変更)。事業主体となったソフトバンクモバイル(株)が次々と打ち出す新施策への迅速な対応と優れた財務力を武器にした積極的なM&Aが成果をあげる中、番号ポータビリティ制度の開始や「iPhone」の発売による市場の活性化もあり成長軌道に回帰。割賦方式による新しい販売方式及び料金プランも、一時的には逆風となったが、その後の収益力向上につながった。
09年6月にはパナソニックテレコム(株)の運営していたソフトバンクショップ52店舗(直営22店舗、FC30店舗)及び卸売事業を譲受し、店舗ネットワークを一気に拡大。10年12月には、ソフトバンクグループに加わった(株)ウィルコムと代理店基本契約を締結した。更に13年2月には、au携帯端末の販売及びその他サービスの提供を目的にKDDI(株)と代理店契約を締結した。
 
 
【事業特性】
(1)商品売上高と手数料収入
同社の収益は、携帯電話やスマートフォン等のモバイル端末や関連するアクセサリーの販売による商品売上高と手数料収入からなり、手数料収入は更に、販売時の販売(契約)手数料、各種サービスの申し込みにかかるサービス取次手数料、毎月のARPUに応じて支払われる継続手数料、及び支援手数料に分かれる。手数料収入の内訳は開示されていないが、上記の手数料のうち、支援手数料はソフトバンクモバイル(株)のショップ評価インセンティブなどであり、量(新規販売台数)と質(ARPU向上等)に加えて、MNP獲得比率、CSの向上、携帯電話回線の負荷を軽減するオフロード網構築への貢献等、多項目化された課題の達成度に応じて金額が決まる(販売会社は各店舗の総合力を強化するように求められている)。尚、ARPUとはAverage Revenue Per Userの略で通信事業者の1契約当たりの売上。MNPはMobile Number Portabilityの略で通信事業者を乗り換えても電話番号が維持されるサービス。また、CSはCustomer Satisfactionの略で顧客満足(度)。
 
モバイル端末の販売については、キャリアから提示された販売価格で販売するが、通常、仕入価格を下回る価格で販売され、販売手数料を受け取る事で利益が出る仕組みになっている(新規の販売と機種変更では、新規販売の方が利益貢献が大きいと言う)。もっとも、店舗運営の基本は、継続手数料で固定費の一定部分を賄い、販売手数料や支援手数料で利益の上積みを図る事。継続手数料が少ない(もしくは計上がない)開店当初は赤字が続くが、損益分岐点まで販売を積み上げる事で店舗運営は軌道に乗る。尚、昨今のモバイル端末の販売は割賦販売が一般的だが、この場合、販売店は割賦債権をキャリアに譲渡する事で資金を回収している。
 
 
(2)ソフトバンクモバイル(株)との契約期間は1年毎の自動更新
同社とソフトバンクモバイル(株)との間で締結されている「代理店委託契約」は特別な事情が無い限り1年毎に自動更新される(契約上は、ソフトバンクモバイル(株)及び同社の双方共、2ヵ月前までに事前告知の上解除する事が可能)。また、手数料等は原則半年に1度、見直しが行われるが、新商品発売やキャンペーン等に際して特別な手数料が採用されるため、実際の変更頻度は数か月単位と考える事もできる。その時々でキャリアの販売政策が反映された手数料となるが、基本的にはキャリアの収益と販売会社(代理店)の収益がバランスするように配慮されているため、キャリアが打ち出す施策に対して迅速に対応し、結果を出していく事で販売会社は収益を拡大させる事ができる。
 
10/12期は手数料条件の変更で端末販売台数の増加が売上総利益の増加につながらなかったが、この時の変更は、通常の見直しとは異なり、06年のブランド変更以降も続いていたボーダフォンの手数料体系がソフトバンクの手数料体系に一新された事に伴う変更であり、こうしたケースは稀である。
 
(3)FC(フランチャイズ)の位置付け
FCに対して端末は仕入値で販売するため利益は出ず、手数料の受払(キャリアから受け取り、FC店に支払う)の差を設けることでわずかに利益が出る。FC店舗に対して販売力向上や店舗監査といったフォローのために人材を投入しているが、同社は方針として、「直営店とFC店が力を合わせソフトバンクブランドの向上と販売台数のスケールを拡大する事で代理店としての存在感を高めていきたい」と考えており、そもそも利益貢献は期待していない。このため、FCの販売台数の増加がそのままベルパークの収益の増加に直結するわけではない。
 
 
2013年12月期上期決算
 
 
販売台数、売上高が半期ベースで過去最高を更新
機種変更及び付属品の販売数が大幅に増加し、売上高は415億45百万円と前年同期比18.5%増加。ソフトバンクモバイル(株)が実施した各種キャンペーンに対応したMNP(のりかえ)の獲得や機種変更に伴う販売が伸びた他、対処すべき課題として掲げた新規販売台数に占める収益性の高い商材の販売比率の引き上げでも成果をあげた。
 
利益面では、機種変更及び付属品の販売数増加やMNPを中心とした新規販売手数料の獲得に加え、継続手数料の積み上がりもあり、売上総利益が83億60百万円と同16.4%増加。店舗数の増加に伴う人件費及び家賃の増加や販売管理システムの更新等による販管費の増加を吸収して営業利益は20億09百万円と同18.1%増加した。為替差益の増加による(15百万円→1億16百万円)営業外損益の改善で同24.1%の経常増益。
 
尚、販売台数は、新規販売台数280,188台(前年同期比8.7%増)、機種変更台数209,368台(同35.3%増)、総販売台数489,556台(同18.6%増)。また、上期末の店舗数は直営160店舗、フランチャイズ54店舗の計214店舗(この他、auショップ1店舗)。ソフトバンクショップ7店舗を新規出店する一方、4店舗を移転すると共に6店舗で改装を実施した。
 
 
上期末の総資産は前期末比2億24百万円減の214億23百万円。売上債権と仕入債務を中心に総資産が減少したものの、CFの改善で現預金が前年同期末の67億65百万円から86億35百万円に増加。実質無借金経営の状態にあり、自己資本比率は61.3%。
 
 
 
上期のレビューと下期の取り組み
 
13/12期は、人材への投資、CS(お客様満足度)の向上、販売構成比の改善、の3項目を課題として掲げ、取り組みを進めている。
 
(1)上期の取り組み
①人材への投資
高機能・多機能なスマートフォンの普及によりショップスタッフに求められる知識が高度化・多様化しているが、その一方で、サービス知識のキャッチアップ、1人当たりの接客時間の増加、長時間労働、個人情報の取扱い管理の強化等、様々な要因により、ショップスタッフにかかる負担も増加。業界全体として離職率が上昇し、人材を確保しにくい状況になっている。このため、同社は、新卒・中途社員を問わず優秀な人材の採用と育成はもちろん、メンタルケアやキャリアへの働きかけも含めて労働環境改善とES(従業員満足度)の向上に取組んでいる。目先的にはコストアップ要因となるものの、中長期的には人材の質を高める事が収益性の改善につながっていくと考えている。
 
13/12期は、4月新卒入社98名に加え、50名の中途採用を当初計画。ショップスタッフの労働環境や離職率の改善を図るべく、週1回の人事戦略会議で発生した問題について迅速な対策を進めた。しかし、第1四半期(1-3月)のショップスタッフの労働環境や離職率は計画したほどの改善が見られなかった。このため、4月にES向上の早期実現に向け、店舗運営の適正要員数を抜本的に見直した(店舗運営要員を増員)。第2四半期(4-6月)はその成果で労働環境が改善し、離職率も低下傾向にあると言う。
 
 
②CS(お客様満足度)の向上
携帯電話は、スマートフォンの急速な普及等により「1人1台」を超える状況にあり、キャリア間の競争の軸は、他事業者からのMNP獲得へと移行している。このため、キャリアショップは、キャリアのブランドイメージを左右するチャネルとして重要性を増しつつあり、「キャリアが提供する端末、サービス、ネットワーク品質だけでなく、キャリアショップでのCSやブランドイメージを含めたトータルの競争力が顧客獲得競争における大きな要因と成り得る」と言うのが同社の考え。CSの向上に取り組み、お客様、移動体通信事業者の双方から評価される販売代理店となる事で、手数料と利益の最大化を図っていく。
 
具体的な取り組みとしては、12年11月〜12月にかけて覆面調査(ミステリーショッパー)を実施して競合店との比較により課題を認識し対策を講じた(専門業者に委託)。13年3月〜4月に前回調査を委託した業者に再度覆面調査を委託し、その成果を確認したところ、前回の調査で競合店舗に劣っていた課題が解決され、CSのアンケート評価は明確に向上していたと言う。
 
 
③販売構成比の改善
代理店がキャリアから受け取る販売手数料は商材毎に異なり、また、キャリアの政策に応じて変更される事もあるが、販売代理店にしてみれば、利益の最大化を図るためには収益性の高い商材比率を高める事が不可欠。このため、販売ポートフォリオの改善(収益性の高い商材比率の改善)に取組んでいる(収益性の高い商材の販売増はキャリアの収益性の改善にも繋がるが、その時々のキャリアの政策で必ずしも収益性の高い商材の販売が奨励されるとは限らなかった)。
 
13/12期は収益性の高い商材比率の改善(Normal ARPU比率の引き上げ)に取組んでいる。第1四半期のNormal ARPU比率は50.6%にとどまり前12/12期第4四半期の51.3%を下回った。しかし、4月からは手数料体系が音声端末やMNPを重視した体系に変更された事もあり、Low ARPU商品・サービスの販売を抑制し、MNPの獲得や機種変更に時間を振り向けやすくなり、第2四半期はNormal ARPU比率が56.7%に改善した。
 
 
(2)上期総括と下期の方針
「人材への投資」については上期に十分な成果をあげる事ができなかったが、足元では、ノー残業デーの設置や5連休取得等の効果が着実に表れていると言う。「今後の離職率改善の鍵は戦力数の充足」と同社は考えており、12月末までに戦力数を要員数にリーチさせていく。
一方、CS(お客様満足度)の向上については、覆面調査による調査結果から、効果が表れている事が確認されている。ソフトバンクによるCSアンケート結果も大幅に向上しているため、下期も引き続き改善に取り組んでいく。
また、販売構成比の改善についても、第2四半期には改善の兆しが確認されており、第3四半期以降も、MNP中心に音声端末の販売に注力していく。
 
 
2013年12月期業績予想
 
 
前期比15.8%の増収、同2.5%の営業増益予想
「かいかえサポートキャンペーン」による機種変更台数の増加等で上期の総販売台数が期初販売計画を6万台上回ったが、下期の総販売計画に変更はなく、通期では期初計画の96万台に上期上振れ分の6万台を加えた102万台(前期比15%増)を計画。手数料の見通しには変更はなく、販管費についても、第1四半期決算発表と同時に修正した予想値に人件費を中心にした経費の上積みを織り込んでいため、今回の予想では変更が無かった。下期も労働環境や離職率の改善に向け、積極的に投資を実施していく考え。
期末配当は、1株当たり15円の普通配当に5円の記念配当を加えた20円を予定(年間では10円の記念配当を加えた40円)。
 
 
今後の注目点
12年4月から13年6月にかけて、携帯電話の代理店業界に大きな再編の波が押し寄せ、上位10社中3社(パナソニックテレコム、ITX、MXモバイリング(旧NECモバイリング))がM&Aの対象となった。「今後、2〜3年内に第2段の再編の波が到来する」と言うのが業界関係者の見方だが、その際は、これまでと異なり、売り手が増えるが、買い手が限られると言う。なぜなら、買い手となるには、買い手としてのキャリアの承認と巨額の資金調達と言う2つの課題をクリアしなければならないからだ。
また、代理店手数料を決める際の重要な要素となるキャリアによる評価も、従来からの代理店単位ではなく、店舗単位の評価へ変わりつつあり、評価が最下位ランクの店舗は事実上の退場宣告を受けるに等しいと言う。店舗の評価を高めるためには、“人材の質と量”の充実を図り、良質人材を不足させない努力が求められる。「経営者は、“ショップ人材の採用・教育・労働条件の改善”に異次元の覚悟を求められる時代に入った」と言うのが西川社長の考え。
現在、同社は、積極的な先行投資により質と量の両面から店舗競争力の強化に取り組んでおり、また、マルチキャリア(ソフトバンク及びau)体制の整備と財務内容に磨きをかける事で更なる業界再編に向けた準備も進めている。前期比2.5%増を見込む営業利益については上振れの余地があると考えるが、13/12期に優先すべきは「中長期の成長をにらんだ人材への投資」と言うのが同社の考えのようだ。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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