ブリッジレポート
(3034:東証1部) クオール 企業HP
中村 勝 社長
中村 勝 社長

【ブリッジレポート vol.21】2014年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「長期目標の連結売上高3,000億円に向けて、事業の多様性(調剤・非調剤事業)を活かした事業展開を進めていく考え。主力の調剤事業では、積極・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年11月19日掲載
企業基本情報
企業名
クオール株式会社
社長
中村 勝
所在地
東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー37階
事業内容
調剤薬局チェーン大手。首都圏中心に全国に店舗展開。
決算期
3月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 76,783 2,812 2,829 1,349
2012年3月 66,201 3,308 3,238 1,560
2011年3月 60,915 2,804 2,807 1,137
2010年3月 56,305 2,031 2,032 828
2009年3月 49,010 1,526 1,506 653
2008年3月 38,002 1,314 1,298 547
2007年3月 24,827 937 875 403
2006年3月 21,701 779 763 333
2005年3月 20,193 611 580 74
2004年3月 18,500 28 10 -134
2003年3月 11,869 253 413 -33
2002年3月 8,107 5 153 68
株式情報(10/31現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
625円 32,540,100株 20,337百万円 10.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
18.00円 2.9% 47.73円 13.1倍 511.39円 1.2倍
※株価は10/31終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
クオールの2014年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
※1 CMR:Contract Medical Representativeの略で、CSO企業に所属しながら、派遣または請負の形でCSO企業の契約先である製薬企業で医薬情報担当者として就業する者
※2 CSO(Contract Sales Organization):医薬品販売業務受託機関
 
会社概要
 
首都圏を中心に、調剤薬局を全国店舗展開。医療機関とのマンツーマン体制を堅持する事で調剤薬局間の無駄な顧客獲得競争を排除してきた。ただ、近年では面分業強化の観点から新業態店舗の開発にも取り組んでおり、現在、(株)ローソンとの資本業務提携による「ローソン+クオール薬局」(調剤薬局とコンビニの融合)、家電販売大手(株)ビックカメラとの連携による出店、更にはJR西日本グループとの業務提携による駅型調剤薬局「駅クオール薬局」といったプロジェクトが進行中。また、子会社を通してCSO事業、教育サポート事業、売店事業などの非調剤事業も手掛ける。
 
【事業セグメントとクオールグループ】
事業は調剤事業と非調剤事業に分かれ、13/3期は調剤事業の売上が全体の94%を占めた。各事業の概要は次の通り。
 
調剤事業
クオール(株)等が手掛ける調剤薬局の経営が中心だが、LAWSON併設店における物販の収益も含まれている。2013年9月末現在のフランチャイズ1店舗を含めたグループ店舗数は476店舗。
 
非調剤事業
アポプラスステーション(株)のCSO事業、クオールRD(株)(※)及びフェーズオン(株)の治験事業、クオールアカデミー(株)の教育サポート事業、メディカルクオール(株)の出版関連事業、メディコ(株)の売店事業が当セグメントに含まれる。
※クオールRD(株):(株)イービーエムズと(株)エスカルラボラトリーズが2013年10月に合併
 
 
【業界トップクラスの採用力 − 薬剤師から選ばれる会社 −】
調剤事業の拡大に不可欠なのが、薬剤師の採用力である。同社の採用力は調剤薬局業界でもトップクラスであり、13/3期は264名の薬剤師を採用した(2013年4月入社)。この結果だけを見ても、「クオール薬局」が薬科大学の学生や教授から高い評価を受けている事がわかるが、実際“充実した研修・教育制度”、同社独自の自己研鑽システム“QOL認定薬剤師制度”が高い評価を得ている。
近年、抗がん剤などの院外処方箋が増加傾向にある中、薬剤師がどこまで理解のうえ服薬指導を行っているかという医師の不安に応えるため、2013年4月からはがん認定薬剤師制度を新たに導入し、高度先進医療に対応できる薬剤師の育成に注力している。
 
クオールアカデミー(株)
クオールアカデミー(株)は、クオール(株)やクオールグループ各社の教育研修を統合し、2013年4月に教育研修に特化した会社として新たにスタートした(クオールメディス(株)から商号変更)。各グループ会社のノウハウを結集し、薬剤師、医療事務、登録販売者、管理栄養士、MRの教育研修を行っている。京都大学や東京薬科大学等の大学や研究機関等との連携のもと、新たな高度先端教育のシステムづくりに取り組むとともに、グループ内の教育だけではなく、製薬企業など外部からの教育研修も幅広く受託していく考え。
 
教育システム
階層別研修体系と総合試験を統合させた新教育制度を導入しており、薬剤師においては疾患に対する高い専門性と職位に必要な知識を、医療事務においては接遇や医療保険制度等の知識を、それぞれ身につける事を目的としている。必要な研修の履修を義務付けると共に薬局長になるための総合試験を実施している。
 
QOL認定薬剤師制度
病態・診断・治療等の最新医療や専門的な知識を盛り込んだテキスト(14疾患、注)を内製し、カリキュラムを構築している。テキストで学習した後、確認テスト、CBL(Case Based Learning)研修を終了すると「QOL疾患別認定薬剤師」の資格が与えられ、得られた知識を患者のために役立てている(2013年9月現在、約2,000名超の薬剤師が認定)。
さらに、在宅医療を通した地域貢献を念頭とした在宅認定薬剤師、漢方薬や一般医薬品の需要の高まりに対応した漢方・一般薬認定薬剤師、外来治療で抗がん剤を使われる患者に対して適切な服薬指導を行えるよう、がん認定薬剤師も加わった。

(注)14 疾患
疾患名:高血圧、糖尿病、脂質異常症、眼科疾患、消化器疾患機⊂嘆輯鐚栖記供喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、COPD、骨粗鬆症、乳がん、前立腺肥大症・前立腺がん、大腸がん。
 
Q.O.L.S.(QOL Original Learning System)
社内独自のe‐ラーニングシステム。必須研修や特別講演等、豊富な教育コンテンツを用意しており、随時、コンテンツの更新を行っている。
 
クオールグループ学術大会
クオールグループ学術大会を毎年開催している(口頭発表やポスター発表が催される)。クオールグループの社員が集まり、各薬局で患者のために取り組んできた内容を共有する場であり、社員のモチベーション・アップにつながっている。もちろん、グループ内にとどまらず、日本薬剤師会学術大会や日本薬局学会学術総会等の外部学術大会にも参加しており、演題発表を行っている。

この他、管理職者を対象に海外研修も行っている。日本との医療制度の違いを学び、海外における臨床現場を実際に肌で感じとる事で普段の実務を充実したものにする事が狙いだ。
 
 
2014年3月期第2四半期決算
 
 
前年同期比44.3%の増収、同67.8%の営業増益
売上高は前年同期比44.3%増の490億22百万円。積極的な新規出店とM&Aが貢献、既存店も堅調に推移し、調剤事業の売上が同35.3%増加。CSO事業を牽引役に非調剤事業の売上も同309.0%拡大した。

利益面では、店舗数の増加に加え、調剤事業における薬剤仕入等の売上原価の増加及び新卒薬剤師を含めた人材確保と人材教育により、営業費用が480億05百万円と同43.9%増加したものの、増収効果で吸収。営業利益は10億16百万円と同67.8%増加し、四半期純利益も3億61百万円と同27.4%増加した(前年同期は39百万円の特別損失を計上)。
 
 
調剤事業
売上高444億34百万円(前年同期比35.3%増)、セグメント利益15億04百万円(同36.0%増)。2013年9月末の店舗数は、直営店475店舗、フランチャイズ店1店舗の計476店舗。新規出店26店舗と子会社化による28店舗の計54店舗を出店する一方、16店舗を閉店及び事業譲渡した。新規出店とM&Aの貢献に加え、既存店も堅調に推移し売上が拡大。新卒薬剤師を含めた人材確保と人材教育に伴う営業費用の増加を増収効果で吸収した。また、2013年9月末のクオールカードの会員数は45万人を超え、会員獲得も順調。
 
非調剤事業
売上高45億87百万円(前年同期比309.0%増)、セグメント利益32百万円(前年同期は4百万円の損失)。アポプラスステーション(株)が手掛けるCSO事業を牽引役に売上が増加。CSO事業の拡大に向けたCMRの増員によるコスト増を吸収してセグメント損益が黒字転換した。
 
 
2013年9月末の総資産は前期末比74億48百万円増の482億38百万円。新規出店やM&Aで売上債権、たな卸資産、有形固定資産、及び無形固定資産(主にのれん)が増加。長期借入金の積み増し、社債の発行、及び公募増資(約34億円を調達)による資金調達で必要資金を賄った。自己資本比率は前期末比2.8ポイント上昇の34.8%。
 
 
 
New business(LAWSON、ビックカメラ、JR西日本)
 
【多様な業態での積極出店 : 異業種との連携による出店】
多様な業態での出店は、面対応薬局の様々なノウハウの蓄積ができ、利便性と薬局の専門性の融合によるクオールブランドの向上にもつながる。また、薬局の多様性の追求は、変化を先取りし消費者志向に舵を切る事をも意味する。こうした考えから同社は、コンビニエンスストアLAWSON、家電販売大手ビックカメラ、及びJR西日本グループとの連携による出店を進めている。
 
LAWSON Business
利便性(コンビ二)と専門性(薬局)を融合する事で、面対応薬局(物販機能含む)の拡大を進めている。2012年8月には、関係強化を図るべく業務提携先(フランチャイジー契約済み)だった(株)ローソンと改めて資本提携を行った(5%の出資受入)。売上高は前年同期比で約3倍となり、薬局の認知度は徐々に向上している。
 
LAWSON Businessは立ち上がりに時間を要するケースが多いが、おおむね2〜3年で黒字化の目処が付くという(14/3期1Qより収益改善した店舗:22店舗)。2013年9月末で34店舗を展開(14/3期2Q出店:5店舗、閉店:1店舗)しているが、今後の取り組みとしては、より収益性を重視した出店を推進し、早期の黒字化を目指す。
 
コンビニエンスストア併設型店舗では、24時間365日薬剤師に相談できるテレビ電話を設置しており、多様なニーズと利便性に貢献できるサービスを提供している。
 
ビックカメラとの連携 1日当たり数万人の集客が魅力
有楽町、新宿、名古屋、札幌のビックカメラ店内に出店しており、ターミナル駅に近い立地の良さとビックカメラの集客力による1日当たり数万人の集客が魅力。特に有楽町店では年間売上1億円超を見込める程に認知度が向上しており、処方箋応需枚数は、1000枚/月を超える。また、新宿東口店(ビックロ)でも、地下1階に移転したこともあり処方箋枚数は増加傾向(1000枚/月超える)。
 
 
JR西日本グループから2店舗譲受
2012年8月、新業態の調剤薬局の確立による新たな顧客層及びマーケットの開拓を念頭に、駅構内店舗の企画・開発を手掛ける(株)ジェイアール西日本デイリーサービスネット(兵庫県尼崎市)と業務提携した。
提携の一環として、「駅の救急箱」をコンセプトにオープンした駅クオール薬局JR大阪店は年中無休で営業時間は7:00〜22:00。営業時間の長さと品揃えが近隣の医師からも評価されているという。
さらに、2013年11月にはJR西日本グループから2店舗を譲受。2013/3期の売上高は約7億円(2店舗合算)、処方箋単価も12,000円以上であり、近隣に駅クオール薬局を含め約20店舗あるクオール薬局との相乗効果も期待できる。
 
 
 
非調剤事業の中核企業アポプラスステーション
 
非調剤事業では、2012年10月に子会社化したCSO大手のアポプラスステーション(株)が業績を牽引。2012年にプロモーションコードが改定されMRをはじめとする営業部門による医療関係者の接待が禁止されたことを契機に、製薬会社の間でMRコストを変動費化する動きが強まりCMRの需要が拡大している。アポプラスステーション(株)においては、クオールグループ入りした13/3期下期からこの変化に素早く対応し、14/3期2Q累計では売上高3,356百万円、営業利益黒転となる(V字回復)。受注増加でCMRを前倒しで採用(2013年9月CMR460名)しており、今後1,000名体制を目指す。
 
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更はなく、通期で前年同期比30.2%の増収、同24.4%の営業増益
売上高が当面の目標だった1,000億円台に到達する見込み。内訳は、調剤事業で900億円、非調剤事業で100億円。利益面では、組織改編や構造改革効果でCSO事業を手掛けるアポプラスステーション(株)の業績がV字回復し、非調剤事業が黒字転換する見込み。立地の選定や店舗オペレーションでノウハウの蓄積が進んだLAWSON事業の収益改善も見込まれ、営業利益が最高益を更新する。
配当は、東証1部指定替えに伴う1株当たり2円の記念配当を落とした普通配当18円を予定している(第2四半期末配当8円、期末配当10円)。
 
 
今後の注目点
長期目標の連結売上高3,000億円に向けて、事業の多様性(調剤・非調剤事業)を活かした事業展開を進めていく考え。主力の調剤事業では、積極的なM&Aに加え、業界トップクラスの採用力を活かした新規出店を加速させ、LAWSON Business では収益性を重視した出店を推進していく方針。処方せん送信アプリの開発やクオールカードの会員数拡大、更には薬剤師の高度な専門性を活かした新しい出店戦略にも注目する。
 
「処方せん送信」アプリ
クオールでは、患者が処方箋をスマートフォンのカメラで撮影し、同社の薬局にメールで送信できるアプリケーションのサービスを開始。
これにより、薬局では薬の出来上がる時間を患者に連絡することで、
患者は会社帰りや買物の途中など、都合のよい時間に薬を受け取ることができ、薬局での待ち時間も短縮できるようになる。

患者の利便性を高めることを目的としており、2013年10月にビックカメラ内のクオール薬局4店舗(有楽町店、新宿東口店、名古屋駅西店、札幌店)で運用を開始。2013年11月にはナチュラルローソンクオール薬局4店舗、駅クオール薬局JR大阪店などを追加し、合計11店舗となった。年内にはローソン併設薬局の全店舗、クオール薬局の一部店舗でも開始する予定で、「今後は利用者の声を聞き、より良い仕組みに進化させていきたい」としている。門前から面の流れを後押しすることや、クオールカードとの相乗効果が期待される。
 
クオールカード
クオールカードは処方箋と一緒に提示することで患者の過去の処方情報などが照会できるサービス。全国のクオール薬局で利用することができ、カード会員はアンケートの重複記入が不要になり、待ち時間を短縮できる。

2013年9月クオールカード会員数が45万人を突破し、患者の囲い込みも進んでいる。クオールカードを介したサービスの提供は、患者の利便性向上の取り組みとしても期待される。
 
新しい出店戦略
同社では一般的疾患、高度先進医療、慢性疾患といった疾患領域別の薬局の出店や薬剤師の配置を新たに検討している。

求められる医療ニーズに応じて適切な人員配置、質の高い医療サービスを届けることで、競合他社と差別化を図るという同社の新しい出店戦略に注目する。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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