ブリッジレポート
(4319:東証1部) TAC 企業HP
斎藤 博明 社長
斎藤 博明 社長

【ブリッジレポート vol.11】2014年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「英語能力の試験TOEFL(Test of English as a Foreign Language)を国家公務員・総合職試験に採用することを政府が決定するなど、日本の国際競・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年11月26日掲載
企業基本情報
企業名
TAC株式会社
社長
斎藤 博明
所在地
東京都千代田区三崎町3-2-18
事業内容
「プロフェッションの養成」を基本理念として、社会人、大学生を対象に資格教育、実務教育を核とした人材育成事業を展開
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 20,999 136 377 977
2012年3月 22,578 -606 -530 -799
2011年3月 24,575 465 283 -244
2010年3月 23,991 623 442 40
2009年3月 21,092 1,330 1,352 669
2008年3月 20,741 1,069 1,230 443
2007年3月 20,553 1,173 1,333 742
2006年3月 19,828 421 631 249
2005年3月 19,669 459 558 81
2004年3月 19,542 988 943 470
株式情報(11/11現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
315円 18,234,832株 5,743百万円 35.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1.00円 0.3% 24.51円 12.9倍 181.59円 1.7倍
※株価は11/11終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
TACの2014年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「資格の学校TAC」として、資格取得スクールを全国展開。社会人や大学生を対象に、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士、司法試験、司法書士等の資格試験や公務員試験の受験指導を中心に、企業向けの研修事業や出版事業等も手掛ける。
 
 
【沿革】
1980年12月、資格試験の受験指導を目的として設立され、公認会計士講座、日商簿記検定講座、税理士試験講座を開講。2001年10月に株式を店頭登録。03年1月の東証2部上場を経て、04年3月に同1部に指定替えとなった。09年9月には司法試験、司法書士、弁理士、国家公務員擬錙Τ位垣賁膺εの資格受験講座を展開していた(株)KSS(旧・早稲田経営出版)から資格取得支援事業及び出版事業を譲受。これにより、会計分野に強みを有する同社の資格講座に法律系講座が加わると共に、公務員試験のフルラインナップ化も進んだ。
 
 
 
2014年3月期第2四半期決算
 
売上高について
各講座の受講者は受講申込時に受講料全額を払い込む必要があり(同社では、前受金調整前売上高、あるいは現金ベース売上高と呼ぶ)、同社はこれをいったん「前受金」として貸借対照表・負債の部に計上する。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金が月毎に売上に振り替えられる(同社では、前受金調整後売上高、あるいは発生ベース売上高と呼ぶ損益計算書に示される売上高)。損益計算書に計上される売上高は、「発生ベース売上高(前受金調整後売上高)」だが、その決算期間のサービスや商品の販売状況は現金ベース売上高(前受金調整前売上高)に反映され(現金収入を伴うためキャッシュ・フローの面では大きく異なるが、受注産業における受注高に似ている)、その後の売上高の先行指標となる。このため、同社では経営指標として現金ベース売上高(前受金調整前売上高)を重視している。
 
 
コスト削減の進展で前年同期比54%強の営業増益
講座の申し込み状況を示す現金ベース売上高は前年同期比2.6%減の107億14百万円。第1四半期(4−6月)はほぼ同横這いであったが、第2四半期に入り、税理士講座が8−9月減収になるなど弱含んだ。現金ベース売上高の減少に伴い、前受金戻入れも鈍化しており、損益計算書に計上される売上高である発生ベース売上高は111億1百万円と同3.8%の減収だった。
 
減収ではあったが、昨年より実施している事業構造改革に伴い売上原価、販管費とも削減が進み、営業利益は同197.2%増の14億9千万円と半期ベースの過去最高を更新した。
前年同期に移転補償金17億50百万円を特別利益に、希望退職に係る特別退職金が中心の事業構造改革費用320百万円を特別損失に計上した反動で、四半期純利益は同14.2%減少の9億78百万円となった。
 
 
 
【個人教育事業】
現金ベース売上高は前年同期比4.4%減少の72億91百万円。
第1四半期(4−6月)までは横這いであったが、第2四半期(7−9月)に入り税理士講座の申込みが減少したほか、法律分野の各講座も低調だった。
一方で、公務員講座は国家総合職・外務専門職コース、国家一般職・地方上級コースが引き続き好調で、同2割増となった。営業費用は前期より行っている事業構造改革により同15.2%減少の67億22百万円となり、現金ベースの営業利益は5億69百万円(前年同期は2億93百万円の営業損失)と黒字転換した。
発生ベースでは売上高77億4百万円(同-5.7%)、営業利益9億81百万円(同+294.3%)となった。
教室講座と通信講座の構成比を見ると、前年同期よりも通信講座の構成比が上昇した。(通信講座 37.7%→39.3%、教室講座62.3%→60.7%)
Web通信、ダウンロード通信など比較的新しい通信形態での受講が増加している。2012年11月より新Web-Schoolがスタートし、PCでのMac対応、スマートフォンおよびタブレット(iOS、Android)でも利用できる様になった事等、利用環境の整備に注力してきた効果が現れている。
 
【法人研修事業】
現金ベース売上高は前年同期比1.8%増加の23億1百万円。
企業研修は景気回復を追い風に同3.2%増と回復傾向にあるほか、財務・会計系研修は同横ばいだったが、経営・税務分野、金融・不動産分野はそれぞれ同16.5%増、同3.6%増加と堅調な伸びを見せた。宅建、証券アナリスト研修等も好調であったのに加え、新規開発のヒューマンスキル系研修が同40.1%増と大幅に伸びた。情報処理研修は同1.5%と減収だったが、内、CompTIA研修は同11.5%増と堅調だった。また、専門学校に対するコンテンツ提供は、宅建・公務員・情報処理が同12.0%増、大学内セミナーは公務員講座が好評で同2.1%増となった。一方、地方の専門学校との提携校事業は同-7.5%と減収であった他、自治体等の委託訓練が同3.3%減、税務申告ソフト「魔法陣」事業も同13.1%減と低調だった。現金ベースの営業利益は同15.0%増加の7億27百万円だった。
発生ベースでは売上高22億76百万円(同+0.8%)、営業利益7億1百万円(+11.5%)となった。
 
【出版事業】
売上高は前年同期比1.0%減少の8億95百万円。
同社が展開するTAC出版は、FP講座書籍等が好調で、刊行点数を184点(前年同期は180点)と伸ばした。一方、子会社(株)早稲田経営出版が展開するW出版は、司法書士講座書籍の刊行点数が減少し、単体売上高は同約2割減少した。
コスト削減、在庫圧縮により原価率が改善。営業利益は同34.8%増加の2億91百万円となった。
なお、前受金調整がないため現金ベースと発生ベースの売上高は一致する。
 
【人材事業】
売上高は前年同期比9.3%増加の2億45百万円。
第1四半期(4-6月)に引き合いが強かった会計業界向けの夏の就職説明会には大手4大監査法人が全て出展を決める等、引き続き環境は改善している。イベント開催収入に加え、人材紹介成約件数も同 +40.8%と増加した。過去最高の158社の出展等に対応するため、第1四半期(4-6月)は費用が先行したが、第2四半期(7-9月)はコスト低減を徹底したため、営業利益は61百万円(同62.8%増)と大幅に増加した。
なお、前受金調整がないため現金ベースと発生ベースの売上高は一致する。
 
 
【マーケット概要】
当社が取り扱う資格の2012年の本試験申込者は2,692千人(前年比 -6.4%)と2年連続して減少した。試験別の対前年比を見ると、簿記(-66.8千人)、会計士(-5.2千人)、建築士(-7.6千人)、情報処理(-70.3千人)が減少する一方、建設業経理事務士(+4.3千人)、宅建(+4.7千人)、教員(+1.3千人)などとなっている。
申込者数はピークの2010年 3,072千人からは12%の減少となり、2003年以降最少の申込者数となっている。簿記試験、公認会計士試験、ロースクールを含む司法試験、司法書士、行政書士など難関試験を含む財務・会計、法律分野での減少が目立っている。
 
(以下、同社動向。原則発生ベースで記載。)
 
財務・会計分野
発生ベース売上高は前年同期比16.3%減少の1,763百万円。
平成25年度公認会計士試験は、第飢鵝β茘恐鷙腓錣擦峠亟蠎埒合計が前年比 -24.9%の13,224名となり、内部統制監査導入前の出願者数にまで低下した。一方で、新規株式公開件数の回復を背景に大手4大監査法人は積極採用姿勢に転じており、平成25年度合格発表後の採用需給は逼迫するものと会社側は予想している。公認会計士講座は、新規学習者向けの入門コースは前年並みを維持しているが、再受験者向けの上級コースが低調なため、第2四半期累計(4-9月)の発生ベース売上高は前年同期比22.7%の減少となった。
簿記検定講座は、6月度本試験で難易度の高い問題が出題されたため、その後の1級への進級が減少し売上が減少した。一方、3級及び2級については新規顧客獲得のためのキャンペーンを積極的に実施したことにより、受講申込みが増加しているが押し上げには力不足で、第2四半期累計(4-9月)の簿記検定講座の発生ベース売上高は同7.8%の減少となった。
 
経営・税務分野
発生ベース売上高は前年同期比7.9%減の24億76百万円。
平成25年の税理士試験の受験申込者数は55,332名(前年比5.3%減)と漸減傾向が続いており、発生ベース売上高は同11.5%減となった。中小企業診断士は前期の大量合格の反動で再受験者が減少している影響で、現金ベース売上高は減少したが、発生ベースでは同2.9%の増収となった。
 
金融・不動産分野
発生ベース売上高は前年同期比8.4%増の14億66百万円。
不動産鑑定士講座は景気回復により不動産市場が活発化しつつあるが、受験者市場にまで波及しておらず発生ベース売上高は同8.3%の減少。一方、宅建主任者講座及びマンション管理士講座は引き続き好調で、それぞれ同13.1%増、同18.0%増となった。FP講座はリニューアルした出版物が好評で、これに伴い講座申込みも好調に推移し同7.9%増となった。
 
法律分野
発生ベース売上高は前年同期比8.5%減の11億44百万円。
予備試験受験者数が1万人を超える等、明るい兆しが見えてきた司法試験だが、現金ベースでは微減収、発生ベースでは同29.2%と大幅な減少となった。司法書士講座は、前期に出版部門が好調だった反動及び新規の個人申込みが低調に推移し同4.4%減となった。弁理士講座は、本試験合格者数が大幅に減少し難易度が上がったため、新規・再受験者向けともに低調で、同10.8%の減となった。
 
公務員・労務分野
発生ベース売上高は同4.2%増の28億71百万円。
社会保険労務士講座は、景気回復と共に新規申込みが伸びず同6.6%の減少となった。一方、公務員講座は、国家総合職・外務専門職コースが同8.7%減少したが、国家一般職・地方上級コースは好調を持続しており、同11.2%増加した。また、今後の注力分野と位置付けている教員試験対策講座が2014年1〜2月の本格開講を前に、先行開講が始まった。
 
情報・国際分野
発生ベース売上高は同0.9%減の7億82百万円。現金ベース売上高は同1.7%増加したが、前受金戻入れが縮小した。
企業研修中心の情報処理講座及びCompTIA講座は、それぞれ同5.2%減、同17.2%増。米国公認会計士講座は同3.2%の減少となった。
 
その他
売上高(現金ベース売上高=発生ベース売上高)は同0.5%増加の5億96百万円。
夏に開催する会計業界向け就職説明会関連の売上高が好調なことに加え、景気回復につれて他の人材派遣・人材紹介関係の売上高も伸び、人材事業売上は同10.6%増となった。一方、税務申告ソフト「魔法陣」の売上高は同13.2%減と不振だったことに加え、拠点での受講申込みが低調なため、受付雑収入も同18.9%の減少となった。
 
 
個人受講者数、法人受講者数ともに対前年同期に比べ減少し、受講者全体では前年同期比0.7%減少の128,247人となった。
法人受講者は大学内セミナーが就職対策講座を中心に同15.2%減及び提携校が同7.9%減と低調だったが、通信型研修が同13.0%増と好調な他、自治体等の委託訓練も同3.2%増と堅調だった。
講座別には、公認会計士講座が同21.1%減、税理士講座が同9.2%減となったが、簿記検定講座が同13.3%増と回復傾向にある。また、宅建主任者講座が同11.9%増、ビジネススクール講座が同20.1%増と好調な一方、司法書士講座が同14.8%減、社会保険労務士講座が同9.4%減となった。公務員講座は国家一般職・地方上級コースが同24.3%増と大きく伸びている。
 
 
現預金、売上債権の増加などで流動資産が約20億円増加し、総資産は15億71百万円増加。一方、有利子負債が9億円増加した一方、前受金が約3億円減少する等で負債は6億79百万円の増加。自己資本比率は前期末の19.7%から22.9%へ約3%上昇した。
 
 
営業CF、フリーCF共に黒字を継続。長期借入金の増加などで財務CFは黒字に転換。キャッシュポジションは大幅に上昇した。
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
下期の不透明要因により通期見通しに変更ないが、事業構造改革により大幅な増益を計画。
第2四半期実績の通期業績見通しに対する進捗率を見ると、利益に関しては既に大幅な超過となっているが、会社側は公認会計士試験の合格者数及びその後の就職状況並びに講座への申込み状況、12月の税理士試験合格発表後の講座申込み状況を見極める必要があると考えており、現時点では修正を行っていない。
その他、事業構造改革によるコスト削減効果も下期には一巡すること、監査法人変更に伴う期末決算整理で追加的な費用が発生する可能性も想定している。
配当は1円/株へ復配予定。
 
 
中長期の取組み
 
中長期の成長を見据え、以下3点に注力していく。
 
① 建築士講座の収益化
講座開講から1年が経過し、合格者実績も出始めてきたため受講者申込数が増加傾向にある。
市場規模が大きいことから、国際的な建築家 安藤忠雄氏の特別講演会を開催するなど同社講座の魅力を遡及していく。
 
② 教員試験対策講座の立上げ
高品質なコンテンツを、同社自慢の講師陣により提供していく。
競合他社が教室による講座を中心にしているのに対し、低価格でDVDやスマートフォンやタブレットを含むWebなど、様々なメディアで講座を提供する。
公務員講座で培ってきたきめ細かな論文添削や面接指導が特色と認識している。
 
③ (株)オンラインスクールによるサービス開始
今年5月に、オンラインを専業とした良質な教育を低価格で提供することにより、インターネット時代における学習者ニーズに合った学習スタイルを構築し、教育市場の拡大を図ることを目的とし、子会社(株)オンラインスクールを設立した。当初予定よりもずれ込んだが12月25日よりサービス提供を開始する。
これまで同社においては、公認会計士試験、司法試験、税理士試験といった、いわゆる難関試験が講座の中心であったが、これら講座への依存度が高すぎたことがここ数年の収益低迷の一要因だったと判断し、資格教育の裾野拡大へ転換することが安定した事業基盤の構築に不可欠であると考えている。
TAC本体での開講講座以外にも、介護関連を始め、今まで取り扱っていなかった資格教育を幅広く取り入れていく方針。
 
 
今後の注目点
英語能力の試験TOEFL(Test of English as a Foreign Language)を国家公務員・総合職試験に採用することを政府が決定するなど、日本の国際競争力強化に向けた政策や提言といった動きは、足元極めて活発化しており、同社が属する資格教育業界にとっては、フォローの風が吹いているといって良いだろう。また採用減、受講者減という負のスパイラルに入っていた公認会計士市場も、2013年は出願者、合格者共に2006年以降最低となったものの、株式市場の上昇に伴うIPO件数の底入れ等で4大監査法人による採用の積極化により需給はひっ迫すると予想され、ようやく明るい兆しが見えてきたようだ。
また、難関試験への依存度低下を目指し子会社による対象講座の拡大に踏み出した点も注目される。ただ、説明会では具体例として介護関連を挙げていたが、介護関連の教育事業を手掛ける業界大手のニチイ学館(東証1部 9792)でさえも、公開された開示資料からは介護関連教育分野を含む語学以外の既存分野の苦戦が見て取れ、TACにとっても収益貢献にはある程度の時間がかかると見た方が良いかもしれない。また前述の環境良化も、あくまでも業界全体に対してのことであり、その恩恵を他社よりも享受するためには同社ならではの特徴・強みを活かした施策が不可欠なのは言を待たない。中長期的な収益拡大のための明確な施策と実績が大いに注目される。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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