ブリッジレポート
(6498:東証1部) キッツ 企業HP
堀田 康之 社長
堀田 康之 社長

【ブリッジレポート vol.15】2014年3月期上期業績レポート
取材概要「現在進行中の第2期中期経営計画(14/3期〜16/3期)のポイントは、国内市場での建築設備等を中心とする汎用バルブ事業依存体質からの脱却であり・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年11月26日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社キッツ
社長
堀田 康之
所在地
千葉市美浜区中瀬1-10-1
事業内容
バルブ国内首位。特に建築設備や石油化学向け強い。海外開拓に積極姿勢。伸銅品も国内上位
決算期
3月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 111,275 6,558 6,521 4,039
2012年3月 108,446 4,638 4,388 2,480
2011年3月 106,059 6,341 5,929 3,063
2010年3月 96,592 6,976 6,248 3,079
2009年3月 127,095 7,188 6,475 3,396
2008年3月 149,274 11,615 10,525 6,290
2007年3月 149,512 11,342 10,652 9,973
2006年3月 107,631 9,673 9,132 8,070
2005年3月 95,705 9,627 8,513 5,804
2004年3月 73,802 4,181 2,962 1,598
株式情報(11/13現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
414円 109,219,944株 45,217百万円 7.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 2.4% 29.29円 14.1倍 542.41円 0.8倍
※株価は11/13終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
キッツの2014年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
バルブを中心とした流体制御機器・装置の総合メーカー。バルブは、「水道メータ周り」、「ガスメータ周り」、「給湯器」等で目にする身近な存在だが、家庭だけでなく、あらゆる産業設備に使われており、同社は素材からの一貫生産を基本に、青銅、鋳鉄、ダクタイル鋳鉄(強度や延性を改良した鋳鉄)、ステンレス鋼等を素材に数万種をラインナップしている。また、バルブの材料として使用される伸銅品の外販を行っている他、フィットネス事業やホテル事業等も手掛けている。バルブでは国内トップ。伸銅品では国内2位のポジションにある。同社を含めた32社でグループを構成している。
 
【事業セグメントの概要】
事業は、バルブ事業、伸銅品事業、及び総合スポーツクラブの経営(フィットネス事業)やホテル・レストラン経営(ホテル事業)のその他に分かれ、13/3期の売上構成比は、それぞれ75.9%、16.1%、8.0%。
 
バルブ事業
バルブは、配管内の流体(水・空気・ガスなど)を「通す」、「止める」、「流れを絞る」等の機能を持つ機器で、ビル・住宅設備用、給水設備用、上下水道用、消防設備用、機械・産業機器製造施設、化学・医薬・化成品製造施設、半導体製造施設、石油精製・コンビナート施設など様々な分野で使用されている。同社は世界有数のバルブメーカーであり、耐食性に富む青銅製や経済性に優れた黄銅製の汎用バルブ、或いは付加価値の高いボールバルブ等のステンレス製バルブにおいて特に高いシェアを有する。鋳物からの一貫生産も同社の特徴で、日本で最初に「国際品質保証規格ISO9001」の認証を取得。材質や弁種のラインナップを充実させ、建築設備や各種プラントだけでなく環境・エネルギー・半導体分野にも展開しており、また、グローバルコストの実現に向けて海外生産拠点の強化にも取り組んでいる。13/3期の海外売上比率は約34%。
 
 
伸銅品事業
伸銅品とは、銅に亜鉛を加えた「黄銅」、すず及びりんを加えた「りん青銅」、ニッケル及び亜鉛を加えた「洋白」等の銅合金を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造等の熱間または冷間の塑性加工によって、板、条、管、棒、線等の形状に加工した製品の総称。キッツグループの伸銅品事業は(株)キッツメタルワークスの事業分野であり、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」を製造・販売している(黄銅棒はバルブ部材の他、水栓金具、ガス機器、家電等の部材としても使用されている)。
 
 
その他
子会社を通して、総合スポーツクラブの経営(フィットネス事業)及びホテル・レストラン経営(ホテル事業)を手掛けている。
 
 
【沿革】
1951年1月、各種バルブの製造・販売を目的とした(株)北澤製作所として設立され、同年4月に長坂工場(山梨県長坂町)が完成し、青銅バルブの製造・販売を開始した。1959 年3月には(株)東洋金属を設立し、バルブの素材となる黄銅棒の生産を開始。1962年9月には社名を(株)北澤バルブに変更し、同年10月に黄銅熱間鍛造プレスを日本で初めて導入すると共に黄銅鍛造バルブの製造・販売を開始。その後、素材をステンレスへも広げ、70年11月には長坂工場にステンレス鋼バルブの鋳造工場及び工作工場が完成し操業を開始した。
 
「常により良い品を、より安く、早く」をキーワードに高度成長期にかけて事業基盤を確立。77年4月の東証2部上場を経て、84年9月に東証1部に指定替えとなった。また、バルブ事業では、95年8月に(株)清水合金製作所を子会社化し水道分野に本格参入。96年3月には工業用フィルターで半導体分野へ参入した。
 
2001年以降は、選択と集中を進めると共に、キャッシュ・フロー重視経営を推進。01年11月に旧ベンカングループの半導体製造装置関連事業を譲受する一方、04年3月には東洋バルヴ(株)のバルブ事業を譲受すると共に、伸銅品事業を分社化し(株)キッツメタルワークスを設立。更に05年から06年にかけて、京都ブラス(株)の伸銅品事業や(株)紀長伸銅所の資産の譲受により伸銅品事業を強化した。07年5月には中国・連雲港市にバルブの製造会社 連雲港北澤精密閥門有限公司を設立。
 
08年秋のリーマンショックによる世界的な不況を乗り越え、国内生産体制の再構築と海外事業の強化にも取り組み、11年にシンガポールに販売拠点としてKITZ Corporation of Asia Pacific Pte. Ltd.を設立。12年には東洋バルヴ(株)の生産部門を(株)キッツに移管し、東洋バルヴ(株)を販売会社として再スタートさせた。13年には 欧州地区の統括会社としてKITZ Europe GmbHを設立した他、シンガポールの総代理店Mikuni Engineering (Singapore) Pte. Ltd.を買収して新会社KITZ Valve&Actuation Singapore Pte. Ltd.をスタートさせた。
現在、世界有数のバルブメーカーとして国内外の連結子会社32社と共にグループを形成。「キッツブランド」の商品は、国内外で高品質の商品として高い評価を得ている。
 
【キッツグループ第2期中期経営計画(14/3期〜16/3期)】
創立70周年に当たる2020年に向けた成長戦略である"キッツグループ長期経営計画「KITZ Global Vision 2020」(11/3期〜)"が進行中である。急激な円高や東日本大震災の影響等を受けた第1期中期経営計画(11/3期〜13/3期)の結果を踏まえ、企業戦略を再構築し、新たに16/3期までの第2期中期経営計画を策定した。
 
現在進行中の第2期中期経営計画では、国内市場での建築設備等を中心とする汎用弁事業への収益依存から、海外市場でのオイル&ガス向けに使われる工業弁事業の採算改善により業績の向上を図る。そのために、全ての事業活動における品質の追求にグループを挙げて取組んでいく考え。
 
(1)第2期中期経営計画(14/3期〜16/3期)
グループシナジーの追求と更なる選択と集中により、成長分野へグループの経営資源を効率的かつ効果的に投入できる体制を整備し体質改善を図り、グローバル企業としての地位を確立する。また、この方針の下、全ての事業活動(経営・開発・生産・販売)において品質を追求していく。
 
収益体質の改善 工業弁事業の採算改善と収益拡大及び複合機能事業拠点の整備
工業弁事業の採算を改善し収益を拡大させる事で、汎用弁事業に過度に依存した体質を改善する。この一環として、主力製品の最適地生産による収益性改善と供給体制の再構築に取組むと共に、海外営業を本社集中から複合機能化した海外拠点へ移管する事で経営判断の迅速化を図る。後者については、3極(欧州・米州・アセアン)・2拠点(中国・インド)の海外拠点の機能を複合化し、セールス、マーケティング、エンジニアリング、ストック、メンテナンス、サービスをワンストップで手掛ける体制を整備する。この他、成長分野であるオイル&ガス市場及びプラント計装市場の強化と関連製品への研究開発及び設備投資の強化や、マーケティング強化による市場分析とM&Aや業務提携による事業の拡大、補完、新規参入にも取組む。
 
グループシナジー
国内外グループ会社の実力を総点検し新たな体制を構築すると共に、ガスステーション市場向け及び水関連市場向けへ新製品投入等、グループ各社が連携して新規事業の立ち上げに取組む。
 
更なる選択と集中
グループ事業の再編統合(グローバルで戦える体制の整備)や工場の生産品目及び事業拠点への供給体制の見直しを行う(最適供給体制の再構築)。
 
 
 
2014年3月期上期決算
 
 
前年同期比3.2%の増収、同31.3%の営業減益
売上高は前年同期比3.2%増の573億80百万円。円安を追い風に海外売上高が伸び、国内での(株)キッツ個別の苦戦をカバーした。ただ、営業利益は同31.3%減の24億65百万円。バルブの国内需要低迷と円安による輸入製品(子会社製造)の価格上昇で(株)キッツ個別の利益が大きき落ち込んだ上、タイバーツや中国元といった生産国通貨がドルやユーロに対して強含みで推移したため、タイや中国の子会社の利益も減少した。
為替差損益の改善(△71百万円→65百万円)に加え、持ち合い株式の売却に伴う有価証券売却益1億09百万円を計上する一方、減損損失が減少(1億05百万円→25百万円)した事等で四半期純利益は14億55百万円と同27.2%の減少にとどまった。
 
 
 
バルブ事業  (株)キッツ個別の苦戦が響く
売上高424億59百万円(前年同期比0.9%増)、セグメント利益33億31百万円(同27.3%減)。このうち国内売上高は同4.3%減の262億70百万円。大手半導体メーカーの設備投資の再開を受けて半導体関連市場向けの売上が同12.6%増と伸びた他、マンション建設の活況を受け、メーターユニットや継手等の給装製品(水市場)の売上も同7%増加したものの、主力の建築市場(同5%減)は1棟当たりの流体制御機器・装置の使用量が多いビル建築の実需が弱く、汎用バルブ等の流通在庫の過剰状態が続いた。また、機械装置関連(同11%減)やその他工業系も改修を含めた設備投資が力強さに欠け、収益性の高い青黄銅バルブやステンレスバルブの販売が弱含みで推移した(機械装置関連やその他工業系は総じて10%を超える減収)。
 
一方、海外売上高は同10.8%増の161億89百万円。円安を追い風にアジア(同7%増)、北米(同2%増)、ヨーロッパ(ヨーロッパその他で同38%増)の売上は増加。尚、アジアでの販売は円安が追い風になった面があるものの、シンガポールの現地法人KITZ Valve & Actuation Singapore Pte. Ltd.(13年3月に孫会社化)を中心にした販売力強化が奏功しアセアン・その他が同12%の増収。中国では、景気減速に加え、依然として日本製品の不買運動が続く中、 Perrin(ドイツ)製品の販売が伸び売上が同10%増加した。
 
利益面では、内製化等よる原価低減効果が10.2億円あったものの、国内での収益性の高い製品を中心にした数量減(8.7億円の減益要因)、為替の影響(7.8億円の減益要因)、電気銅建値の上昇等の原材料市況(2.2億円の減益要因)、更には国内での売価政策(2.6億円の減益要因)等の影響をカバーできなかった。
 
伸銅品事業  材料相場の上昇で販売単価が上昇し、数量も増加
(株)キッツメタルワークスの事業領域である伸銅品事業は、売上高104億64百万円(前年同期比18.7%増)、セグメント利益2億60百万円(同56.0%増)。7-9月の国内黄銅棒市場は前年同期比0.8%減の14,877トン/月とほぼ横ばい。こうした事業環境の中、同社の伸銅品事業は、材料相場の上昇で販売単価が11%上昇。販売数量も9%増加した。
 
その他  ホテル事業の収益性改善で増益
売上高44億56百万円(前年同期比5.8%減)、セグメント利益2億68百万円(横ばい)。在籍会員数が前年同期を下回った事で(株)キッツウェルネスが手掛けるフィットネス事業の売上高が同3.6%減少した他、(株)ホテル紅やが手掛けるホテル事業も、昨年12月に発生した笹子トンネル事故の影響が残った事などから同5.5%の減収。利益面では、減収の影響でフィットネス事業の利益が同14.5%減少したものの、原価低減効果でホテル事業の利益が同22.2%増加した。
 
 
 
(株)キッツ個別の業績は、売上高312億88百万円。このうち、国内販売は同4.6%減の219億39百万円。プラントで使われる鋳鋼バルブの売上が同30%増加したものの、ビル向けの空調設備や衛生設備を主な用途とする青黄銅バルブが同8%減少した他、機械装置関係等で幅広い用途のステンレスバルブも同8%減少した。一方、海外販売は同3.9%減の93億50百万円。円安を追い風にアジアやヨーロッパ向けの売上が増加したものの、アメリカや中東向けの減収をカバーできなかった。
 
営業利益は同54.5%減の9億08百万円。収益性の高い青黄銅バルブやステンレスバルブの売上が減少する中、IT関連の減価償却費増等による販管費の増加が負担となった。営業外損益の改善は受取利息や子会社からの配当金の増加による。
 
バルブ事業の子会社の動向
国内では、メーターボックス等、マンション向け給装製品は好調だが、建設需要の低迷で販売会社東洋バルヴ(株)の売上・利益が減少した。
 
海外では、円安を追い風(円換算後の利益増)に子会社各社の売上が増加した。もっとも、キッツタイ、台湾北澤、キッツ昆山、キッツ閥門の製造子会社4社の売上が為替の影響を除いて増加したのに対して、Perrin(ドイツ)及びキッツアメリカは、為替の影響を除くと、共に20%を超える減収。また、キッツタイ、台湾北澤は、ドルやユーロに対する自国通貨高で利益が減少した。
 
この他、大手半導体メーカーの設備投資の再開を受けて(株)キッツエスシーティーが、また、伸銅品事業の(株)キッツメタルワークスの売上・利益が増加した。
 
 
上期末の総資産は前期末比33億53百万円増の1,033億25百万円。円安に伴い円ベースでの資産評価額が増加しており、純資産では、為替換算調整勘定が前年同期末の△28億49百万円から△7億80百万円に減少した。自己資本比率は60.4%。
 
 
CFの面では、利益が減少する中、税金費用が大幅に増加したため(△3億49百万円→△18億76百万円)、営業CFが減少した。一方、設備投資が既存設備の維持管理が中心だったため、投資CFのマイナス幅は縮小。長短借入金を積み増す事で手元流動性を補充した。
 
 
2014年3月期業績予想
 
(1)下期の見通し・取り組み
バルブ事業
国内  力強さに欠けるものの回復傾向
未だ東日本大震災の復興需要は顕在化していないが流通在庫は減少傾向にあり、第4四半期には消費税率引き上げを前に仮需も見込まれる。市場別では、半導体関連市場向けが上期より改善傾向にあり、マンション販売の好調から給装製品も堅調な推移が見込まれる。また、上下水道向けバルブが季節要因で増加する他、流通在庫の調整が進んでいる事や機械受注の動向等から建築市場や機械装置関連市場も緩やかな回復が見込まれる。この他、プラントのプロセスライン向けバルブで短納期対応案件を抱えており、来期の売上計上となるが、富山新港LNG基地等の大型プロジェクト物件の受注も予定されている。
 
アセアン  タイ、インドネシアに先行き不透明感
タイ市場は12年の景気刺激策の終了と洪水被害からの復興需要の一巡で景気が減速しており、新規投資も減少傾向。このため、下期も低調な販売となる見込み。また、上期好調だったインドネシアは通貨安の影響で今後の販売が懸念されている。一方、シンガポールは、孫会社であるKITZ Valve & Actuation Singapore Pte. Ltd.が自動操作バルブの組立機能を強化しており、下期以降の同バルブの販売拡大が見込まれる。この他、各国のプロジェクト案件の受注に力を入れていく考え。
 
中国  PerrinブランドやISOブランドの拡販を図る
引き続き景気減速や日本製品不買運動の影響が懸念されるものの、上期の販売が好調だったPerrinブランド(ドイツ現法)やISOブランド(スペイン現法)を活用し新規顧客の開拓を進めていく。
 
北米・南米  シェールガスを利用したダウンストリームのプラント建設の需要取り込みへ
北米は、管材業界の需要が引き続き低調。ただ、シェールガスを利用したダウンストリーム(精製)のプラント建設が増加傾向(後述)。また、米国安全飲料水法の改正に対応した鉛を含まない新素材銅合金を素材とするバルブの販売を11月から開始した(後述)。一方、南米は、オイル&ガスや鉱山市場の開拓を目指す。
 
欧州  域内の需要は全般に低迷
南欧において単発的な産業投資が出始めたものの、域内の需要は全般に低迷。地域統括会社であるKITZ Europe GmbHを中心に欧州3社の連携を図り収益の確保を目指す。
 
OIL&ガス市場での収益拡大
北米において、シェールガス及びオイルを利用するエチレン等の化学プラント建設が増加しており、日系EPC(エンジニアリング会社)が受注するケースも増えている。同社は、このビジネスチャンスを捉え、プラント向けの鋳鋼バルブ、ステンレスバルブ、ボールバルブの拡販を図っていく考え。
 
 
また、KITZ Corporation of Europe, S.A.が10年9月に発売した3ピーストラニオンボールバルブ T60 (天然ガス、石油精製、化学プラント等で使用される大型バルブ)が高い評価を受けている。この上期は、アセアン地区でもインドネシア(ExxonMobil Indonesia Ban Yun Yurip PJ)とシンガポール(Audex/Vopak Metionine Tank PJ)でのプロジェクト案件の受注にも成功した。
この他、アップストリーム(掘削)、ミドルストリーム(輸送)市場への展開を念頭にイタリアのGIVA Groupと業務提携を行なった。高温・高圧バルブのランナップを活かしたパッケージ受注を目指している。
 
鉛フリーの新製品「XAメタル」、「XCメタル」の北米市場での販売開始
高いリサイクル性と良好な切削性を有する耐食用鉛フリー黄銅棒「XAメタル」、「XCメタル」を、同社と子会社キッツメタルワークスが共同開発した。耐食用鉛フリー黄銅棒「XAメタル」、「XCメタル」は、鉛フリーにもかかわらず、世界で始めて水回り商品に必要とされる耐食性(対脱亜鉛腐食性、耐応力腐食割れ性、耐エロージョン・コロージョン性)を確保する事に成功(特許出願済み)。米国では、米国安全飲料水法(SDWA)の改正により2014年1月から水道用の配管部材には鉛を含まない銅合金の使用が義務付けられる。同社は新素材を使用したバルブを投入し北米市場を開拓していく考え。
尚、エロージョン・コロージョンは「潰食・孔食」とも呼ばれ、流体による化学的な腐食現象と物理的な削り取られ現象により局所的に腐食が進む現象。配管内の内壁面等や曲がり部等でみられ、漏水の原因等になる。
素材 販売開始 2013年9月、 販売目標3億50百万円(16/3期)
バルブ 販売開始 2013年11月、販売目標3,700千USドル(17/3期)
 
 
伸銅品事業
下期は、上期にあった特殊要因がなくなるものの、水栓メーカーが増産体制に入る他、ガス機器も需要期に入る。加えて、足元、自動車や文具関連を中心に堅調に推移しており、単価、数量の両面から大きな不安ない。
 
その他
フィットネス事業では、体験・見学会の継続的な実施による入会勧誘の強化やスイミング及び体育の短期スクールの実施と共に、諸経費について、見直しを行い、削減を進める。一方、ホテル事業では、本館空調設備更新によるイメージアップ効果が期待できる他、リニューアルオープンする「稀石の癒」の稼働率向上も見込まれる。また、商品原価の見直しと新商品の投入でサービスエリアの収益性改善も図る考え。
 
 
 
 
通期予想は前期比5.1%の増収、同17.7%の営業減益
アセアンでの先行きの不透明感や利益面での為替の影響を改めて織り込み、下期予想を下方修正した。セグメント別では、単価・数量共に堅調な伸銅品事業及びホテル事業でコスト削減効果が見込めるその他の利益が増加するものの、為替の影響を受けるバルブ事業の利益の落ち込みが響く。1株当たり5円の期末配当を予定している(上期末配当を1株当たり50銭増配しており、年10円となる)。
 
 
【Topic −水素ステーション用高圧ボールバルブの販売 −】
世界初の高精度シール構造採用ボールバルブを開発し、超高圧バルブ市場に参入した。同社、(株)キッツエスシーティー、及びPerrinの共同事業であり、グループをあげてワールドワイドに展開していく考え。燃料電池車(FCV)の給油所に相当する水素ステーションをターゲットとしており、日本では、13年度に19箇所にとどまる水素ステーションの設置箇所を、15年度までに100箇所、25年度までには1,000箇所に拡大させる計画。ちなみに、ドイツの設置目標は、15年度までに50箇所、17年度までに100箇所、23年度までに400箇所。米国では15年までに68箇所。また、FCVは、日本、欧州、北米の主な自動車メーカーが15年度に一般販売を開始する予定で、日本では25年までに20万台の普及が見込まれ、ドイツではダイムラーが17年度に数10万台の量産を計画。水素輸送設備や家庭用次世代ソーラー水素ステーションの需要も期待できる。
同社は、水素ステーション用バルブの当面の販売目標を15年度(16/3期)8億円としている。
 
 
今後の注目点
現在進行中の第2期中期経営計画(14/3期〜16/3期)のポイントは、国内市場での建築設備等を中心とする汎用バルブ事業依存体質からの脱却であり、言い換えると、海外市場でのオイル&ガス向けに使われる工業用バルブの拡大と採算改善。幸い北米において、シェールガス及びオイルを利用するエチレン等の化学プラント建設が増加しており、日本もしくは日系のエンジニアリング会社が受注するケースも増えている。また、KITZ Corporation of Europe, S.A.(スペイン現法)の「3ピーストラニオンボールバルブ T60」がオイル&ガス分野で高い評価を受けており、南米での販売に加え、アセアン地区でもインドネシアとシンガポールでのプロジェクト案件の受注(受注額は共に5千万円程度)に成功する等、実績も上がりつつある。ただ、現状では業績への貢献は限定的で、今後、事業展開をスピードアップしていく必要がある。アップストリーム(掘削)やミドルストリーム(輸送)市場への展開、水素ステーション用バルブの販売動向等と共に、今後の進捗に注目していきたい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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