ブリッジレポート
(7839) 株式会社SHOEI

プライム

ブリッジレポート:(7839)SHOEI vol.35

(7839:東証2部) SHOEI 企業HP
山田 勝 会長
山田 勝 会長
安河内 曠文 社長
安河内 曠文 社長
【ブリッジレポート vol.35】2013年9月期業績レポート
取材概要「リーマンショック以降、同社を取り巻く環境は、日本と欧米における個人消費の冷え込み、円高進行、流通在庫の増加の三重苦に見舞われてきた・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年12月24日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社SHOEI
会長
山田 勝
社長
安河内 曠文
所在地
東京都台東区上野5-8-5
決算期
9月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年9月 11,158 1,340 1,299 799
2012年9月 8,606 97 143 65
2011年9月 9,047 395 371 217
2010年9月 10,078 898 978 638
2009年9月 10,300 1,047 1,335 837
2008年9月 14,995 3,608 3,532 2,214
2007年9月 13,586 2,942 2,751 1,630
2006年9月 11,796 2,310 2,117 1,248
2005年9月 10,661 1,581 1,510 890
2004年9月 9,725 1,364 1,282 732
2003年9月 9,575 757 703 381
2002年9月 8,700 379 190 85
2001年9月 9,088 694 592 359
株式情報(12/5現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,120円 13,772,079株 15,425百万円 10.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
45.00円 4.0% 90.76円 12.3倍 548.02円 2.0倍
※株価は12/5終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
SHOEIの2013年9月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
世界ナンバーワンのヘルメットメーカー。オートバイ用を中心に、航空機用や戦車用等の官需用のヘルメットを製造している。販売網は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界約60ヵ国を網羅。「SHOEI」ブランドはその安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、高級ヘルメットの代名詞となっている。独自の技術とノウハウ、優れたデザイン力を持つ。
①「世界一の品質」…Made In Japanのグローバルブランド
②「世界一のコスト競争力」…ヘルメット業界唯一のトヨタ生産方式でコスト管理
③「世界一の楽しい会社」…お客様、株主の皆様、並びに従業員、役職員の満足度を追及
という、3つの世界一を実現する事を経営方針に掲げている。また、「商品戦略」、「生産戦略」、「市場戦略」を融合させた三位一体の事業戦略も同社の特徴。三位一体の事業戦略を進める事で、顧客満足度、株主及び役職員の満足度向上に努めている。
 
【事業内容】
二輪乗車用ヘルメット(以下、「プレミアムヘルメット」)の売上高が約90%を占めている。なかでも、高品質で高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県一関市)の国内2工場で生産。国内生産にこだわる事で、より高い品質を維持すると共に技術の流出防止にも努めている。また、業界では唯一の「トヨタ生産方式」導入企業として、高い限界利益率と在庫回転率、及び優れた資産効率を誇る。
 
【中長期的安定成長と安定利益の実現に向けた基本方針】
1.自分の会社は自分で守る
2.Made in Japanと雇用の維持(ものづくりの伝承)
3.健全な財務内容の堅持
4.投資の継続(新製品開発,コストダウン,品質向上,より確かな安全)
5.世界中のプレミアムヘルメット市場でナンバーワンを目指す
6.新市場開拓と既存市場の深堀り
7.利益の公平、公正な分配(50%配当性向,従業員への配分、会社への分配(内部留保))
 
【SHOEIシステムヘルメット】
<J-Cruise> サンバイザー付オープンフェイス
【街乗り、ツーリング用】
・欧州 販売開始:2013年3月
メーカー希望小売価格:ドイツ・フランス
EUR439.00(税込み)
・北米 販売開始:2013年3月
メーカー希望小売価格:US$499.99(税抜き)
・日本 販売開始:2012年8月
メーカー希望小売価格:44,000円(税抜き)
 
<GT-Air> サンバイザー付フルフェイス
【スポーツツーリング用】
・欧州 販売開始:2013年3月
メーカー希望小売価格:ドイツ・フランス
EUR479.00~EUR579.00(税込み)
・北米 販売開始:2013年3月
メーカー希望小売価格:
US$549.99~US$670.99(税抜き)
・日本 販売開始:2013年4月
メーカー希望小売価格:
48,000円~56,000円(税抜き)
 
<NXR/RF-1200/Z-7> スポーツフルフェイス
【スポーツライディング用】
投入の狙い-スポーティー、軽量、コンパクトの実現
・欧州(NXR) 販売開始:2014年3月
メーカー希望小売価格:
ドイツ・フランス
EUR429.00~EUR529.00(税込み)
・北米(RF-1200) 販売開始:2013年10月
メーカー希望小売価格:
US$485.99~US$589.99(税抜き)
・日本(Z-7) 販売開始:2014年春
メーカー希望小売価格:未定
 
 
2013年9月期決算
 
 
前期比29.7%の増収、同806.0%の経常増益
売上高は前期比29.7%増の111億58百万円。国内市場は、新製品効果でプレミアムヘルメットの販売が増加したことや防衛省向け航空機用ヘルメットの特需もあり、前期比24.9%増加した。欧米市場は、ツーリングタイプを中心とした顧客ニーズに合わせた新製品の供給を継続した結果、二輪車販売が低迷している市場においても、製品の差別化により販売が増加。その他、オセアニア、ロシア、アジア市場向けの販売も順調に推移した結果、海外市場全体では31.4%の増加となった。更に、同社の期中平均レートが、ドル円において前期比15.73円の円安となったことや、ユーロ円において同19.63円の円安となったことも売上高の増加に寄与した。
 
利益面では、売上高の増加、円安の影響、ヘルメット販売の好調に伴う工場稼働率の回復などにより、単体の損益を中心に大幅に改善。連結ベースの粗利率は6.2ポイントの大幅上昇。保険料の減少1億17百万円などもあり、売上高販売管理費率も4.6ポイント大幅に低下したことから、営業利益は、前期の97百万円から、13億40百万円へ大幅に増加した。為替予約の影響で、営業外費用に為替差損(35百万円)を計上したことや前期の特別損益に計上した雇用調整助成金(22百万円)がなくなったことなどから、経常利益以下の増益率は縮小した。
また、1株当たりの期末配当は、好調な業績を反映して、29円と前期末比27円の増配予定。
 
 
 
 
 
 
 
 
今期末の総資産は前期末比17億67百万円増の94億7百万円。業績回復による当期純利益の増加などにより、現預金が13億67百万円増加した。総資産の約45%を現預金が、約83%を流動資産が占める等、資産の流動性が高く、しかも無借金。自己資本比率も約80.2%と、高水準を維持している。
 
 
CFを前期末と比較すると、税金等調整前当期純利益の増加等により営業CFのプラス幅が拡大。設備投資の増加で投資CFのマイナス幅が若干増加したものの、営業CFの増加の効果が大きく、フリーCFのプラス幅も大幅に増加。配当金の支払い額の減少により、財務CFのマイナス幅は減少。
 
 
2014年9月期業績予想
 
 
通期業績予想は、前期比7.5%の増収、同53.9%の経常増益
14/9期の業績予想は、売上高が7.5%増の120億円、経常利益が53.9%増の20億円。売上面では、国内は二輪車向けが好調であり、計画を上回る受注状況でかつ、海外が新製品効果と円安効果により各地域とも増収となる勢い。
利益面でも、売上の増加に伴い製造原価及び販売費等の変動費が増加するものの、円安効果や海外子会社の採算好転も寄与し大幅に増加する見込み。特に、円安による日本からの輸入採算の向上により、欧州子会社の営業利益が大きく伸びる。
また、1株当たり期末配当予想は、45円と前期末比16円の増配を見込む。
14/9期の想定為替レートは、1米ドル98.00円、1ユーロ130.00円。なお、年間必要額に対し、米ドルの2/3を1米ドル100円強で、またユーロのほぼ全額を133円台で既に為替予約した模様。
 
 
設備投資
14/9期の設備投資は、4億94百万円と13/9期と比較し1億29百万円増加する計画。茨城工場と岩手工場の生産設備と金型への投資を行う予定。
 
 
 
今後の注目点
リーマンショック以降、同社を取り巻く環境は、日本と欧米における個人消費の冷え込み、円高進行、流通在庫の増加の三重苦に見舞われてきた。こうした中、同社では外部環境の好転に頼るのではなく、顧客満足度の高い付加価値の高い新製品の継続的な投入によるシェアアップにより業績の回復を目指してきた。13/9期のニ輪車新車販売動向は、日本、欧米ともに底打ちしたもののその回復力は強くない。こうした環境下、同社の販売数量が急回復しているのは、新製品の投入がシェアアップに結びついている表れと判断される。更に、厳しい環境下で、恒常的な製造原価の低減や販管費の圧縮に取り組んできたことで確実に企業体質は強化されている。
世界的な量的緩和が継続する中、日本と欧米における個人消費の回復、円安の進行、流通在庫の解消と同社を取り巻く三重苦は解消の目処が立ったと言えよう。厳しい環境で企業体質が強化され、販売回復時に利益が出やすい構造となっているだけに、今後好転する事業環境の中で、どのような成果が顕在化するのか楽しみが大きい。そのためには、引き続き顧客ニーズを満たす付加価値の高い新製品の投入が決め手となることから、今期の新製品の市場での評価とその販売動向に注目したい。また、南欧を中心に依然回復が鈍い欧州市場であるが、米国やドイツにおける景気回復の恩恵を受け、今後欧州全域へ景気の回復が波及してくものと期待される。欧州市場は、同社にとって最大の市場であり業績へのインパクトが大きいことから、欧州市場全体の市場底打ちの動きにも注目していきたい。