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(2146:JASDAQ) UTホールディングス 企業HP
若山 陽一 社長
若山 陽一 社長

【ブリッジレポート vol.16】2014年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「3月期末までは引き続き堅調な推移が見込まれる。4月以降は消費税率引き上げの影響が読めないが、足元、生産計画を増産修正する取引先及び・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年3月18日掲載
企業基本情報
企業名
UTホールディングス株式会社
社長
若山 陽一
所在地
東京都品川区東五反田1-11-15 電波ビル
事業内容
高度な分野に特化した製造派遣・請負事業を中心に設計/建設技術者派遣・再就職支援事業も展開。順調に稼動数増を達成し、業界No.1の従業員定着率を誇る。
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 27,854 1,473 1,388 922
2012年3月 24,106 1,453 1,379 880
2011年3月 20,227 1,442 1,309 766
2010年3月 18,056 290 182 -1,401
2009年3月 40,694 1,793 603 -10,861
2008年3月 51,787 4,200 3,473 1,203
株式情報(3/14現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
491円 39,003,900株 19,150百万円 31.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
13.50円 2.7% 29.74円 16.5倍 67.98円 7.2倍
株価は3/14終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
UTホールディングスの2014年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
高度な分野に特化した製造派遣・請負事業を中心に、設計/建設技術者派遣事業、アウトプレースメント(再就職支援)事業も展開。新規の顧客開拓力と業界No.1の従業員定着率を強みに、順調に稼動数を伸ばしている。同社自身は純粋持株会社としてグループを統括し、実際のサービス提供は連結子会社7社が担う。
 
 
13年7月1日にパナソニックバッテリーエンジニアリング(株)の発行済株式400株のうち81%にあたる324株を取得し連結子会社化し、商号をUTパベック(株)に変更した。残る76株(発行済株式総数の19%)については、14 年7月1日に取得する予定。
パナソニックバッテリーエンジニアリング(株)はパナソニック(株)の100%子会社で、電池材料分析・評価・解析事業、電池製品加工・組立て・包装業務・製造・請負事業、及び派遣事業等を手がけていた。今回の買収では、電池製品加工・組立て・包装業務・製造・請負事業及び派遣事業が対象となり、買収対象事業は年商約30億円(12/3期は売上高が42億06百万円、営業利益1億32百万円)。
 
【事業内容】
事業セグメントは、アウトソーシング事業の単一セグメント。製造派遣・請負を中心に、設計開発技術者派遣を手掛けており、建設技術者派遣及びアウトプレースメント事業を育成中。尚、製造請負では各工程の製造オペレーションから装置メンテナンスや保全業務までを一括して受託するが、同社が請負う事で、コスト削減はもちろん、構内作業全体のパフォーマンスも向上するため、取引先から高い評価を受けている。
また、10/3期は半導体・電子部品分野の売上が全体の91.2%を占めていたが、幅広い分野で受注活動を強化した事で"脱半導体"が進行中。現在、半導体・電子部品分野が43.1%に低下し、次いで環境・エネルギー分野(太陽電池・2次電池等)25.6%、自動車関連分野13.5%、住宅分野8.7%、その他9.1%となっている(14/3期第3四半期)。

尚、中期的な目標として、電池を中心に環境・エネルギー30%以上、自動車関連20%程度としており、半導体向けについては、現在の売上水準を維持しつつ40%以下に引き下げたい考え。
 
【中期経営計画(14/3期〜16/3期)   −質量共に「日本一の請負会社」を目指して−】
 
中期経営計画の基本戦略は、ヾ存顧客シェアの拡大、既存顧客ニーズの深掘り、及び正社員派遣の横展開の3点で、長期的な目標として掲げている「営業利益100億円、稼働数20,000名」の達成に向けた基盤整備に取り組む。既存顧客シェアの拡大により利益生産性の向上と安定成長を実現すると共に、アウトプレースメントや建設技術者派遣等の新規事業を中心に既存顧客ニーズの深掘りと正社員派遣の横展開を進める事で、製造派遣・請負以外で営業利益の1/3を稼ぎ出せる体制を構築する。
定数的な目標としては、主力の製造派遣は、稼働数を毎期1,000名増やし、40億円ずつ売上を積み増していく(14/3期:300億円、15/3期340億円、16/3期380億円)。また、アウトプレースメントや建設・設計技術者派遣等の新規事業では、14/3期10億円、15/3期30億円、16/3期70億円と、製造派遣を上回る高い売上の伸びを計画。これにより最終年度となる16/3期には連結ベースで、売上高450億円、営業利益40億円(最高益は07/3期の42億円)、稼働数11,100名の各目標を達成したい考え(事業環境の変化や業績動向を踏まえ、ローリング方式により適宜見直しを行う)。
 
【基本戦略の概要】
ヾ存顧客シェアの拡大(製造派遣事業)
顧客基盤が拡大・強化されリスク分散が進んだ事から、今後は、新規顧客工場数の開拓よりも、約400の既存顧客工場のインハウスシェアの引き上げに力を入れていく。ちなみに、領域拡大前の11/3期第1四半期は顧客工場数が93工場で、そのアウトソーシング活用の総計は13,738名。同社のシェアは31%だった。一方、現在の約400工場のアウトソーシング活用の総計は47,400名で、同社シェアは14%にとどまる。このためシェアアップを図るべく、1工場当たりの稼働数を引き上げに取り組む。当面の目標シェアを25%として、1工場当たりの稼働数を30人規模に引き上げていく考え。
 
自動車業界はアウトソーシング活用比率が低いが、労働者派遣に対する規制緩和の流れを受けて派遣ニーズが高まっている。また、業界を問わず主要顧のアウトソーシング先の選定基準は社員の定着率であり、業界No.1の定着率を誇る同社のアドバンテージは大きい。
 
既存顧客ニーズの深掘り(再就職支援事業)
構造改革に取り組む企業の増加で、現在、再就職支援サービス市場は第2拡大期を迎えている。リクルートとパソナの寡占市場で、両社が約2/3の市場シェアを有するが、両社ともに都市部でのホワイトカラー向けのサービスが中心。これに対して、UTキャリア(株)は、地方製造工場向けに特化する事で大手2社との差別化に成功している。また、独自の3つのサービスを提供しており、再就職先の斡旋でUTホールディングス・グループの顧客や営業基盤を活用できる事に加え、何よりもグループ内に再就職先を持つ事が何よりの強み(グループの請負職場を再就職先に活用できる)。
 
正社員派遣の横展開
建設経済研究所「建設経済モデルによる建設投資の見通し」によると、12年度は18兆円だった建設公共投資額が13年度は20.2兆円に拡大する見込み。長期間にわたって持続可能な国家機能と日本社会の構築を目的に、与党が「国土強靱化基本法案」を国会に提出しており、復興需要と相まって、現状、逼迫している建設業界の労働力不足が更に進むと懸念されている。しかし、労働力不足は外部労働力活用ニーズにつながるため、アウトソーシング各社にとってはビジネスチャンスである。
ただ、その一方で、正社員雇用の議論が活発化している。具体的には、自民党が、若者雇用対策として新卒者が就職する際の正社員率を現在の80%から100%に引き上げる目標を掲げている他、政府の規制改革会議(雇用作業部会)も、勤務地や職種を限定した正社員の拡大に向けた雇用ルールの策定を検討中である。求職者の正社員就業ニーズが高まりを見せる中で、今後、与党や政府が雇用の安定を図るべく新たな政策を打ち出す可能性が高く、正社員雇用ニーズの高まりが予想される。

こうした市場動向を踏まえ、同社は強みである正社員派遣について、製造業以外への横展開を進めていく考え。その第1弾となるのが、建設技術者及び設計開発者である。この一環として、新卒者採用を開始している他(14年4月に1期生300名が入社する予定)、製造派遣・請負で勤務する既存社員を高付加価値業務へ社内異動させるべく、建設技術者派遣業務への異動を促している。
 
 
2014年3月期第3四半期決算
 
 
前期比6.8%の増収、同40.9%の経常増益
稼働人数が過去最高水準で推移し、売上高が226億65百万円と前年同期比6.8%増加。旺盛な人材需要に対応するべく中途採用を継続したため採用費等を中心に販管費が計画を上回ったものの、売上の増加と低収益事業所からの撤退による売上総利益率の改善で吸収して営業利益が11億29百万円と同35.8%増加した。四半期純利益が同7.1%の増加にとどまったのは、検討していた新規事業(ヘルスケア関連)の立ち上げを見送った事に伴う子会社清算損等で特別損失3億01百万円を計上したため。
 
計画との比較では、第3四半期(10-12月)に解約や生産調整で750名の減員が発生したため、第3四半期末8,200〜8,300名を見込んでいた稼働人数が計画を下回った事が響いた。売上高は保守的に計画していたため、わずかに計画を上回った。しかし、利益面では、想定外の解約に伴う有給消化及び採用費等の積み増しによる販管費の増加をカバーできなかった。
 
 
第3四半期(10-12月)は、主に契約社員から派遣社員への切り替えを進めた自動車関連企業の案件取り込みで期末の顧客工場数が407工場に増加した。引き続き売上総利益率の改善も進んだが、解約や生産調整の影響で750名の減員が発生したため、稼働人数が想定を下回り売上高が想定の86億円に届かなかった。また想定外の解約に伴う有給消化及び採用費等の積み増しによる販管費の増加をカバーできず、営業利益が計画の7億円を下回った。
 
 
10/3期は売上高全体の91.2%を半導体・電子部品が占めていたが、その後の自動車関連企業の開拓及び深耕に加え、13年7月のUTパベック(株)の子会社化もあり、14/3期第3四半期(7-9月)は同業種の売上構成比が43.1%に低下した。尚、同業種の売上構成比は、第1四半期が 55.9%、第2四半期が47.5%。引き続き自動車関連及び環境・エネルギーの構成比上昇が見込まれる。
 
 
稼働人数が過去最高水準にある中、バックオーダーへの対応も必要なため資金需要は旺盛。運転資金の増加に対応するべく、借入金や社債を積み増したため、第3四半期末の総資産は前期末に比べて114億76百万円と19億71百万円増加した。自己資本比率は23.1%。
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
通期予想に変更はなく、前期比11.3%の増収、同33.4%の経常増益
第3四半期末現在、自動車分野の生産量の増加と半導体・電子部品分野での同社シェアの上昇により772名のバックオーダーを抱えている。バックオーダーへの対応で期末の稼働人数が8,000名を超えるため、第4四半期(1-3月)の個別ベースの売上高は89億円程度を確保できそうだ。利益面では、低収益事業所からの撤退効果と解約の一巡で売上総利益率が18.5%程度に上昇する見込みで、売上の増加と相まって採用費等を中心にした販管費の増加を吸収。個別営業利益は7億50百万円程度が見込まれる。この他、子会社が手掛けている再就職支援事業で期末にかけての案件取り込みで更に2億円程度の利益の上積みを図り、通期の予想連結営業利益20億円を達成したい考え(予想営業利益の達成には第4四半期に約8億70百万円の営業利益を確保する必要がある)。
 
 
配当は実質0.5円増配の13.5円
配当は1株当たり13.5円の期末配当を予定(予想配当性向45.4%)。7月1日を効力発生日として、1株を200株に分割しているため実質0.5円の増配。同社は株主への利益還元を経営の重要課題と認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保の充実を図りつつ、総還元性向50%以上を目処に株主への還元を実施していく考え。
 
(2)労働者派遣法改正の動き
2014年1月29日開催の労働政策審議会で労働者派遣法改正案が固まった。改正案のポイントは下記の通りだが、この改正で企業は派遣社員制度が利用しやすくなり、派遣社員にとっては派遣制度がわかりやすい制度になる。
 
改正案のポイント
①専門26業務の区分をなくし派遣期間の上限を「業務」から「人」へ
②常用雇用された人は派遣先で期限なく働ける
③有期雇用された人は派遣先で最長3年働ける
④派遣元に対し計画的な教育訓練、キャリアコンサルティングを義務付け
⑤すべての派遣事業者を許可制に(許可基準は純資産額が20百万円、現預金額が15百万円以上等)
 
「外部労働力」を活用しやすい法律の整備が進む事になるが、その一方で、教育できる会社に対する評価とニーズの高まりが予想される他、財務基準も設定されるため、業界の再編・淘汰が進む可能性がある。このため、整備された教育体制と上場企業としての優れた財務基盤を有する同社は規制緩和+αの恩恵を享受できよう。
 
尚、改正法の施行期日は2015年4月1日となる見込み。
 
 
今後の注目点
3月期末までは引き続き堅調な推移が見込まれる。4月以降は消費税率引き上げの影響が読めないが、足元、生産計画を増産修正する取引先及び生産が回復しつつある取引先においても、労働力の流動化を図りつつ生産能力の増強を図るケースが多くある。このため、同社は製造派遣・請負事業と再就職支援事業の両面から取引先ニーズの取り込みを図っていく考え。
想定外の事象が生じることは気になるが、バックオーダーを計画通り埋めると共に期末にかけての再就職支援案件を着実に取り込む事ができれば、市場は同社の優れたマネジメント能力を改めて評価すると共に、15/3期の業績に対する自信を深めるものと思われる。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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