ブリッジレポート
(8912) 株式会社エリアクエスト

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ブリッジレポート:(8912)エリアクエスト vol.11

(8912:東証マザーズ) エリアクエスト 企業HP
清原 雅人 社長
清原 雅人 社長

【ブリッジレポート vol.11】2014年6月期上期業績レポート
取材概要「前述の通り、足下、売上構造改革は順調に成果が上がっており、業績も順調だ。また、新政権の経済政策「アベノミクス」による経済の活性化に・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年3月18日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社エリアクエスト
社長
清原 雅人
所在地
東京都新宿区西新宿六丁目5番1号 新宿アイランドタワー7階
決算期
6月 末日
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年6月 819 49 50 37
2012年6月 646 4 5 19
2011年6月 595 -45 -43 -50
2010年6月 735 12 14 3
2009年6月 879 -182 -179 -381
2008年6月 1,015 -311 -307 -556
2007年6月 1,530 -95 -94 -118
2006年6月 1,580 18 18 -139
2005年6月 2,091 240 236 189
株式情報(2/28現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
118円 20,997,100株 2,477百万円 7.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 0.0% 6.64円 17.8倍 27.18円 4.3倍
※株価は2/28終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
エリアクエストの2014年6月期上期決算、今後の取組について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
"ビルコンシェルジェ"を標榜。東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の駅前商業地において、店舗を中心にしたテナント誘致等の「成功報酬型ビジネス」と、サブリースを含むビル管理及びメンテナンス(清掃、設備保守、警備管理等)や売買仲介を含む契約更新・契約管理の「ストック収入型ビジネス」を展開している。グループは、グループマネジメントが中心の同社の他、テナント誘致等を手掛ける(株)エリアクエスト店舗&オフィス、ビル管理等の(株)エリアクエスト不動産コンサルティング、及び不動産賃貸の(株)まや商会の連結子会社3社。
 
【強みと成長戦略】
ストック収入型ビジネスは、"一にも二にも「掃除」重視"のシンプルだが基本に忠実なサービスがビルオーナーや管理者等から高い評価を受けており、成功報酬型ビジネスとのシナジーによる、仲介(客付け・テナント誘致)やアフターフォロー(トラブル防止・解決、テナント折衝力)への対応力がビルメンテナンス会社等との差別化につながっている。「ストック収入型ビジネス」を収益基盤として「成功報酬型ビジネス」でフロー収益の取り込みを図ると共に、両事業のシナジーを追求する事で付加価値を高めていく考え。
 
一にも二にも「掃除」を重視
ストック収入型ビジネスでは、一にも二にも「掃除」を重視しており、そのバイブル的な存在となっているのが「パノラマクリーニング」である。「パノラマクリーニング」は、清原社長が実際に掃除サービスの現場を見て感じた課題を解決するべくまとめたもので、パノラマスケッチ、項目指示書、抜打ちチェック、月次報告書がパッケージになっている。
 
顧客対応力
消防法上問題となる共用部分の不正使用等はビルオーナー等に共通の悩みだが、テナントの接点がないビルメンテナンス会社等では対応が難しい。同社グループは、仲介業務でテナントとの接点がある事に加え、従前からトラブル防止・解決やテナントとの各種折衝等をテナント誘致のサービスとして手掛けていたため対応が可能だ。
 
 
【収益力の強化に向けた取り組み】
(1)サービスラインナップの拡充  -ビルコンシェルジェ(商標登録)、賃貸借変更、テナント誘致-
差別化のポイントとして挙げているのが、①"ビルコンシェルジェ"ブランドで展開するトラブルへの迅速対応、②賃貸借変更、及び③テナント誘致。いずれも需要の多さに注目して対応を強化すると共にサービス内容をブラッシュアップしてきた。

80年代後半から90年代初めにかけてのバブル期に竣工したビルが20年を経過し、エアコンの故障や水漏れ等、トラブルが増えてくる築年数に入ってきた。しかし、「こうしたトラブルに対して、リーズナブルな価格ですぐに対応してくれるサービス会社が少ない」と言うのがビルオーナー等の悩み。同社はこうした現状に着目し、作業内容を統一・マニュアル化すると共に、実際にサービスを提供する協力会社の整備を進めてきた。トラブルの多い水回り、電気、ガス、空調等、連絡を受けてから平均6時間以内に出動して対応すると共に、24時間~72時間で、写真、原因究明、改善策、見積もりを提出する。一連のサービスを「ビルコンシェルジェ」としてブランディングして事業展開している。

建て替えに備えて借家契約を定期借家契約へ変更する必要があるビル等で、ビルオーナー等に代わって、テナントとの交渉を代行する賃貸借変更(既得権が強いだけに、この交渉が実に難しい)やテナント誘致(ライバルよりも早く、かつ高い賃料で誘致)等のサービスを総合的に提供する事で、不動産会社はもとより、ビルメンテナンス会社との差別化を図っていく(同社は上記のサービスを総合的に提供できるOnly Oneの企業である)。
 
(2)サブリースも順調に拡大
ビルオーナー等からの高い評価を背景にサブリース(転貸)も拡大している。同社のサブリースの特徴は、ターゲットを1日の乗降客数が3万人以上の駅に絞り、その周辺の物件で1階部分に限定している事。サブリースは空室リスクを伴うが、同社は、人の流れが多い一等地(乗降客の多い駅周辺)に絞り込む事と、客付けで同社が強みを持つ小売業等に人気の1階部分に限定する事でリスクの顕在化確率を極小化している。サブリース事業開始から約3年半が経過した13年10月で45物件(うち2物件のみが最寄駅の乗降客が2万人/日)を扱っているが、解約が発生しても概ね1カ月程度で次のテナントが決まっていると言う(テナントが解約する場合は、6か月前までに同社に連絡する必要がある)。ただ、物件が一等地にあるだけに、ビルオーナー等からサブリース(転貸)の同意を得る事自体が難しい。優良物件があっても、同意を得られるのは20件に1件程度と言う(確率にすると5%程度)。
 
 
 
 
2014年6月期上期決算
 
 
前年同期比50.2%の増収、経常利益44百万円(前年同期は10百万円)
不動産業界は未だ賃料水準が弱含みだが、企業の出店意欲や個人消費に回復の兆しが見られ、空室率も改善傾向にある。こうした中、同社グループは売上構造改革が進み、契約積み上げ型のビジネスであるストック収入型ビジネスが順調に拡大。グループ管理を担う(株)エリアクエスト個別が人材採用を拡大する等、攻めの経営に転じた事で、求人費、地代家賃、広告宣伝費等を中心に販管費が増加したものの、増収効果で吸収して前年同期は10百万円にとどまった営業利益が43百万円に増加した。
尚、四半期純利益が経常利益を上回ったのは、投資有価証券売却益84百万円など特別利益94百万円を計上したため。

期初予想との比較では、ストック収入型ビジネスを収益の柱とする売上構造改革が予想以上に進んだ事で、売上高、営業利益、経常利益が大きく上振れ。投資有価証券売却益の計上で四半期純利益は期初予想の3.5倍となる97百万円で着地した。
 
 
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて1億34百万円増の10億63百万円。借方では、13年8月に不動産賃貸を手掛ける(株)まや商会を子会社化(全株式を取得)した事で有形固定資産や無形固定資産(借地権)が増加。一方、貸方では、純資産の増加に加え、サブリース契約の獲得が順調に進んでいる事を反映して長期預り保証金が増加した。営業CFが安定的に黒字を維持しており、有利子負債は僅少。自己資本比率は53.7%
 
 
事業拡大に伴うオフィスの増床や前年同期に保険積立金の解約による収入があった反動等で投資CFがマイナスとなったものの、ストック収入型ビジネスの拡大を反映して営業CFが順調に増加した。
 
 
2014年6月期業績予想
 
 
通期予想を上方修正。前期比34.3%の増収、同86.8%の経常増益を持込む
売上構造改革の進展でストック収入型ビジネスによる収益の安定性が想定以上に高まっている事が上方修正の理由。下期も人員の増強やマーケティングの強化等の先行投資を継続するため、(株)エリアクエスト個別の通期業績は期初予想を下回る見込みだが、グループ全体では売上高・利益共に期初予想を超過する。
 
 
今後の取組み
 
清原社長に今後の取り組み、投資家へのメッセージなどを伺った。

◎現在の事業環境と今後の不動産業界について
2020年東京五輪に向けて不動産業界は好景気が続くと見ているが、一方で景気回復に伴い2013年12月の有効求人倍率が1.03倍と6年ぶりの水準に上昇する中、特に不動産業界では、計画通りに人員を強化するのは難しいのが現状。
また、東京オリンピックまでは、好景気の中、誰もがさほど努力しなくてもビジネスを拡大させることができるだろうが、少子高齢化、人口減少がより顕在化する10年、20年先を見据えると、環境は厳しいと考えなければならず、そうした中でも勝ち抜くための手を打って行かなくてはならない。

◎優良物件のデータ蓄積に注力
そのために現在同社が特に力を入れているのが、優良物件のデータ蓄積である。
不動産の場合、オーナーの連絡先(住所、電話番号など)が明記されているデータベースが販売されている訳ではない。そこで同社では現在日々の重要な作業として「登記事項要約書」を基にしたオーナー情報の取得に力を入れている。営業スタッフは営業対象とする駅前商業地において見込み優良物件を見つけてきたら、その物件の家屋番号を基に、インターネット上で不動産の登記情報を有料で取得できる「登記情報提供サービス」を利用して登記事項要約書(1件367円)から、名前、住所のオーナー情報を取得し、アプローチを掛ける。
もちろん、すぐに取引が始まるケースは少ないが、サブリースにおいて極めて高い競合優位性を持った同社としては、優秀な人材を大量に確保する事が難しい環境では、こうした地道なルーティン作業を積み重ねることが「ポスト東京オリンピックの不動産業界」において勝ち残るための重要な作業であると清原社長は考えている。

◎商圏の拡大
前述のとおり、売上構造改革が進み、契約積み上げ型のビジネスであるストック収入型ビジネスが順調に拡大し、業績の上方修正を行った同社だが、今期及び来上期の数字をしっかりと仕上げたころを目途に、新たな商圏として関西(大阪、京都、兵庫)への進出を考えている。
首都圏に比べ借り手が少ないことから貸し手の立場が弱い、基本的に更新料が無いなど特性の違いはあるが、心斎橋(大阪)、河原町(京都)、三宮(兵庫県)、などは首都圏と遜色ない家賃となっているため、他社に真似のできない同社の強みを導入すればビジネスチャンスは極めて大きいと考えている。

◎単なる「ビル管理会社と」の違い
清原社長が投資家に是非理解して欲しいと考えていることの一つが、同社は単なる「ビル管理会社」ではないということ。
テナント誘致力に優れた同社は不動産オーナーからの評価が高いこと、ビル管理会社の中にはオーナーとの直接契約ではなく下請けとして受託しているところも多いこと等から、ビル管理報酬に関する価格交渉力が高く、収益性は大きく上回っている。
また、ビル管理を行うには消防、水道など各種担当官庁などへの届け出や折衝が必要で、一般的にはテナント誘致を主とするリーシング業者よりもビル管理業者の方がそうした点での専門性が高いため、オーナーからも信頼されやすいが、同社の場合はその面でも十分な専門知識及び実績を持っているため、ビル管理の専門業者に劣ることは無いという。

下の表は、同社及び主要上場ビル管理会社の事業規模、各種指標などを比較したものである。
不動産業界(特にテベロッパー)は一般的に借入金が多いため、結果的にROE(自己資本利益率)が高くなる傾向があるが、同社は実質無借金でありながら2ケタのROEとなっている。また借入金の多寡に左右されない指標であるROAも高水準となっている。営業利益率の高さも頭一つ抜け出ている等、利益率の高さは一般的なビル管理会社と比較して際立っており、知恵を絞った収益性の高い事業を展開していることがここからもわかる。

PER、PBRを見ると、ROE、ROAの高さを反映して他社と比較すれば株価は既に高く評価されているようだが、現時点での中期事業計画における来期2015年6月期の当期純利益187百万円から計算した予想PERは13倍程度であり、企業規模による変化率の高さを考慮すれば、更なる評価の余地が残っているといえよう。
 
 
◎投資家へのメッセージ
清原社長は、「業績が回復、上昇する中、東京や大阪などで個人投資家の方々を前にIRプレゼンテーションを行うと、ファンの方が着実に増えていることを実感し、大変うれしく思っている。そうした株主の皆さんの期待に是非応えたいと、業績を可能な限り拡大させるために日々懸命に取り組んでいる。復配もできるだけ早く行い、株主の皆さんに喜んでもらいたい。」と考えている。
 
 
今後の注目点
前述の通り、足下、売上構造改革は順調に成果が上がっており、業績も順調だ。また、新政権の経済政策「アベノミクス」による経済の活性化に加え、2020年の東京五輪に向けた不動産業界の活性化等で当面の事業環境の見通しは明るい。
そうした中、注目点の一つとしては、現在公表している中期事業計画の先、来期以降の姿を会社側がどのように考えているかとなろう。売上構造改革の成果および成功報酬型ビジネスの立ち直りが、特に利益にどのように反映されるのか注目したい。
また、従来首都圏で事業を展開してきた同社だが、関西への進出も検討しているということであり、そのタイミングおよびその後の進捗についても大いに注目したい。