ブリッジレポート
(9837) モリト株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(9837)モリト vol.2

(9837:東証2部) モリト 企業HP
一坪 隆紀 社長
一坪 隆紀 社長

【ブリッジレポート vol.2】2014年11月期第1四半期業績レポート
取材概要「会社側が期初見込んだように、為替差益は前年同期に比べ縮小したため経常利益は減益となったが、地域別の各セグメントとも2ケタの増収で、本業・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年5月20日掲載
企業基本情報
企業名
モリト株式会社
社長
一坪 隆紀
所在地
大阪市中央区南本町4-2-4
決算期
11月末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年11月 33,145 1,390 1,699 1,081
2012年11月 31,521 1,389 1,405 787
株式情報(5/1現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
945円 14,486,780株 13,690百万円 4.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
24.00円 2.5% 82.83円 11.4倍 1.888.11円 0.5倍
※株価は5/1終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROE、BPSは前期末実績。
 
東証2部上場のモリト株式会社について、ご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
靴・衣類などに紐を通す穴に取り付ける環状の金具である「ハトメ」をはじめとし、ホック、マジックテープ®などの服飾の付属品や、自動車の内装品等の企画・開発から製造、流通までを一貫して手掛ける。
創業100年を超す歴史の中で培われた高い信頼性、高シェア、グローバルネットワークなどが強み。
2013年11月末現在、連結子会社は国内4社、海外9社の合計13社
 
【沿革】
大阪の呉服商で奉公人として働いていた創業者・森藤寿吉氏が、1908年(明治41年)に独立し、ハトメ、ホックの仲買商「森藤商店」を一人で開業。大正時代に入りファッションの洋装化が進むのに伴い、靴の需要も拡大し、急成長を遂げる。1937年にはホックをスマトラ、ジャワへ、靴ひもをヨハネスブルグ(南アフリカ)、イギリスへ輸出するなど国際化も進めた。太平洋戦争後は、カラーナイロンファスナーやマジックテープ®の販売を開始したほか、1990年代に入り汎用資材の拡販を目指し、自動車の内装品、カメラのストラップなど生活産業資材関連事業にも進出し事業ドメインを拡大した。海外事業も積極的に展開。1989年、大阪証券取引所第2部に上場し、2013年7月の東証・大証の統合に伴い東京証券取引所第2部に移行。
 
 
【ビジョンなど】
1.創業理念
「積極・堅実」
創業期より培われてきた同社の精神。「自ら進んで判断・行動することで確実に成果を上げることが出来る」という意味を表す。
また、「他人に勝つためには常に他人の意表をつくアイデアが必要。日頃から何かないかと考えながら商売せよ。」という、創業者・森藤寿吉氏の精神が同社事業のバックボーンとなっている。
 
2.経営理念
「パーツでつなぐ、あなたとつながる、未来につなげる」
(1)多彩なパーツを全世界に供給し、ジャンルを超えた無限の市場作りを追求します。
(2)お客様の要望を形にし、人々の豊かな暮らしにつながる本物のもの造りを実現します。
(3)ファッション性、機能性、快適性、安全性といったトータルな視点で価値創造力を発揮し、全ステークホルダーと一体になって未来創りに貢献します。
 
 
3.経営ビジョン
「グローバル成長企業を目指して」
 
4.企業行動指針
 
【事業内容】
ハトメ、ホック、バックル、ファスナーなど服飾の付属品を扱う「アパレル資材関連事業」と、マットエンブレム、ドアグリップなど自動車の内装品、新幹線の座席ネット、カメラ・携帯端末用のストラップ、靴の中敷きなどフットケア商品を扱う「生活産業資材関連事業」の2事業で構成される。
どちらの事業においても、ファッション性、機能性、快適性、安全性等を勘案し、市場や顧客ニーズに沿った商品の企画、開発からはじまり、製造、流通、販売までを一貫して手掛けている。
報告セグメントは、日本、アジア、欧米の3セグメント。(セグメント別動向は、「2014年11月期第1四半期決算概要」をご参照ください。)
 
◎アパレル資材関連事業
「2013年11月期 売上高 17,281百万円。売上構成比 52.1%」
 
 
ハトメ、ホック、バックル、ファスナー、リベットなど服飾品やフットウェアの付属品を、主として卸、商社、代理店などを通じて同社の最終顧客である国内外のアパレルメーカー等に納入している。
ファーストリテイリング、GAPなどとは直接取引を行っている。
海外における同社の知名度は高く、GAP、H&M、ZARAといったメーカーとは10年から20年以上という長い取引関係にある。
 
売上構成はアパレル関連が約6割、フットウェア約2割、マジックテープ約2割。
 
◎生活産業資材関連事業
「2013年11月期 売上高 15,861百万円。売上構成比 47.9%」
 
 
マットエンブレム、ドアグリップ、アームレストといった自動車の内装品、新幹線の座席ネット、カメラ・携帯端末用のストラップ等を自動車部品メーカー、映像関連の電機メーカー等に納入しているほか、靴の中敷き、靴クリームなどフットケア商品は同社オリジナル製品として自社ブランドで販売している。

売上構成は輸送機器事業が約2割、パソコン周辺グッズ等を含めた映像機器資材事業が約6割、フットケア事業が約2割となっている。
輸送機器事業では自動車関連が約9割を占める。内半分がトヨタ系顧客向けで、次いで日産系3割、ホンダ系1割となっている。
映像機器資材事業では、キヤノン向け35%、ニコン向け30%などとなっており、その他、オリンパス、京セラ等が顧客となっている。
 
 
特徴と強み
 
①安定した業績推移
沿革でも触れたように、創業以来ハトメ、ホック、マジックテープ®などを中心にアパレル資材関連事業を展開してきた同社だが、汎用資材の用途拡大を進め、生活産業資材関連事業をスタートさせ、現在では両事業の構成比は概ね半々となっている。
この事業ポートフォリオは同社の業績に安定性をもたらしており、戦後2度の石油ショック、世界的な経済危機「リーマンショック」を含めても赤字に陥ったことが無い。
 
②多くのアイテムで高いシェア
下表の様に様々な商品アイテムにおいて高いシェアを有している。
価格のみで見れば同社よりも低価格で供給する新興国の企業もあるが、企画・開発から製造、流通にわたり一貫し、加えて様々な状況にも適切に対処できる対応力、長い歴史の蓄積の中で培った安全性も含めた品質の高さ等で発注元からの信用、信頼度をは高く、それが高シェアにつながっている。

例えば、同社では顧客のサンプル製作段階から適切な技術的アドバイスを提供したり、顧客の要望に合わせた微妙な色味の調整を何度も繰り返すほか、本生産に入ってからも定期的にチェックを繰り返すなど、単に完成品を販売するのではなく、取引開始に至るまで多くのハードルをクリアし、川上から川下までの全工程を仕組みとして顧客に提供している。こうした付加価値の提供が海外の有名ブランドを中心とした顧客から高く評価されている。
 
 
 
③グローバルネットワーク
企画・開発は主として日本で行う一方、欧州、北・中・南米、アジア太平洋、アフリカに製造・販売の拠点を多数有している。
 
 
 
同社では現在進行中の中期経営計画(2011年~2015年)において「グローバル成長企業を目指して」というテーマを掲げ、グローバルな生産拠点、販売網の拡充とグローバル経営を支える内部体制の構築を進めている。
これが計画通りに進捗し、より強固なグローバルネットワークが構築されれば、同社の競争優位性は一段と強固なものとなるだろう。

以上の3点に加え、「ユニークなポジショニング」も同社の特徴の一つと言って良いだろう。
同社が取り扱う品目一つ一つをとれば競合先もあるが、これだけ多彩な品目を取扱いながら、その企画・開発から製造、流通、販売までを一貫して自ら手掛け、売上高300億円を超すというボリュームを実現している企業は世界的にも他に見当たらないということだ。
 
 
2014年11月期第1四半期決算概要
 
 
各セグメントとも2ケタ増収。販管費増を吸収し、営業利益は約5割の増益。
売上高は前年同期比16.1%増の83億円。日本、アジア、欧米ともに2ケタの増収。販管費も人件費等を中心に同194百万円増加したが増収効果で吸収し、営業利益は約5割の増益となった。為替差益が同104百万円減少したため、経常利益は同5.9%減少した。投資有価証券売却益の計上もあり、四半期純利益は同41.8%増益となった。
 
 
◎日本
前年同期比11.3%増収、12.6%増益。
<服飾資材関連>
ユニフォーム向け春夏物用副資材、飲食業向けユニフォームなどのアパレル製品、シューアッパー、スポーツメーカー販促製品などが増収だった。

<生活産業資材関連>
靴専門店・ホームセンター向け商品を中心に増収。自動車内装品関連でも、採用車種数が増加し売上が増加した。
 
◎アジア
前年同期比29.8%増収、42.1%増益。
<服飾資材関連>
欧米ベビーキッズ向けスナップ・ホックの販売が増加した。

<生活産業資材関連>
中国で自動車内装品関連の採用車種数が増加したほか、タイで日系カメラメーカー向け部品の売上高が増加した。
 
◎欧米
前年同期比48.3%増収、黒字転換。
<服飾資材関連>
衣料用服飾資材が増加。昨年低調だった高級服飾資材も回復傾向にある。

<生活産業資材関連>
自動車内装品の取り扱い車種が増加したほか、フロアマット用のエンブレムも増加した。
 
 
流動資産は前期末とほぼ同水準。有形固定資産の増加などで、資産合計は同246百万円増加した。流動負債、固定負債ともに減少し負債合計は同227百万円減少した。純資産は利益剰余金の増加、円安に伴う為替換算調整勘定の増加などで同474百万円増加した。
この結果、自己資本比率は前期末に比べ0.8%上昇の77.2%となった。
 
 
2014年11月期業績予想
 
 
 
業績予想に変更無し。円安効果は減少するものの、日本市場の回復などで連続して増収・増益へ
現時点で業績予想に変更は無い。
売上高は前期比11.6%増収の370億円を計画。前期微減となった日本市場がプラスに転じる。
製品別では、スポーツシューズ関連、海外ナショナルブラン向け金属ホックの伸びを見込んでいる。特に後者は市場規模も大きく、他社シェアの奪取を図る。
粗利率は若干低下するが、販管費のコントロールにより営業利益は同22.2%増益へ。円安効果を前期ほど見込んでいないため経常利益は同5.9%増にとどまるものの、2期連続の増収・増益を見込んでいる。配当は前期比4.00円/株増の24.00円/株の予定で、予想配当性向は前期比約2%上昇の29.0%。
 
 
 
今後の注目点
会社側が期初見込んだように、為替差益は前年同期に比べ縮小したため経常利益は減益となったが、地域別の各セグメントとも2ケタの増収で、本業の利益を示す営業利益も大幅な増益となった。
第1四半期の進捗率は利益においてやや低めに見えるが、前回のレポートで記したように上期よりも下期に大きな伸びを計画しており、順調なスタートを切ったと言えるだろう。
現時点では詳細は不明だが、消費税増税の影響が反映されるであろう第2四半期決算の内容に注目したい。
 
 
 
<参考:中期経営計画について>
 
①経営方針
同社では中期経営計画(2011年~2015年)において「グローバル成長企業を目指して」というテーマを掲げ、経営の基本方針として「グローバルな生産拠点、販売網の拡充」「グローバル経営を支える内部体制の構築」を上げている。
 
「グローバルな生産拠点、販売網の拡充」
日本は企画・開発の拠点として安全・安心、環境を重視した付加価値商品の開発を進める。
アジアを中心としたグローバルな生産・販売網構築を進めており、2012年5月にはカネエムダナン(ベトナム)が操業を開始した。
中国生産拠点は機械化を進め、ベトナムでは人手の必要なものを中心に取り扱う。
 
<カネエムダナンの概要>
2012年5月18日にベトナムのダナン市において竣工、操業開始。アパレル資材、生活産業資材のASEANでの生産・物流の拠点として位置づけている。またリスク分散、地産地消を目的とし日本、中国、ASEANの資材を取り扱う。
世界にも稀な服飾部品複合工業団地で、敷地面積5万平米、建物延べ床面積3万平米の広大な工場では、テープの製造・染色加工、インナー関連金具やファスナー関連金具の製造、メッキ・塗装加工、ジッパーの製造、ビジネスバッグやトラベル用バッグの製造など、多様なアイテムを取り扱う。
2015年度単体売上7億円、モリトグループ売上効果30億円を計画しているが、立ち上がりは順調で前倒しでの達成も可能と会社側は見ている。
また、現在はASEANに向けては中国・深センの生産拠点から船で資材を運搬しているが、ベトナム・ダナンとミャンマー・モーラミャインを結ぶ「東西経済回廊」やベトナム・ハノイとタイ・バンコクを結ぶ「南北経済回廊」という陸路が開通すれば、深センからモーラミャインまで海路で約4週間の行程が、ダナンからモーラミャインまで陸路で約1週間と大幅に短縮されることとなり、運賃も2.8USD/kmが0.8USD/kmと大きく低減させる事が可能になりメリットは大きい。
 
「グローバル経営を支える内部体制の構築」
下記の様なポイントに注力する。
 
特にローカル社員の育成が急務であると認識している。(詳細は後述)
 
 
付属品セット販売とは、例えばジーンズであれば、ヒップラベル、ジッパー、ジーンズボタン、リベットなど様々な付属品が使われているが、こうした付属品の取扱い種類を増やし売上増につなげるもの。
また、高級ブランドおよび有名スポーツメーカーへは付加価値の高い高額商品の採用を積極的に提案していく。
中米、東欧などの市場開拓はまずは出張ベースで対応するが、将来的な市場近くでのものづくりも視野に入れて進めていく。
 
 
LCCとは「Leading Competitive Countries」の略で、コスト競争力の高い新興国の事。これらの国から設備、部品、機械、サービスを調達し原価低減を行うのが最近のトレンド。
 
 
③目標とする経営指標
最終2015年の経営指標として以下を掲げている。