ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

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ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.35

(4767:東証1部) テー・オー・ダブリュー 企業HP
江草 康二 社長兼CEO
江草 康二 社長兼CEO

【ブリッジレポート vol.35】2014年6月期第3四半期業績レポート
取材概要「同社グループが属する広告業界は、当面消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響を受けるものと予想される。同社においても、今後業・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年5月27日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社テー・オー・ダブリュー
社長兼CEO
江草 康二
所在地
東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル
決算期
6月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年6月 12,346 850 864 428
2012年6月 13,935 973 987 508
2011年6月 10,570 378 377 131
2010年6月 12,575 671 670 357
2009年6月 14,210 1,401 1,392 876
2008年6月 14,397 1,362 1,343 729
2007年6月 13,070 1,051 1,041 551
2006年6月 12,341 781 784 423
2005年6月 10,705 771 782 465
2004年6月 9,638 781 765 466
2003年6月 9,441 1,103 1,073 537
2002年6月 8,600 940 920 462
2001年6月 7,555 756 730 371
2000年6月 5,995 556 537 238
株式情報(5/9現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
688円 10,996,260株 7,565百万円 8.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
26.50円 3.9% 41.42円 16.6倍 495.18円 1.4倍
株価は5/9終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
テー・オー・ダブリューの2014年6月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
イベント・プロモーション業界のトップカンパニー。同業他社が約8000社あり、その大半が中小・零細企業といわれる中、当社は頭一つ抜け出た存在。現在はイベントをはじめとするデジタル・プロモーションのみならず、Webサイト、ノベルティグッズ、印刷ツール、キャンペーン事務局といった各種セールスプロモーションメニューも取り揃え、ワンストップ体制とプロモーション提案力の強化を図り、マスメディア以外は全て当社で対応できる、総合プロモーション事業を展開。

日本では大半のイベントが、イベント主催者(クライアント)からの発注を受けた大手広告代理店によって開催されている。このため、同社を含めた実際にイベントの企画・制作・運営を行う会社は、イベント主催者から直接受注するのではなく、大手広告代理店を介して受注するケースが多い。競合他社が限られた大手広告代理店とだけ取引している中、当社は国内外の大手広告代理店10社以上と取引し、イベント/セールスプロモーション業のスペシャリストとして信頼を得ている。また、東京ドーム、幕張メッセ、国際フォーラム、東京ビッグサイトなど、大型会場でのイベントを1社単独で全て対応できることが強みとなっている。

企業のコミュニケーションの中でのプロモーション展開を考える際に、様々な知識と経験を持ったプロモーションの専門家によるトータルプランニングこそが、プロモーション効果を高めるために最も重要であるとの考えのもと、イベント制作における実績を生かしたライブコミュニケーションに加えて、プレミアム、ツール、WEBなど、セールスプロモーションコンテンツの専門部署を発足させ、プロデューサー・プランナー・ディレクターが一元的にクライアントのプロモーションニーズに応えるよう取り組んでいる。
「プロモーション・パートナー」という新しい業態としてワンストップソリューションの提供を実現させる、総合プロモーションカンパニーとして機能している。
 
 
また、広告主が変われば、各社抱えている課題や要望も変わる。また商品ブランドが変われば、それを届ける消費者も変わる。いかにその時々の状況下において広告主・商品ブランド・消費者にとって最適な媒体メニューを組合せ、コーディネートして提示できるかが求められる複合媒体時代になっている。同社は、パートナーである広告代理店に対して、マスメディア以外は全て当社で対応できる一社完結型の「プロモーション総合制作会社」として、あらゆるプロモーションニーズに対応できる体制を整えている。
 
 
更に、複合媒体時代においては、幅広く展開する複数の媒体やプロモーション施策を一括りに束ね上げる企画力が必要とされる。
同社には、他の制作会社には例を見ない、企画専門セクションを置き、「企画」「営業・制作」の分業体制を確立している。企画に特化した20数名のイベントプランナーが企画業務をリードし、クオリティを確保した形で年間約2000本の企画を世に送り出している。これにより、広告代理店様と一緒に、プロモーションの全体企画を作成・提案し、採用された企画・コンセプトを押さえたまま、実施までつなげることを可能にしている。
 
 
 
2014年6月期第3四半期決算
 
 
前年同期比8.1%の増収、同42.8%の経常増益
売上高は前年同期比8.1%増の96億18百万円、経常利益は同42.8%増の7億86百万円。政府の積極的な財政・金融政策による国内景況感と企業業績の回復を受けて、同社グループが属する広告業界においては、大手広告代理店の業績回復傾向が顕著となっており、同社の事業領域であるプロモーション領域においても回復感が強まっている。
売上面では、大手自動車メーカー及び官公庁からの受注が増加したこと等により販促などが増加した一方、セールスプロモーションにおける制作物が減少した。
営業利益は同44.6%増の7億77百万円。収益力向上をための施策を実施した効果により、売上総利益率は13.8%と同1.4ポイント上昇した。売上高対販管費率は5.8%と同0.6ポイント低下した。
 
 
「販促」は大手自動車メーカー及び官公庁からの受注が寄与した。
 
 
14/3末の総資産は前期末比2億99百万円増加の90億56百万円。借方では、主に売上債権が増加。貸方では、賞与引当金や役員賞与引当金に加え、利益剰余金などが増加した。総資産の約86%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も約60%と、高水準を維持している。
 
 
2014年6月期業績予想
 
 
2014年6月期は、前期比3.2%の減収、同6.6%の経常減益の計画
14/6期は平成26年1月10日に上方修正した前期比3.2%減収の119億48百万円、同5.8%営業減益の8億1百万円の計画から変更なし。当第3四半期は好調に推移したものの、当第4四半期は厳しい進捗なっていることから、会社予想の通期業績は据え置かれた。今期の会社前提の売上総利益率は13.0%(前期12.9%)、売上高販管費率は6.2%(同6.0%)。しかし、当第3四半期時点で、通期会社計画の進捗率が、売上高で約80%、営業利益と経常利益で約97%と高水準となっている。
配当も平成25年12月2日に上方修正した1株当たり年26.5円の予定を据え置き(上期末14円を含む)。
 
(2)今後の方針と対策
最大の強みであるリアル・プロモーションを、デジタル&アイディアで武装し価値を高め、顧客が求める効果最大化の追求を通じて、デジタルに強いリアル・プロモーション会社というオンリーワンのポジションを構築することが経営目標。
デジタルXリアル=ハイブリッド型のプロモ案件の売上高は、今第2四半期累計で11億円(前年同期5.6億円)と大幅に拡大し、13/6期の10.7億円を既に上回っている。
 
 
同社では、上記方針の実現のために、以下の5つの対策を考えている。
①デジタル力の強化
社員のデジタルリテラシー度に合わせた演習型研修を継続的に実施(信号機方式)。DP室員の継続的な増員強化。外部のデジタル会社との業務提携(「1→TOW」スタート)。
②つくる力の強化
同社のスローガンである『僅差は大差』の実践・指導を強化。若手社員を中心に制作力向上研修を充実。無駄のない発注で収益性を向上。14年4月に新卒9名入社予定。
③顧客力の強化
P2Pビジネスの基本、重要顧客のマインドシェア向上を目標管理。顧客力強化の合宿研修を営業社員半分を中心に実施(テーマ:聴く力)。
④グループ力の強化
T2Cは、正・契約社員の継続的な増強を通じて、外部売上を拡大。ソイルは、デジタル・プロモ推進の武器となるオリジナル・コンテンツの開発を強化。
⑤安心力の強化
社長トップの情報セキュリティ管理委員会を発足し、情報管理体制を強化。コンプラインスの専門家との顧問契約。
 
(3)「1→TOW」がスタート
デジタルマーケティングを総合的にプロデュースするインタラクティブスタジオの株式会社ワン・トゥー・テン・デザインと同社が業務提携(2014/1/10)。リアル×デジタル=ハイブリッド業務の企画・制作の体制をより強化していくことを目的に本ユニットを発足。既存の手法にとらわれない"新しい形のリアル・プロモーションを提供"し、顧客が期待する「効果の最大化」を目指す方針。
 
今後の注目点
同社グループが属する広告業界は、当面消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響を受けるものと予想される。同社においても、今後業績にどのような影響を及ぼすのか見通しがつきにくい状況にあり、それが進捗率の高さにもかかわらず、通期の業績予想を据え置いた背景にあると思われる。日経広告研究所では、4-6月期に消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が一部に見られるものの、個人消費は7-9月期に回復、13年度補正予算などの経済対策の効果や、円安で業績好調の輸出企業を中心に企業の賃金引き上げが見込まれることから、2014年度の国内企業の広告費が1.7%増加(上期は1.7%増、下期も1.7%増)すると予測している。消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の影響を乗り越え、どのタイミング回復感が鮮明となってくるのか、今後の同社の受注動向に注目したい。
また、同社は上半期に主要顧客にフォーカスした営業活動や収益力向上などの施策を実施したが、その成果が早くも第3四半期の決算において確認できた。有言実行により成果を出している点評価できる。現在同社では、来期以降を見据えデジタルに強いリアル・プロモーション会社へ向けた各種施策を推進している。これが実現できれば、広告業界の多少の好不況に影響を受けることのない安定的した業績の拡大が可能となる。有言実行で成果が出せるのか、デジタルXリアル=ハイブリッド型のプロモ案件の売上高の獲得状況にも引き続き注目していきたい。