ブリッジレポート
(4709:東証2部) インフォメーション・ディベロプメント 企業HP
舩越 真樹 社長
舩越 真樹 社長

【ブリッジレポート vol.47】2014年3月期業績レポート
取材概要「14.3期は前下期からの情報サービス産業の回復基調という追い風に乗って増収。労務費削減等による売上総利益利率上昇により大幅増益を実現した・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年6月10日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インフォメーション・ディベロプメント
社長
舩越 真樹
所在地
東京都千代田区二番町 7-5
事業内容
独立系情報サービス会社。金融向けITアウトソーシング主力に幅広いITサービスを提供。
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 17,578 735 765 372
2013年3月 16,446 427 448 -490
2012年3月 16,137 629 659 365
2011年3月 16,450 839 892 447
2010年3月 17,263 850 864 155
2009年3月 18,458 1,057 1,109 563
2008年3月 18,032 1,200 1,191 594
2007年3月 14,692 1,024 1,024 550
2006年3月 13,028 851 845 430
2005年3月 11,378 550 557 119
2004年3月 11,203 625 628 203
2003年3月 11,668 598 591 274
2002年3月 11,081 548 546 272
2001年3月 9,738 756 735 242
2000年3月 8,468 640 586 320
株式情報(5/23現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
668円 7,132,374株 4,707百万円 6.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
24.00円 3.6% 75.71円 8.7倍 827.91円 0.8倍
※株価は5/23終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
インフォメーション・ディベロプメントの2014年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社。システム運営管理とソフトウエア開発・保守を二本柱とし、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理等の複数のサービスを提供するBusiness Operations Outsourcing(BOO)戦略を推進しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。尚、2013年12月17日、JASDAQから東証2部に市場変更した。
 
【事業セグメント】
事業は、システム運営管理、ソフトウエア開発・保守、及びその他に分かれ、各事業の概要と売上構成比は次の通り。
 
システム運営管理  (14/3期売上構成比60.7%)
1,200名規模の技術者を擁する専門部隊が、ミドルウエアのカスタマイズからハードウエアの保守、24時間体制のオペレーションまで、トータルかつ高付加価値のアウトソーシングを実現している。
 
ソフトウエア開発・保守 (14/3期売上構成比35.8%)
500名を超える技術者が、顧客の開発ニーズに合わせたシステム構築をサポート。金融機関、エネルギー、運輸をはじめとする幅広い分野のお客様へ、多くの開発実績を築いている。
 
その他 (14/3期売上構成比3.5%)
セキュリティ&コンサルティングを中心に展開している。海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供している。

また、顧客別では、メガバンク、有力地銀、生損保、農林系等の金融機関が51.2%、SIer、情報通信機器ベンダー、或いは通信キャリア系情報サービス大手等の情報・通信・サービスが31.2%、製造、輸送、公共団体、エネルギー等のその他が17.6%。
 
 
【IDグループ】
グループは、同社の他、国内外の連結子会社7社。このうち国内(4社)は、システム運営管理を手掛ける(株)日本カルチャソフトサービス(出資比率100%。以下、CS)、日本ユニシス(株)との合弁会社(株)ソフトウエア・ディベロプメント(同80%、SD)、情報システム・コンサルティング等の(株)プライド(同54.4%)、障がい者雇用を促進するための子会社愛ファクトリー(株)(同100%)。一方、海外(3社)は、中国でソフトウエア開発、システム運営管理等を手掛ける艾迪系統開発(武漢)有限公司(同100%、ID武漢)、シンガポールでソフトウエア開発やシステム運営管理等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT SINGAPORE PTE. LTD.(同100%、IDシンガポール)、及びアメリカで人材採用・育成、現地市場調査、情報収集等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT AMERICA INC. (同100%、IDアメリカ)。
 
 
【IDグループのサービスの特徴  − i-Bos24®(ID's Business
 Operations-Outsourcing Service 24)−】
同社グループはコンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、クラウド・セキュリティ、BPOまで、トータルなITアウトソーシングサービスを「i-Bos24®」のブランドで提供している。ソフトウエア開発事業ではユーザーの立場に立った柔軟な発想と姿勢でシステムを構築し、システム運営管理事業では24時間365日システムをノンストップで運営管理。セキュリティ事業ではセキュリティ製品の販売やネットワークセキュリティに関わる業務を行う。更にクラウドサービス「iD-CLOUD」では、コンテンツやセキュリティの運用・遠隔監視、Web会議システムの導入等のニーズに応え、BPO事業ではITを活用した事務作業を代行する事で顧客の業務効率化に貢献する。
 
 
【情報サービス業の動向と同社の業績推移】
(1)情報サービス業の動向
 
経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(14年5月21日発表。3月確報値)を見ると、受注ソフトウエアおよびシステム等管理運営受託の売上高の3月前年同月比はそれぞれ+2.5%、+4.1%と好調で、情報サービス産業全体でも同+2.2%となり、回復傾向が鮮明になっている。また、内閣府が5月15日に発表した14年1-3月の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.5%増、年率換算で5.9%増となった。また、情報サービス産業との関連性が深い民間企業設備(実質)は7-9月期1.4%から4.9%へと伸び率は大幅に拡大した。
 
(2)同社の取り組み
キーワードは、「BOO戦略」、「グローバル」、及び「iD-CLOUD」。具体的には、一つの顧客に対し、ソフトウエア開発からシステム運営管理、BPOまで、複数のサービスを提供する「Business Operations Outsourcing」を“i-Bos24®” のブランドで展開し、既存顧客1,000社から抽出した14企業グループを深耕する。また、「グローバルの推進」では、ITの導入支援から運用・保守までのワンストップサービスを日本仕様で提供する事でグローバル展開を進める日本企業のニーズを取り込んでいく。この一環として、100%子会社 ID武漢が、武漢、上海、無錫及び東京を活動拠点とし、日本と中国において、ソフトウエア開発からシステム運営管理、BPOまでのトータルITサービスを提供している他、米国、シンガポールでの子会社設立、英国における支店設立、業務提携でグローバルなITサポート体制の構築を進めている。

一方、顧客企業のIT投資額に占めるクラウドコンピューティングへの投資比率は今後ますます増加することが予想されるため、「iD-CLOUD」の拡大に積極的に取組んでいく。
特に、クラウドの採用にあたり顧客企業が注視するのはセキュリティレベルの高さであるため、新しいセキュリティ商品、技術を積極的に取り入れ、クラウドおよびセキュリティとオペレーションを組み合わせた、より専門的なサービス提供を機動的に推進していく。
また、クラウド環境の設計・構築に欠かせないプラットフォーム系開発業務においては、要員育成による体制強化を進め、売上拡大を目指す。なお、プラットフォーム系開発業務とは、ハードウエア、OS、ミドルウエアの機能を最適な手段で活用し、低コストかつ信頼性の高いシステム稼働環境を設計・構築するサービスのこと。

中長期的な経営戦略として「継続的成長」という基本的考え方のもと、重点戦略として①ダイバーシティの推進、②BOO戦略の推進、③クラウドサービスの推進、④グローバル推進、⑤グループ経営の効率化と業務プロセスを掲げる。17/3期に売上高210億円、営業利益率7.5%を目指す。
 
 
これまでの業績推移と今後のイメージ
 
情報サービス産業を取り巻く環境の好転と、同社の強み・特長を生かした様々な施策及び海外展開により、底入れした売上、利益を中期的に更に積み上げていく考えだ。
 
 
2014年3月期決算
 
 
前期比6.9%の増収、同70.8%の経常増益
売上高は前期比6.9%増の175億78百万円。システム運営管理事業、ソフトウエア開発事業がいずれも5億円を超える増収となった。主要事業のシステム運営管理事業では前年度一時的に減少した一部顧客におけるプラットフォーム系開発業務が回復、大手ITベンダー経由の受注も好調であった。また、ソフトウエア開発事業では、顧客ニーズを捉えた積極的な提案活動や、オフショアを活用した高付加価値サービスの提供等により受注が堅調に推移した。顧客別には金融機関が5.1%、情報・通信サービスが4.5%それぞれ増加した。また、その他顧客において海外顧客が牽引し17.4%増となっており、存在感が増している。
経常利益は前年同期比70.8%増の7億65百万円。売上高の増加および高収益案件の獲得、事業構造改革実施に伴う収益体質の改善、低採算案件の見直しなどにより大幅増益となった。13.3期に実施した早期退職制度の効果もあって労務費が減少し、売上高総利益率は前期の17.0%から18.6%に改善、営業利益率は同2.6%から4.2%に上昇した。
期初予想を売上高、各利益とも大きく上回った。
 
 
システム運営管理事業の売上高は前期比5.7%増の106億65百万円、セグメント利益は同14.1%増の13億84百万円。昨年度一時的に減少した一部顧客におけるプラットフォーム系開発業務の回復、および新規受注増、また、大手ITベンダー経由の売上も増加した。
ソフトウエア開発・保守事業の売上高は前期比9.6%増の62億97百万円。企業のIT投資が緩やかに回復するなか、顧客ニーズを捉えた積極的な提案活動や、オフショアを活用した一括受託サービスの提供等により既存顧客からの受注が拡大した。
その他事業の売上高は前期比1.4%増の6億16百万円。海外現地法人やコンサルティング売上が増加したが、少額ながら赤字となった。
 
 
四半期ごとに見ると、4Q(1〜3月)では前期(3Q)比、前年同期(13/3期4Q)比とも増収となっており、着実に回復している。利益率も前期比では低下したが、比較的高い水準を維持している。
 
 
14/3期末の総資産は前期末比1億31百万円減の96億70百万円。現預金が3億92百円、のれんが78百万円減少し、売上債権が3億79百万円増加した。負債は前期末比5億74百万円減の35億84百万円。退職給付引当金が6億58百万円、未払金が4億42百万円、有利子負債が2億10百万円減少し、退職給付に係る負債が4億34百万円、未払法人税が2億31百万円、仕入債務が81百万円増加した。純資産は前期末比4億43百万円増の60億85百万円。当期純利益3億72百万円及び配当金の支払い1億55百万円あった。自己資本比率は61.1%で前期末比5.2ポイント改善した。
 
 
営業CFは、税金等調整前当期純利益7億70百万円、減価償却費1億12百万円、賞与引当金の増加額96百万円、売上債権の増加額3億77百万円、未払金の減少額4億48百万円及び法人税等の支払額1億53百万円を主体に15百万円の流出となった。投資CFは、定期預金の預入による支出10百万円、有形固定資産の取得による支出79百万円及び無形固定資産の取得による支出19百万円を主体に、1億6百万円の流出となった。財務CFは、短期借入金の純減少額1億50百万円、長期借入金の返済による支出60百万円及び配当金の支払額1億55百万円を主体に3億24百万円流出となった。
その結果、現金及び現金同等物期末残高は前期末比4億2百万円減少し25億94百万円となった。
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
15/3期は売上高が前期比6.5%増の187億30百万円、経常利益は同22.8%増の9億40百万円を予想する。各種施策の効果が下支えとなり、企業収益が改善傾向を強めるなかで、設備投資意欲も緩やかに増加し、今後も顧客の事業活動やIT投資は成長することが期待される。このような状況のもと、同社グループは、主力のシステム運営管理事業をさらに強化すると同時に、中期経営計画で掲げる「BOO戦略」、「グローバル推進」、「iD-Cloud推進」に注力する。
「グローバル推進」においては、東南アジアでのITサービスを拡充すべく、3月にシンガポールに本社を置くDeDlout Limitedと業務提携契約を締結した。この業務提携により、グローバル体制を強化し、日系企業に加え、現地企業へのITサービスの拡充を加速させる。加えて、4月には、高品質・低コストの統合認証・アイデンティティ管理ソリューションで評価の高い米国OpenIAM, LLCと業務提携契約を締結した。IDは欧米の最新プロダクトであるOpenIAMソリューションを日本で初めて大手金融機関を中心とした日本企業へ提供することとなり、サービス拡充と営業力強化につながるものと期待している。
「iD-Cloud推進」では、同社の独自サービスとしてWebサイトの脆弱性診断を実施、昨今の企業Webサイトへの攻撃を防御する最適なソリューションである、クラウドWAFサービスを提供する。尚、WAFとはウェブ・アプリケーション・ファイアーウォールの略で、Webサイトへの不正アクセスや攻撃を防ぐもの。
配当は1株当たり24円の期末配当を予定する。
 
 
今後の注目点
14.3期は前下期からの情報サービス産業の回復基調という追い風に乗って増収。労務費削減等による売上総利益利率上昇により大幅増益を実現した。円高修正や株価上昇による景況感改善 → 景気の本格回復 → 設備投資の回復 → IT投資への波及、と言うシナリオが実現し、中期的な見通しも明るい。
また、好環境のもとにある14/3期6.9%、15/3期予想6.5%増収について、「12%増収という同業他社がある」として、同社としては満足していない。足元の好業績に加え、今後の中期的な事業環境が良好にもかかわらず、PER・PBRは低位にとどまっている。現状に満足しない同社の取組みや中期計画で目標とする数値を考慮しても、株価には見直し余地がありそうだ。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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