ブリッジレポート
(4323) 日本システム技術株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(4323)日本システム技術 vol.29

(4323:東証2部) 日本システム技術 企業HP
平林 武昭 社長
平林 武昭 社長

【ブリッジレポート vol.29】2014年3月期業績レポート
取材概要「システム受託から、同社のパッケージ製品等によるJASTブランドが拡大している。特に、「医療ビッグデータ事業」については、今後も高い期待が・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年7月8日掲載
企業基本情報
企業名
日本システム技術株式会社
代表取締役社長
平林 武昭
所在地
〒530-0005 大阪市北区中之島二丁目3番18号 中之島フェスティバルタワー29階
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 10,828 427 474 278
2013年3月 10,139 314 355 168
2012年3月 9,027 284 327 135
2011年3月 8,990 211 264 216
2010年3月 9,322 456 497 300
2009年3月 10,449 806 852 447
2008年3月 10,705 931 945 426
2007年3月 9,711 389 405 138
2006年3月 7,917 111 125 605
2005年3月 8,189 522 502 319
2004年3月 7,767 540 537 67
2003年3月 7,064 676 635 194
2002年3月 6,939 658 606 181
2001年3月 6,285 834 814 282
株式情報(7/1現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
695円 5,230,020株 3,634百万円 6.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
25.00円 3.6% 55.26円 12.6倍 954.53円 0.7倍
※株価は7/1終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROE、BPSは前期末実績。
 
日本システム技術の2014年3月期決算概要などについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ソフトウェアの受託開発(14/3期売上構成比65.7%)、主に教育機関向け業務パッケージの開発・販売(同18.0%)、及び情報システム関連機器等の販売(同14.1%)、レセプト自動点検サービスを提供する医療ビッグデータ事業(同2.2%)を行っている。
 
<沿革>
設立は、1973年3月。JAST(同社)の特徴である教育機関向け業務パッケージには、90年代前半から取り組んでおり、94年10月に学校事務支援統合システムパッケージソフト「GAKUENシリーズ」の販売を、98年8月に大規模大学向けERP「GAKUEN REVOLUTION(学務)」の販売を、2000年2月に学校関係者間の情報ネットワークを実現する統合型Webサービスシステム「UNIVERSAL PASSPORT」の販売を、それぞれ開始。01年11月のジャスダック上場を経て、03年2月に東証二部に株式を上場した。
 
<特徴>
1.理念重視の経営
「情報化の創造・提供による社会貢献」をモットーとして、いかなる企業系列にも属さない完全独立の立場を堅持することにより、業種、技術分野、プラットフォーム等を問わず、常に最新の技術に挑戦しつつ、自由な立場で幅広い分野の開発業務に取り組むことを経営の基本方針としている。
この基本方針に則り、顧客、株主、社員、社会がそれぞれWin-Win(双方有益)の関係を築くべく、「四方良し」の理念を掲げ、それぞれの価値を最大化し、全体としての企業価値を高めることにより、安定的成長を実現することを目標としている。
また、このような成長の原動力となるのは従業員一人一人の情報システム開発に対する情熱と顧客への誠心誠意のサービスであり、そのためには人間力の研鑽が何よりも先行すべきである、との信念に基づいた「人づくり」経営に徹することにしている。
 
(経営理念の基本的考え方)
「天爵を修めて人爵これに従う」=「天爵」とは、人格・品性・徳を高めていくことで、尊敬され信頼される品格を備えた人に自然的に与えられる位を意味し、「人爵」とは、人為的・便宜的に与えられた外見上の位階を指す。
天爵を修めることに努め、結果として自ずと人爵を与えられるのが理に適う順序立てであるのに、人は先に人爵を与えられるとあたかも自分は天爵も得たものと錯覚してしまい、それが態度や行動に出てしまうことが多い。天爵を修めることで、はじめて人爵を与えられるが、人爵を得て、その結果として天爵を与えられることはない。
 
2.広範な情報サービスの提供と自社ブランド確立
メーカーや系列等一切の成約を受けず、自由な立場で広範な分野のサービスを提供することが出来る。
以下の既存4事業をメインとしているが、近年の変化として、自社ブランドサービスの拡大に注力し、構成比引上げを目指している。
具体的には、医療情報(レセプト自動点検等)サービス「JMICS(JAST Medical Insurance Checking Service)」、銀行向けCRMソリューション「BankNeo」、スマートフォンアプリ群「京都禅寺巡り」などが挙げられる。
 
(事業セグメント)
1.ソフトウェア事業(ソフトウェアの個別受託開発)
⇒ SIerの側面
①ビジネスアプリケーション分野(事務処理系システム)
②エンジニアリングアプリケーション分野(制御、技術系システム)
③イベントアプリケーション分野(スポーツ・文化イベント関連システム)
 
2.パッケージ事業(ソフトウェアパッケージの開発、販売)
⇒ パッケージメーカーの側面
戦略的大学経営システムの開発・販売、導入支援、保守等
 
3.システム販売事業(ハード、ソフトの販売、ITインフラの構築)
⇒ 販社(B to B)の側面
ハードウェア・ソフトウェアパッケージの販売、保守、ネットワーク構築等
 
4.医療ビッグデータ事業(医療情報データの点検、分析及び関連サービス)
⇒ 医療BIベンダの側面
レセプトの自動点検・分析・医療費通知のトータルサービスを展開
 
3.大手優良企業群との長期取引と新規顧客
富士通(直接取引年数37年)、パナソニック(同32年)、IHI(同32年)など、日本を代表する大手企業群と長期取引が多いのも同社の特色。しかもすべてが直接取引である。
長期取引であるため、先方顧客からは同社が「コア・パートナー」となっている場合が多く、そのため不況期でも受注が大きく落ち込むことが少ない、と会社側は述べている。
一方、一時期8割程度はあった主要長期大手顧客8社の売上高構成比は現在4割程度まで低下しており、下記の表のように他分野の新規顧客が増加している。
 
 
4.グループ拠点展開
 
大阪と東京の2本社制を敷いており、早くから海外に開発拠点を展開している事も特徴。また、2006年8月には、大学向けマーケットを中心とする文教分野での業容拡大を図るべく、首都圏の大規模大学を中心に、システム機器等の販売で実績のあるアルファコンピュータ(株)の全株式を取得した。これにより、パッケージ、情報機器及びネットワーク等を一貫して提供する大学向けSI(システム・インテグレーション)事業の大規模展開が可能となった。
加えて、JMICS(医療情報サービス)を独立事業化、2013年7月には(株)ODKソリューションズの発行済株式総数の3.66%を取得、資本提携をおこない、文教分野での相互事業拡大を狙う。
 
5.国内トップシェアの大学業務パッケージ及びその進化
大学向け経営改革ソリューションとして提供している統合業務パッケージは、94年10月の発売以来、341校(14年5月19日現在)への導入実績を有し、文教マーケットにおいて高い評価を受けている。

特徴は、大規模な総合大学から小規模の短期大学に至るまで、主要業務を全方位でカバーしているため、パラメーターの設定だけで大学個々のニーズに柔軟に対応できる事。つまり、カスタマイズの必要がないため、ユーザーは導入時及びその後の運用・メンテナンスに関わるトータルコストを削減する事ができる。なお、1案件あたりの導入金額は数10万円~数億円と、導入規模により広範囲にわたる。

少子化問題への取り組み戦略のひとつとして、大学各校は優秀な学生を確保するべく、学生向けサービスや経営品質の向上に取り組んでいる。しかし、全国に約1,200校あると言われる大学・短大の大半がメインフレーマー等による手作りのシステムやカスタマイズを前提としたパッケージを使っているという。品質・価格両面での優位性に強み。
 
 
加えて、当初の事務支援から、運用サービス、KIOSK端末等OEM機器、BCP対策、学生育成支援、経営戦略支援など、大学を取り巻く総合ITサービスに進化している点も特徴である。
 
 
6.その他の特長
(人材重視) ⇒ 品質安定、低コスト体質
新卒中心の採用と長期的な人材育成
人材流動の激しい業界内で高い社員定着率を維持
 
(品質、信頼へのこだわり) ⇒ 継続顧客が多い
「一括丸投げ」は行わず、社員中心のプロジェクト編成
請け負ったら顧客が満足するまでやり抜く、途中退場はしない
 
(特徴的な営業戦術) ⇒ 異なる4事業の共存共栄に成功
ソフトウェア事業(受託開発):SE自らリピート案件発掘(営業なき営業)
               新規顧客は専門営業がソリューション提案
その他事業:代理店、教育機関、官公庁、健保組合等異種カスタマ層へのマーケティング展開
 
(徹底したコスト管理) ⇒ 不採算案件が極めて少ない低コスト体質
個人別30分毎の売上・原価管理
非常にコンパクトな本社間接部門
 
 
2014年3月期決算概要
 
 
前期比比較で増収増益となっており、概ね計画通りに推移した。
 
 
ソフトウェア事業
サービス・流通、製造業向け案件が増加したことで、増収増益を確保した。
 
パッケージ事業
競合他社との競争が激化しているものの、売上高は確保しているが、次世代製品開発の研究開発費が増加したことで、増収減益となった。
 
システム販売事業
大学向け機器販売が受注の谷間に入ってしまい、減収減益となった。
 
医療ビッグデータ事業
レセプト自動点検サービスに加え、通知サービス及びデータ分析等のサービス拡充により、契約を着実に伸ばした結果、増収増益となった。
 
 
現預金の増加、売掛金の増加により、流動資産は432百万円増加した。一方で、減価償却費は増加したものの、ソフトウェアの増加により、固定資産は335百万円増加し、総資産は767百万円増加した。負債は、短期借入金は減少したもの、退職関連引当金の増加により、190百万円増加した。この結果、自己資本比率は2013年3月末の55.0%から56.6%へと増加した。
 
 
賞与引当金の大幅増加、売上債権および棚卸資産の減少、仕入債務の減少により、営業CFは期首残高にくらべ211百万円増加となった。有形固定資産の取得による支出は減少及び差入保証金の回収により、投資CF435百万円増加となった。財務CFは株式の発行により、295百万円増加した。今期末の現金等の残高は21億44百万円と前年同期末に比べ534百万円増加した。
 
 
2015年3月期通期業績予想
 
 
2015年3月期は、前年比9.9%増の119億円、経常利益は同17.1%増の5億55百万円を目指している。研究開発費の増加等によりコスト増加があるが、新規事業の収益化により、増収・増益を計画している。
営業増益の内訳は以下の通り。
 
 
(2)今後の計画
①事業別方針
◎パッケージ事業
今後はパッケージ事業に関しては、①総合教育IT事業化、②次世代製品、③中国進出が今後の柱となる。
 
<総合教育IT事業化>
Webサービス学生支援システム「UNIVERSAL PASSPORT」、総合事務システム「GAKUEN」、「REVOLUTION」をクラウド、スマートデバイス、BCP等で事業拡大を行っていく。
 
<次世代製品>
現行の「GAKUEN EXシリーズ」は、2006年9月にリリース以来、GAKUEN151校、UNIVERSAL PASSPORT127校に導入されており、大学経営ソリューションのトップブランドとして定着している。しかしながら、最近では、他社製品の台頭、価格競争も激化しており、高収益性を維持するものもモデル壮年期に迎え、成長性は低下している。そのため、同社ではバージョンアップではなく、機能、デザイン、使い方、提供サービス、プラットフォーム等を一新したリニューアルを行う。また、開発コストも現バージョン時の1/3以下に抑える。また、競合製品の対応や対抗ではなく、大学を取り巻く社会環境の将来像に対する最適解を示す。具体的には、2014年3月以降にプロトタイプ開発、リリース、追加コンポーネント及び関連総合サービスを順次リリースし、2015年3月期以降から売上本格拡大を目指している。
2018年3月期には次世代版パッケージの売上は現行版を上回り、20億円超まで成長すると見込んでいる。
 
<中国進出>
下表のように、日本国内において大学情報化市場は成熟期に入ったと見ており、より成長性が見込まれる中国市場の開拓を積極化する。
 
 
この中国進出にあたり、子会社化したSafeNeeds社、桂林安信軟件有限公司が大きな戦力となる。
技術的には、言語の違いや大学制度の違いを理解した上で同社の持つGAKUEN のノウハウと中国人SEの協業により販売可能な製品化が可能であることが大きな強みとなる。特に、中国では正しい中国語化が可能となり、大学制度に正しく準拠することが可能となり、中国市場で最適適用可能なプラットフォームに正しく適合することができる。

また営業面においても、進出時に直面する解決困難な問題はすでにクリアしていると考えている。同社はすでに中国国内で中国人が運営する販売拠点を確保しており、関係者へダイレクトアクセス可能な人材を保有している。また、信頼性が高い日本製、中国製両方の「よいとこ取り」となっている。

2013年5月には湖州師範学院(浙江省湖州市)と大学情報化に関する協定を締結した。また、2014年1月には上海経済特区内に販売拠点を確保しており、2014年4月には、eラーニングシステム「GAKUEN EduTrack」をリリースした。
 
◎金融機関情報系パッケージ BankNeo
長年蓄積した金融系開発ノウハウにより最適機能を網羅、電子地図との連携、モバイル端末対応等、最先端のCRM/SFAソリューションとなっており、大型・長期化が一般的な金融システム導入において画期的な低価格と短納期が実現したことで、実績が急増している。2012年12月には信金に初導入後、2013年3月末には導入決定実績が2行、2014年5月時点では導入決定実績12行、商談進行中が10数行あり、2015年3月期には売上高前年比200%以上を想定している。
 
 
◎グローバル展開
2013年3月期以前は各社独立独歩で運営していたが、2014年3月期にはシンガポール、タイとも新社長を招聘し、体制を増強、グループ各社間取引、情報交換を活性化し、本格的なグローバル化に向け舵を切っている。2015年3月期には国外売上高前年比170%増を想定している。
 
 
◎医療情報サービス
 
 
2013年10月には同社のシステムを他の点検業者に利用開放する「業者クラウドサービス」を開始。2014年1月には月間レセプト処理枚数250万枚を突破し、1年間で3倍増となった。2014年3月期に売上高も2.3億円と倍増以上となり、営業損失は改善したものの、依然先行投資状態が続いている。2015年3月期には売上高前年比170%増、サテライトオフィス化による固定費削減、点検性能向上及び結果配信周りの効率化を目指し、営業損失を大幅に縮小していく。
 
 
②資本政策
2013年9月以降、出来高急増に伴い新株予約権行使も急進。また、2度の立会外分売(200株上限)も即時完売となり、1部指定替え基準に接近している。また、配当金を25円とし、流動性向上に向けて、追加的な施策を計画している。
 
 
今後の注目点
システム受託から、同社のパッケージ製品等によるJASTブランドが拡大している。特に、「医療ビッグデータ事業」については、今後も高い期待ができよう。2014年5月現在では前年同期比34増の52団体のレセプト点検受注を行っており、分析サービス、業者向けクラウド等商材拡大で総合的な医療分析事業化が期待できよう。生産性の向上と固定費削減による黒字化にタイミングも2016年3月期には十分達成できよう。同社の顧客である保険組合等からビッグデータを集積できるため、新たなビジネスの拡大も見込めるであろう。
国内で培ってきた文教ITサービスのノウハウのリニューアルによる次期の成長ドライバー、中国国内の大学向けソリューションの販売実績獲得を通して、更なる基盤拡大が期待できよう。現在の受託ビジネス中心の事業構造から自社ブランドビジネスへの移行が早いスピードで展開している。