ブリッジレポート:(2660)キリン堂 vol.30
(2660:東証1部) キリン堂 |
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企業名 |
株式会社キリン堂 |
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会長 |
寺西 忠幸 |
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社長 |
寺西 豊彦 |
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所在地 |
大阪市淀川区宮原4-5-36 |
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決算期 |
2月 |
業種 |
小売業(商業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2014年2月 | 103,055 | 1,820 | 2,282 | 942 |
2013年2月 | 101,761 | 1,924 | 2,242 | 882 |
2012年2月 | 102,229 | 1,684 | 1,960 | 184 |
2011年2月 | 100,465 | 1,118 | 1,537 | 188 |
2010年2月 | 104,964 | 1,232 | 1,527 | -443 |
2009年2月 | 106,695 | 1,781 | 2,030 | 500 |
2008年2月 | 106,098 | 2,321 | 2,530 | 804 |
2007年2月 | 72,803 | 1,312 | 1,651 | 577 |
2006年2月 | 66,690 | 1,308 | 1,574 | 753 |
2005年2月 | 58,165 | 745 | 985 | 414 |
2004年2月 | 48,281 | 1,084 | 1,283 | 607 |
2003年2月 | 39,144 | 1,095 | 1,215 | 577 |
2002年2月 | 33,274 | 868 | 982 | 253 |
2001年2月 | 28,192 | 718 | 742 | 341 |
2000年2月 | 25,537 | 535 | 596 | 309 |
株式情報(7/3現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
グループは、ドラッグストアを展開する同社を含め全9社から成る。なお、2014年2月期よりBEUNETグループを連結範囲に含めることとなったことに伴い、海外における事業セグメントの区分を見直し、従来「小売事業」に区分していた「忠幸麒麟堂(常州)商貿有限公司」の事業を「その他」に変更した。麒麟堂美健国際貿易(上海)有限公司は15/2期中にBEUNETグループに統合する予定。BEUNETグループについては、2014年2月期は貸借対照表のみの連結となっている。 連結の従業員数は1,602名。(いずれも2014年5月15日現在) 【中期3カ年計画】
中期3カ年計画の骨子として、①既存店の活性化、②調剤事業の推進、及び③中長期の成長に向けた取り組み、の3点を挙げている。①既存店の活性化では、セルフサービス売場を徹底しライトカウンセリングに軸足を置いた店舗運営を強化する。また、業務システムの改革によるコストコントロールとPB商品の強化で収益力向上にも努める。②調剤事業の推進では、調剤売上高の拡大と在宅支援を進めていく。一方、③中長期の成長に向けた取り組みでは、関西地域へのドミナント出店を継続すると共にM&Aやアライアンスにも対応していく考え。ローリング方式を採用した数値計画は以下の通り。 2014年2月期はトップラインを計画通り伸ばすことが出来ず、利益率も引き上げられなかったこと、消費税増税の影響も考慮せざるを得ないことなどから、保守的に見積もり、売上高経常利益率3%の達成を2015年2月期から2016年2月期に1年後ろ倒しとした。 既存店売上の伸びは横這いと想定し、増収要因は主として新店効果および調剤売上の寄与を前提としている。 粗利率は消費税増税の影響をPB売上比率の上昇等でカバーする。 販管費比率は24.4%を想定している。出店は15店以上のペースで、M&Aも含めながら、進めていく。2014年8月には持株会社体制移行し、15/2期第2四半期終了時点で改めて中期経営計画について説明する予定。 【同業他社比較】
ドラッグストアを中心業態とする上場企業は、以下の16社が挙げられる。(売上規模順)
関西地区ではシェア8.9%の第3位の同社だが、PBR1倍割れなど、株価評価は芳しくない。 繰り返しとなるが、収益性の向上と、関西に商圏を絞り込む中で継続的にトップラインを伸張させる具体策が市場から求められている。 |
2015年2月期第1四半期決算概要 |
増収も販管費増加により営業利益は減少
売上高は前年同期比3.5%増収の253億80百万円。化粧品を中心とした消費税増税前の駆け込み需要および好調な調剤部門が寄与した。化粧品部門の売上構成比の伸びなどで粗利率は同0.4%改善したが、販管費もほぼ計画通りにコントロールできたものの同5.4%増加した結果、営業利益は同2.3%減と若干の減益となった。経常利益は受取賃貸料増、支払利息減などで同4.9%増の増益だった。四半期純利益は、法人税等調整額の増加があり、同15.8%の減益となった。
◎出退店状況
15/2期第1四半期末の国内グループ店舗数はFC2店舗を含む326店舗(前年同期末 327)。期初計画どおり、出店1店舗、退店2店舗。人手不足による工期の延長、建築資材の値上りなどにより出店コストが想定以上に上昇している。出店16店舗という期初計画に今のところ変更は無いが、今後の対応を検討しなければならないとのこと。
◎既存店の状況
消費税増税前の駆け込み需要および調剤部門の伸びにより第1四半期の既存店売上高は前年同期比1.8%増とプラスになったが、計画3.1%は下回った。駆け込み需要の反動から、5月は客数、客単価とも想定以上のマイナスとなり売上高も前年同月に比べ約1割減少した。6月30日に開示された6月度の既存店売上高はマイナス5.4%だった。マイナス幅は縮小したものの、本格的な回復にはまだもう少し時間がかかりそうだ。既存店の活性化対策としては、4月より「新ポイントカード」を導入し、囲い込みとポイントカード会員の来店回数増に向けた販促、ライトカウンセリングによる推奨販売等を行った。 ◎PB商品売上高動向
PB商品のSKU(商品の最小管理単位)は828で、前年同期末の611および前期末の742から増加している。小売事業の商品売上高全体に占めるPB商品の比率(PB比率)は目標を10%としているが、当期は9.4%と前期の通期実績を上回り、10%に近づいている。力を入れているHBC(ヘルス&ビューティケア。医薬品、健康食品、化粧品)商品の構成比率、PB商品の売上総利益率ともに前期実績を上回った。 HBCを中心とした商品リニューアルと新規開発、雑貨などの開発輸入に取り組んでいる。 ◎調剤事業について
同社は調剤売上100億円をめざしその基盤作りを進めている。(2014年2月期 8,420百万円。2015年2月期計画 8,502百万円)2015年2月期第1四半期末の処方箋取扱店舗数は、前年同期比1店舗増の53店舗。今期中に調剤併設1店舗、調剤開局1店舗の合計2店を新規に開局し、55店舗とする計画。 要となる薬剤師については、前回レポートで紹介したように3月に発表された第99回薬剤師国家試験の合格率は、前年より18.26ポイント低い60.84%となった。 同社でも今春の採用内定者のうち不合格者が出たが、入社後、実務研修を行うとともに再度受験させるなど、薬剤師確保に向けた対応に力を入れる。 一方負債面では、仕入債務は減少したが、短借入金の増加などで、負債合計は同538百万円増加した。 純資産は前期末とほほ同水準の11,808百万円。この結果、自己資本比率は前期末比より0.3ポイント低下し、27.1%となった。 出店は営業キャッシュ・フローの範囲内で行い、有利子負債は削減する方向である。 |
2015年2月期業績予想 |
業績予想に変更無し。既存店活性化策およびコストコントロールの継続で増収・増益を見込む
業績予想に変更は無い。売上高予想は前期比4.6%増の1,078億円。「新ポイントカード」の稼働、PB商品の強化等により既存店売上高同1.8%増を目指す。関西地区への集中出店で国内店舗数は前期比9店舗増の336店舗に。PB商品比率アップなどによる粗利率改善と販管費のコントロール継続により、2ケタの営業増益を計画。退店等に伴う特別損失は下期を中心に420百万円を見込んでいる。各種施策の効果は今期後半から顕在化してくる見通し。 配当は新設予定の(株)キリン堂ホールディングスにて、20.00円/株を予定。予想配当性向は23.4%。 (2)主な方針
「新ポイントカード」稼動を起点とした客数増加による既存店の増収1.既存店活性化策の継続 2014年4月より、「新ポイントカード」を導入した。今回、ポイントカード新規導入となる「サーバ」店舗での新規会員の獲得が中心的な目的となるが、そのほか、会員に対する定期DMの内容も従来は一律の割引提示だったが、顧客ニーズに対応して内容をフレキシブルに変更。ステージアップクーポン制度を導入し、上位顧客に対するインセンティブを提供する。会員数は10万人を超える規模まで拡大したが、明確なリピーター増にまで結びついていないのが課題と認識しており、こうした施策により来店回数の増加と買い上げ点数の増加による客単価アップを図る。値引きによるマイナス面とのバランスも考慮している。 他にも、棚割り、商品構成などの見直しを特に食品部門で行い、顧客に対する利便性を向上させる。 2.関西地区への出店計画
出店16店舗、退店7店舗を予定している。引き続き営業キャッシュ・フローの範囲内で関西地区に集中して出店を行う。新店、改装、システム関係を含めた設備投資は2,725百万円を計画している。 ただ、前述のように建築資材コストの上昇が顕著となっており、投資回収期間など、同社が定める出店基準に満たない場合は品揃えの変更による対応の他、場合によっては出店取り下げも検討しなければならないケースもあり得るということだ。 |
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