ブリッジレポート
(4323) 日本システム技術株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(4323)日本システム技術 vol.30

(4323:東証2部) 日本システム技術 企業HP
平林 武昭 社長
平林 武昭 社長

【ブリッジレポート vol.30】2015年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期決算はほぼ計画通りに推移し、今後も安定な業績の拡大が期待できよう。また、同社のビジネスモデルは大きく変化している。システム・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年8月26日掲載
企業基本情報
企業名
日本システム技術株式会社
代表取締役社長
平林 武昭
所在地
〒530-0005 大阪市北区中之島二丁目3番18号 中之島フェスティバルタワー29階
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 10,828 427 474 278
2013年3月 10,139 314 355 168
2012年3月 9,027 284 327 135
2011年3月 8,990 211 264 216
2010年3月 9,322 456 497 300
2009年3月 10,449 806 852 447
2008年3月 10,705 931 945 426
2007年3月 9,711 389 405 138
2006年3月 7,917 111 125 605
2005年3月 8,189 522 502 319
2004年3月 7,767 540 537 67
2003年3月 7,064 676 635 194
2002年3月 6,939 658 606 181
2001年3月 6,285 834 814 282
株式情報(8/15現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
709円 5,248,020株 3,720百万円 6.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
25.00円 3.5% 55.26円 12.8倍 954.53円 0.7倍
※株価は8/15終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROE、BPSは前期末実績。
 
日本システム技術の2015年3月期第1四半期決算概要などについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ソフトウェアの受託開発(14/3期売上構成比65.7%)、主に教育機関向け業務パッケージの開発・販売(同18.0%)、及び情報システム関連機器等の販売(同14.1%)、レセプト自動点検サービスを提供する医療ビッグデータ事業(同2.2%)を行っている。
 
<沿革>
設立は、1973年3月。JAST(同社)の特徴である教育機関向け業務パッケージには、90年代前半から取り組んでおり、94年10月に学校事務支援統合システムパッケージソフト「GAKUENシリーズ」の販売を、98年8月に大規模大学向けERP「GAKUEN REVOLUTION(学務)」の販売を、2000年2月に学校関係者間の情報ネットワークを実現する統合型Webサービスシステム「UNIVERSAL PASSPORT」の販売を、それぞれ開始。01年11月のジャスダック上場を経て、03年2月に東証二部に株式を上場した。
 
<特徴>
1.理念重視の経営
「情報化の創造・提供による社会貢献」をモットーとして、いかなる企業系列にも属さない完全独立の立場を堅持することにより、業種、技術分野、プラットフォーム等を問わず、常に最新の技術に挑戦しつつ、自由な立場で幅広い分野の開発業務に取り組むことを経営の基本方針としている。
この基本方針に則り、顧客、株主、社員、社会がそれぞれWin-Win(双方有益)の関係を築くべく、「四方良し」の理念を掲げ、それぞれの価値を最大化し、全体としての企業価値を高めることにより、安定的成長を実現することを目標としている。
また、このような成長の原動力となるのは従業員一人一人の情報システム開発に対する情熱と顧客への誠心誠意のサービスであり、そのためには人間力の研鑽が何よりも先行すべきである、との信念に基づいた「人づくり」経営に徹することにしている。
 
(経営理念の基本的考え方)
「天爵を修めて人爵これに従う」=「天爵」とは、人格・品性・徳を高めていくことで、尊敬され信頼される品格を備えた人に自然的に与えられる位を意味し、「人爵」とは、人為的・便宜的に与えられた外見上の位階を指す。
天爵を修めることに努め、結果として自ずと人爵を与えられるのが理に適う順序立てであるのに、人は先に人爵を与えられるとあたかも自分は天爵も得たものと錯覚してしまい、それが態度や行動に出てしまうことが多い。天爵を修めることで、はじめて人爵を与えられるが、人爵を得て、その結果として天爵を与えられることはない。
 
2.広範な情報サービスの提供と自社ブランド確立
メーカーや系列等一切の成約を受けず、自由な立場で広範な分野のサービスを提供することが出来る。
以下の既存4事業をメインとしているが、近年の変化として、自社ブランドサービスの拡大に注力し、構成比引上げを目指している。
具体的には、医療情報(レセプト自動点検等)サービス「JMICS(JAST Medical Insurance Checking Service)」、銀行向けCRMソリューション「BankNeo」、スマートフォンアプリ群「京都禅寺巡り」などが挙げられる。
 
(事業セグメント)
1.ソフトウェア事業(ソフトウェアの個別受託開発)
⇒ SIerの側面
①ビジネスアプリケーション分野(事務処理系システム)
②エンジニアリングアプリケーション分野(制御、技術系システム)
③イベントアプリケーション分野(スポーツ・文化イベント関連システム)
 
2.パッケージ事業(ソフトウェアパッケージの開発、販売)
⇒ パッケージメーカーの側面
戦略的大学経営システムの開発・販売、導入支援、保守等
 
3.システム販売事業(ハード、ソフトの販売、ITインフラの構築)
⇒ 販社(BtoB)の側面
ハードウェア・ソフトウェアパッケージの販売、保守、ネットワーク構築等
 
4.医療ビッグデータ事業(医療情報データの点検、分析及び関連サービス)
⇒ 医療BIベンダの側面
レセプトの自動点検・分析・医療費通知のトータルサービスを展開
 
3.大手優良企業群との長期取引と新規顧客
富士通(直接取引年数37年)、パナソニック(同32年)、IHI(同32年)など、日本を代表する大手企業群と長期取引が多いのも同社の特色。しかもすべてが直接取引である。
長期取引であるため、先方顧客からは同社が「コア・パートナー」となっている場合が多く、そのため不況期でも受注が大きく落ち込むことが少ない、と会社側は述べている。
一方、一時期8割程度はあった主要長期大手顧客8社の売上高構成比は現在4割程度まで低下しており、下記の表のように他分野の新規顧客が増加している。
 
 
4.グループ拠点展開
 
大阪と東京の2本社制を敷いており、早くから海外に開発拠点を展開している事も特徴。また、2006年8月には、大学向けマーケットを中心とする文教分野での業容拡大を図るべく、首都圏の大規模大学を中心に、システム機器等の販売で実績のあるアルファコンピュータ(株)の全株式を取得した。これにより、パッケージ、情報機器及びネットワーク等を一貫して提供する大学向けSI(システム・インテグレーション)事業の大規模展開が可能となった。
加えて、JMICS(医療情報サービス)を独立事業化、2013年7月には(株)ODKソリューションズの発行済株式総数の3.66%を取得、資本提携をおこない、文教分野での相互事業拡大を狙う。
 
5.国内トップシェアの大学業務パッケージ及びその進化
大学向け経営改革ソリューションとして提供している統合業務パッケージは、94年10月の発売以来、341校(14年5月19日現在)への導入実績を有し、文教マーケットにおいて高い評価を受けている。

特徴は、大規模な総合大学から小規模の短期大学に至るまで、主要業務を全方位でカバーしているため、パラメーターの設定だけで大学個々のニーズに柔軟に対応できる事。つまり、カスタマイズの必要がないため、ユーザーは導入時及びその後の運用・メンテナンスに関わるトータルコストを削減する事ができる。なお、1案件あたりの導入金額は数10万円~数億円と、導入規模により広範囲にわたる。

少子化問題への取り組み戦略のひとつとして、大学各校は優秀な学生を確保するべく、学生向けサービスや経営品質の向上に取り組んでいる。しかし、全国に約1,200校あると言われる大学・短大の大半がメインフレーマー等による手作りのシステムやカスタマイズを前提としたパッケージを使っているという。品質・価格両面での優位性に強み。
 
 
加えて、当初の事務支援から、運用サービス、KIOSK端末等OEM機器、BCP対策、学生育成支援、経営戦略支援など、大学を取り巻く総合ITサービスに進化している点も特徴である。
 
 
6.その他の特長
(人材重視) ⇒ 品質安定、低コスト体質
新卒中心の採用と長期的な人材育成
人材流動の激しい業界内で高い社員定着率を維持
 
(品質、信頼へのこだわり) ⇒ 継続顧客が多い
「一括丸投げ」は行わず、社員中心のプロジェクト編成
請け負ったら顧客が満足するまでやり抜く、途中退場はしない
 
(特徴的な営業戦術) ⇒ 異なる4事業の共存共栄に成功
ソフトウェア事業(受託開発):SE自らリピート案件発掘(営業なき営業)
               新規顧客は専門営業がソリューション提案
その他事業:代理店、教育機関、官公庁、健保組合等異種カスタマ層へのマーケティング展開
 
(徹底したコスト管理) ⇒ 不採算案件が極めて少ない低コスト体質
個人別30分毎の売上・原価管理
非常にコンパクトな本社間接部門
 
 
2015年3月期第1四半期決算概要
 
 
計画通りの進捗で増収・収益改善
2015年3月期第1四半期の売上高は前年同期5.2%増の26億78百万円、営業損失は前年から大きく改善し、11百万円までに縮小、経常利益は18百万円と黒字転換していることで、概ね計画通りに推移した。同社のビジネスがソフトウェア、パーケージおよびシステム販売が主力であることから、第1、第3四半期の収益は、第2、第4四半期の収益と比較して相当に少額となる特色がある。
 
 
ソフトウェア事業
官公庁、医療機関向け案件は減少したものの、金融・保険・証券業、通信業およびサービス・流通業向け案件が増加したことで、売上高は前年同期比30.7%増の19億93百万円、営業損失は同1億62百万円改善の1億12百万円と黒字転換しており、増収増益となった。
 
パッケージ事業
仕入販売および導入支援が減少したが、パッケージの周辺システムの受託開発(End User Computing; EUC)の増加により、売上高は前年同期比15.7%増の3億66百万円、営業損失は同19百万円改善の40百万円となり、増収増益となった。
 
システム販売事業
公共系案件、大学向け機器販売が縮小したため、売上高は前年同期比61.2%減の2億48百万円、営業損失は同84百万円減少の35百万円となり、減収減益となった。
 
医療ビッグデータ事業
レセプト自動点検サービスに加え、通知サービス及びデータ分析、点検業者向けクラウドサービス等のサービス拡充により、売上高は前年同期比45.0%増の70百万円となった。一方で、人員及び設備投資が増加したため、営業損失は同3百万円増加の49百万円となり、増収減益となった。
 
 
前受金等による現預金の増加があったものの、売掛金の減少により、流動資産は406百万円減少した。一方で、減価償却費は増加したものの、ソフトウェアおよびのれん代の減少により、固定資産は13百万円減少し、総資産は419百万円減少した。負債は、買掛金及び法人税等の支払い、また、退職関連引当金の減少により、456百万円減少した。この結果、自己資本比率は2014年3月末の56.6%から60.0%へと上昇した。
 
 
税金等調整前四半期純利益が増加、仕入債務にかかる支出が減少したものの、賞与引当金にかかる支出が大幅増加、売上債権にかかる収入の減少により、営業CFは前年同期比319百万円減少となった。差入保証金の回収が減少したことで、投資CFは同199百万円減少となった。財務CFは短期借入金にかかる収入が減少したことにより、同259百万円減少した。今期末の現金等の残高は23億91百万円と前年同期末に比べ2億47百万円減少している。
 
 
2015年3月期通期業績予想
 
 
業績予想に変更無し。新規事業の収益化も寄与し増収増益を計画
第1四半期が計画通りに推移していることから、2015年3月期の予想の変更はない。2015年3月期は、前年比9.9%増の119億円、経常利益は同17.1%増の5億55百万円を目指している。研究開発費の増加等によりコスト増加があるが、新規事業の収益化により、増収・増益を計画している。
営業増益の内訳は以下の通り。
 
 
(2)トピックス
◎医療ビッグデータ事業について
これまでのレポートでも触れているように、同社では、高齢化進行の下で極めて困難な状況にある日本の医療費の適正化に大きく貢献するものとして、レセプト(診療報酬明細書)の自動点検・分析・医療費通知等を始めとした医療情報データの点検、分析及び関連サービスを提供する「医療ビッグデータ事業」を今後の中核事業の一つと位置付けて積極的に取組んでいる。

そうした中、「政府が2015年度より患者が医療機関でどんな治療を受けたのかがわかるレセプトの膨大なデータを活用し、新たな医療費抑制策に乗り出す」とのニュースが最近、大手メディアにより配信された。
同ニュースによれば、政府は全国の医療機関に対し、2014年度末までにこれまで手書きで作成されていたレセプトを原則電子化することを義務づけ、70億件を超す医療ビッグデータを活用して、一人当たり医療費における地域差を生み出す原因や無駄を客観的に把握し、医療費の適正化に繋げることを目指すという。

2013年10月にシステムを他の点検業者に利用開放する「業者クラウドサービス」を開始した同社は、現在先行グループの1社と位置付けられており、今後の事業拡大に向け大きなフォローの風となることが期待される。
 
 
 
 
今後の注目点
第1四半期決算はほぼ計画通りに推移し、今後も安定な業績の拡大が期待できよう。また、同社のビジネスモデルは大きく変化している。システム受託から、同社のパッケージ製品等によるJASTブランドが拡大している。国内で培ってきた文教ITサービスのノウハウのリニューアル、中国国内の大学向けソリューションの販売実績獲得により、国内外の文教市場においての圧倒的ブランドとなるであろう。また、新規事業である「医療ビッグデータ事業」については、今後も高い期待ができよう。現在の受託ビジネス中心の事業構造から自社ブランドビジネスへの移行が早いスピードで展開していくものと考えられる。