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(2146:JASDAQ) UTホールディングス 企業HP
若山 陽一 社長
若山 陽一 社長

【ブリッジレポート vol.18】2015年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「当初の想定以上に派遣需要が旺盛であり、15/3期の予想売上高は320億円だが、売上換算で350〜370億円程度の需要があるようだ。課題はその需要を・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年9月2日掲載
企業基本情報
企業名
UTホールディングス株式会社
社長
若山 陽一
所在地
東京都品川区東五反田1-11-15 電波ビル
事業内容
製造・建設・設計開発分野の正社員派遣事業を中心に雇用需給調整サービスも展開。待遇向上とキャリアアップの諸制度により、業界No.1の従業員定着率を誇る。
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 30,779 1,824 1,754 934
2013年3月 27,854 1,473 1,388 922
2012年3月 24,106 1,453 1,379 880
2011年3月 20,227 1,442 1,309 766
2010年3月 18,056 290 182 -1,401
2009年3月 40,694 1,793 603 -10,861
2008年3月 51,787 4,200 3,473 1,203
株式情報(8/19現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
619円 38,460,000株 23,807百万円 32.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
未定 - 35.89円 17.2倍 79.58円 7.8倍
株価は8/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
UTホールディングスの2015年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
製造・建設・設計開発分野の正社員派遣事業を中心に雇用需給調整サービスも展開。新規の顧客開拓力と業界No.1の従業員定着率を強みに、順調に稼動数を伸ばしている。同社自身は純粋持株会社としてグループを統括し、実際のサービス提供は連結子会社5社が担う。
 
 
【事業内容】
事業セグメントは、アウトソーシング事業の単一セグメント。製造派遣・請負を中心に、設計開発技術者派遣を手掛けており、建設技術者派遣及びアウトプレースメント事業を育成中。10/3期は半導体・電子部品分野の売上が全体の91.2%を占めていたが、リーマン・ショック以降、幅広い分野で受注活動を展開しており、継続的に半導体・電子部品分野の比率が低下している。
14/3期は、半導体・電子部品分野が42.4%に低下し、次いでパナソニックバッテリーエンジニアリング(株)を子会社化した効果もあり、環境・エネルギー分野(太陽電池・2次電池等)が25.8%、以下、自動車関連分野14.1%、住宅分野9.4%、その他8.4%。

中期的な目標として、電池を中心に環境・エネルギー30%以上、自動車関連20%程度としており、半導体向けについては、現在の売上水準を維持しつつ40%以下への引き下げを目指している。
 
主な製造派遣分野と取引先
半導体・電子分野    ソニーグループ、東芝グループ、パナソニックグループ
環境・エネルギー分野  パナソニックグループ、日立マクセル
自動車関連分野     アイシン精機、ダイハツ工業
住宅関連        LIXIL、YKKAP
 
拡大余地大きい自動車分野
ここ数年は、自民党政権下での規制緩和政策を受けて、特に自動車関連分野からの需要が強い。自動車関連分野に就業している契約社員及び派遣社員は合計約15万人で比率は、契約社員:派遣社員=12:3。もともと、3:12だったが、民主党政権による規制強化で比率が逆転した。15年4月に施行される予定の改正労働者派遣法(14年3月に閣議決定済み)によって、契約社員から派遣社員へ大きくシフトしていくとみられている
尚、労働契約法では、5年以上雇用した契約社員を正社員と同じ扱いにする必要がある⇒企業負担の増加。このため、契約期間の満了等を機に契約社員から派遣社員へ転換していくとみられている。
 
【差別化 従業員の定着率No.1】
同社は、取引先と従業員を2大カスタマーとして位置付けており、従業員に対しては、福利厚生に加え、教育訓練制度、評価制度、エントリー制度(幹部社員への登用制度、立候補)、更にはESOP(Employee Stock Ownership Plan:株式給付信託)の導入等で従業員と会社の一体感を醸成する事で定着率を高め、業界で最も低い離職率を実現している。
 
 
ESOPでは、同社グループの派遣・請負職場で働く従業員に、勤続や成果に応じてポイントを付与し、退職時に累積したポイントに相当する同社株式を給付する。
 
 
 
 
2015年3月期第1四半期決算
 
 
四半期末稼働数、四半期売上高が過去最高を更新
既存顧客の深耕(インハウス・シェアの拡大)による稼働数の増加で売上高が四半期ベースで過去最高を更新。新たな取引先(顧客工場)の開拓を抑制したため、顧客向上数は前期末に比べて3工場の増加にとどまったが、その分、新規事業所の立ち上げ等の先行投資を抑える事ができたため原価率が3.1ポイント低下。営業活動強化に伴う人件費及び活動費の増加や、バックオーダー(製造業等の受注残に相当)に対応するべく採用活動を強化した事による募集費の増加で販管費の伸びも大きくなったが、同1.5倍強に増加した売上総利益で吸収。営業利益が同3倍に拡大した。

尚、第1四半期末(6月30日)現在の稼働数は前年同期末比16.5%増の7,916人(前年同期末は6,795人)。引き続き派遣需要は旺盛で、第1四半期末現在1,219人のバックオーダーを抱えている(稼働数の15.4%に相当)。このバックオーダーに応えるべく採用を強化した。また、計画との比較では、売上高が計画を上回ったものの、採用活動強化に伴い期初計画を上回る募集費の投下で販管費が大きく上振れしたため営業利益以下の各利益が計画を下回った。
 
取引業種の分散も進展
取引業種も広がりを見せており、前年同期には55.9%だった半導体・電子部品分野の構成比が42.2%に低下(売上高はほぼ同水準を維持した)。一方、環境・エネルギー分野が電池関連で14.7%から25.1%に上昇した他、自動車関連分野 も15.4%から15.8%に上昇した。
 
 
 
第1四半期末の総資産は前期末に比べて7億77百万円増の128億35百万円。事業の拡大に伴い売上債権・未払費用が増加した他、事業の拡大に伴う資金需要に対応するべく短期借入金を積み増した。一方、配当金の支払いやESOP(Employee Stock Ownership Plan:株式給付信託)に伴う自社株買いで純資産が減少した。自己資本比率は18.9%。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
東証発表の「決算短信集計」によると、東証1部、東証2部、及びマザーズ上場企業の14/3期のROEは、金融を除く全産業8.65%(前期は4.99%)、製造業8.55%(同4.53%)、非製造業8.79%(同5.67%)。同社は、高い利益率と資産効率を維持しつつ、レバレッジを効かせる事で東証上場企業の平均を上回る高いROEを実現している。また、5期連続で増配を実施し、このうち過去4期間は配当性向が50%を超える等(11/3期配当性向:66.6%、12/3期配当性向:60.4%、13/3期 同:54.9%、14/3期 同:56.3%)、株主還元に厚く、ESOPに伴う自社株買いも適宜実施している。こうした株主還元や株主づくりの地道な取り組みも、高いROEの原動力になっている。
 
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更はなく、通期で前期比4.0%の増収、同34.5%の経常増益
15/3期の業績予想は14/3期第4四半期の実績をベースにした保守的な予想である。売上高は前期比4.0%増の320億円を予想しているが、これは14/3期第4四半期の売上高81億円水準が続く事を想定したもので(15/3期第1四半期の売上高は83億円)、旺盛な人材需要と採用強化による稼働技術職社員数の増加を織り込んでいない。一方、利益面では、具体的な案件はないものの、大型案件の解約を想定する等で営業費用に余裕を持たせている。
 
(2)各事業部門の15/3期の取組み
製造派遣部門
地域特化戦略を推進する。この一環として、全国を5ブロックに分け、各ブロックに営業、採用、管理を設置し、それぞれのブロックで一連のオペレーションが完結する組織に改めた。旺盛な人材需要に応えるべく、営業は地域に特化した営業活動を強化して、取引先のシェアUPを図る(トップシェアを狙う)。一方、採用は確度の高い効率的な採用活動に取り組み、全社で月間500名(各ブロックで従来月間70名程度だった採用数を同100名に引き上げる)の採用を目指すと共に、地域内での職場を確保する事で求職者や地域のニーズに応えていく。尚、同社では月間300名程度の退職者が発生するが(この業界では極めて低い離職率であり、顧客からの高い信頼の源泉ともなっている)、上記採用目標を達成できれば、同200名の純増となる。通期では2,400名の純増となり、50億円程度の増収要因となる。

また、今後は既存顧客内でのインハウスシェアの引き上げを図る事で売上を増やしていく。新たな顧客工場を開拓した場合、営業、採用、監督等、少なくとも5名のスタッフを配置する必要があり、オペレーションを軌道に乗せるまでの先行投資期間の負担も大きい。リーマン・ショックによる業績の落ち込みを契機に半導体分野以外へ領域拡大に取り組んだ事で顧客工場数が飛躍的に増加した結果、領域拡大前は1工場30〜50名だった派遣技術者数が、20名程度に小規模化している。今後は既存顧客内でのシェアアップを図る事で収益性の改善を図りながら、売上を増やしていく考えだ。
 
エンジニア部門
開発・設計エンジニアに加え、建設エンジニアの派遣部門を創設した。製造派遣分門に続く利益創出部門とするべく、早期の基盤構築に取り組む考えで、利益率を重視して、売上の増加と売上増に見合った利益の獲得を目指す。14年4月に新卒240名が入社したが、15年4月は400名の入社を目標に新卒採用活動を進める。採用増に対応して未経験者育成配属スキームを拡充し、早期の戦力化を図る。

建設エンジニアとは施工管理技術者(現場監督)の事で、国土交通大臣から指定試験機関の指定を受けている一般財団法人建設業振興基金による検定試験に合格する必要がある。施工管理技術者の派遣事業は(株)夢真(JASDAQ:2362)の他、未上場会社1社が手掛けている模様。復興需要に加え、再開発関連や景気回復による建設投資の増加で施工管理技術者は絶対数が不足しており、中途採用が難しいため、新卒を採用して育成していく必要がある。新規の学卒者の確保が事業拡大のポイントとなっている。
尚、15/3期は4月入社の新卒240名と中途採用で270〜280名の戦力増となり、マンパワーが前期比でほぼ倍増する計画。通期で売上高30億円、営業利益3億80百万円の社内目標を掲げている。
 
再就職支援部門
企業業績の回復で単純なリストラは減少傾向にあるが、雇用流動化の動きは継続しており、グループ外出向のニーズが増えている。このため、雇用流動化を支援する事で需給調整機能の役割を担うべく、グループ外出向支援サービスを切り口とした営業を強化する。
 
(3)労働者派遣法改正の動き
当初の予定より遅れるものの(内容自体に問題はなく、国会審議の先送りは厚生労働省の不手際による手続き上の問題に近い)、労働者派遣法改正案が今秋には成立する見込み。改正労働者派遣法の施行により、企業は派遣が使いやすくなり、派遣社員も働きやすくなる。労働力の流動化が一段と進む一方で、派遣社員の就労も安定する。今回の派遣法改正案は同社にとってポジティブな改正案であり、改正に伴い改めて取組むべき事項は特にない。このため、「法律が同社のこれまでの経営に近づく」と言い換える事もできる。改正案の主なポイントは次の通り。

\賁26業務の区分をなくし派遣期間の上限を「業務」から「人」へ
⊂鑞儻柩僂気譴真佑惑標先で期限なく働く事が可能に
M期雇用された人は派遣先で最長3年働く事が可能に
で標元に対し計画的な教育訓練、キャリアコンサルティングを義務付け

尚、常用雇用社員が全体の70%を占める同社は△硫厳辰特に大きい。
 
【中期経営計画(14/3期〜16/3期)−質量共に「日本一の請負会社」を目指して−】
 
 
中期経営計画の基本戦略は、ヾ存顧客シェアの拡大、既存顧客ニーズの深掘り、及び正社員派遣の横展開の3点。長期的な目標として掲げている「営業利益100億円、稼働数20,000名」の達成に向けた基盤整備に取り組む。既存顧客シェアの拡大により利益生産性の向上と安定成長を実現すると共に、アウトプレースメントや建設技術者派遣等の新規事業を中心に既存顧客ニーズの深掘りと正社員派遣の横展開を進める事で、製造派遣・請負以外で営業利益の1/3を稼ぎ出せる体制を構築する。
 
 
14/3期第4四半期に、四半期ベースで売上高80億円、営業利益7億円の収益基盤が確立された事に加え、経営環境が改善している事(旺盛な派遣需要)や法律整備の進展(現時点では先送りだが、同社にとってポジティブな法改正)が期待できる事から、同社は「第2期目(15/3期)の計画達成の蓋然性が高まった」と考えている。
 
【コミットメント】
今期の配当は未定だが、同社は利益成長と株主還元を重視しており、「EPS成長率30%以上(3ヵ年計画の平均成長率)」及び「総還元性向50%以上(13/3期第2四半期に配当性向30%から変更)」をコミットメントしている。
 
・EPS成長率 30%以上 (3ヵ年計画の平均成長率)
・総還元性向 50%以上 (2013年3月期 第2四半期に配当性向30%から変更)
 
 
今後の注目点
当初の想定以上に派遣需要が旺盛であり、15/3期の予想売上高は320億円だが、売上換算で350〜370億円程度の需要があるようだ。課題はその需要を満たす人材の確保である。同社の採用は正社員としての採用であり、しかも、ESOPも含めて福利厚生が充実しているため求職者にとっては魅力的だが、同社の顧客工場がある地方でも採用コストは上昇している。このため、15/3期の一人当たりの採用コストは、14/3期の9.4万円を上回る10万円を予定していたが、更に上積みして採用を強化している(第1四半期は2億円を上積みし、第2四半期以降1億円の上積みを計画。通期で5億円の上積みとなる)。
具体的には、業績予想は月間200人の稼働者純増を前提としているが、足元の目標は、これを上回る300名の純増。仮に第2四半期以降、月間300人純増できたとすると、四半期毎に6.3億円程度売上が増えると思われ、3四半期合計で37.8億円の増収要因となる。第1四半期の売上高83億円を通期ベースに換算すると332億円になるため、これに37.8億円を加えると約370億円。売上総利益率を業績予想の前提である19.1%(売上総利益70.6億円)、販管費を業績予想の前提の36億円に募集費の上積み5億円を加えた41億円とすると、営業利益は約30億円となる。「人材の確保」如何ではあるが、(株)インベストメントブリッジでは、売上の上振れによる利益の上振れ期待が高まってきたと考えている。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
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