ブリッジレポート
(3778:東証マザーズ) さくらインターネット 企業HP
田中 邦裕 社長
田中 邦裕 社長

【ブリッジレポート vol.6】2015年3月期上期業績レポート
取材概要「米IBMが米国の大手IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)事業者であるSoftLayer(米国テキサス州)を買収した。SoftLayerの強みは・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年11月11日掲載
企業基本情報
企業名
さくらインターネット株式会社
社長
田中 邦裕
所在地
大阪市中央区南本町1-8-14 堺筋本町ビル
事業内容
東京、大阪、北海道の3エリアでデータセンターを運営。業界大手。08年に双日(2768)の傘下に(連結子会社)。上場は維持方針。
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 10,045 736 633 353
2013年3月 9,482 867 812 479
2012年3月 9,164 873 808 556
2011年3月 8,584 1,225 1,194 572
2010年3月 7,812 748 723 567
2009年3月 7,106 392 349 374
2008年3月 6,478 85 -25 -632
2007年3月 4,703 -271 -346 -493
2006年3月 2,758 210 197 105
2005年3月 1,930 133 132 70
株式情報(10/27現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
535円 8,677,489株 4,642百万円 10.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
5.00円 0.9% 38.03円 14.1倍 401.53円 1.3倍
※株価は10/27終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
さくらインターネットの2015年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
東京(西新宿、東新宿、代官山:いずれもフロア単位の賃借)、大阪(堂島:フロア単位の賃借)、北海道(石狩:土地建物保有)の3エリアでデータセンターを運営し、サーバの設置スペースと電源やネットワーク回線等を提供するハウジングサービスとサーバ環境(コンピュータリソース)をインターネット上で提供するホスティングサービスを手掛けている。多くのホスティングサービス事業者がインフラ(データセンター施設)を外部に依存するのに対して、同社はインフラを自社で保有する事で高収益を追求しており(価格競争力の源泉となる)、このインフラをハウジングサービスの提供にも活用する事で稼働率を上げ固定費リスク(インフラ保有リスク)を軽減している。
 
【事業概要】
事業は、コロケーションサービス(以下、サービスを略)、ホスティング、及びこれら業務に付帯するドメイン取得やサーバ構築コンサルティング等のその他サービスに分かれ、14/3期の売上構成比は、それぞれ31.0%、60.5%、8.5%。コロケーションはハウジング(ラック貸し:1つのラックを1顧客が占有)が中心だが、石狩データセンターにおいて大規模ユーザ向けにスペースを貸す大規模ハウジングも行っている。同センターではリモートハウジングも提供しており、物理作業の全てを同社が代行する事で遠隔地にあるハンデをカバーしている。一方、ホスティングは、物理サーバを貸し出す物理ホスティング(専用サーバとレンタルサーバの2つのサービスを提供)と、物理サーバ上に複数の仮想マシン(VM)を作成し、VM単位でサービスを提供する仮想ホスティング(クラウドとVPSの2つのサービスを提供)に分かれる。
 
 
物理ホスティングは1台の物理サーバを1顧客が占有する専用サーバ(「さくらの専用サーバ」)と1台の物理サーバを主に複数の顧客で利用するレンタルサーバに分かれる。専用サーバはサーバの設定や利用するソフトウェア等で自由度が高く、レンタルサーバは専用サーバと比べて制約があるものの、ユーザはメンテナンス等を行う必要がない。また、レンタルサーバは、個人利用の多い「さくらのレンタルサーバ」と中小企業・SOHO向けの「さくらのマネージドサーバ」に分かれる。
一方、仮想ホスティングは、仮想化技術を用いる事でレンタルサーバ並みの安価な料金で専用サーバ並みの自由度の高さを実現したVPS(バーチャル・プライベート・サーバ)サービス(同「さくらのVPS」)とIaaS型パブリッククラウド(同「さくらのクラウド」)に分かれる。「さくらのクラウド」は「さくらのVPS」では対応できない従量課金や柔軟なリソース増減が可能であり、一方、「さくらのVPS」は「さくらのクラウド」のような柔軟な対応はできないが、コスト面でメリットがある。同社においては、「さくらのクラウド」は「さくらのVPS」に比べて投資負担は重いが、単価は高い。
 
【優れた柔軟性と拡張性に加え、グリーン調達にも適合した石狩データセンター】
11年11月に稼働した石狩データセンターの強みは、都市型データセンターでは実現困難な低価格、優れた柔軟性と拡張性、更にはグリーン調達への適合(冷涼な外気を活用した空調)。同社のサービスメニューの一つであるハウジングサービスを提供するに当たり、遠隔地にある事がハンデになるが、サーバやネットワークの設定、ディスク交換、メンテナンス等の物理作業を同社が請負う「リモートハウジング」サービスを提供する事でハンデをカバーしている。「リモートハウジング」は、ホスティング並みの利便性で、ハウジングを利用できる(石狩データセンターを都市型データセンターのように利用できる)。
 
稼働状況
石狩データセンターはデータセンター棟8棟分の敷地を有し(約51千平方メートル)、現在、2棟(1号棟、2号棟)が竣工している。1号棟は500ラックの収納が可能で、このうち250ラック相当のスペースは大規模ハウジング案件として長期契約を結んでおり、残りの250ラックは同社のホスティング及びリモートハウジングの提供スペースとして使用しており、全てのラックが課金対象である。ラック当たりの売上が大きいクラウド系サービスの好調や建物全体の電力効率の良さに加え、寒冷地にある強みで夏以外は外気冷却を使ってサーバの冷却コストを抑える事ができるため、営業開始から1年半後の13年4月に黒字に転換した。60〜70%の稼働率がデータセンターの損益分岐点と言われる中、前14/3期は80%台後半の高い稼働率を維持し、15/3期上期末現在の稼働率は92.2%。一方、13年12月に稼働した2号棟は1号棟と同じ床面積だが、運用経験に基づく集積技術の向上で600ラックと収容効率を20%向上させた。15/3期下期は120ラック分の新たな投資を計画している。
 
 
石狩データセンターは北海道の冷涼な外気を活用した外気冷房を採用する事で、当初から従来の空調に比べて40%消費電力が少ない計画だったが、電源ロスの少ない給電方式である直流給電方式の「HVDC給電システム」を導入した事で当初想定していた電力量の約15%を削減した。
また、増加するデータ通信量に対応するべく回線帯域を拡大して単価の大幅削減も実現した。
 
石狩データセンターの特長
・優れたPUE(Power Usage Effectiveness:電力使用効率)
PUEはデータセンターのエネルギー効率を表す指標で、データセンター全体(IT機器の他、空調、照明、監視システム等で電力を消費する)の消費電力量をサーバ等のIT機器で使用している電力量で割った値。サーバ等で使用する電力と同量の電力を、空調、照明、監視システム等で使っていればPUEは2.0。日本のデータセンターは都市型が多いため大半が2.0を超えていると言われているが、石狩データセンターのPUEは1.1に近い水準。
・基本的な設備は二重化
電源は別系統で2系統、ネットワーク回線はNTTとKDDIの2系統等
・高品質なバックボーン回線
光ファイバーの海底ケーブル引き上げ地である石狩に立地する強みを活かし、海底ケーブルに直接接続
・地震等の災害リスクが低い石狩(BCP・DR:事業継続計画・災害対策ニーズへの対応)
 
【顧客動向(15/3期上期末現在)と顧客基盤強化に向けた取り組み】
小口顧客の売上構成比が高く、一部の大手顧客や特定業種に依存しない、リスク分散された顧客構成が特徴だ(月額料金100万円未満が全体の71.0%)。コストパフォーマンスの高さを背景にスタートアップ段階にある企業の取り込みに強みを有し、近年では契約継続に向けた取り組みが成果をあげつつある。また、顧客業種では、従来から強みを有するネット系事業者への営業強化と共に、ボリュームゾーンであるエンタープライズ系の顧客獲得にも力を入れている。
 
 
顧客基盤の強化に向けた取り組み  イベントを活用した営業活動強化とホスティングサービス強化
積極的なイベント・セミナーの開催・参加
スタートアップ支援、クラウド補助金セミナー、及び技術セミナーの開催・参加による見込み客の獲得と顧客交流イベントの開催による既存顧客との関係強化に取り組んでいる。

スタートアップ支援では、優良ベンチャー企業との資本・業務提携を進めており、膨大なデータをクラウド上で処理する顧客等を厳選して、少額出資を行うと共に各種サーバサービスの無償提供等を行っている(出資は少額で、ベンチャー企業が顧客増を図るためのプロモーションとしての技術支援が主眼)。

また、クラウド利用に対する国の支援も始まっており、同社においては、「さくらの専用サーバ」と「さくらのクラウド」が、経済産業省のクラウド化支援事業の補助金対象に認定されている(条件はあるが、同社のクラウド環境に移行する際、その費用の1/5〜1/3が補助金として客先に交付される)。同社はクラウド補助金セミナーの開催で、制度の仕組みや利用の仕方を説明すると共に、補助金の獲得を支援している。

この他、ビジネスパートナーとの提携による新規顧客の開拓を図るべく、ビジネスパートナー獲得を目的とした説明会も開催している。パートナーとしては、特定分野に強いシステムインテグレーター(SIer)等を考えており、顧客獲得時の成功報酬ではなく、パートナーのソリューションを支援(パートナーのビジネスに対するサポート)する事でWin・Winの関係を構築して相互の営業力強化につなげていく。
 
ホスティングサービスの強化
顧客ニーズの変化に対応するべく機能強化とプラン改定を継続的に実施しており、15/3期上期は、レスポンス重視や障害対応、セキュアな環境構築、専門知識不要で構築可能な仮想環境の提供、無償のテスト環境による顧客の運用コスト低減、及び支払プランの拡充に取り組んだ。
 
 
取り組みの成果が徐々に顕在化
イベントを活用した営業活動強化やホスティングサービス強化の成果が既に現れつつある。スタートアップ支援では、支援開始後の事業拡大で既に月額課金100万円超の企業が複数存在しており、クラウド補助金セミナーは毎回満員御礼の状態で、一般企業との接点が拡大している。また、パートナー制度説明会では、通期のパートナー獲得(ソリューションパートナー件数)計画を上期末に達成した。一方、既存顧客との関係強化では、顧客交流イベントの開催とソリューション営業のシナジーが顕在化しつつあり、これまでは、ホスティングサービスで取り込んだ顧客がステップアップしていく段階で他社へ乗り換えるケースがあったが、クラウドと専用サーバの併用やクラウドから専用サーバへ移行等で同社のサービス内にとどまるケースが増えてきた。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
東証上場企業の平均を上回るROEを実現
東証発表の「決算短信集計」によると、東証1部、東証2部、及びマザーズ上場企業の14/3期のROEは、金融を除く全産業8.65%(前期は4.99%)、製造業8.55%(同4.53%)、非製造業8.79%(同5.67%)。同社は上場企業の平均を上回る高いROEを実現している。
 
 
データセンター事業を手掛ける上場企業としては、ブロードバンドタワー(3776)、GMOクラウド(3788)、ビットアイル(3811)等を挙げる事ができる。このうち、ブロードバンドタワーとビットアイルはコロケーションサービスを提供し、GMOクラウドはホスティングサービスを提供している。

ブロードバンドタワーの事業セグメントは、データセンター関連事業と子会社が手掛けるファッションビジネスプラットフォーム事業(ECシステム構築支援・運用、TVショッピング支援、及びファッションホールセールサービス)に分かれる。データセンター関連事業(売上規模78億円)は創業事業だが、売上構成比29%、連結調整前利益構成比39%にとどまり、現在の事業の中心はファッションビジネスプラットフォーム事業である。

GMOクラウドの事業セグメントは、ホスティングサービス事業、SSLサーバ証明書のセキュリティサービス事業、翻訳サービスやホームページ制作サービス等のソリューションサービス事業に分かれ、ホスティングサービス事業の売上規模は64億円で、売上構成比64%、連結調整前利益構成比44%。近年伸びているのはセキュリティ事業である。

ビットアイルは設備だけでなく、建物までを自社保有しデータセンターサービスを提供しており(ブロードバンドタワーはデーターセンタービルを賃借)、事業は、コロケーションのi DCサービス(売上構成比60%)、クラウド等のマネージドサービス(同27%)、及びSIや太陽光発電事業等(同13%)で、サービス別の損益は非開示。

ブロードバンドタワーのデータセンター関連事業、GMOクラウドのホスティング事業共に、直近期(前者14/6期、後者13/12期)は価格競争の激化で前期比減収・減益。ブロードバンドタワーの15/6期はデータセンター関連事業の中心をなす個別業績が減収・減益予想。GMOクラウドも、14/12期のホスティングサービス事業は減収・減益が見込まれている。一方、ビットアイルの直近期(14/7期)は、i DCサービスの売上が大口解約の影響で同1.2%減少したものの、マネージドサービスの売上増でカバーして同5.6%の増収。燃料調整費(燃料の価格変動と為替レートの変動を電気料金に反映させるために加算される。月次で変動)の上昇による電力単価の上昇で連結営業利益が同11.8%減少した。15/7期予想は増収ながら減益。15年1月の第5データセンター稼働等で売上が増加するものの、減価償却費の増加が負担となる上、大口の解約も織り込んだ(期初時点で確定しているものではないが)。

上記の通り、競争激化で同業他社は苦戦を強いられており、さくらインターネットも、直近期(14/3期)は減益となり、GMOクラウドやビットアイルのROEを下回った。ただ、ハウジング及び専用サーバの苦戦をVPS・クラウドの好調でカバーして売上高が前期比5.9%増加しており、営業利益の減少も(同15.0%の減益)、石狩データセンター関連の減価償却費及びリース料の増加やエンジニア・営業員・販促スタッフの増員に伴う労務費及び人件費の増加といった前向きなものだった。加えて、フロア賃貸の都心型(東京・大阪)データセンターと、土地建物までを自社保有しコスト競争力に優れ、BCP・DR(事業継続計画・災害対策)ニーズにも応える石狩データセンターの使い分けでビットアイルを上回る資産回転率を維持する等、事業モデルの優位性も示した。また、GMOクラウドのROEがさくらインターネットを上回っているが、これはセキュリティ事業(営業利益率17.9%)の好調によるところが大きく、必ずしもGMOクラウドのホスティングサービス事業の優位性を示すものではないと考える。
 
ROEが低下傾向にあるものの、取り組み成果が徐々に顕在化
ただ、さくらインターネットも、10/3期をピークにROEが継続的に低下している。増資と利益の積み上げによる自己資本の充実(自己資本:10/3期12.5億円 ⇒ 14/3期34.8億円)によるところが大きいが、石狩データセンター関連の先行投資が負担となる中(減価償却費及びリース料の増加等)、ハウジング及び専用サーバの苦戦で十分な売上の伸びを確保できていない面もある。

同社は、こうした課題の解決に向け、既に説明したようにイベントを活用した営業活動強化とドアノックツールとなるホスティングサービス強化に取り組んでいる。足元、東京を中心に過剰感の強いハウジングの苦戦が続いているものの、VPS・クラウドが順調に伸び、新サービスの浸透と物理サーバのメリットの再認識で専用サーバが底打ちから増収に転じる等、取り組みの成果が顕在化しつつある事から今後のROEの改善に期待がかかる。

尚、石狩データセンター2号棟の追加工事や3号棟の建築工事等、設備投資(減価償却費)の影響は避けられないが、事業規模の拡大で設備投資の影響は徐々に小さくなっていくはずだ。
 
 
2015年3月期上期決算
 
 
前年同期比3.5%の増収、同12.2%の経常増益
売上高は前年同期比3.5%増の51億23百万円。ハウジングの売上が落ち込んだものの、成長分野であるVPS・クラウドが同59%増と伸長。旧サービスの落ち込みが続く専用サーバも、新サービスの拡大でわずかな売上の減少にとどまった。

利益面では、前期に実施したサービス機材投資(レンタルサーバの全設備の入れ替えを実施)や石狩データセンターの拡張投資に伴う減価償却費・リース料等の増加で売上総利益率が低下したものの、増収効果と販管費の減少で営業利益が4億35百万円と同14.4%増加した。

尚、売上原価は同4.1%増の37億94百万円。減価償却費・リース料(1憶29百万円増)、保守コスト等修繕費(29百万円増)、人材紹介手数料等(20百万円増)が増加する一方、賃料(17百万円減)等が減少した。また、予想との比較では、VPS・クラウドの好調等で売上が予想を上回る中、契約見直し等により電力費が想定を下回った他、経費抑制も想定以上に成果をあげた。
 
 
ハウジングは特に首都圏で過剰感が強く、価格競争が続いている。この上期は、一部値下げした案件があった事に加え、前期の大口解約の影響や機材のスポット売上の反動もあった。専用サーバは売上が減少したものの、12年2月にサービスを開始した新サービスが市場に浸透してきたため、旧サービスの減少をカバーできる体制が整ってきた。レンタルサーバの売上増は、順調な積み増しに加えて他事業者のホスティングサービスの終了に伴い、ユーザの移行先として「さくらのレンタルサーバ」を指定した影響が大きかった。VPS・クラウドは市場の拡大を追い風に順調に売上が増加した。

尚、専用サーバの新サービスは、クラウドサービスの対抗商品であり、物理サーバをクラウドのように利用できる一方、仮想化技術を用いた通常のクラウドに比べて性能やセキュリティが各段に優れる(最少プランは従来価格のままでサービススペックを2倍以上に引き上げた)。台数制限がなく、複数台構成も可能で、申し込みから最速10分で利用できる。
 
 
上期のポイント  営業強化による専用サーバ新サービスの浸透で顧客動向に大きな変化
創業期は立ち上げの速さや必要なサービスを必要なだけ使えるクラウドが便利だが、事業規模が拡大すると、ハイ・パフォーマンスな物理サーバの魅力が高まる。しかも大規模な利用になると、物理サーバの方が経済的でもある。しかし同社においては、事業の立ち上げ時にはコストパフォーマンスに優れる同社のホスティングを利用しても、事業が拡大すると他社サービスに乗り換えてしまう顧客が多かった。事業が拡大するとシステムに対する要望が増えてくるためソリューションを必要とするが、オンラインサインアップによる申し込みのみで受注を完結する同社には、アウトバンドの営業やソリューションを提供する体制が整っていなかった。しかし、アウトバンドのソリューション営業を強化した事で、専用サーバのメリットが顧客に浸透すると共に顧客ニーズを吸い上げる事ができるようになってきた。このため、クラウドと専用サーバを併用する顧客やクラウドから専用サーバへ移行する顧客が増えている。クラウドから専用サーバへ移行すると、目先的には顧客単価が下がるが、中長期的には顧客を同社のサービス内にとどめておく効果は大きく、顧客の成長を取り込み、事業を拡大できる。
 
 
 
VPS・クラウドが四半期ベースで過去最高の売上を計上したものの、先行投資が利益を圧迫
売上高は第1四半期(4-6月)に比べて1.2%(29百万円)増の25億76百万円。価格競争の影響等でハウジングの売上が減少したものの、VPS・クラウドが四半期ベースで過去最高の売上を計上。新サービスの好調で専用サーバが底打ちから増収に転じた他、他事業者のホスティングサービスからのユーザの移行でレンタルサーバも堅調に推移した。営業利益は同1.8%(3百万円)減の1億88百万円。人材紹介手数料等(15百万円増)や季節要因による電力費(5百万円)の増加等で売上原価が同17百万円増した他、営業活動強化に伴う経費の増加(6百万円増)で販管費も同9百万円増加した。
 
 
15/3期第2四半期(7-9月)の専用サーバは、新サービスの売上高が第1四半期と比べて23百万円増加し、旧サービスの売上減(同16百万円減少)をカバーした。
 
 
・専用サーバ、レンタルサーバ、VPS共に利用中件数の増加が続いている。

・専用サーバは、ユーザにとってコストパフォーマンスに優れる新サービスへのシフトが進み平均単価が低下しているが、利用中件数の増加で14/3期第3四半期を底に四半期ベースで増収基調に転じている。
 
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて21百万円増の138億86百万円。借方では、好調な業績を反映して現預金が増加する一方、減価償却で有形固定資産が減少。貸方では、サービスの申し込み時に受け取る前受金が増加する一方、有利子負債(借入金及びリース債務)が減少した。1,189百万円のフリーCFを確保し、有利子負債の返済を進めた事で、自己資本比率は26.5%と前期末に比べて1.4ポイント改善した。
尚、有形固定資産については、12/3期から資産の効率的活用に取り組んでおり(投資を抑えて増収を図る)、その成果が現れてきた。また、前受金については、一部の大口顧客を除き、通常1か月分を前金で受け取っており、ユーザによっては年払いを利用するケースもある。
 
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比4.0%の増収、同13.2%の経常減益予想
上期の売上・利益が上振れし、下期はVPS・クラウド等が順調に推移する見込みだが、「引き続き厳しい競争環境が続くと予想される中、将来の成長に寄与する施策の強化と人材の確保のための投資を実施していく」として慎重姿勢を崩さなかった。営業力の強化とサービスの強化に努め、新規顧客の開拓と既存顧客の維持及び追加受注の取り込みに注力していく考え。

配当は前期と同額の1株当たり期末5円を予定している(予想配当性向13.1%)。
 
 
 
今後の注目点
米IBMが米国の大手IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)事業者であるSoftLayer(米国テキサス州)を買収した。SoftLayerの強みは、ハイ・パフォーマンスな専有サーバと仮想マシンのハイブリッド環境の柔軟な組み合わせが可能な事だが、このサービスは、さくらインターネット(株)が得意とするところでもある。日本での浸透はこれからだが、IBMも注目するサービスであり、さくらインターネット(株)の上期決算から、潜在需要が徐々に顕在化してきた事が確認できた。ITインフラのアウトソーシング化に加え、BCP・DR需要の高まりやクラウド等の新たなサービスの更なる浸透が予想される事から、同社の今後の展開に期待したい。
 
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