ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

プライム

ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.27

(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション 企業HP
宮本 雅弘 社長
宮本 雅弘 社長

【ブリッジレポート vol.27】2015年2月期上期業績レポート
取材概要「新聞報道等で、夏場以降のきゅうり、ナス、白菜の価格高騰が報じられていたため、期初予想に沿った着地となった上期決算はGood Surpriseだった・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年11月18日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
宮本 雅弘
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年2月 25,648 852 971 608
2013年2月 24,063 915 974 570
2012年2月 21,587 982 1,066 591
2011年2月 20,824 577 624 365
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
2002年2月 16,542 548 514 230
2001年2月 16,895 302 287 266
株式情報(10/28現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
842円 6,094,486株 5,132百万円 8.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.00円 1.4% 115.54円 7.3倍 1,197.97円 0.7倍
※株価は10/28終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
ピックルスコーポレーションの2015年2月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行なっており、連結子会社8社及び持分法適用会社4社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、更にはHACCPの導入やISO9001の認証取得、更には5S活動に取り組む等、「安全な食へのこだわり」は強い。

14/2期の品目別売上構成は、製品売上が65.7%(浅漬・キムチ44.8%、惣菜18.5%、ふる漬2.4%)、商品(漬物)売上が34.3%。資本関係では、東海漬物(株)が株式の41.8%を保有(14年8月31日現在)するが、取引はふる漬等の仕入がわずかにあるのみ(14/2期は仕入高全体の1.7%)。主要な販売先は、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、14/2期は同グループ向けの売上が全体の33.6%を占めた(12/2期37.9%、13/2期35.6と依存度は低下傾向にある)。
 
【強み】
大ヒットしている「ご飯がススム キムチシリーズ」や各種惣菜等、切れ目無く新商品を投入できる商品開発力と、全国をカバーする営業・製造・物流ネットワークを強みとする。キムチの製法や味付け手法は多種多様。同社は強みである商品開発力を活かしてキムチのラインナップを強化する事で継続的に需要を生み出しており、この商品開発力が第3の柱として育成中の惣菜事業にも活かされている。また、もう一つの強みである全国ネットワークについて言えば、漬物業界・惣菜業界において、全国ネットワークを有するのは同社のみである。
 
【食の安心・安全への取り組みと環境保全活動の推進】
食の安心・安全への取り組み
自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で保存料・合成着色料は使用しない。また、製造工場では一貫した品質・衛生管理体制を整えている。最新鋭の設備の導入や従業員教育はもちろん、HACCPの導入やISO9001の認証を取得する事で業界のリーディングカンパニーとして信頼される製品づくりを目指している。尚、HACCPとは1960年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の方式。国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)の合同機関である食品規格(Codex)委員会が発表し、各国にその採用を推奨している。また、ISO9001は、国際標準化機構(ISO)が定めた品質マネジメント規格。
 
環境保全活動の推進
1999年8月に、食品業界で初めて全事業所一括でISO14001(後述)の認証を取得しており、経営者によって策定された環境方針の下、省資源・省エネルギーへの取り組みをはじめ、廃棄物の削減、環境関連法規制順守、従業員教育、環境保全団体への支援等の取り組み等を通じて、より環境に優しい企業グループとなれるよう努めている。尚、ISO14001とは、国際標準化機構(ISO)が企業等の活動が環境に及ぼす影響を最小限にとどめる事を目的に定めた、環境に関する国際的な標準規格。
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
東証発表の「決算短信集計」によると、東証1部、東証2部、及びマザーズ上場企業の14/3期のROEは、金融を除く全産業で8.65%(前期は4.99%)、製造業で8.55%(同4.53%)。同社のROEは、全産業及び製造業の平均と同水準にある。12/2期の9.8%から2期連続での低下だが、この要因は、認知度向上に向けた広告宣伝活動や増産投資など事業展開を積極化する中、原料野菜価格の高騰等で売上高当期純利益率(以下、利益率)が低下した事、及び自己資本の充実が進んだ事によるレバレッジの低下である。もっとも、利益率は4年前と比べると0.6ポイント改善しており、中期的なスパンでみれば、先行投資を吸収しながら利益率が改善傾向にあると考える事ができる。一方、レバレッジの低下は好業績が続いた事による財務体質の改善によるもので、過去4年間で自己資本が1.4倍に拡大した事が大きい(総資産は1.3倍に拡大)。

惣菜や調味料等を手掛け、食料品スーパーやコンビニ向け等で実績のある中堅食品メーカーである、フジッコ(2908)、健康マヨネーズ(2915)、エバラ食品(2819)との比較すると、同社の強みを再認識できる。3社の売上高は500億円を超えており、事業規模では勝るが、同社は、売上高当期純利益率、総資産回転率、レバレッジのバランスが良く、13年度(14/2期)は3社のROEを上回った。煮豆や昆布等が中心のフジッコや焼き肉のたれや鍋物調味料等が中心のエバラ食品との比較では継続的にROEが上回っており、健康マヨネーズは業務用が中心のため、食品メーカーとしては比較的業績の変動が大きい。

堅実経営で財務体質も良好な同社だが、強いてもの足りない点を挙げるとすれば、前14/2期が12.6%、今15/2期も予想ベースで10.4%にとどまる配当性向だろうか。安定配当にメリットがある事も事実で、同社の堅実経営も評価できるが、ROE改善の観点からも、配当性向の引き上げを考える余地があるかも知れない。
 
 
 
2015年2月期上期決算
 
 
前年同期比4.8%の増収、同16.7%の経常減益
売上高は前年同期比4.8%増の141億22百万円。漬物など仕入商品の売上が同6.1%減少したものの、「ご飯がススム キムチ」等のキムチ製品やラインアップを強化・拡充した惣菜製品がスーパーやコンビニ向け等で伸び、製品売上が同10.7%増加した。

利益面では、白菜価格が比較的安定した推移となったものの、キュウリの値上がりや(株)ピックルスコーポレーション札幌の新工場立ち上げ等で売上総利益率が24.3%と0.2ポイント悪化。事業拡大に伴う物流費・人件費の増加や政策的に上期の予算を増やした広告宣伝費の増加等による販管費の増加が負担となり、営業利益が6億77百万円と同12.0%減少した。営業外損益の悪化は持分法投資利益や貸倒引当金戻入額の減少等によるもの。(株)ピックルスコーポレーション札幌の旧工場に係る減損損失1億32百万円を特別損失に計上した事等で四半期純利益は同50.3%減少した。

尚、(株)ピックルスコーポレーション札幌は第2四半期(6-8月)入りした6月に新工場が稼働した。生産は全面的に新工場に移管され、旧工場については上記の通り、第1四半期に減損処理を行った(現在、旧工場は他社に賃貸中)。
 
 
 
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて28億08百万円増の172億12百万円。上期末が金融機関の休日だったため、売上債権及び仕入債務が増加した他、札幌工場の取得で固定資産も増加。長短借入金の積み増しで資金需要に対応した。自己資本比率は前期末に比べて8.5ポイント低下の42.4%。
 
 
 
2015年2月期業績予想
 
 
通期予想に変更はなく、前期比6.4%の増収、同26.0%の経常増益予想
下期は浅漬・キムチ製品の見通しが慎重だが、新製品の投入と既存製品の更なる改善で惣菜の伸びが加速し、売上高が131億78百万円と前年同期比8.2%増加する見込み。利益面では、キムチ製品の生産を所沢工場に集約し、生産の機械化を進めた効果が期待できる上、原料野菜価格の上昇で前年同期の原価率が大幅に悪化した反動や政策的に上期の比重を高めた広告宣伝費の減少もあり、営業利益が4億52百万円と同5.5倍に拡大する。

通期では、売上高及び各利益段階で過去最高の更新が見込まれる。設備投資はピックルス札幌・新工場の改装や首都圏での生産ラインの集約及び機械化等で13億20百万円を計画(前期はピックルス関西・広島工場やピックルス札幌・新工場の取得等で13億77百万円)。減価償却費は5億30百万円が織り込まれている(前期は4億47百万円)。

配当は前期と同額の1株当たり12円の期末配当を予定している。
 
 
 
 
市場動向と同社の取り組み
 
市場動向
漬物市場は約3,500億円(同社推定)。コメ消費の減少、食の多様化、少子高齢化等の影響を受けて市場は縮小傾向にあるものの、全ての品目が減少している訳ではなく、沢庵等のふる漬市場の縮小が大きい一方で、浅漬やキムチの市場は安定成長が続いている。また、同社(シェア7.3%でトップ)を含めた上位10社のシェアは30.8%(推定)に過ぎず、上位企業による寡占化はこれから。昨今、円安による海外産原料価格の上昇で海外原料に頼るメーカーの収益が悪化している他(同社は100%国産原料)、健康志向、惣菜化、機能性訴求等をキーワードにした商品開発が事業拡大に不可欠な要素となりつつある。同社は製品開発力と販売力を強みに早期のシェア10%達成を目指している。
 
 
一方、惣菜市場は単身世帯の増加や高齢化の進展、更には女性の社会進出もあり、拡大傾向にある。同社の資料によると、米飯類や調理パン・調理麺等も含む惣菜市場の規模は約8兆1,238億円。このうちの、同社の事業領域である一般惣菜市場は3兆5,736億円(食料品スーパー:1兆107億円、総合スーパー:5,073億円、コンビニ:3,194億円、専門店・百貨店等:1兆7,361億円)。同社は惣菜事業では後発企業だが(8年程前に参入)、製品開発力、全国をカバーする製造拠点、更には直販ならではのきめ細かい営業を強みに、健康志向にマッチした野菜を使った総惣菜にフォーカスする事で売上を伸ばしている。ライバルとなるのは、フジッコ、ケンコーマヨネーズ、エバラ食品、デリア食品等。いずれも400~500億円規模の年商を誇る。
 
同社の取り組み
継続的な新製品の開発・投入と製品ラインナップの強化、広告宣伝・販促活動、及び全国を網羅する営業・物流ネットワークを三位一体とする事業戦略を推進し、既存取引先の深耕と新規取引先の開拓に取り組んでいる。
 
新製品の開発・投入と製品ラインナップの強化
浅漬製品では、(株)にんべんとのコラボ製品「鰹だしのきいた浅漬けシリーズ」を14年9月に発売しており、14年11月以降になるが、「鰹だしのきいた古漬シリーズ」の発売も予定されている。キムチ製品では、「ホタテでデカうまキムチ」(14年3月発売)や(株)かねふくとのコラボ製品「ご飯がススムめんたいキムチ」(14年9月発売)等を発売。また、惣菜製品では、ナムルセット、セロリ等のマリネ系惣菜、「メンマと豆もやしの黒こしょう和え」やそら豆等の酒のつまみ、オクラのおひたし等の和風総菜、更には「棒棒鶏サラダ」等の中華風惣菜といった野菜を使った惣菜のラインナップ強化や既存製品の継続的な改善に取り組んでいる。
 
鰹だしのきいた浅漬シリーズ
 
今をさかのぼる事315年の元禄12(1699)年に創業した鰹節の老舗「(株)にんべん」とのコラボ製品。共同開発した“オリジナルの鰹だし”と、(株)にんべんの“花かつお”をトッピングに使用した、鰹だしの風味香る浅漬シリーズ。(株)にんべんが創業以来商いを続ける東京・日本橋をモチーフとし、「和」を表現したパッケージも特徴。
尚、(株)にんべんは、東京日本橋に本社を置く、削り節や鰹だし、ふりかけ等の調味料を製造する水産加工会社。
 
「ホタテでデカうまキムチ」と「ご飯がススムめんたいキムチ」
 
「ホタテでデカうまキムチ」は、ホタテエキスのうま味がきいた、デカくてうまいキムチ。「ご飯がススムシリーズ」商品だが、あっさりめで食べやすく仕上げているため、そのままでも、どんどんススんじゃう!家族みんなで食べられる、ボリューム感のある商品。
一方、「ご飯がススムめんたいキムチ」は、明太子ブランドで有名な「かねふく」とのコラボ商品。「かねふく 明太子」を混ぜ込み、明太子の辛味とうま味、ぷちぷちとした食感が口の中に広がる。「ご飯がススム」シリーズらしい、りんごの甘みとかつおの風味も相まって、ご飯にのせても、お酒のあてにもぴったり。パッケージにはかねふくのロゴをレイアウトした他、かねふく めんたいパークのキャラクー「タラコン博士」、「タラピヨ」を使用し、コラボレーションをアピール(国産白菜・大根を使用)。
尚、(株)かねふくは、1971年1月設立。福岡県福岡市に本社を置き、辛子明太子、たらこ、和え物等を製造・販売。
 
ナムルセット、メンマと豆もやしの黒こしょう和え、オクラのおひたし
 
広告宣伝・販促活動
鉄道広告(JR山手線)、テレビ・ラジオCM、屋外看板(西武ドーム)等を利用した広告宣伝・販促活動に加え、「ご飯がススムキムチ」と「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」(12月20日公開)とのタイアップ商品を期間限定で発売した。具体的には、主力商品の「ご飯がススムキムチ」及び「ご飯がススム辛口」のパッケージを、爆発的な人気を博す「妖怪ウォッチ」のキャラクターを配したパッケージに変更して投入した。様々な妖怪たちが登場するパッケージは、選ぶ楽しさと売場のにぎやかさを演出する。
 
 
「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」
テレビ東京系列で毎週金曜に放送中のアニメ「妖怪ウォッチ」が映画化され、14年12月20(土)より全国公開される。「妖怪ウォッチ」は13年7月に発売したゲームを原作として、アニメ、漫画、玩具等にクロスメディア展開しており、老若男女問わず爆発的な人気を博している。
 
全国を網羅する営業・物流ネットワーク
15/2期は(株)ピックルスコーポレーション関西の広島工場が通期で稼働する事で、シェアが低い関西以西での販売拡大と生産性の向上が期待できる他、フル稼働だった(株)ピックルスコーポレーション札幌で新工場が稼働する(14年6月に稼働済み)。生産能力の増強を受けて、強みである製造・物流インフラを活かすと共に、製品ラインナップの拡充と売場提案の強化でスーパー等での売場拡大(精肉売場、麺売場等)やドラッグストア等の新たな販路の開拓に取り組んでいる。
 
事業所
千葉工場、湘南ファクトリー、大宮ファクトリー、宮城ファクトリー、福島工場、中京工場
子会社
(株)ピックルスコーポレーション札幌(北海道)、(株)ピックルスコーポレーション関西(京都府)、(株)八幡屋(東京都)、東洋食品株式会社(群馬県)
合弁会社
(株)デイリー開発福島(福島県)、(株)セキグチデイリー(群馬県)、(株)ピックルスコーポレーション長野(長野県)、(株)デイリー開発福岡(福岡県)
 
(株)ピックルスコーポレーション関西(本社:京都府) 中・四国地区事業拡大
中・四国地区で新規開拓が進んでおり、これを受けて、前期に稼働した広島工場(広島県府中市)の生産も順調に拡大している。同工場の15/2期の利益計画は80百万円だが、上期に1億20百万円の利益を計上した。
(株)ピックルスコーポレーション関西は、京都府と広島県に生産拠点を有し、浅漬、キムチ、惣菜の製造・販売、及び漬物の仕入・販売を行っている。関西地区及び中・四国地区を事業エリアとして、主な販売先は、スーパー、生協、外食産業等。
 
 
(株)ピックルスコーポレーション札幌(本社:札幌市) 北海道地区事業拡大
北海道地区を事業エリアとする(株)ピックルスコーポレーション札幌は浅漬、キムチ、惣菜の製造・販売、漬物の仕入・販売を行っており、主な販売先は、コンビニ、スーパー、外食産業等。売上高拡大に向け、14年6月に新工場が稼働した。新工場は、食品工場を購入し、改築工事を施した。8月以降、稼働が安定しており、来16/2期の黒字化が見込まれている(15/2期上期は90百万円の営業損失。通期の赤字が計画を上回る可能性がある)。
 
 
(株)尾花沢食品(山形県尾花沢市)を設立し、漬物等の事業を譲受
14年8月に漬物の製造を目的に100%子会社(株)尾花沢食品(山形県尾花沢市)を設立した。(株)尾花沢食品は、民事再生手続き中の(有)尾花沢食品(山形県尾花沢市)から資産を取得し、その事業を継続する。先ず事業(資産)譲渡契約を締結し、事業(資産)譲渡に関する裁判所の許可を受けて事業(資産)を譲受する。2億円程度の事業規模だったが、早期に5億円規模に拡大させ、(株) ピックルスコーポレーションの仕入商品の強化につなげたい考え。
 
主力商品の「山形・尾花沢のだしっ」
「だし」 は夏によく食べる山形県内陸部の郷土料理。キュウリ、ミョウガ、ナス等の夏野菜を刻み、醤油等で味付けしたもので、山形が誇る「ソウルフード」とも言われている。



(同社資料より)
 
 
中期経営目標として、当初は15/2期の業績を、売上高255億円、営業利益11億円としていたが、浅漬・キムチ製品が想定以上に伸びた事で、上記の通り、売上高273億円、営業利益11億30百万円に上方修正している。
販売エリアでは、増産投資の効果が期待できる北海道、中国・四国、九州地区に注力し、販路については、量販店における売場拡大(精肉売場、麺売場等)やドラッグストア等の開拓に取り組む。また、漬物・惣菜以外の製品開発も強化していく考えで、女性の開発要員の増員も計画している。
 
 
今後の注目点
新聞報道等で、夏場以降のきゅうり、ナス、白菜の価格高騰が報じられていたため、期初予想に沿った着地となった上期決算はGood Surpriseだった。きゅうり価格高騰の影響は受けたが、使用量の多い白菜は契約農家からの仕入れが順調だった。9月以降、野菜価格が落ち着きを取り戻しつつあるが、冬場はきゅうりの価格が安定しないため、下期はきゅうりを使った製品の構成比を下げる等でリスク軽減策も怠りない。10月の2度にわたる台風災禍も、今後の仕入価格への影響は軽微なようで一安心だ。
上期のトピックスは、中・四国地区での順調な事業の拡大、札幌新工場の稼働、そして関東でのキムチ製品の生産を集約した所沢工場の稼働である。中・四国地区での順調な事業の拡大や札幌新工場の稼働については、子会社の動向として既に説明した通りだが、キムチ製品の生産集約については、もう少し詳しく説明したい。これまで、首都圏でのキムチ製品の生産は、所沢、大宮、千葉、湘南の4工場で行っていたが、今回、生産を所沢に集約すると共に機械化を進めた。生産の集約と機械化により、課題だった労務費の削減が進む見込みでキムチ製品の大幅なコストダウンが期待できる。