ブリッジレポート
(4319) TAC株式会社

スタンダード

ブリッジレポート:(4319)TAC vol.15

(4319:東証1部) TAC 企業HP
斎藤 博明 社長
斎藤 博明 社長

【ブリッジレポート vol.15】2015年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「対前年同期比で見ると大幅な減益であったが、消費税増税の駈け込み申込みの反動は予想の範囲内で、期初時点での会社側計画がかなり慎重だった・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年11月25日掲載
企業基本情報
企業名
TAC株式会社
社長
斎藤 博明
所在地
東京都千代田区三崎町3-2-18
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 20,526 1,034 1,299 816
2013年3月 20,999 136 377 977
2012年3月 22,578 -606 -530 -799
2011年3月 24,575 465 283 -244
2010年3月 23,991 623 442 40
2009年3月 21,092 1,330 1,352 669
2008年3月 20,741 1,069 1,230 443
2007年3月 20,553 1,173 1,333 742
2006年3月 19,828 421 631 249
2005年3月 19,669 459 558 81
2004年3月 19,542 988 943 470
株式情報(11/12現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
228円 18,503,932株 4,218百万円 21.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1.00円 0.4% 33.24円 6.8倍 225.72円 0.9倍
※株価は11/12終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期実績。
 BPSは直近決算短信より。
 
TACの2015年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「資格の学校TAC」として、資格取得スクールを全国展開。社会人や大学生を対象に、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士、司法試験、司法書士等の資格試験や公務員試験の受験指導を中心に、企業向けの研修事業や出版事業等も手掛ける。
 
 
【沿革】
1980年12月、資格試験の受験指導を目的として設立され、公認会計士講座、日商簿記検定講座、税理士試験講座を開講。2001年10月に株式を店頭登録。03年1月の東証2部上場を経て、04年3月に同1部に指定替えとなった。09年9月には司法試験、司法書士、弁理士、国家公務員Ⅰ種・外務専門職等の資格受験講座を展開していた(株)KSS(旧・早稲田経営出版)から資格取得支援事業及び出版事業を譲受。これにより、会計分野に強みを有する同社の資格講座に法律系講座が加わると共に、公務員試験のフルラインナップ化も進んだ。2013年12月、小中高生向け通信教育事業を柱とする(株)増進会出版社と資本・業務提携契約を締結。2014年6月には医療事務分野への進出を狙いM&Aを実施。
 
【強み】
(1)試験制度の変化や法令改正へのきめ細かい対応
同社は、会社設立間もない頃から講師陣が毎年テキストを改訂し、試験制度の変化や法令改正にきめ細かく対応することで他社との差別化を図り受講生の支持を得てきた。事業が200億円規模になると、毎年発生するテキスト改訂コストを吸収することが可能だが、新規参入を考える企業はもちろん、同社よりも事業規模の劣る同業者にとっても、テキストを毎年改訂することは大きな負担である(ノウハウの蓄積が進み高い生産性を実現していることも強みとなっている)。
 
(2)積極的な講座開発と充実したラインナップ
同社は大学生市場の開拓も含めて積極的に新しい分野(新講座の開設)にチャレンジすることで業界トップに上り詰め、業界初の株式上場を果たした。また、09年には、Wセミナーの資格取得支援事業を譲受し、従来手薄だった法律系講座や公務員試験のラインナップを拡充した。法律系講座及び公務員講座は、会計系3講座(公認会計士、税理士、簿記検定)と共に3本柱を形成し、マーケットの大きい3本柱を中心に多様な講座をラインナップしている。
 
(3)受講生中心主義の下でのサービスの先進性
サービスの先進性も同社の強みである。教育メディアや講師を受講生が自由に選択できるシステムを、資格取得学校市場で最初に導入したのは同社である。その背景にある受講生中心主義の経営姿勢は、テキストの品質と共に、「資格の学校TAC」のブランド醸成に一役買っている。
 
 
 
 
同社のROEは前々期、前期共に非常に高い水準にある。ただ、前々期は特別利益に移転補償金17億円が計上された影響がある。一方それがなくなった前期も21.9%と東証1部の平均を大きく上回る。
ただ、要因を見てみると、前々期の6.59から4.79へと低下はしているが有利子負債増等によるレバレッジが効いていることが高ROEの背景にある。今後は売上高利益率の向上も期待したい。
 
 
2015年3月期第2四半期決算概要
 
売上高について
各講座の受講者は受講申込時に受講料全額を払い込む必要があり(同社では、前受金調整前売上高、あるいは現金ベース売上高と呼ぶ)、同社はこれをいったん「前受金」として貸借対照表・負債の部に計上する。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金が月毎に売上に振り替えられる(同社では、前受金調整後売上高、あるいは発生ベース売上高と呼ぶ)。損益計算書に計上される売上高は、「発生ベース売上高(前受金調整後売上高)」だが、その決算期間のサービスや商品の販売状況は現金ベース売上高(前受金調整前売上高)に反映され(現金収入を伴うためキャッシュ・フローの面では大きく異なるが、受注産業における受注高に似ている)、その後の売上高の先行指標となる。このため、同社では経営指標として現金ベース売上高(前受金調整前売上高)を重視している。
 
 
消費税増税の反動減大きく、コスト削減進めるも減収・減益
現金ベース売上高は前年同期比9.6%減の96億91百万円。発生ベース売上高は同6.7%減の103億61百万円。
消費税増税前の駆け込み需要(売上)は単体で5億73百万円あったが、反動減が大きく減収となった。
講師料を中心として売上原価を同99百万円(1.6%減)削減したものの、販管費はほぼ前年同水準の35億60百万円となった結果、営業利益は同47.1%減少の788百万円となった。
円安に伴う保有債券の償還により有価証券運用益2億13百万円があったが、支払利息負担16百万円、持分法による投資損失9百万円などもあり経常利益も同約4割減少の933百万円となり、四半期純利益も同じく約4割減少の574百万円となった。
 
 
【個人教育事業】
現金ベース売上高は前年同期比13.7%減少の62億95百万円。
税理士講座、公務員講座、司法書士講座、公認会計士講座などが、消費税増税の駆け込み申込みの反動で大きく減少した。
講師料、教材制作のための外注費、賃借料等の営業費用を2億13百万円削減(同3.2%減少)し、65億9百万円としたものの効果は限定的で、現金ベースの営業損失は2億13百万円となった。前年同期は営業利益5億69百万円。
発生ベースの売上高は同10.1%減少の69億27百万円、営業利益は同57.3%減少の4億18百万円だった。
 
【法人研修事業】
現金ベース売上高は前年同期比3.5%減少の22億20百万円。
法人研修事業セグメント売上高の5割強を占める企業研修は、アベノミクスによる景気回復を追い風に企業が採用人員を増加させたことから内定者研修や新人研修の受注が好調だったが、地方の不採算案件を一部受注しなかったこともあり、同1.3%減となった。
各分野別では、簿記会計研修が同4.1%減、情報処理研修が同12.0%減、法律系研修が同7.5%減と不振だったが、税務系研修(同36.5%増)、CompTIA研修(13.3%増)は好調だった。
提携校事業は税理士、司法書士、公務員などの駆け込み申込みの反動のため同11.1%の減少となり、地方の専門学校に対するコンテンツ提供も同様の理由で同18.3%のマイナスとなった。提携校数は2014年9月末現在15校。
一方大学内セミナーは、同4.3%増と好調だった。就職状況の好転に伴い大学間の競争が激しくなってきており、少しでも学生の就職の成果を上げるために各大学ともセミナーの強化を進めていることが背景にある。
この他では、自治体からの委託訓練は同1.7%の減少だったが、消費税ソフトのバージョンアップという特需も追い風となった税務申告ソフト「魔法陣」が同25.5%増と好調だった。
積極的営業展開によりコストが先行し、現金ベースの営業利益は同14.2%減少の6億24百万円となった。
発生ベースでは売上高22億58百万円(同変わらず)、営業利益6億61百万円(同5.7%減)となった。
 
【出版事業】
売上高は前年同期比2.9%増加の9億21百万円。(同事業では、前受金調整がないため現金ベースと発生ベースの売上高は一致する。)
前期に約4億円の在庫圧縮を行ったが、今期も刊行点数を絞り込んでいる。第2四半期の刊行点数は「TAC出版」が179点(前年同期は184点)、子会社による「W出版」が58点(同63点)とした。刊行点数の減少を商品力や販売力の強化で補い増収を維持するために、書店向けの提案営業、直販サイト「サイバーブックストア」やアマゾンでの販売強化などに力を入れた。また、これまで簿記・FPで好評だったフルカラー4色刷りのテキストを第2四半期には宅建でも刊行し、好調な出足となっているほか、低価格・独学志向の受験者に向けて、出版物からTAC講座へ誘導するための商品パッケージとして「独学道場」の拡販を進めており増収となった。
増収ではあったが、フルカラー化のための製作費などが先行したため営業利益は同16.3%減少の2億43百万円となった。
 
【人材事業】
売上高は前年同期比10.7%増加の2億72百万円。
子会社の(株)TACプロフェッションバンクが手掛ける人材事業は、景気回復に伴い会計業界の人材ニーズが高まっており、会計士・税理士受験者向けの就職説明会への出展が好調で求人広告売上は同10.2%増加。人材紹介は微減。人材派遣は就職環境の好転により正社員志向が強まったこと等による登録者減少で同34.9%の減収となった。
増収ではあったが、営業費用も増加し、営業利益は同74.6%減少の15百万円となった。
2014年6月30日に買収した株式会社クボ医療及び株式会社医療事務スタッフ関西が行う医療事務関係の人材派遣については、この第2四半期から連結を開始しており、両社合計の売上高(単体)は55百万円、営業利益は33百万円の損失となっている。
 
 
【マーケット概要】
当社が取り扱う各種資格試験の2013年の本試験申込者は2,620千人(前年比 -3.4%)と3年連続して減少。
2014年の途中経過は以下の様な概況となっている。
<減少>
公認会計士10,870人(前年比 2.3千人減少)、税理士49,876人(同5.4千人減少)、公務員(国家総合・一般)80,449人(同2.2千人減少)など。株式市場の上昇などで新規公開企業数も増加しており、監査法人の求人ニーズは旺盛で環境は好転。タイムラグはあるものの、公認会計士資格は底に近いと会社側はみている。ただ、後述するように、景気回復に伴い一般民間企業の給与を含めた雇用条件面での比較から受験者数の増加度合いはいまだ不透明ともいえる。公務員も同様に民間企業への就職人気上昇に伴い受験者数は減少傾向にある。

<増加>
宅建238,343人(同3.7千人増加)、予備試験(司法試験)12,622人(同1.3千人増加)など。ロースクールも減少傾向が続いているが、教育訓練給付制度拡充が追い風となっている。
この他、同社が近年力を入れている教員採用試験の申込者は毎年15万人前後で安定的に推移している。
(以下、同社動向。)
 
財務・会計分野
発生ベース売上高は前年同期比16.5%減少の14億72百万円。
公認会計士試験については、新規株式公開件数の回復等を背景に大手4大監査法人は昨年から積極採用姿勢に転じ、本試験合格者はほぼ全員が採用されている。ただ、リーマン・ショック後にリストラ実施と共に給与水準を引き下げた大手監査法人の新人の給与水準が、民間企業の条件との兼ね合いで魅力度が薄れてきているという見方もあり、これが新規学習者向け入門コースでの受講申込み停滞につながっている。この結果公認会計士試験講座の現金ベース売上高は前年同期比12.3%の減少となった。
簿記検定講座は、難易度の高い日商1級コースのニーズが大幅に低下した。
 
経営・税務分野
発生ベース売上高は前年同期比8.2%減の22億72百万円。
平成26年の税理士試験の受験申込者数は49,876名(前年比9.9%減、国税庁発表速報値)と、例年5%程度の減少率を大きく下回った。同社の講座申込みについては、日商簿記2級の合格率改善を背景に、公認会計士講座の簿記入門と統合した新コースの投入や、夜の時間帯の講義時間を変更して受講しやすくする等の施策を打ったが、本試験受験者数減少の影響を大きく受け、現金ベース売上高は同14.3%減となった。
中小企業診断士講座は、主流の1次・2次ストレート本科生の申込みが低調に推移した。
 
金融・不動産分野
発生ベース売上高は前年同期比5.8%増の15億50百万円。
景気回復や不動産市場の活発化の恩恵を受け、駆け込み申込みの反動減の影響は他の分野と比較して小幅にとどまっており、不動産鑑定士はほぼ前年並み、宅建主任者の現金ベース売上高は同4.1%増となった。開講3年目に入る建築士講座は、認知度向上に伴い受講申込みが急増し、現金ベース売上高は同3.9倍となった。FP講座は、出版物が好調で現金ベース売上高は同1.6%増、証券アナリスト講座はNISA(少額投資非課税制度)の特需効果が薄れてきたため現金ベースで数百万円の減収となった。ビジネススクール講座は、法人研修部門で地方の採算割れ案件を打ち切ったため減収ではあるが、現金ベース売上高は同5.4%減と減収幅は縮小している。ヒューマンスキル講座は、需要の谷間となり現金ベース売上高は同23.7%減となった。
 
法律分野
発生ベース売上高は前年同期比16.0%減の9億61万円。
予備試験受験者数が約12,600人を超えるなど法科大学院よりも人気が出てきており、事業環境に明るい兆しも見えてきた司法試験講座においては、同社の「4A基礎講座」も初心者を中心に底堅く推移しており現金ベース売上高は同7.4%減となり、減収幅は第1四半期から縮小した。ただ、消費増税の反動減は他の法律系資格で厳しく、現金ベース売上高は、司法書士講座は同19.1%減、行政書士講座は同21.0%減となっている。弁理士講座は、国の政策として過去数年間、高い合格率で推移してきたが、昨年来、合格者を絞るように試験が難化しているため受講申込みが減少し、現金ベース売上高は同19.7%減となった。また、法律系資格の入口にあたるビジネス実務法務検定講座も低迷している。
 
公務員・労務分野
発生ベース売上高は前年同期比5.0%減の27億26百万円。
社会保険労務士講座は、本試験難化傾向に対応して手厚いカリキュラムにして第1四半期に投入した「総合本科生Wide」が好評だったが、第2四半期に入って失速し、現金ベース売上高は同8.6%減となった。
公務員講座は、第1四半期からは回復してきたものの、国家総合職・外務専門職コースが大学3年生向け本科生の動きが鈍り、現金ベース売上高は同10.5%減に、国家一般職・地方上級コースも、民間の就職状況が好転しているためニーズが低下し、現金ベース売上高は同10.1%減となった。ただ、3月末までに申し込みのあった公務員講座の前受金の戻りが大きく、発生ベースでは同5.0%減にまで戻している。
 
情報・国際分野
発生ベース売上高は前年同期比9.4%減の7億9百万円。
情報処理講座は、委託訓練は好調だったが、企業研修が伸び悩むとともに、個人向けではITパスポートなど初心者向けコースは通信系へのシフトが多く、高度系の試験区分が低調で、情報処理講座全体の現金ベース売上高は同9.6%減となった。一方、CompTIA講座は、メインの企業研修が好調で現金ベース売上高は同7.3%増となり、米国公認会計士講座は、試験制度変更に関する情報提供遅れから受講者数が伸び悩み、現金ベース売上高は同20.0%減となった。
 
その他
売上高(現金ベース売上高=発生ベース売上高)は前年同期比12.0%増加の6億68百万円。
税務申告ソフト「魔法陣」は消費税ソフトのバージョンアップがあり売上高は好調に推移し同25.4%増となった。また、出版物ではTACBOOKで時機を捉えた企画ものが好評で、同2.5倍となった。
一方、人材子会社TACプロフェッションバンクが行う人材ビジネスについては、夏の会計業界向け就職説明会を含む広告売上高が前年を上回ったが、登録者数減少で派遣売上が低迷した。一方、2014年6月30日に買収した株式会社医療事務スタッフ関西が行う医療事務関係の人材派遣等に関しては、第2四半期における売上高55百万円を人材関連売上として連結業績に組み込んでいるため、人材関連売上は同12.6%増となった。
 
 
第2四半期における受講者数は、依然として駆け込み申込みの反動減の影響が大きく、前年同期比6.8%減の119,516名となった。
個人受講者は同6.6%減の84,216名、法人受講者は同7.3%減少の35,300名となった。第1四半期に比べると減少率は縮小した。
個人・法人を合わせた講座別では、簿記検定講座同11.9%減、税理士講座同11.4%減、法律系の入口資格であるビジネス実務法務講座同21.1%減、司法試験講座同22.5%減、司法書士講座同14.1%減、弁理士講座同12.3%減、行政書士講座同16.5%減、と会計系講座および法律系講座とも大きく減少した。また、社会保険労務士講座も同5.8%減少した。
公務員講座は、国家総合職・外務専門職コースが同17.2%減となったものの、売上への貢献が最も大きい国家一般職・地方上級コースは、春の特別セミナーが盛況で同9.5%増加した。
金融・不動産分野では、不動産鑑定士講座や証券アナリスト講座は減少したが、宅建主任者講座は同2.8%増、ビジネススクールが同5.1%増となったほか、認知度が向上してきた建築士講座は同86.2%と大幅な増加となった。
法人受講者は、通信型研修が好調で同1.7%増となったが、自治体等の委託訓練が微減、提携校は同15.8%減となった。
 
 
売上債権、有形固定資産(本社ビル取得に伴う建設仮勘定)、無形固定資産(M&Aに伴うのれん)等で総資産は前期末比4億39百万円増加の190億71百万円。
有利子負債の増加はあったが、未払費用、前受金の減少等で負債合計は1億26百万円減少の143億36百万円となった。
純資産は利益剰余金の増加で5億66百万円増加の47億34百万円。
この結果、自己資本比率は前期末より2.5%上昇の24.8%となった。

なお、第2四半期末有利子負債残高は表のように52億89百万円であり、これに加え、本社ビル取得にあたり、第3四半期に残金30億円を長期借入金により調達する予定だが、家賃削減額2億円強、円安に伴う有価証券の償還により相当程度の返済原資は確保可能と会社側は考えている。
 
 
営業CFは利益の減少などでマイナスに転じた。投資CFも有形固定資産の取得、子会社株式の取得などでマイナスとなった。
財務CFは短期借入金の増加、長期借入金の返済増加などでプラス幅が縮小した。
キャッシュポジションは上昇。
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更無いが利益の進捗は順調。営業利益ベースで微減収・微増益を見込む。
第2四半期(累計)の通期見通しに対する進捗率は上記のように、特に利益において順調だが、業績予想に変更は加えていない。
利益構成が上期・下期でおおよそ6.5:3.5程度であることに加え、駆け込み申込みの反動減の影響が消えるまでどの程度時間がかかるか不透明な部分も多いため、慎重に見ているということだ。
下期もコスト削減努力を継続する。配当は前期と同じく1.0円/株の予定。
 
(2)中長期の取組み
これまでの同社の柱であった会計系、法律系受講者数の大幅な増加が望みにくい中、下記のような取り組みを進め売上・利益の拡大を図っていく。
 
①教員試験対策講座の収益化
開講1年が経過した今期、約600億円(同社推定)という巨大な市場開拓に本格的に取組んでいく。
競合の状況も見据えながら価格訴求と、「資格のTAC」というブランド力を武器にシェア拡大を目指す。
 
②オンラインスクールによる学習者増の拡大
2013年5月に設立した子会社(株)オンラインスクールがスマートフォンやタブレットなどをメインデバイスとした新しいオンライン教育サービス「オンスク.jp」をリリース、「無料で」、「簡単に」、「始めやすい」をコンセプトに、「いつでも・どこでも・誰でも」気軽に始められ、スマホを使ってスキマ時間に資格取得の学習ができる、という新しい学習の形を提供している。

無料で受講を開始し、より興味・関心が深まれば有料講座を受講してもらうという流れを目指している。
現在、「日商簿記3級」、「FP技能3級」、「ビジネス実務法務検定3級」、「証券外務員二種」、「宅建」のアプリをリリースしているが、今後も、「販売士3級」、「衛生管理者」、「危険物取扱者(乙種4類)」等を順次リリースする予定。
 
③医療・介護系分野への進出&人材ビジネスの拡大
2014年6月にM&A、子会社化した2社(株式会社医療事務スタッフ関西、株式会社クボ医療)を活用し、新規分野での事業拡大を進める。
 
◎医療事務講座を開講
2015年1月より関西地区で「医療事務講座」を開講する。
医療事務スタッフ関西は、関西圏を中心に40 年にわたり医科及び歯科の診療報酬請求業務、医療事務の請負、派遣業を行ってきた。これまでも医療事務関係の求職者に医療事務のスキル・ノウハウを教授してきたが、増加する医療事務関係のニーズを満たすには、より大規模・広範囲に医療事務関係の講座を展開する必要があった。
TACは会計系・法律系・公務員系に続く、成長分野である医療・介護関係分野への進出のため、医療事務スタッフ関西のノウハウを得て医療事務講座を開講することとした。
 
 
医療事務職員数は高齢化社会の到来によって年々増加傾向にあり、厚生労働省の調べによれば2012年の医療事務従事者数は約19万人で2005年からは約3割増加している。また、少し古い数字となるが、矢野経済研究所では医療事務の市場規模を2010年で1,880億円と推計している。医療事務のスキル・ノウハウを有する人材は病院、診療所のみでなく医療事務代行会社や審査支払機関、地方自治体、独立行政法人、医療ソフト開発メーカー等、多彩な職場で活躍することができる点は受講者にとって大きな魅力になっている。
子会社TACプロフェッションバンクとも連携し、人材ビジネスの拡大も図る考えだ。
 
◎介護系資格取得支援事業を開始
株式会社トーハン・コンサルティングと業務提携し、トーハン・コンサルティングが展開してきた介護系資格取得教室をTACの主要校舎で開講することに協力することとした。

<業務提携の理由>
トーハン・コンサルティングは、東京都から訪問介護員(ホームヘルパー)養成研修の認可(指定)を受け、2011年10月に足立区北千住で「介護教室ケアマイスター北千住校」を開校した。その後、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)、介護支援専門員、介護福祉士国家試験受験講座、介護マナーセミナー等を開催し、地域の介護支援に資する多くの修了生を輩出。現在、錦糸町校(2012年9月開校)とあわせ2校を運営している。
今回の業務提携により、トーハン・コンサルティングは全国のTAC 校舎で「介護教室ケアマイスター TAC教室」という名称で介護系資格取得教室を開講する予定。
まず2015年1月に東京都内で「新宿教室」及び「池袋教室」を開講し、順次開講エリアを拡大する。TACは、トーハン・コンサルティングが展開する講座に対して、施設の提供と会場運営を担当する。
この業務提携により、トーハン・コンサルティングの介護系資格講座コンテンツとTACの資格取得スクール運営ノウハウというお互いの強みを結合させ、より多くの優秀な介護人材を養成し、地域の介護事業者と共に、今後の高齢者介護に大きく貢献するとともに、新分野での事業拡大を目指す考え。

<業務提携の内容>
トーハン・コンサルティングが主体となって開講する介護職員初任者研修等資格取得のための講座を展開するにあたり、TACは一部のTAC直営校において施設の提供及び会場運営を行う。そのため、TACにおいて介護講習用設備等の設備投資負担は発生しない。また、今期業績に与える影響は軽微である。
 
 
 
④事業構造改革の継続的実施
事業構造改革は一段落したが、今期以降も継続的に実施し、企業体質の強化を図る。
拠点床面積の継続的な見直しや業務効率化などによる合理的な水準へのコスト・コントロールを進めるほか、本社ビル(土地・建物)を33億円で取得することとした(引渡しは12月の予定)。

このビルは新築以来、年間216百万円で賃借してきた。
取得後はこの賃料が削減される一方、建物部分に係る減価償却費などを勘案すると、営業損益は約170百万円の改善を見込んでいる。
また、営業外損益では物件購入のための借入に係る利息負担が新たに発生する。
税金考慮後のキャッシュ・フローベースで流出抑制は130百万円程度の見込み。
 
(3)トピックス
◎増進会出版との業務提携の進捗
2013年12月に(株)増進会出版社と資本・業務提携を行ったが、現在3つのプロジェクトが進行している。
①公務員、会計士講座商品の共同開発(2015年内リリース予定)
②英語コンテンツの企業・大学への営業
③マーケティング活動での協調(2015年春を目指して準備中)

「資格のTAC」というブランドを活かし、英語コンテンツで、TOEICやTOEFLといった英語検定試験の受講者獲得増加を目指している。英語コンテンツにおいては、通常の英会話に加え、貿易実務講座なども開講している同社には顧客側から実務英語のリクエストもあるということで、実務経験が豊富な適切な講師の確保という課題はあるものの、他の英会話学校との差別化要因の一つとなり得ると会社側は考えている。また、マーケティングにおいては、増進会出版社グループの通信教育「Z会」を卒業した大学新入生に対し、将来の資格取得の重要性を早い段階から訴えることを主眼としていく。
 
◎国際規格「ISO29990」の取得
同社は国際規格「ISO29990」を取得している。
これは、国際標準機構が学習サービスの品質を客観的に評価する国際規格で、これを基に、受講生に良質で安心なサービスを提供するための「TAC学習サービス品質方針」を掲げている。
 
 
 
今後の注目点
対前年同期比で見ると大幅な減益であったが、消費税増税の駈け込み申込みの反動は予想の範囲内で、期初時点での会社側計画がかなり慎重だったということもあるだろうが、進捗率も特に利益に関してはかなり進んでいる。
ただ、市場全体が戻り高値を更新する中で同社株価は年初来安値を更新するという状況であり、やはり短期・中期での業績に関する期待感が持てないというのが現時点での投資家の判断となっているようだ。
そうした意味で、増進会出版社とのアライアンスおよび新規分野となる医療事務分野での早期の成果が見られれば、株価指標面から投資家の見方も変わるかもしれない。