ブリッジレポート
(3031:東証マザーズ) ラクーン 企業HP
小方 功 社長
小方 功 社長

【ブリッジレポート vol.30】2015年4月期第2四半期業績レポート
取材概要「過去4期の上期進捗率(実績ベース)は、概ね40%前後であるが、今期は既に50%(対予想ベース)を超えている。スーパーデリバリーの安定推・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年12月24日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ラクーン
社長
小方 功
所在地
東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目 14 番 14 号
事業内容
「企業活動を効率化し便利にする」を企業理念に、インターネット上でB to B(企業間電子商取引)市場「スーパーデリバリー」を運営。「売掛債権保証事業も手掛ける。
決算期
4月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年4月 10,245 247 248 123
2013年4月 9,790 181 176 133
2012年4月 9,101 140 133 109
2011年4月 8,057 125 116 160
2010年4月 7,642 102 102 108
2009年4月 7,018 93 93 89
2008年4月 5,662 -158 -158 -160
2007年4月 3,334 -205 -203 -305
2006年4月 2,289 131 95 122
2005年4月 1,247 26 23 45
2004年4月 890 -56 -57 -58
2003年4月 621 -104 -105 -130
2002年4月 494 -192 -193 -200
2001年4月 204 -171 -175 -179
株式情報(12/12現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
509円 5,860,154株 2,982百万円 8.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
5.30 1.0% 24.81〜26.52円 19.6〜20.9倍 264.17円 2.0倍
※株価は12/12終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROE、BPS、PBRは前期末実績。
 
東証マザーズ上場、株式会社ラクーンの2015年4月期第2四半期決算概要などについて、ご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
中小企業間の取引を便利でスムーズに行うためのサービスを提供する企業として、インターネット上でB to B(企業間電子商取引)市場である「スーパーデリバリー」というWebサイトを運営している。
「スーパーデリバリー」は、アパレル、雑貨を中心にメーカー、インポーター等の出展企業の取扱う商品を、全国の中小規模小売店に販売している。

また、2010年11月に売掛債権保証事業を行っている(株)トラスト&グロースを子会社化。これによって中小企業間決済事業を新たな事業ドメインと位置づけし、本格的に取組を開始し、更に2011年10月から、企業間取引を安心かつスムーズにする後払い決済サービス「Paid(ペイド)」の提供を開始している。2014年3月からは、第4番目のサービスとして、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツール「COREC(コレック)」の提供を開始した。
 
【経営理念】
経営理念を「企業活動を効率化し便利にする」に刷新した。企業間取引に関し、これまで培ってきた情報と決済に関するノウハウを活かし、企業活動を効率化し便利にする仕組みを今後も提案していくというビジョンを表している。

小方社長は創業後、企業としての方向性をしっかり定め、経営者としてやっていく決意を固めるまでは安易に人を増やすべきではないという考えから従業員を一人も雇用せず、自分一人で同社を運営してきたが、方向性と決意が定まった2000年に初めて正社員30名を採用した。
当時の日本のEC業界は、米国に先例がある訳でもなく、自らがゼロから作り上げていかなければならない黎明期であったが、この最初のメンバーが中心となって、日本のB to B ECを作り上げてきた。
同社においては、EC専門家の彼らが最大の経営資源であると小方社長は考えている。
今後、新しいビジネスモデルを創造していくにあたり、企業領域を明確にしていく必要性があると考え、経営理念を刷新することとした。
重要なポイントは以下の2点。
 
①事業領域の明確化の必要性
既存事業とのシナジーは特に意識しないが、同社のコア・コンピタンスであるノウハウを活用しながら、「中小企業向けB to Bインフラ」であること、「ECと決済の専門知識」を活かすものであること、に事業領域を絞りこむ。
 
②企業間取引のインフラサービス企業としての総合サービス化への転換
存在して当たり前のインフラとなるべく、今回の新サービス「COREC」に続き、第5、第6、第7と制限を設けず、新サービスを提供し続け、これまで以上に、よりインフラサービス業へと進化していく。
 
【事業内容】
「EC事業」、「Paid事業」、「売掛債権保証事業」の3セグメントで構成されている。
 
(1)「EC事業」
「スーパーデリバリー」はファッション・雑貨業界のメーカーと小売店が出会い、継続して取引を行うことができるB to B(企業間取引)サイトである。サイトを利用することで、これまで取引のできなかったメーカーと小売店に新たな取引機会が生まれ、さらに新商品の紹介や受発注のやりとりも効率化される。また、代金はスーパーデリバリーが小売店から回収し、メーカーへまとめて支払うことから、未回収リスクのない取引の実現が可能となる。

スーパーデリバリーに参加するためには、同社の審査をパスする必要がある。
この点、同業他社の中には「数=取引量の拡大」を最優先とし、ネット小売店を中心に緩い審査基準で加盟店を数多く集める事に注力しているところもあるが、同社の場合は、「質」と「数」のバランスを重視するため小売店に関しては、ネット小売店ではなく、実際に店舗を運営している小売店であるか?などを中心に審査を行っている。
また、サプライヤーに関しても、質の高さを重視している。スーパーデリバリーの立ち上げ当初は質の高い、ブランドを確立したサプライヤーは、他のそうでないサプライヤーと共に並べられるのを嫌がり、参加を拒むケースもあったが、現在では他のサプライヤーの質も高い事が理解され、そうしたことは無くなっている。小売店にとっても、質の高いサプライヤーと取引出来る点が大きなメリットとなっている。
B to C取引と異なり、B to B取引は、取引量を拡大させるためには、リピート取引を如何にして拡大させるかがカギとなるため、マーケットのクオリティ向上が最も重要であると同社は考えており、この点が同業他社との大きな違いの一つとなっている。

また、同社はEC企業ではあるが、他社が、ECのマーケットプレイスを開設・運営するシステム会社という側面が極めて強いのに対し、同社はただ単にそれにとどまらず、アパレル・雑貨を中心とした商品知識、業界知識がきわめて豊富な点も、他社との違いとなっている。
「スーパーデリバリー」の収益は、出展企業から得る出展基本料(月額4万円)、会員小売店から得る小売店月会費(月額2千円)、出展企業からのシステム利用料(会員小売店に卸した商品代金の10%)の3つから成っている。

商品は出展企業が会員小売店に直接配送するが、代金に関しては同社が出展企業の代わりに会員小売店から代金を回収し、出展企業に支払うため、売上高として商品代金を計上し、システム利用料を控除した額を売上原価として計上する総額計上を行っていたが、2015年4月期第1四半期より、売上表示を従来の総額表示から純額表示に変更した。純額表示における売上高は、出展企業から徴収するシステム利用料売上となる。
サービスの種類も増加しておりインフラサービス提供企業としてのポジショニングを明確にすることが目的。またマーケットプレイス事業を手掛ける同業他社との比較も容易になり投資家のメリットも大きいと判断した。

2014年10月末での会員小売店数 42,603店舗(前期末比2,162店舗増)、出展企業数1,043社(同95社増)、商材掲載数444,078点(同9,038点減)となっている。

2014年3月には、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツールサービス「COREC(コレック)」を同事業内でスタートさせた。
 
(2)Paid事業
「Paid」は企業間取引の非効率な管理プロセスや内在する信用リスクを解消する決済サービス。
Paidを利用することで、バイヤーはすべての加盟企業と締め支払いで取引が可能となり、効率的にかつ運転資金にゆとりを持った取引が実現できる。サプライヤーは登録するバイヤーと代金未回収のリスクや請求督促の手間なく決済ができ、効率的かつ安全で顧客に喜ばれる取引が可能となる。
 
(3)「売掛債権保証事業」
「売掛債権保証事業」は、11年4月期第3四半期から子会社化した(株)トラスト&グロースにおいて行っている事業である。「T&G売掛保証サービス」は、取引先が倒産した場合に、あらかじめ保証を掛けておけば、保証の枠の中で同社が損害分を代わって支払いするサービス。審査に際して、取引先に対する直接的なヒアリングや取引先からの申し込みなどは一切必要がない。独自の与信判断により90%以上の高い承認率を実現し、審査依頼から2営業日程度で回答も得られる。更に、顧客の商習慣に合わせた保証内容のカスタマイズが可能と利便性も高い。
2014年10月末の保証残高は4,833百万円(前期末比3.1%増)となっている。
 
 
2015年4月期第2四半期決算概要
 
 
3事業とも増収。コストコントロールも奏功し大幅増益。
売上高は前年同期比6.6%増加の996百万円。3事業共に増収。利益率の高い売掛債権保証事業が伸びたため、粗利率は2.5%上昇した。同事業での営業力強化のために人件費が増加したものの、全般的に販管費はコントロールすることが出来たため、営業利益以下大幅な増益となった。大阪支社移転に伴う移転費用5百万円を特別損失に計上した。
前述のように、売上高の表示を今第1四半期より純額表示に変更した。売上高が「システム利用料」となるに伴い、売上原価もインフラ提供機能に直接関連する経費を計上する。ただ、営業利益以下の利益に与える影響はない。売上高利益率は大幅に向上している。
 
 
◎EC事業
売上高は前年同期比3.4%増の760百万円。営業利益は同32.4%増の88百万円。
スーパーデリバリーの流通額は同6.1%増の46億97百万円と安定して成長している。
出展企業数は新規出店が同2.5倍と大幅に増加した一方、退店が同半減したことで、前期末比95社増加の1,043社と計画を上回り、大幅に増加した。前期より営業体制を変更し、営業とMD(専門知識を持ったマーチャンダイザー)が一体となって出展企業の獲得に取り組んでいるが、これが信頼性およびブランド価値の向上に結び付き効果を発揮している。
2010年より会員小売店および出展企業ともに、量よりも質を重視する方針に転換した結果、購入者数、客単価、1社当たりの販売額は横這いの状況が続いていたが、「質の高さ」を出展企業、会員小売店が共に評価するようになった結果、前期より上向きつつあり、安定成長ステージに入ったと会社側は考えている。

2014年3月よりサービス提供を始めた「COREC(コレック)」は、9月より有料プランの課金がスタートした。
まだ種蒔きの段階であるため、知名度向上とユーザー獲得に注力している。
2014年10月末のユーザー数は1,110社となった。
 
◎Paid事業
売上高は前年同期比30.9%増の125百万円。営業損失は11百万円だが、前年同期より大幅に損失は縮小した。
様々なニーズに対応するソリューション営業による加盟企業の増加と、システムの利便性を高めて獲得した加盟企業の稼働率向上に注力した結果、取引高は4,901百万円と同29.2%増加した。
今期中の単月黒字化が見えてきたということだ。
 
◎売掛債権保証事業
売上高は前年同期比12.1%増加の268百万円。営業利益は同62.8%増の48百万円。
代理店経由のクライアントの新規契約が伸びており、7月末に消費増税の駆け込み需要の反動で減少した保証残高が復調した。
クライアントの窓口を広げるための積極的な業務提携を進めている。
 
 
現預金などの増加で流動資産は前期末に比べ335百万円増加。固定資産に大きな変化は無く、資産合計は同354百万円増加の3,582百万円となった。
負債面では、短期借入金が同158百万円減少した一方、長期借入金が同140百万円増加した。買掛金の増加などで負債合計は同281百万円増加の1,964百万円となった。純資産は利益剰余金等の増加で同72百万円増加の1,617百万円。
この結果、自己資本比率は前期末より2.7%低下の45.1%となった。
 
 
利益増、売上債権減、仕入債務増加幅拡大などで営業CFのプラス幅は前年同期よりも拡大し、投資CFのマイナス幅はほぼ同水準だった結果、フリーCFのプラス幅は拡大した。財務CFは長期借入金の返済額減少などでマイナス幅は縮小した。キャッシュポジションは上昇。
 
(4)トピックス
◎Square株式会社との業務提携契約締結
2014年10月、スマートフォンやタブレット端末で利用するクレジットカード決済対応のPOSレジ「Squareレジ」サービスを提供するSquare株式会社と業務提携契約を締結した。

提携内容は、ファッション・雑貨の小売店向け仕入れサイト「スーパーデリバリー」とクラウド受発注ツール「COREC」がそれぞれ、Square株式会社が提供するスマートフォンやタブレット端末で利用するクレジットカード決済対応のPOSレジ「Squareレジ」とデータ連携するというもの。

今後、スーパーデリバリーを利用する小売店は「スーパーデリバリー」と「Squareレジ」または「COREC」と「Squareレジ」の組み合わせを利用することで、仕入れや発注した商品の情報が自動的にSquareレジに登録され、仕入れの度にレジの商品情報を更新しなくても済むようになる。
また、Squareアナリティクスで売上管理と分析が簡単にできるため、売れ筋商品が一目で分かり、データに基づき新たな商品を発注できる。さらに店舗の在庫状況を把握し、COREC上でクリックのみでオーダーができるようになる。
これにより、小売店は仕入れから在庫管理にかかる作業時間を節約でき、効率的な仕入れと販売が可能となる。

こうした利便性の向上により、「スーパーデリバリー」および「COREC」の利用ニーズが高まり、両サービスの事業規模拡大に貢献すると考えている。
 
 
◎売掛債権保証事業の提携先拡大
同事業を展開する子会社(株)トラスト&グロースは、事業拡大のための業務提携を積極的に推進している。
 
*愛媛銀行(2014年9月)
愛媛銀行が、トラスト&グロースの売掛債権保証サービスである「T&G売掛保証」の紹介業務を行う。
今回の業務提携により、愛媛銀行は多様な金融サービスを充実させることが可能になり、一方、トラスト&グロースは、愛媛銀行の顧客企業に対して、効果的に「T&G 売掛保証」を提供することで保証残高の拡大に結び付ける。
 
*スタンドファーム株式会社(2014年11月)
スタンドファームは、クラウド請求書管理サービス「Misoca」を運営している。Misocaは初期費用、月額費用ともに無料で利用できる請求書管理サービスで、見積書や請求書がWEB上で簡単に作成でき、作った請求書はPDF送信や郵送が可能で、2014年10月の時点で20,000以上の事業者が登録している。
今回の業務提携では、Misocaでの請求書作成や発送と同時に、画面上から保証依頼ができるようになり、Misoca登録事業者は請求書ごとにワンストップで保証依頼をかけることが可能となり、取引先から入金がされなかった場合でも、トラスト&グロースより支払いを受けることができるため、リスクのない取引が可能となる。
Misocaユーザーは小規模事業者が多く、トラスト&グロースは新しいターゲット層獲得を目指し今回のアライアンスを推進した。一つ一つの事業者が小規模なため費用対効果の面から直接営業するにはアプローチしづらい層であるが、競合他社も少ない市場であり、今回の連携によって、未開拓市場へ効率的にアプローチできると期待している。

この他、全国の運送業者をターゲットとして物流ネットワークサービスを展開するトラボックス(株)とも業務提携契約を締結するなど、提携先を多様化させ保証残高の拡大加速を目指している。
 
 
2015年4月期業績予想
 
 
通期見通しに変更無し。今期も増収・増益を継続
通期見通しに変更は無い。売掛債権保証事業が引き続き好調なのに加え、スーパーデリバリーの安定成長、Paid事業の拡大で増収を見込んでいる。一方、売掛債権保証事業における人員増に伴う販管費の増加の他、スーパーデリバリーの伸長度合および新サービス「COREC」の立ち上がりについて堅めに見ているため、増益率は前期を下回ると見ている。
期末配当予想は未定としていたが、2015年4月期業績は堅調に推移しているため、前期実績より1.05円/株増配の、5.30円/株の配当を実施することとした。予想配当性向は20.0%〜21.3%。
 
(2)下期の取組み
◎スーパーデリバリー
前述の通り、質を重視したマーケティングを行う中でも出展企業数が拡大しており、安定成長軌道に入ってきた。
Square(株)との業務提携による利便性の向上などで更に顧客ベースを拡大し成長率を引き上げる。
また海外小売店への販売を徐々に強化すると共に、出展企業が商品登録をより簡単に出来るようなシステムをリリースした。
 
◎Paid
単月および四半期ベースでの黒字化が見えてきた。
ソリューション営業による加盟企業の獲得を推進すると共に、稼動率の向上に取り組む。
第2の主力事業へと早期の育成を目指す。
 
◎売掛債権保証事業
保証残高の拡大を加速していくため、更に業務提携を積極的に推進していく。
 
◎COREC
知名度向上、機能向上によりユーザー数の増加加速を最優先課題として取り組んでいる。
知名度向上には、Square社との業務提携やSNSの活用を、機能向上には、ユーザーの声を丹念に吸い上げて基本機能拡充を進めて行く。
 
 
今後の注目点
 
このグラフは、今期を含めた5期分の同社営業利益の四半期別構成比を比較したもの。
過去4期の上期進捗率(実績ベース)は、概ね40%前後であるが、今期は既に50%(対予想ベース)を超えている。
スーパーデリバリーの安定推移、売掛債権保証事業の高い伸び、Paid事業収益の急速な改善がこうした結果に結び付いているのだろう。
クリスマス・年末商戦を含む第3四半期(11-1月)、年度末・年度始めを含む第4四半期(2-4月)と今後流通量の増大が確実視される下半期を迎え、業績のもう一段の伸長が期待できよう。
一方中期的には、小方社長が説明会で述べていたように、ネットビジネスの最大の特長である、大きく人数を増やすことなく売上、利益を極大化する戦略の進捗に注目したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
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