ブリッジレポート
(2468:東証マザーズ) フュートレック 企業HP
藤木 英幸 社長
藤木 英幸 社長

【ブリッジレポート vol.28】2015年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「藤木社長によれば、「Re-Built」で掲げていた「新規事業の創出」については、当初は今期1年をかけて芽を見つけ、来期から本格的に育て始めると・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年1月6日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フュートレック
社長
藤木 英幸
所在地
大阪市淀川区西中島 6-1-1
事業内容
携帯電話用音源LSIの開発で成長し、現在は音声認識ソフトウェアや音声対話システムの開発を中心に新たなビジネスマーケットを開拓中。知財戦略重視。
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 2,421 431 465 273
2013年3月 3,165 896 901 491
2012年3月 2,562 501 502 261
2011年3月 2,085 482 485 284
2010年3月 1,996 530 540 315
2009年3月 1,777 404 415 221
2008年3月 1,598 264 277 159
2007年3月 1,253 249 256 162
2006年3月 1,443 173 165 99
2005年3月 1,059 69 79 33
2004年3月 907 9 6 -1
2003年3月 736 12 12 3
2002年3月 435 17 34 29
株式情報(12/16現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
557円 9,312,800株 5,187百万円 8.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0円 - -34.90円 - 355.49円 1.6倍
※株価は12/16終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
フュートレックの2015年3月期第2四半期決算概要および新たに展開する「機械翻訳事業」について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
スマートフォンに話しかけるだけで操作を行う事ができるスマートフォンアプリ「しゃべってカンタン操作」(NTTドコモ)や声で入力できる銀行向け業務日報ソリューション等、「多くのビジネスシーンで使える高い認識精度」、「幅広い品揃え」、及び「カスタマイズ可能な柔軟性」を強みとする音声認識技術を用いてソリューションを展開。NTTドコモの音声エージェントサービス「しゃべってコンシェル」は、同社の音声認識エンジンを使用してサービスが提供されている。
グループは、同社の他、音声認識コア技術の開発を担う(株)ATR-Trek、CRMソリューションやシステムソリューションを手掛ける(株)ライトポケット、及びiPhoneを中心にしたスマートフォンやタブレット向けアプリ開発の(株)スーパーワンの連結子会社3社(2015年3月期第2四半期終了時点)。NTTドコモ・グループが発行済株式の約6%を保有し、14/3期はNTTドコモ向けの売上高が全体の65.9%を占めた。
 
【事業内容】
事業は、ライセンス事業とライセンス以外の事業に分かれ、14/3期の売上構成比は前者が92.6%、後者が7.4%。また、前者は、音声認識・UIソリューション事業分野(同69.7%)、音源事業分野(同10.6%)、CRMソリューション事業分野(同12.3%)に分かれ、後者は基盤事業分野(同2.7%)及びカード事業分野(同4.7%)に分かれる。各事業の概要は次の通り。
 
 
フュートレックの音声認識関連技術は、3つの製品を中心として展開している。ひとつは音声認識で、ユーザーの声を認識する技術。次に、音声合成で、文章を機器に発話させる技術である。最後に、音声対話は機器と対話しながら操作できる技術である。
 
 
なお、音声認識・UIソリューション事業分野の収益は、技術や製品を提供する際、最初に受け取る許諾料「イニシャルフィー(初期許諾料)」、技術や製品を搭載するに当たり、周辺のシステム改変等を行う場合(実施毎)に受け取る実費用「カスタマイズ費用」、技術や製品を搭載した最終製品の生産や販売等に応じて、「1台当たり」、「1ダウンロード当たり」等の基準で受け取る継続許諾料「ランニングロイヤルティ」等からなる(ビジネス環境の変化等でこのビジネスモデルに収まらないものも増えている)。
 
 
2015年3月期第2四半期決算概要
 
 
前年同期比10.3%の減収、営業損失幅は拡大。利益は計画を上回る。
売上高は前年同期比10.3%減少の687百万円。ランニングロイヤルティの減少等で、ライセンスセグメント売上が減少し、ライセンス以外もカード事業の減収により減収となった。
販管費を前年同期比5.0%減少させたが、減収により吸収できず営業損失は前年同期に比べ96百万円拡大した。期初計画に対し、売上高は未達だったが、利益は上回った。
 
 
ライセンス(音声認識・UIソリューション事業分野、音源事業分野、CRMソリューション事業分野)
売上高は前年同期比4.9%減少の639百万円。
音声認識・UIソリューション事業分野の売上高は同5.2%減少の441百万円。UIソリューション事業のランニングロイヤルティ及び受託業務による収入が減少した。音源事業分野の売上高は同22.4%減少の67百万円。前年度にフィーチャーフォンの一部機種において一括ロイヤルティを計上したため、ランニングロイヤルティの収入が減少した。CRMソリューション事業分野の売上高は同9.0%増加の130百万円。カスタマイズ業務による収入が増加した。
 
ライセンス以外(基盤事業分野、カード事業分野)
売上高は前年同期比48.7%減少の48百万円。
基盤事業分野の売上高は同20.6%増加の36百万円。受託開発業務による収入が増加した。
カード事業分野の売上高は同81.2%減少の12百万円。大手予備校からの英語リスニング模擬試験用メモリーカードの書込み受託業務が前期終了したため大幅な減収となった。
 
 
現預金および売掛金の減少等で流動資産は前期末に比べ624百万円の減少。固定資産は無形固定資産、投資その他の資産の増加で同85百万円の増加。資産合計は同539百万円減少した。
買掛金、未払法人税等の減少等で流動負債は同191百万円の減少。固定負債はほぼ変わらず、負債合計は同183百万円減少した。
純資産は利益剰余金の減少により同355百万円減少。この結果、自己資本比率は前期末の73.9%から75.8%へ1.9%上昇した。
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
再成長に向けた経営方針「Re-Built」を推進し新事業を展開。
利益率が高い音源事業分野、カード事業分野の売上減少により、上場以来始めての「減収減益、赤字、無配」を予想している。また、「多くの業界へ音声認識技術を提供する」を目標に拡販したため開発効率が低下したため、音声認識事業の収益化が遅れている。
一方、再成長に向けた経営方針「Re-Built」の下、再成長に向けた投資も活発に行っており、新規事業である「機械翻訳事業」展開の土台が出来上がった。その一環として行った株式会社メディア総合研究所の子会社化(後述)に伴い第3四半期から連結業績に組み入れるため、売上高のみ上方修正した。
 
再成長に向けた経営方針「Re-Built」
同社は、再成長に向けた経営方針「Re-Built」を掲げ、再成長に向けた今期からの2年間に、「音声認識事業の選択と集中」「新規事業の創出」「人事・労務改革の断行」「グループ各社のチャレンジを明確化」を行う。
新規事業の創出は「新しいビジネスの柱の構築」を目指し、「ユニーク」「スピーディ」をキーワードに海外企業との協業・アライアンスなどを推進する。事業領域としては、現在の音声認識技術の周辺ビジネスやそれ以外など、さまざまな方向性を探る。
また、日本の主要産業である自動車などの業界は輸出を前提に商品が作られており、音声認識技術の多言語化のニーズは高まっている。今後は日本語だけでなく、中国・東南アジアなどのアジア系言語への対応を加速させる。
すでに2014年3月期には優秀なエンジニアを確保しており、今後も継続して、海外とのアライアンスに対応できるグローバルな人材や、新ビジネスの事業化に伴う新たな人材を確保する方針。また、管理者層の中期的な育成プログラムの導入や人事諸制度の改定により、モチベーション向上とより能力を発揮しやすい環境を整えることで社員の育成と強化を図る。
 
 
 
新事業「機械翻訳」の展開
 
<背景>
高速インターネットの整備、PCからスマートフォン・タブレットへと進む情報機器の多様化、メール、HP、各種ソーシャルメディアなど様々なツールの誕生などでユーザーにはグローバルな世界との接触機会が増大している。
しかし、そうした環境が整備されてきた一方、ユーザーの言語能力により格差が生じており、日本語しかわからないユーザーにとってはグローバルな世界へのアクセスには「言葉」という大きな壁がある。
 
<機械翻訳の登場で変わる世界>
こうした課題に対し、外国語を容易に翻訳できる機械翻訳が実現されれば「言葉の壁」を壊すことが出来る。自社のホームページを多言語化すれば世界中の個人や企業を相手にビジネスを展開することが出来たり、世界の情報を素早く収集することも可能で、本当の意味でのグローバル化の進展となる。
 
<翻訳市場および現在の機械翻訳の課題>
日本の通訳・翻訳市場の規模は約2,500億円と言われているが、現時点では翻訳作業の大半が翻訳者(人)の手で行われており、コストは安いとは言えない。
また、もちろん現在でも機械翻訳や自動翻訳も行われているが、その精度はまだまだ人には及ばない。
機械翻訳の精度が向上すると同時に翻訳コストも低下すればサービスも多様化し、様々な場面で翻訳を利用する個人や企業は増加することが見込まれる。
特に2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催、観光立国ニッポンによる訪日外国人旅行者数増大計画(2020年2,000万人目標)、「Cool Japan」のトレンドなどグローバルコミュニケーションニーズは一段と拡大するものと思われる。
 
<フュートレックの翻訳事業>
そうした中、同社は機械翻訳の事業化に向けて積極的に取り組んでいる。
 
①株式会社みらい翻訳への資本参加により世界最高レベルの機械翻訳精度をもつ翻訳技術の開発及びサービス提供へ
2014年10月、NTTドコモ、韓国のシストランラインターナショナルと共に、合弁会社「株式会社みらい翻訳」を設立した。
言語バリアフリーの世界の実現に向けて、世界最高レベルの機械翻訳精度をもつ翻訳技術の開発及びサービス提供を目指す。

「はなして翻訳®」のサービス提供実績を持つNTTドコモ、翻訳ソフトウェア業界最大手のシストラン、音声認識・翻訳システムの開発に豊富な実績を持つフュートレック、3社それぞれの強みを融合した合弁会社である(株)みらい翻訳は、高精度な機械翻訳技術・ソフトウェアを開発し、日本語を軸とした言語バリアフリーの世界を実現することを目指している。
当面は英語、中国語、韓国語を中心に、将来的にはベトナム語、タイ語、インドネシア語等の言語も対象に、ソフトウェアやサービスを提供する考えだ。
 
 
(株)みらい翻訳は、総務省のグローバルコミュニケーション計画を推進する独立行政法人、情報通信研究機構(NICT)の多言語翻訳エンジン及び日本電信電話株式会社の日本語解析処理に基づいた機械翻訳技術を併せて活用することにより、世界最高レベルの機械翻訳精度を目指している。
 
 
 
②株式会社メディア総合研究所子会社化により翻訳事業のためのリソースを獲得
2014年10月、翻訳事業およびシステムソリューション提供を行う株式会社メディア総合研究所を子会社化した。(同社株式の77.5%、1,550株を大株主等から取得。)
(株)メディア総合研究所は、世界80か国以上の言語翻訳に対応し、人による翻訳事業を展開しており、翻訳事業に関する豊富なノウハウを有している。
機械翻訳の精度向上には「高度な翻訳技術を持つ翻訳者」が不可欠だが、同社にはそうした翻訳者が多数在籍している。
 
 
③TranscribeMe社との提携によりクラウドワーカーによる事業を開始
2014年7月、フュートレックは「Re-Built」における新規事業創出の第一弾として、米国TranscribeMe, Inc.社と資本業務提携し、音声データを文字データに変換する「書き起こし事業」を日本で展開すると発表した。

TranscribeMe社は2011年設立。クラウドソーシングと自社開発の音声処理技術を組み合わせたプラットフォーム上で、英語、スペイン語、ロシア語、中国語などの音声書き起こし事業を展開しており、Xerox、IBM、ハーバード大学など有数のグローバル企業や機関から高い評価を受けている。
フュートレックは日本におけるサービスの販売・マーケティングを行い、サービス提供はTranscribeMe社が行う。

TranscribeMeは、書き起こす音声データをシステムにより細かく分割し、多数のクラウドワーカーで一気に作業を行うことで短納期で安価なサービスを実現している。クラウドワーカーに対しては採用時のテストを行ったり、作業実績を詳細にモニタリングしたりしてレベル管理を行っている。また、納品前には品質保証担当者が確認を行い、書き起こしの品質を維持している。TranscribeMe社は全世界に多数の多言語クラウドワーカーを有している。フュートレックはこの提携によって、世界中に存在している多言語クラウドワーカーを活用できる可能性ができた。
 
<来期へ向けた活動>
こうして機械翻訳事業の土台はほぼ出来上がったため、今期後半からは来期に向け、下記の様な活動を展開していく。
 
◎共同事業/事業参加
世界最高レベルの翻訳精度を目標とした機械翻訳の開発に参加するとともに、法人顧客向けの販売活動を行う。
子会社ATR-Trekが、独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)が関連分野の企業や有識者とともに設立する「グローバルコミュニケーション開発推進協議会」に設立発起人として参画することとなった。この推進協議会は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて総務省が推進する「グローバルコミュニケーション計画」の推進母体。NICTを中心に、産学官の力を結集して多言語音声翻訳技術の精度を高めるとともに、その成果を医療・ショッピング・観光など、様々な分野のアプリケーションに適用して実用化していくため必要な活動を行い、世界の言葉の壁を無くしグローバルで自由な交流を実現することを目指している。
 
◎グループ内事業
メディア総合研究所において翻訳事業の効率化を進める。
翻訳事業者向けツールの検証とマーケティングを行う。
機械翻訳を利用、融合した更なるサービスの創出に取り組む。
 
 
今後の注目点
藤木社長によれば、「Re-Built」で掲げていた「新規事業の創出」については、当初は今期1年をかけて芽を見つけ、来期から本格的に育て始めるという計画であったが、想像以上に速く半年ほどで、その土台を創ることが出来たので、今後はどれだけ早く育成・開花できるかの問題だと考えているということだ。
株価は5月に付けた年初来安値396円を上回る水準で推移しており、今期の赤字・無配は現時点では織り込んだと言って良いだろう。通期業績を確実に達成するということが前提とはなろうが、来期以降の機械翻訳事業の立ち上がりを注目したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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