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(4847) 株式会社インテリジェント ウェイブ

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ブリッジレポート:(4847)インテリジェント ウェイブ vol.22

(4847:JASDAQ) インテリジェント ウェイブ 企業HP
山本 祥之 社長
山本 祥之 社長

【ブリッジレポート vol.22】2015年6月期第2四半期業績レポート
取材概要「上期は金融システムソリューション事業において自社開発のパッケージソフトで非カード系の新規顧開拓が進み、プロダクトソリューション事業で・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年2月17日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インテリジェント ウェイブ
代表取締役社長
山本 祥之
所在地
東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー
決算期
6月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年6月 6,558 145 183 86
2013年6月 5,870 -677 -587 -349
2012年6月 5,241 131 154 270
2011年6月 4,762 321 341 129
2010年6月 4,956 358 387 211
2009年6月 5,527 228 235 187
2008年6月 6,695 417 403 -5
2007年6月 6,367 389 407 -295
2006年6月 7,137 1,482 1,452 947
2005年6月 5,174 678 688 264
2004年6月 5,257 371 365 156
2003年6月 5,891 1,177 1,161 539
2002年6月 5,505 1,854 1,846 1,003
株式情報(2/9現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
298円 26,340,000株 7,849百万円 1.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
5.00円 1.7% 14.43円 20.7倍 169.00円 1.8倍
※株価は2/9終値。ROE、BPSは前期末実績。
 
インテリジェント ウェイブの2015年6月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
クレジットカードの決済システムで国内シェアNo.1のソフトウエア開発会社。“リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術”、“システムを止めないためのノンストップ技術”、及び“高度なセキュリティ技術”を技術基盤とし、カード不正利用検知システムや証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する。営業面では、筆頭株主として議決権の50.61%を保有する大日本印刷(株)及びそのグループ企業との連携が強みとなっている。
グループは、同社の他、韓国で開発・販売を手掛ける連結子会社INTELLIGENT WAVE KOREA INC.及び持分法適用関連会社(株)ODNソリューションの2社。
 
【事業セグメント】
事業は、クレジットカードや証券等の金融業界やシステム開発会社を主な顧客として、ソフトウエア開発、自社製・他社製パッケージ及びハードウエアの販売、更には保守等を手掛ける「金融システムソリューション事業」と、業種・業界にとらわれず幅広く自社製・他社製パッケージを中心にしたソリューションを提供している「プロダクトソリューション事業」に分かれる。
 
 
金融システムソリューション事業
カード系と証券等の非カード系のビジネスに分かれ、カード系では、クレジットカード会社や銀行等の対外ネットワークへの接続で国内トップシェアを誇る「NET+1」(24時間無停止対応ソフトウエア)を用いたシステム構築を中心に、クレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」及び不正口座取引検知システム「ACE Plus for Bank」を用いた不正検知システム等を手掛けている。

「NET+1」を用いたシステムは、クレジットカードやデビットカード等の商品購入時の与信に応じた代金決済やキャッシュカードカードの残高確認等、24時間365日、いつでもカードが利用できるネットワーク環境を提供するもので、付加価値の高い専用ハードと自社開発のパッケージソフトからなり、大手クレジットカード会社のネットワークへの接続で70%のシェアを有する。また、「NET+1」は、銀行の店外CD/ATMや海外ATM等の外部ネットワーク接続や消費者金融の外部ネットワーク接続等でも使われている。
一方、不正検知システムは、偽造カード・盗難カード利用などクレジットカードの不正使用による被害の極小化や金融機関の振り込め
詐欺・マネーロンダリングなど口座不正利用の検知を目的としており、こちらも豊富な実績を有する。
上記のビジネス(カードビジネスのフロント業務)は同社の強みの象徴であり、安定した経営基盤となっているが、高シェアゆえに成長余地が限られる。このため、同社はサービス(開発)領域の拡大に取り組んでおり、売上計上、仕訳、取引精算、ブランド管理、加盟店管理、帳票出力、業務運用管理、システムログ、更にはバックアップといったバックオフィス業務の受注を強化している。

非カード系では、“リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術”、“ノンストップ技術”、及ぶ“セキュリティ技術”を活かして、クレジットカード業界、証券業界(オンライン証券会社・機関投資家)、及び大日本印刷のグループ企業等のシステム開発を手掛けており、証券業界向けでは高速情報基盤システム(証券取引所等から提供される市況データや気配値等を素早く社内の各端末に配信するシステム)等で豊富な実績を有する。
 
プロダクトソリューション事業
カードや証券等の業界に捉われず、全ての業界・企業を顧客対象としている。「NET+1」や「ACE Plus」等で培ったネットワーク技術やセキュリティ技術をベースとした情報漏えい対策システム「CWAT(シーワット)」を中心に、イスラエルCHECKMARX社製Webアプリ脆弱性対策(ソースコード解析ツール)「CxSuite(シーエックススイート)」、ネットワークの脆弱性対策の米Nexantis社製「Secure Scout NX(セキュアスカウト)」及び米Sourcefire社製「RAPID7(ラピッドセブン)」、更にはゼロディ攻撃を防御するエンドポイント(端末)のセキュリティ対策ソリューション「Traps」をラインナップする事で、内からの情報漏えいと外からの攻撃の両面に対応したセキュリティソリューションを提供。この他、米国Citrix Systems製の仮想環境下での端末操作管理ツール「VeTracer(ヴィー・トレーサー)」、企業ウェブサイトの付加価値を高めると共にユーザーサポートのコスト低減に寄与する「Face(フェイス)コンシェル」等のソリューションも提供している。

当事業は早期に一定の事業規模(年商10億円規模)に拡大させ、安定的に利益計上できる体制を構築する事が課題だが、売上や利益の数字に表れないメリットも大きい。優れたセキュリティ関連製品を扱う事で得られる最新の情報や蓄積される技術・ノウハウ、海外の有力ベンダーとの提携により広がるワールドワイドのネットワーク、更には全ての業界・企業を顧客対象とする事による顧客層の広がりとビジネスチャンスの拡大等、目に見えない部分での貢献も大きい事業である。
 
※ 尚、事業活動と組織体制の実態を考慮して、15/6期より下記の通り報告セグメントの区分を変更している。
 
 
【沿革】
1984年12月、米国ノンストップコンピュータ・メーカーの日本法人 日本タンデムコンピューターズの社長等を務めた現会長の安達一彦氏が中心となり、コンピュータ機器の輸出入・販売、コンピュータソフトウェアの開発等を目的に設立された。当時のソフト開発会社はメーカーの下請けが多かったが、同社は自主独立を志向しパッケージソフトの開発を目指し、米国製の24時間稼動ノンストップコンピュータ向けパッケージソフトの開発に取り組んだ(24時間稼動ノンストップコンピュータに独自開発のパッケージソフトを組み込んで販売)。当時の日本において、24時間ノンストップでコンピュータが稼動しているのはクレジットカード業界のみであったため、自ずと同業界との関係が深くなったと言う。

転機となったのが89年の「NET+1」の開発。価格競争力や短納期といったパッケージソフトの持つ強みに加え、カスタマイズの容易さ等が評価され、大手クレジットカード会社や消費者金融等のノンバンクはもちろん、銀行等でも利用が広がった。「NET+1」の開発により、クレジットカード会社向けのパッケージソフト開発会社として認知され、クレジットカードビジネスの拡大に乗って業容を拡大、2001年6月に株式を店頭登録した(現在はJASDAQに上場)。

10年4月には大日本印刷(株)が同社株式の公開買付けを行い、議決権の過半を取得した(現在、大日本印刷(株)が議決権の50.61%を保有)。以後、大日本印刷グループ内での豊富な開発案件の取り込みに加え、大日本印刷(株)との連携による同グループの優良な顧客資産の掘り起こしに取り組んでいる。
 
 
2015年6月期上期決算
 
 
前年同期比6.9%の減収、経常利益1億83百万円(前年同期は88百万円の損失)
売上高は前年同期比6.9減の28億44百万円。前年同期に比較的規模の大きい更新案件があったハードウエア販売が大きく落ち込んだ事に加え、ソフトウエア開発も大型の検収案件があった反動でわずかに減少した。もっとも、パッケージソフトを用いたソリューションが成果を上げ、非カード系の新規顧開拓が進む等、課題としている業務領域の拡大では結果を残した。

利益面では、不採算案件の影響がなくなった事と収益性の高いパッケージ販売が伸びた事で売上総利益率が大幅に改善。一方、販管費は小幅な増加にとどまり、前年同期は1億03百万円の損失だった営業損益が1億83百万円の利益に転じた。四半期純利益が経常利益を上回ったのは税効果会計の影響による(過年度に計上した投資有価証券評価損の一部について、税務上損金計上する事ができる見込みとなり、税金費用が130 百万円減少した)。

期初予想との比較では、下期に予定していたパッケージソフトの売上計上が上期に前倒しとなり、営業利益・経常利益が大きく上振れ。四半期純利益は上記の税効果会計の影響も加わった。
 
 
金融システムソリューション事業
売上高26億25百万円(前年同期比9.2%減)、営業利益7億07百万円(同61.4%増)。クレジットカードの使用認証や銀行ATM のネットワーク接続を担う「NET+1(ネットプラスワン)」やクレジットカードの不正利用を検知する「ACE Plus(エースプラス)」といった自社開発パッケージが1億07百万円増、ネットワークやアプリケーションのパフォーマンスを評価する「Corvil Net Engine」等の他社製パッケージが64百万円増とパッケージソフトの売上が伸びた他、ストック型ビジネスである保守の売上も36百万円増加したものの、前年同期に比較的規模の大きい更新案件があったハードウエア販売の落ち込みが響いた(4億05百万円減)。
ただ、下期に計上を予定していた自社開発パッケージソフトの売上92百万円が上期に前倒しとなったため、セグメント売上高は期初予想の25億40百万円を上回った。
 
 
プロダクトソリューション事業
売上高2億19百万円(前年同期比33.5%増)、営業損失1億27百万円(前年同期は2億03百万円の損失)。第2四半期に販売を開始した米Palo Alto Networks製「Traps」をけん引役に他社製パッケージの売上が前年同期の29百万円から1億円に拡大した。「Traps」はマルウエアの活動を阻止して、ゼロディ攻撃からエンドポイント(端末)を守るキュリティ対策ソリューション。ウイルス対策ソフトはウイルスのパターンファイルを更新する事で新しいウイルスに対応するが、パターンファイルが更新される前に感染してしまうリスクがある(ゼロディ攻撃)。しかし、「Traps」をインストールしておけば、感染してもウイルスの活動が阻止されるため、ウイルスに対応したパターンファイルの更新前に感染しても被害を防ぐ事ができる(パターンファイルを更新した後にウイルスソフトがウイルスを駆除する)。「Traps」の日本語版の発売は15年4月だが、同社は14年10月のグローバル販売の開始と共に英語版の販売を開始した(代理店契約は大日本印刷が締結)。

ただ、企業ウェブサイトの付加価値を高めると共にユーザーサポートのコスト低減に寄与する自社開発のナビゲーションツール「Face(フェイス)コンシェル」の商談が進まず、セグメント売上高は期初予想の2億60百万円に届かなかった(足元では商談が動き始めている模様)。

売上の内訳は、「CWAT」、「Cx Suite」、「Traps」のセキュリティシステム関連が2億12百万円(前年同期は、「CWAT」及び「Cx Suite」で1億22百万円)、「Faceコンシェル」が7百万円(同42百万円)。
 
 
 
 
 
 
上期の受注高は前年同期比2.0%減の29億47百万円。プロダクトソリューション事業の受注高が2億80百万円と前年同期比47.6%増加したものの、ハードウエアの減少で金融システムソリューション事業の受注高が29億47百万円と同2.0%減少した。金融システムソリューション事業の受注は、件数ベースで増加したものの、前年同期のように規模の大きい案件がなかった。
一方、上期末の受注残高は前年同期末に比べて5.0%減の42億20百万円。内訳は、金融システムソリューション事業が5.7%減の40億63百万円、プロダクトソリューション事業15.2%増の1億56百万円。
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて59百万円減の55億80百万円。現預金が減少する一方、売上債権や余資運用の投資有価証券が増加した。流動比率451.5%(前期末399.9%)、固定比率51.2%(同50.1%)、自己資本比率81.7%(同768.9%)。財政状態は、流動性に富み、かつ、財務の安定性に優れる。
 
 
 
2015年6月期業績予想
 
 
前期比2.4%の減収、同118.6%の経常増益予想
上期の上振れが売上計上の前倒しによるものだったため、通期の売上高、営業利益、経常利益に変更はなく、税効果会計の影響を反映させた当期純利益のみを上方修正した。
セグメント別の予想は、金融システムソリューション事業が売上高57億円(前期比5.4%減)、営業利益12億60百万円(同19.0%増)、プロダクトソリューション事業が売上高7億円(同31.6%増)、営業損失1億円(前期は2億円の損失)。

配当は1株当たり5円の期末配当を予定している。
 
 
 
 
(2)下期の取り組み
上期の進捗が計画通りだった金融システムソリューション事業については、ソフトウエア開発の継続案件で想定した収益を確実に確保すると共に販売を強化する他社製パッケージで上積みを図る。一方、計画未達となったプロダクトソリューション事業については、上期の遅れを取り戻すべく販売が好調な他社製パッケージの拡販を図ると共に、「Face(フェイス)コンシェル」の商談を進める。
 
金融システムソリューション事業
継続案件では、処理能力強化、システム更新、不正検知システム更新等のクレジットカード会社からの案件や、海外カードへの対応等で訪日客需要の取り込みに力をいれている銀行からの案件に加え、決済多様化対応(プリペイドカードやデビットカード)関連等の案件も抱えており、これらの案件で着実に収益を確保すると共に更なる受注につなげていく。
プリペイドカード関連では、大日本印刷(株)が日本ユニシス(株)との提携の下、国際ブランドプリペイドのカード発行・決済管理のプラットフォームを共同開発し、カード発行会社に対してクラウド(SaaS)で提供しており、同社はこのサービスに関連したシステム開発の一翼を担っている。また、デビットカードは決済の多様化対応の一環として銀行やネット銀行が力を入れており、同社においては複数の商談が進行中である。

他社製パッケージの販売では、ネットワークやアプリケーションのパフォーマンスを評価するアイルランドCorvil(コービル)社製「CorvilNet Engine(コービルネット エンジン)」やロシアDevexperts(デベックスパーツ)社のアプリケーションプラットホームの販売に注力する。
金融市場向けモニタリング・プラットフォームの有力プロバイダーであるCorvil社が提供する「CorvilNet Engine」は、コンピュータを駆使した超高速取引(HFT)システムの売買注文の処理スピードをナノセカンド(10億分の1秒)単位で評価し、システムの劣化をいち早くユーザーに伝える。この上期は証券会社向けで実績を上げており、下期はこの実績を基に販売を強化する。
一方、Devexperts社は、オンライン証券や証券取引所に加え、株式、オプション、FX等の金融商品を取り扱う業者向けに金融ソフトウェアパッケージを提供している。(株)インテリジェント ウェイブは、欧米で高い評価を受けているDevexperts社との業務提携をテコに、従来のミドルウェアから業務アプリへ事業領域を広げていく考えで、証券会社や金融機関に対して、デリバティブシステムを中心に、業務執行系のフロントからバックシステムまでの業務アプリケーションの提案を強化する。
 
プロダクトソリューション事業
昨年10月に販売を開始し、順調に立ち上がった「Traps」の販売を強化する。既に説明した通り、「Traps」はマルウエアの活動を阻止するエンドポイント(端末)のセキュリティ対策製品。複雑な設定でユーザーの手を煩わせる事がない上、水際でウイルス感染を阻止するアンチウィルスソフトと異なりパターンファイルの更新が不要なためCPU等への負荷が小さい。
「Traps」の投入により、エンドポイント(端末)のセキュリティ対策、ネットワークのセキュリティ対策、そしてサイバー攻撃への対応、とラインナップが揃った。今後、セキュリティソリューションの強化により国内需要の掘り起こしを図ると共に、アジアへの展開を念頭にローカライズを進めていく考え。
インテリジェント ウェイブのセキュリティソリューション
エンドポイント(端末)の
セキュリティ対策
    
CWAT(情報漏えい)、CxSuite(ウェブアプリの脆弱性、侵入検知)
ネットワークのセキュリティ
対策
Secure Scout、RAPID 7(共にパッチの確認、ハッキングチェック機能)
サイバー攻撃
Traps(マルウエアの活動を阻止)
 
 
今後の注目点
上期は金融システムソリューション事業において自社開発のパッケージソフトで非カード系の新規顧開拓が進み、プロダクトソリューション事業では他社製パッケージ「Traps」が順調に立ち上がった。従来からのカード会社向けや銀行向けビジネスに当面の不安はない。この間にパッケージソフトで継続的に成果をあげていく事ができれば、中期的な成長力が高まり、収益力の強化も進むと考える。今後の事業拡大に期待したい。
尚、通期業績予想に対する進捗率は、売上高44.4%、営業利益48.3%、経常利益46.0%、純利益64.5%。純利益を除き、進捗が若干遅れ気味と感じる向きもあるかと思うが、金融システムソリューション事業ではカードの利用増に対応したクレジットカード会社の積極的な投資、訪日客需要の取り込みに向けた海外カード対応等の銀行やネット銀行の投資、更には事業会社の新規参入も含めた決済の多様化対応等で継続案件を抱えている上、下期は年度末に向けて期中受注・期中売上案件等が増える。また、プロダクトソリューション事業も保守契約の更新期を迎えるため、業績予想の達成に大きな不安はないと考える。