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(6498:東証1部) キッツ 企業HP
堀田 康之 社長
堀田 康之 社長

【ブリッジレポート vol.20】2015年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「足元の状況を総括すると、国内外で総じて堅調。国内は仮需の影響が一巡する中、人手不足等で遅れていた建築設備市場向けが動き出し、同社・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年3月3日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社キッツ
社長
堀田 康之
所在地
千葉市美浜区中瀬1-10-1
事業内容
バルブ国内首位。特に建築設備や石油化学向け強い。海外開拓に積極姿勢。伸銅品も国内上位
決算期
3月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 117,355 6,470 6,501 3,564
2013年3月 111,275 6,558 6,521 4,039
2012年3月 108,446 4,638 4,388 2,480
2011年3月 106,059 6,341 5,929 3,063
2010年3月 96,592 6,976 6,248 3,079
2009年3月 127,095 7,188 6,475 3,396
2008年3月 149,274 11,615 10,525 6,290
2007年3月 149,512 11,342 10,652 9,973
2006年3月 107,631 9,673 9,132 8,070
2005年3月 95,705 9,627 8,513 5,804
2004年3月 73,802 4,181 2,962 1,598
株式情報(2/10現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
592円 108,217,567株 64,064百万円 5.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.00円 2.0% 58.80円 10.1倍 601.56円 1.0倍
※株価は2/10終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
キッツの2015年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
バルブを中心とした流体制御機器・装置の総合メーカー。バルブは、上下水道、給湯、ガス、空調などの身近な生活分野だけでなく、あらゆる産業設備に使われており、同社は素材からの一貫生産を基本に、青銅、鋳鉄、ダクタイル鋳鉄(強度や延性を改良した鋳鉄)、ステンレス鋼等を素材に数万種をラインナップしている。また、子会社を通してバルブの材料となる伸銅品の生産及び外販を行っている他、ホテル事業等も手掛けている。バルブでは国内トップ。伸銅品でも国内上位のポジションにあり、同社を含めた29社でグループを構成している。
 
【事業セグメントの概要】
事業は、バルブ事業、伸銅品事業及びホテル・レストランの経営(ホテル事業)等のその他に分かれ、14/3期の売上構成比は、それぞれ74.9%、17.8%、7.3%(利益ベースでは、91.2%、5.8%、3.0%)。
 
バルブ事業
バルブは、配管内の流体(水・空気・ガスなど)を「通す」、「止める」、「流れを絞る」等の機能を持つ機器で、ビル・住宅設備用、給水設備用、上下水道用、消防設備用、機械・産業機器製造施設、化学・医薬・化成品製造施設、半導体製造施設、石油精製・コンビナート施設など様々な分野で使用されている。
同社は世界有数のバルブメーカーであり、耐食性に富む青銅製や経済性に優れた黄銅製の汎用バルブ、或いは付加価値の高いボールバルブ等の工業用ステンレス鋼製バルブのシェアが特に高い。販売先は、建築設備、各種工業設備・プラント、環境、エネルギー、半導体等、バルブを必要とする分野を網羅している。生産は、鋳物からの一貫生産を特徴とし(日本で最初に「国際品質保証規格ISO9001」の認証を取得した)、グローバルコストの実現に向けて海外生産拠点の強化にも取り組んでいる。
 
 
伸銅品事業
伸銅品とは、銅に亜鉛を加えた「黄銅」、すず及びりんを加えた「りん青銅」、ニッケル及び亜鉛を加えた「洋白」等の銅合金を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造等の熱間または冷間の塑性加工によって、板、条、管、棒、線等の形状に加工した製品の総称。キッツグループの伸銅品事業は(株)キッツメタルワークスの事業分野であり、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」を製造・販売している(黄銅棒はバルブ部材の他、水栓金具、ガス機器、家電等の部材としても使用されている)。
 
その他
子会社(株)ホテル紅やが手掛けるリゾートホテルの運営(長野県諏訪市)が事業の中心。同ホテルは、諏訪湖畔の好立地を特徴とし、夕日に輝く展望風呂や大小の宴会場に加え、国際会議も開かれる大コンベンションホールを有する。尚、バルブ事業への更なる特化と経営資源の再配分を目的に、フィットネス事業を手掛けていた100%子会社(株)キッツウェルネスの全株式を、14年10月1日付けでダンロップスポーツ(株)に売却した。
 
【キッツグループ(バルブ事業)】
総合バルブメーカーとして、国内では、主要都市に展開する販売拠点ときめ細かい代理店網によって全国をカバーしており、海外では、インド、U.A.E.、韓国に駐在員事務所を置く他、中国、シンガポール、タイ、アメリカ、ドイツ、スペインに販売拠点を設置し、グローバルな販売ネットワークを構築している。14/3期のエリア別売上構成比は、国内64.4%、海外35.6%。
 
 
国内バルブ事業では、建築設備向けが46%を占め、水関連(上下水道等、13%)、機械装置や半導体関連(共に9%)等の比率も高いが、石油精製・石油化学、一般化学、食品・製紙、ガス、電力等、幅広い分野に製品を供給している(14/3期実績)。
 
 
海外バルブ事業のエリア別売上構成比は、アジア57%(アセアン・その他41%、中国13%、中東3%)、北米27%、欧州・その他16%(14/3期実績)。製造拠点は、タイ、中国、台湾、ドイツ、及びスペインに展開している。
 
 
2015年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比0.6%の増収、同40.3%の経常増益
売上高は前年同期比0.6%増の865億51百万円。需要低迷で伸銅品事業の売上が減少した他、フィットネス事業を手掛ける連結子会社(株)キッツウェルネスの株式売却(連結離脱)もあったが、国内外で売上が増加したバルブ事業でカバーした。バルブ事業は、価格改定効果や半導体関連市場の好調で国内が同1.2%増と堅調に推移する中、北米及びアジアでの数量増に加え、円安も追い風となった海外が同6.8%増と伸びた。

利益面では、バルブ事業での価格改定効果や原価低減効果で売上総利益率が24.4%と2.0ポイント改善。円安に伴う海外子会社の費用の増加等による販管費の増加をほぼ吸収し営業利益が55億34百万円と同34.5%増加した。為替差益の増加(1億81百万円→3億76百万円)等で営業外損益も改善。(株)キッツウェルネスの株式売却益21億56百万円を特別利益に計上した事で四半期純利益は55億22百万円と同111.9%増加した。
 
 
 
バルブ事業  売上高659億39百万円(前年同期比3.2%増)、営業利益71億53百万円(同30.5%増)
地域別では、国内が前年同期比1.2%増の412億23百万円、海外が同6.8%増の247億15百万円。国内は、主力の建築設備市場向けが、前期第4四半期(1月)に実施した価格改定に伴う仮需の反動や人手不足等による工事の遅れで同3%減少したものの、(株)キッツエスシーティーが手掛ける半導体関連市場向けが7・8月の納入の端境期を挟んで同26%増と伸びた他、耐震型製品の好調で(株)清水合金製作所が手掛ける水市場向けも同6%増加。ステンレス製バルブが多く使用される工業用バルブ市場(機械関連、石油精製・石油化学、一般化学、食品等)は概ね前年同期並みの売上を確保した。尚、足元の建築設備市場向けは、価格改定に伴う仮需の反動が一巡し、代理店在庫が過多状態を脱しほぼ適正水準に戻っている。また、改定された新価格も浸透している。
一方、海外は、欧州・その他が同8%減少したものの、北米が同22%増と好調を維持した他、アジアも、アセアン・その他の減少(同3%減)を中国(同3%増)や中東(同120%増)等でカバーして同3%増加。北米及びアジアは円安傾向で推移した為替が追い風になった事もあるが、共に数量が増加した。また、売上が減少したアセアン・その他は、自動車の落ち込みや政情不安の影響を受けたタイや大統領選で経済活動が停滞したインドネシアでの減少が響いたが、両国共に足元は回復基調にある。

利益面では、円安の進行に伴う海外子会社の費用増があった他、仮需の反動や代理店在庫の調整に伴う販売数量の減少はあったものの、国内での値上げ効果に加え、国内外で原価低減の取り組みの成果もあがり、大幅な増益となった。
 
伸銅品事業  売上高153億50百万円(前年同期比1.6%減)、営業利益2億43百万円(同42.8%減)
2015年3月期第3四半期累計期間の国内黄銅棒市場は15,502トン/月と前年同期比1.8%増加した。(株)キッツメタルワークスの事業分野である伸銅品事業においては、材料相場(前年同期比1.5%高)に連動して製品価格が上昇したものの、販売数量の減少(同6%減)をカバーできなかった。利益面では、生産性向上のために期初に導入した設備(原材料の洗浄装置)の立ち上げに時間を要した事が響いた。第2四半期以降は稼働が安定し、収益が回復しているが、第1四半期の落ち込み(前年同期比94.7%減)をカバーできなかった。
 
その他  売上高52億62百万円(前年同期比19.6%減)、営業利益3億10百万円(同4.1%減)
2014年10月にフィットネス事業を手掛けていた(株)キッツウェルネスの株式を外部に譲渡した事で売上・利益が減少した。ホテル事業単独では、リニューアル効果もあり売上が前年同期比1.3%増加する中、外壁塗装工事等、前年同期の利益を圧迫した修繕費の計上が無くなり、利益が同101.3%に増加した。
 
 
第3四半期末の総資産は前期末に比べて19億37百万円増の1,095億20百万円。(株)キッツウェルネスの株式売却で有形固定資産が減少する一方、現預金が増加。負債の部では、有利子負債が減少する一方、純資産が増加した。100%超であれば短期的な支払い能力は安全とされる流動比率は250.6%(前期末269.8%)。自己資本比率は64.6%(同61.1%)。
 
 
利益の大幅な増加により前年同期は14億02百万円だった営業CFが52億90百万円に増加。(株)キッツウェルネスの株式売却で投資CFも12億61百万円の黒字となり、65億51百万円のフリーCFを確保した。一方、財務CFは、有利子負債の削減、自社株買い、及び配当金の支払い等で45億24百万円のマイナス。もっとも、マイナス幅はフリーCFの範囲内にとどまった。
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
通期予想は前期比2.9%の減収ながら、同13.8%の経常増益
第4四半期(1-3月)は、原価低減効果や価格改定効果に加え、収益性の高い青黄銅バルブを中心に建築設備市場向けが本格的に動き出す見込み。

通期では、仮需の反動でバルブ事業の売上がわずかに減少する他、需要の低迷で伸銅品事業の売上も減少する見込み。加えて、(株)キッツウェルネスの連結離脱の影響もあり、連結売上高が1,140億円と同2.9%減少。ただ、バルブ事業における価格改定効果や原価低減効果、更には建築市場向け等での収益性も高い青黄銅バルブの回復も期待でき、営業利益が75億円と同15.9%増加する見込み。

配当は1株当たり6円の期末配当を予定しており、上期末(中間)配当と合わせて年12円となる見込み。同社は連結当期純利益の25%の配当性向を目処とした安定配当を基本としているが、今期より自己株式の取得を含めた総還元性向33%を目処に株主還元を実施していく方針。
 
 
(2)CURRENT TOPICS
水素ステーション用超高圧ボールバルブが「“超”モノづくり部品大賞 環境関連部品賞」を受賞
2014年11月、同社の水素ステーション用超高圧ボールバルブが、「“超” モノづくり部品大賞」(主催:モノづくり日本会議、日刊工業新聞社、後援:経済産業省、日本商工会議所)において、環境関連部品賞を受賞した。

同社グループでは、水素供給インフラ設備に向けNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの開発委託を受け、2008年に低コストかつ耐久性に優れた水素用高圧ボールバルブ(大容量の流量を確保できる事が特徴)を開発。ニードルバルブ(細かな流量制御に適する)とチャッキバルブを加えた、クレステックシリーズ(KITZ CLESTEC-Series)としてラインアップした。

(水素ステーション用超高圧ボールバルブ(左:手動バルブ、右:自動バルブ))

尚、「“超”モノづくり部品大賞」は、「独創的な発明で国内外で反響が大きいもの」、「制度や性能が世界最高水準に達しているもの」、「日本の産業技術向上に著しく貢献するもの」等の審査基準により、「大賞」と「機械」、「電気・電子」、「自動車」、「環境関連」、「健康・医療機器」、「生活関連」の6分野を表彰対象としている。
 
東京支社移転 都内のグループ拠点を集約
2015年1月、本社(千葉県千葉市美浜区)内にあった東京支社を東京都中央区日本橋に移転した。都心に事務所を開設する事で、これまで以上に顧客に密着した営業活動を展開していく考え。また、同社グループの一層の連携強化に向け、東洋バルヴ本社(東京都中央区日本橋人形町)及びキッツマイクロフィルター東京支店(同)等も上記オフィスに集約した。今後は更なる情報の共有を進め、グループシナジーを追求していく。
 
 
今後の注目点
足元の状況を総括すると、国内外で総じて堅調。国内は仮需の影響が一巡する中、人手不足等で遅れていた建築設備市場向けが動き出し、同社単体の受注、売上、受注残がいずれも増勢に転じている。海外は欧州子会社及びPerrin(独)に不透明感があるものの、北米子会社は受注・売上共に増加傾向にあり、シンガポール子会社は、自国でのLNGやエチレンプラント向けの好調に加え、暫定政権下で政治的な落ち着きを取り戻したタイや大統領選の影響で設備投資が落ち込んでいたインドネシアといった主要国での販売も回復基調。上海子会社は官需でプラント建設減速の影響が続くものの、民間建築でカバーして前年同期並みの水準を維持している。
来期の見通しも明るく、国内は、主力の建築設備市場が底打ちから本格的な回復に向かい、値上げ効果も数億円単位で残る見込み。海外はアセアンの回復に加え、北米では、この3月から大型エチレンプラントへの納入が始まる予定。高温・高圧の特殊用途メタルシート技術に強みを持ち、石油精製・石油化学のプロセスラインで使用されるメタルシートボールバルブ等を主力とするPerrin(独)の回復にも期待したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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