ブリッジレポート
(6826:東証2部) 本多通信工業 企業HP
佐谷 紳一郎 社長
佐谷 紳一郎 社長

【ブリッジレポート vol.5】2015年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「通期予想について今季2度目となる上方修正により株価も昨年来高値を更新し、2006年1月に付けた月足ベースでの高値1,550円にも迫る動きとなって・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年3月3日掲載
企業基本情報
企業名
本多通信工業株式会社
社長
佐谷 紳一郎
所在地
東京都品川区北品川5-9-11 大崎MTビル
事業内容
コネクタ中心。通信やFAなどの産業機器向けで長年培ったコア技術を自動車や医療機器向けなどに展開。パナソニックと提携、生産の半分は中国
決算期
3月末日
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 14,824 932 975 1,479
株式情報(2/23現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,428円 12,053,995株 17,213百万円 23.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 1.4% 99.55円 14.3倍 684.92円 2.1倍
※株価は2/23終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROEは前期末実績。BPSは第3四半期末実績。
 
本多通信工業の2015年3月期第3四半期決算概要などをお伝えします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
通信インフラ、FA機器、民生機器、車載用途向けの電気コネクタおよび光コネクタの製造販売を行う。「Segments No.1」を掲げ、特定分野での高い競争力を追求している。長い歴史の中で培われた幅広い設計技術力、産業用機器向けで培った長期信頼性と堅牢性に関するノウハウ、多品種少量生産体制などが特長。子会社ではソフトウエア開発なども手掛けている。グループ認知度の向上に向けて、複数存在していたブランドを「HTK」に統一。グループは同社と連結子会社7社(国内2社、海外5社)の計8社で構成されている。(2014年12月末現在)
 
【沿革】
 
1932年5月に精密ねじ加工業として現在の東京都目黒区で創業。第二次大戦後は、日本電信電話公社(現NTT)の電話交換機用プラグ・ジャック、防衛庁向けプラグ・ジャックを始め、その発展形となるコネクタの製造販売を手掛け、業容を拡大。2001年に東証2部に上場した。だが、ITバブル崩壊で売上が急減。数度のリストラクチャリングを経て、成長路線への復帰と拡大発展をめざし、2008年に松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)と資本業務提携契約を締結。2014年2月、約80年に亘って本社を置いていた目黒から品川区へ本社を移転した。
 
【経営理念など】
特定分野で特徴あるソリューションを提供することで顧客に「この分野なら本多通信グループに限る」と高く評価される事をめざし、「Segments No.1」を掲げている。
 
【佐谷 紳一郎社長プロフィール】
佐谷紳一郎社長は1957年11月生まれの現在57才。松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)では事業戦略企画部門に在籍し、M&Aや他社とのアライアンス締結等に長年に亘り携わってきた。そうした中、コネクタ事業のアライアンス先として幅広い技術力・製品ラインアップを有する企業を調査している中、本多通信工業の実力に着目し、アライアンスを推進、2008年資本業務提携を実現させた。同年、取締役就任。2009年にはパナソニック電工を退社し、同社副社長に就任。2010年4月に同社社長に就任した。社長就任後は中期経営計画「Plan 80」を策定・実行。基本戦略として「Segments No.1」を設定し、複数のニッチ分野でNo.1となることを目指すと共に、様々な構造改革を断行し、黒字体質の確立、財務基盤の安定化を実現した。現在は次の中期経営計画「DD15」を推進中で、成長分野への投資による更なる事業拡大と企業体質の一層の強化に取り組んでいる。
 
【事業内容】
事業セグメントはコネクタ事業と情報システム事業の2つ。
 
◎コネクタ事業
「2014年3月期 売上高 12,826百万円、営業利益 845百万円、営業利益率 6.6%、売上構成比 86%」
 
<コネクタとは?>
電子回路や光通信において配線基板同士を接続し、電気や信号を繋ぐために用いられる部品・器具のこと。基板をはんだ付けや圧着で接続した場合、分断時にはケーブル切断等が必要になり再接続は困難となるが、コネクタを使用した場合、手または簡易的な工具を用いて容易に繰り返し脱着することが可能であるため、ほぼ全ての電子機器で使用される。
 
<利用分野>
長年の経験で培われた高い技術力により、以下の6分野を中心に付加価値の高く、顧客志向のコネクタを始めとした製品をラインアップしている。
 
 
 
2014年3月期の分野別売上構成比率(全売上高に対する構成比)は、FA分野20%、通信分野30%、民生分野14%、車載分野22%となっている。
なかでも、安全性向上や運転性アップの観点から車載カメラやセンサの搭載台数が増加しているカーエレクトロニクス分野の成長に対応して投資や製品開発を進めている。
 
◎情報システム事業
「2014年3月期 売上高 2,058百万円、営業利益 87百万円、営業利益率 4.3%、売上構成比 14%」
 
通信分野でのソフトウエアの重要性が高まる中、1983年に事業をスタート。
システム開発から保守運用まで幅広いソリューションを展開している。なかでも仮想化(*)サーバの構築では業界屈指の技術を有し、クラウドコンピューティングの広がりに貢献している。
 
*仮想化とは?:1台のサーバ(物理サーバ)を複数台の仮想的なサーバ(仮想化サーバ)に分割して利用する仕組み。それぞれの仮想化サーバではOSやアプリケーションを実行させることができ、あたかも独立したコンピュータのように使用することが可能となる。
サーバ台数の適正化や消費電力を含めた運用管理コストの低減など、企業のITコスト見直しニーズに対応し、注目が集まっている。
また、仮想化環境下ではハードウェア等を新たに購入しなくても新サーバを容易に追加することができるため、ビジネスの変化に迅速かつ柔軟に対応するというITシステムニーズに対する有効なソリューションの一つとなっている。
 
 
特徴と強み
 
① 幅広い設計技術力
前述のように、同社のコネクタは、様々な分野で用いられている。
同社は、日本電信電話公社(現NTT)を始めとした多くの顧客からの様々なニーズに対応したカスタマイズによる製品作りに長年取り組んできた。この「顧客密着度の高さ」が、同社の幅広い設計技術力の源泉である。
 
② 長期信頼性と堅牢性を武器にFA分野、通信インフラ分野に強み
売上構成で見ると、FA分野、通信分野の2つでコネクタ事業の約5割を占めている。
特に制御装置に用いられる「1.27mmピッチコネクタ」、FTTH(Fiber To The Home:光通信のための光ファイバーを家屋内に引き込むこと)に用いられる「シャッター付きSC形プラグ」、プロジェクタに用いられる「高耐圧電源用コネクタ」などで強みを持っている。
これらは、顧客から長期信頼性や堅牢性が求められる分野であり、長年に亘って培ってきた同社の技術力や製造能力が顧客に高く評価されている証となっている。
 
③ 多品種少量生産
同社は現在約4,000品目のコネクタを生産しているが、このうちの月間生産個数が1万個未満の品目数は94%を占める。また生産金額ベースでも1万個未満の生産が62%、1万個以上が38%と、多品種少量生産が同社の特長となっている。
こうした状況に対応し、国内工場、海外工場の2つの車輪で最適なものづくりを行っている。

国内工場(松本工場)は1万個未満の多品種少量生産の拠点。今後も同社の得意技を磨き、迅速な納入を行うため国内で稼動を続ける。
海外工場(深圳工場)は1万個以上の中量品の一気通貫生産を行い、機動力を高め世界で戦うための拠点とする。
 
 
2015年3月期第3四半期業績概要
 
 
車載、FA向けコネクタが好調で前年同期比2桁の増収増益。
売上高は前年同期比12.1%増の122億円。車載分野、FA分野、情報システムが好調だった。
投資費用増に加え、中国の最低賃金上昇などで人件費も増加したが、増収及び合理化、円安効果で吸収し、営業利益は同41.5%と大幅に増加した。
 
(2)分野別売り上げ動向
車載分野が約4割の増収と好調。構成比では最大となった。
FAも3割増収、情報システムも堅調だった。
 
 
(3)投資などの状況
今期進めている戦略投資の状況は以下の通り。積極的な設備投資、海外販売の展開を進めている。
 
 
 
好調な業績を背景に、現預金、売上債権、たな卸資産が増加し、流動資産は前期末比705百万円増加した。有形固定資産、投資その他の資産の増加で固定資産は同510百万円増加し、資産合計は同1,215百万円増加した。
一方、負債合計は仕入債務が増加したが退職給付に係る負債の減少などで、同136百万円減少した。
純資産は、利益剰余金の増加などで同1,351百万円増加。自己資本比率は前期末より4.8%上昇の67.9%となった。
 
 
営業CFは、売上債権、たな卸資産が増加したが、利益、仕入債務も増加しプラス幅は若干拡大した。投資CFは積極的な設備投資によりマイナス幅が拡大。フリーCFはマイナスに転じた。
財務CFのマイナス幅拡大は配当金支払額増加による。キャッシュポジションは大幅に上昇した。
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
通期業績見通し及び配当予想を上方修正。
第3四半期決算発表時点(1月29日)では、通期目標達成の目途は立ったものの精査中であったため据え置いていたが、2015年2月20日に、通期予想に関しては今期2度目となる業績の修正を発表した。増収、合理化による売上高および営業利益の増加に加え、営業外収支の為替差益の計上が従来予想を上回り、経常利益は前期比約5割の大幅増益となる。当期純利益は、14年3月期にあった本社移転売却に伴う特別利益7.4億円を控除した場合は62.2%の増益。期末の想定円ドルレートは115円/USD。
目標配当性向20%に従い、配当も16円/株を20円/株に上方修正した。6期連続の増配で予想配当性向は20.1%。自己資本比率が2008年度の45%から2013年度63%へ着実に上昇し、今期は60%台後半になると見込まれることから、来期以降の配当性向も見直す予定で、増配路線も継続させて行きたいと考えている。
 
 
中期経営計画達成に向けて
 
今回の上方修正も踏まえ、今期目標達成の目途が立ったことを受け、同社では2つの「Touch&Go」を進めていく。
 
①「Touch&Go for DD15」
2015年3月期 売上高158億円、営業利益12億円達成の目途が立ったため、現在進行中の中期経営計画「DD15」の最終年度に当たる来期2016年3月期の「売上高180億円、営業利益8%、ROA10%」完遂に向けたダッシュを今期中からスタートさせる。

現時点で2016年3月期の売上高として、170億円は見えつつあるため、残り10億円の積み上げを図り、下記のような旬市場で早目に仕掛けていく。
 
 
②「Touch&Go for Next-Vision」
更に、DD15の目標クリアにも目途が立ってきたため、「Next-Vision」を掲げて次の中計策定に着手。
2020年までに過去最高の業績更新を狙う。
同社のこれまでの最高記録は売上高で236億円(2001年3月期)、営業利益で24億円(1997年3月期)であるが、2020年までに「売上高250億円、営業利益25億円」と過去最高を更新し、加えてROE13%以上、時価総額250億円以上を目指している。
1年強のDD15の残りの期間は、この目標達成のため、以下の様な仕込みや基盤整備を進める。
 
 
以上の取組みのうち、赤太字で示した3点について下記説明する。
 
①車載用コネクタのアセアン事業体制の構築
同社の車載用コネクタはADAS(Advanced Driving Assistant System:先進運転支援システム)のキーデバイスである車載用カメラに広く採用され、同社の中核事業に成長してきた。
一般社団法人 日本自動車工業会によれば2013年の乗用車生産台数は日本 8,189千台、中国18,085千台に対し、インドネシア、マレーシア、タイを合計したアセアン地域は2,588千台。
今後の生産台数拡大が見込まれ、一大需要地である同地域で顧客密着・地産地消体制を整えることにより、2020年売上高100億円(2014年 40億円)を実現するための基盤作りに取り組む。

具体的には、タイ・チョンブリ県に顧客へのフロントエンド拠点として販売会社「HTK THAI LTD.(仮称)」を設立し新規顧客への水平展開を進めるとともに、中国依存リスクへの対応であるChina+1として、ラオス・ビエンチャンでの生産体制も整え、供給力を増強する。また、ADASや光LANへの展開など開発も進め、「開発・販売・製造」全ての面をカバーした事業体制を構築する。
加えて、日本・中国・アセアンでの生産状況を一元で管理し可視化するグローバルPSIシステムを構築し、在庫や物流の最適化を図り、収益力やキャッシュフローの向上を図る。
2015年秋に設立し、2016年初頭の業務開始を目指している。
 
②安曇野工場内に物流ハブを建設
同社の大きな特徴である「多品種少量コンビニ」にさらに磨きをかけるため、安曇野工場内に物流ハブを新設する。
同社の場合、製品組み立ての前に、外部のサプライヤに材料を供給して部品を加工するプロセスも必要なため、同社の長年のノウハウをベースに、材料、部品、製品のフローを整流化・最適化し生産性の向上を図る。
2015年4月着工、同年12月完成の予定。入札を2015年3月に実施するため現時点では総工費は未定となっている。
これにより、1週間以内に顧客に製品を届ける「1weekデリバリー」の取扱品目数を現在の500品目から1,000品目に拡充して顧客満足度を高めると共に、在庫水準を3割削減、年間1ポイントの合理化を進める。
また、松本工場の名称を4月1日付で安曇野工場へ変更する。
 
③コーポレート・ガバナンスを強化
その重要性が急速に高まっているコーポレート・ガバナンスについて、東証1部への指定替えを目指していることもあり、強化を図る。
2015年6月開催予定の定時株主総会において社外取締役 澤田脩氏の選任を付議する予定。
澤田氏は1945年12月生まれの現在69才。三菱商事入社後、IT関連グループ会社の社長を歴任後、ネットワンシステムズ株式会社(東証1部)の代表取締社長、会長を務めた。
経営経験が豊富なこと、HTKの今後の重要領域であるICT分野の造詣が深いこと、商社マンとして国際感覚とインキュベーション能力が高いことなどから適任と判断し、招聘することとした。

東証1部への指定替えを目指している同社は今後も監査等委員会設置会社への移行なども含め、より同社の実態に合った形でのガバナンス体制を強化していく考えだ。
 
 
今後の注目点
通期予想について今季2度目となる上方修正により株価も昨年来高値を更新し、2006年1月に付けた月足ベースでの高値1,550円にも迫る動きとなっている。(その前の高値は2001年3月の2,150円)
 
 
今期及びDD15の達成も目途がつきはじめた同社に対する投資家の関心は、Next-Visionにおける過去最高業績更新の可能性に移っていると考えられる。
そうした中、中核事業となった車載用コネクタの更なる拡大に向けた積極的な投資は高い評価を得るのではないかと思われる。また、前回のレポートでも紹介したが、有望製品であるロック付きUSBコネクタの2020年の予想生産個数を200万個から1,000万個へと大幅に引き上げたことも注目される。
DD15の次の中期経営計画の具体的な施策がどのようなものになるかを今から注目したい。
 
 
 
<参考:中期経営計画「DD15」>
 
同社は2014年3月期から2016年3月期までの3年間の中期経営計画「DD15」を掲げている。
 
(1)基本コンセプト
DD15は「Double-Digits by 2015」の略で、2015年度に向け3つの2桁(double digits)で成長性・収益性・効率性をワンランクアップさせ、特長と魅力ある「Segments No.1プロバイダ」となることを目指している。
また、DD15には「どんどん 行こう!」という意味も含めている。
早い・軽い・上手いが特長の、業界No.1のフットワークを武器に、以下の数値目標の達成に挑戦する。
 
 
① 基幹分野での2桁利益率
一般的に少品種大量生産は生産性・効率性が高く、多品種少量生産となるほど生産性や効率性が低くなるというトレードオフが働いてしまうが、同社は、FA分野、通信分野といった基幹事業分野においてこのトレードオフ関係の解消を目指しており、営業利益率を現在の8%台から10%超へと引き上げることを目指している。
 
 
このためには、短納期、在庫の極小化、スピード開発、生産自動化、ROI向上などを実現しなければならないが、具体的な施策としては、以下の様な、「コンビニ3兄弟」という取り組みを進めている。
 
 
このコンビニ3兄弟を核に、以下の様な施策を推進し「製造力の強化」を図る。
 
「1week デリバリー」
多品種少量生産ながらも短納期を実現させ、顧客満足度を向上させるべく2013年から積極的に取組んでいるのが、「1weekデリバリーサービス」だ。
これは、顧客から発注を受けたら1週間以内での製品配送を確約するもの。

同社は多品種少量生産を特徴としてきたが、一方で多品種少量生産は一般的には納期が遅くなりがちで、同社もそれは仕方のない事という認識があった。
佐谷社長は、こうした多品種少量生産のデメリットを克服し、進化したものづくり実現のためにこの「1week デリバリー」というアイデアを導入した。

コンビニ3兄弟の取り組みの結果、同社製品約4,000品目のうち「1week デリバリー」の対象品目数は、2013年10月の150品目から、2014年4月には500品目へ大幅に拡充され、今後も対象品目を拡大していく。

サービスの拡充と品目数の拡充により「1week デリバリー」を同社の看板サービスとすることを目指している。
 
「ECサイト:HTK AZショップ」
4月1日より会員制ネット販売サイト「HTK AZショップ」をオープンし、顧客の拡大を進めている。同サイトは、直接的な売上の拡大を目的とするというよりは、現在は取引のない潜在顧客からの試作品の注文などを同サイト経由で受け付ける事で、顧客の窓口を拡大することを狙いとしている。

この他、4月14日には24時間フルタイムの組み立て工場が稼働を開始した。

同社の特長である多品種少量生産を鍛え、国内においては「ものづくりの強化」を、海外においては「地産地消化」を進める。
 
② 新・旬分野での2桁成長
新たな事業分野や旬の市場分野を年率10%超のスピードで拡大させ、2016年3月期には現在の倍 60億円の売上、売上構成比30%を目指す。
 
<新事業分野での取り組み>
*コネクタ事業
大きな成長が見込まれるカーエレクトロニクス市場で、同社の特長を生かした製品開発、販売を進める。

自動車メーカーは各社とも、「環境、安全、快適」を高めるためにカーエレクトロニクスの進化に取り組んでいる。
中でも、自動走行を含めた走行制御、ドライバーの負荷を減らす運転アシスト、危険警告の進化などの機能強化に伴い、車体周辺の状況を常に監視・感知するアラウンドビューカメラ、バックカメラ、路面センサ、衝突探知センサなど、搭載するカメラやセンサの台数が増加している。
また、自動車メーカーは、快適な運転をサポートするためのナビゲーションやエンタテインメント機能の充実にも力を入れており、カーナビ、リアモニター、スピーカー、スマートデバイスとの接続など、車内・車外の通信機能の進化が著しい。

こうした状況下、同社では「車載カメラ用コネクタ」や「車載高速伝送コネクタ」などにフォーカスし販売を拡大する。
車載カメラ用コネクタに関しては、前期、電機メーカー3社目への納入が決まり、売上は前期比5割増となったが、今後も4社目、5社目の納入先を開拓し、水平展開を進める。
また両コネクタとも、同時並行で、収益性向上のための合理化および次世代製品に向けた投資・開発を行っていく。

車載関連分野は高い安全性や信頼性が求められる分野である。同社は特長・強みであげたように、長年にわたる製品開発で培ってきた長期信頼性・堅牢性に関するノウハウを活用し、上記2つのコネクタにとどまらず、カーエレクトロニクスの新しい部位へも進出していく考えだ。
 
 
車載分野以外では、GI-POF(高速大容量プラスチック光ファイバー)の開発にも着手している。これは、伝送速度、伝送容量共に従来の光ファイバーを大きく上回るもの。FA用や現在のフルハイビジョンモニターの4倍の高解像度を有する4K映像用など、産学連携で新たな市場を創出しようと考えている。
実用化に向け先行したポジションにあり、今後は使い易さの向上に注力していく。
 
*情報システム事業
同社の強みの一つである機器制御技術を活かして、スマートメーター等の通信・制御機能を活用して停電防止や送電調整のほか多様な電力契約の実現や人件費削減等を可能にした電力網「スマートグリッド」、家電や設備機器を情報化配線等で接続し最適制御を行うことで、生活者のニーズに応じた様々なサービスを提供する「スマートハウス」といった、コンピュータネットワークに繋がれた機械同士が人間を介在せずに相互に情報交換し、自動的に最適な制御が行われるシステムである「M2M:Machine to Machine System」におけるビジネス拡大を目指す。初期の設計段階である上流工程からいかにして参画するかが課題と認識している。
 
<旬市場分野>
*コネクタ事業
コアとする技術、製品、ソリューションを以下の旬市場で応用展開。業種別営業体制による顧客開拓に取り組む。
 
◎医療
多品種少量対応、高信頼性という強みを武器に活躍できる分野と考えており、カスタム対応で市場に参入する。
 
◎セキュリティ
監視カメラ世界No.1メーカーに採用されている実績を武器に、グローバルマーケットでの水平展開を目指す。
 
◎環境エネルギー
通信技術資産をフルに活用し、スマートグリッドや蓄電池、パワーコンディショナー(*)などでの応用展開を図る。
 
*パワーコンディショナー(パワコン):太陽光発電システムや家庭用燃料電池を利用する上で、発電された電気を家庭などの環境で使用できるように変換する機器であり、インバータの一種。ソーラーパネルなどから流れる電気は通常「直流」であり、これを日本の一般家庭で用いられている「交流」に変換することで、通常利用可能な電気にすることができる。
 
旬市場での期待製品の一つが、SDメモリカードソケットの最新規格「UHS-II」。
同社には、従来規格の「UHS-I」がある。これはソケットの両面を金属シェルで構成し、堅牢性と耐ノイズ性で業務用・産業用途に浸透し高い信頼性を得ている製品で、「UHS-II」は、この特徴を継承した上で更に進化させたもの。
今後搭載が始まるプロ用ハイエンド機種への採用を狙う。
既に国内外で高評価を得ており、レンズ交換式カメラ・PCから引き合いが入っている。

このほか、「Segments No.1」製品を中国や新興国市場で拡販し、海外売上高比率を現在の35%から40%まで引き上げる。
 
*情報システム事業
得意とする仮想化技術を更に深めてクラウドコンピューティングのインテグレーターを目指す。
 
③ 経営効率を高め、2桁のROA(総資産利益率)実現
同社は前中期経営計画「Plan 80」において過剰資産の売却、在庫削減、有利子負債の返済でバランス・シートをスリム化し、総資産回転率を引き上げるとともにROAを8%まで引き上げてきたが、総資産回転率1.5回を堅持しつつ、高回転ビジネスモデルを確立し、ROA10%を目指す。
 
(3)成長戦略のためのインフラ投資
今回の数値目標を達成するためには風土改革も必須と佐谷社長は考え、様々な基盤強化への投資も行っている。
 
◎本社移転と最新設備への投資
2014年2月24日、創業以来約80年間本社を置いていた東京・目黒から品川のオフィスビルへ移転した。
旧本社は、面積は広いが部門間が分断される構造であり、社員間のコミュニケーションが取りづらい状況だった。

新本社は、「Close Communication」というコンセプトに基づいて設計された。
顧客に対しては、什器備品を一新し、新しい「HTK」で迎えるほか、3Dプリンター備えた試験室を設置し、顧客に対する提案のスピードアップを図っている。
従業員に関しては、営業と設計と本社部門が1フロアに集結。広々とした様々なエリアで部署・部門を超えてのコミュニケーションを加速させ、生産性の向上を目指している。
また、ITの活用により業務、テレビ会議、打合せなどがいつでもどこでも可能になったほか、整理整頓から服装までの5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を佐谷社長自らの徹底で進めている。例えば、社員は毎日終業し帰宅する際は、机の上に何も置いてはならず、全て自分のロッカーにしまわなければならない。また、移転に当たり多くの書類や資料をデジタル化し、不要な紙の資料を廃棄した。

こうして、本社移転を契機とした「風土改革」により、『早い・軽い・上手い』という業界No.1のフットワークを実現させ、生産性を一気に高めることを狙っている。
実際に社員の声として、「企業風土や仕事の仕方を大きく“CHANGE”するきっかけになる本社移転であった。企業に変革を促す有効な手法の一つだと認識した。」との声も上がっている。
 
◎組織と人材の強化
組織力及び人材の強化は今後の経営における大きなポイントと認識しており、人材育成、増員、処遇アップにより事業活動のベースを固めていく。
 
グループ新卒採用は2014年度17名に拡大
中堅リーダーの育成
管理職の指導力強化
執行役員への若手起用
 
新卒社員の採用を拡大し、同社DNAの継承を図ると共に、中堅や管理職ではキャリア採用を拡大する。
これは、同社の「変えなければならない古い部分」を壊すためには外部の風や力が必要との考えからきている。
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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