ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.43

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 会長
泉澤 豊 会長

【ブリッジレポート vol.43】2015年2月期業績レポート
取材概要「既存店の低迷が続いていたが足元は回復、効率化の進展により増益となった。コンビニ事業では、「サンクス」から「ローソン」への移行や不採算・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年5月12日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
会長
泉澤 豊
所在地
千葉県千葉市美浜区中瀬1-7-1 CVSベイエリアビル
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年2月 30,193 50 167 -878
2013年2月 27,190 -426 -354 -880
2012年2月 26,882 338 342 -369
2011年2月 28,635 601 650 233
2010年2月 26,322 416 610 235
2009年2月 25,271 571 334 -78
2008年2月 24,277 623 446 216
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
2002年2月 12,358 847 873 445
2001年2月 11,835 753 722 386
2000年2月 9,840 641 673 306
株式情報(4/24現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
125円 49,364,470株 6,170百万円 11.9% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1.00円 0.8% 4.66円 56.0倍 40.82円 3.1倍
※株価は4/24終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE・BPSは前期末実績。
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2015年2月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
1981年2月設立。「便利さの提供」を企業理念とし、直営店主体のコンビニ事業を中心に、ビジネスホテル事業、子会社を介したクリーニング事業及びマンションのフロント(業務)受託事業を手掛けている。主力のコンビ二事業では、89年より「サンクス」店舗を運営。現在は、12年3月より(株)ローソン(2651)とフランチャイズ(FC)契約を結び、千葉県及び東京都のベイエリアを中心に直営店舗主体に展開。また、単体ではビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」の運営も行っている。グループは、同社の他、マンションフロントサービスを手掛ける(株)アスク、及びクリーニングとリネンサプライを事業ドメインとする(株)エフ・エイ・二四(以下、FA24)の連結子会社2社。いずれも100%出資の子会社である。
 
【事業概要】
(1)京葉地区の湾岸エリア(港区、中央区、江東区、江戸川区、浦安市、市川市等)中心に展開するコンビニ事業
主力のコンビ二事業では、東京都区内(千代田区、中央区、港区、江東区、江戸川区、大田区、渋谷区、新宿区、台東区、足立区、葛飾区)及び千葉県北西部において店舗展開。特に港区、中央区、江東区、江戸川区、浦安市、市川市に集中出店する。また、13/2期には神奈川県(横浜市)に初出店している。再開発が進むベイエリア地域を中心としたドミナント展開を行う。創業来、「便利さの提供」を理念に事業展開してきた。(株)ローソンが得意とするカウンターフーズの強化、同社が他社に先駆け展開している生鮮野菜の販売や、独自展開する「クリーニング取次ぎサービス」を通じて顧客の利便性向上を図ると共に店舗競争力を高めていく考え。14/2期の当期損失は店舗閉鎖損失引当金計上によるもの。15/2期は不採算店舗の閉鎖を進め、利益重視の施策を打っている。
 
 
 
(2)非コンビニ事業の育成 -「便利さの提供」を追求-
「便利さの提供」を企業理念として、コンビニ店舗での「クリーニング取次ぎサービス」や「宝くじ」販売等の独自サービスを提供している他、ビジネスホテル、マンションフロントサービス、及びクリーニング・リネンサプライといった非コンビニ事業にも注力している。
 
ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」 (株)シー・ヴイ・エス・ベイエリア
09年11月オープン。市川市が保有するJR京葉線市川塩浜駅前の遊休地を定期借地で借受け、コンビニ併設の108室規模(シングル54室、ダブル12室、ツイン41室、バリアフリー1室)のビジネスホテルを運営している。JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から快速で19分、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅5分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く、平日はビジネス客、週末はレジャー客と安定した集客を誇る。また、11月には隣接地にシングル43室、ツイン8室、3階建てとなる新館の開業を予定している。また、都心部において既存の建物を改修し、新たな宿泊サービス事業を計画中である。現在行政など関係先調整中で、従来の宿泊サービスとは異なる、新業態のサービスを提供予定。
 
マンションフロントサービス 連結子会社 (株)アスク
宅急便やクリーニングの取り次ぎ等、マンションのフロント業務を手掛けるマンションフロント(コンシェルジュ)サービス、レジデンスサポート(メンテナンスサポート、ハウスクリーニング事業者紹介等)、ミニショップやカフェの運営、更にはカーシェアリング等を手掛ける。豊富な経験と確かな実績によるフロントサービスを提供している。(株)FA24との間で「クリーニング取次ぎ」や「ハウスクリーニング」サービスにおける相乗効果の創出を目指す。業界トップのマンションフロントサービスでは、首都圏を中心に867件(2月末現在)を受託している。マンション内居住者同士のコミュニティー構築支援を目的とした、イベント開催やお祭り開催支援などの新サービスも提供し、入居者の満足度向上を目指している。新たな事業領域にも取り組む。具体的には、スタッフ研修、人材育成力を活かした「一般派遣事業」、「職業紹介事業」の開始を予定している。
【サービスの提供内容】
・コンシェルジュサービス
 ⇒宅配便、クリーニング取次ぎ
・レジデンスサポート
 ⇒メンテナンスのサポート、ハウスクリーニング業者紹介
・ミニショップ、カフェの運営など
・カーシェアリングサービスの提供
 
クリーニング・リネンサプライ 連結子会社 (株)FA24
フロント受付やコンビ二受付によるクリーニングサービス、リネンサプライサービス、ユニフォームレンタル&クリーニングサービス、及びおそうじサービス等を、BtoC、BtoBで提供。13/2期には自社クリーニング工場が稼働した他、昨年3月より、ローソンの加盟店舗の一部で、同社がCL-BOX型の「クリーニング取次ぎサービス」の実験を開始した。ヘアカット事業も行っている。
 
 
2015年2月期決算
 
 
前期比4.9%の減収、66.0%の経常増益
営業総収入は前期比4.9%減の287億26百万円。マンションフロントサービス事業、クリーニング事業、その他事業は増収。ホテル部門では稼働率、客室単価ともに上昇した。しかし、コンビニ事業で店舗の大規模閉店を進めたことや、6月の天候不順が影響し、減収となった。尚、緊急度の高い店舗の閉鎖が一巡したことから、競合店舗の状況などを鑑みて移転時期を再考、調整中。結果的に、計画比で営業日数が増加した。このため、予想比で営業総収入は上回った。
利益面では時給単価上昇は小幅にとどめたものの、広域から従業員を確保したため、通勤費が増加した。電子マネー等の利用拡大に伴う決済手数料の増加はあったものの、水道光熱費の値上げ一巡や、直営店舗数の減少に伴う社員の減少で販管費率が低下した。営業利益は前期比358.0%増の2億30百万円。投資不動産管理費用の増加や有価証券売却・評価・運用損の増加により営業外費用が増加し、経常利益は同66.0%増の2億78百万円。純利益は2億25百万円、店舗閉鎖損失等の計上等による前期8億78百万円の損失から大幅に改善した。
 
 
同社単体では営業総収入221億16百万円(前期比6,6%減)、経常利益1億68百万円(同63.8%増)。コンビニ部門は減収ながら増益、ホテル部門は高稼働により引き続き高水準の売上・利益を確保した。
 
 
 
コンビニエンス・ストア事業
事業収入215億97百万円(前期比6.8%減)、セグメント利益2億17百万円(同104.5%増)。
既存店の平均日販は529,000円で前期比2.1%減。平均客単価は539円で同0.6%増となったが、平均客数が982人と同2.7%減と苦戦した。4月の消費税率引き上げによる買い控えは、5月中旬までに一巡したが、6月以降は回復傾向が失速した。12月中旬以降、2月までの累計では前年実績を超えている状況である。
 
 
商品別には「カウンターフーズ」は引き続きコーヒー販売が伸長、また「調理パン」やブランを使用した商品が好調の「ベーカリー」などが好調に推移した。「ソフトドリンク」や「チルド飲料」が夏場の天候不順、淹れたてコーヒー伸長の影響を受け苦戦、また「新聞、雑誌」の販売減に歯止めがかからない。一方、同社が強みとする「カウンンターサービス」は、宝くじの販売が増加したほか、クリーニングで、価格改定を実施したこともあり、順調に売上が伸びた。
「コーヒー」取扱い店舗数が前期末58店舗からほぼ全店となったことや、利益率の低いたばこの販売比率が低下したこともあり粗利益率は30.7%と前期比0.2ポイント改善した。
 
 
マンションフロントサービス事業
事業収入56億6百万円(前期比1.5%増)、セグメント利益3億6百万円(同7.1%減)。マンション販売マーケットは建設コスト上昇を受け、郊外での新規着工が減少した。ただし、湾岸地域を中心に、高額タワーマンションの販売は好調に推移した。サービス分野の人材確保については、景気の緩やかな回復基調を受けてサービス分野の人材ニーズが増加。オフィスや行政機関などの複合施設が、再開発により都心部を中心に竣工した。
こういった中、コア事業であるマンションフロントサービスによる居住者満足の向上を目指し、フロント業務の品質向上は勿論のこと、イベントの実施やお節料理の販売など、居住者の満足度向上に努めている。
また、主力の「マンションフロントサービス」以外の事業領域拡大にも取り組んでいる。「マンションフロント」以外の企業や公共施設などでの、「コンシェルジュ業務」の受託活動を強化している。また、スタッフ研修、人材育成力を活かし、<おもてなし><ホスピタリティ>豊かな人材の「一般派遣業務」、「職業紹介事業」について昨年11月に認可を取得した。
子会社アスクは営業総収入56億6百万円(前期比1.5%増)、経常利益1億91百万円(同23.2%増)。同社のフロント業務では、受託物件数は前期末比では同数であったが、稼働ベースでは増収となった。一方で、マンション内のショップ売上高が前年を割れたものの、大口の新規サービス導入に伴う、手数料収入を計上したことから大幅な営業、経常増益となった。
 
 
クリーニング事業
事業収入11億87百万円(前期比0.3%増)、セグメント利益58百万円(同32.8%増)。クリーニング業界は厳しい環境下にある。衣料品の機能性向上、低価格化、服装のカジュアル化や団塊世代のリタイヤの影響を受け、クリーニング需要は年々減少している。また、燃料価格の高騰によりコストが増加する一方、消費税率引き上げ後は一層価格設定が難しくなっている。
こういった中、タワーマンションや高級マンションのフロントでの便利、かつ、高品質な「クリーニング取次ぎサービス」のほか、各種ユニフォームなどのリネンサービスの提供にも積極的に取り組んだ。自社工場の取扱高が、グループ各社との連携により順調に増加していることで稼働率が上昇したほか、生産体制の強化及び効率化を進めたことにより収益貢献した。円安により溶剤・燃料高に対応するため、価格改定を昨年春に実施。取扱点数が減少するも、単価上昇により増収を達成した。
子会社FA24は営業総収入12億70百万円(前期比0.2%減)、経常利益26百万円(同62.5%増)。価格改定に伴う単価上昇、及び自社工場の稼働率向上が大幅増益に貢献した。尚、ヘアカット事業は増税後も9月まで価格を据置いたことから減収となった。
 
 
その他事業
事業収入5億19百万円(前期比4.2%増)、セグメント利益1億10百万円(同0.3%減)。「CVS・BAY HOTEL」はJR京葉線の市川塩浜駅に隣接し利便性の高い立地である事や、開業から5年が経過し、認知度も向上した。稼働率は、東京ディズニーリゾート30周年を追い風に高稼働となった前期を2.5ポイント上回る88.3%となった。
 
 
15/2期末の総資産は前期末比1億69百万円増の108億1百万円。現預金が3億60百万円増加した一方、未収入金が64百万円減少したことなどにより流動資産が2億46百万円増加した。また、のれんが64百万円、投資不動産が38百万円減少したことなどにより固定資産が77百万円減少した。
負債は前期末比82百万円減少し87億86百万円となった。1年以内返済予定の長期借入金が19億5百万円、短期借入金が6億円増加した一方、店舗閉鎖損失引当金が5億45百万円減少したことなどにより流動負債が20億95百万円増加した。また、長期借入金が22億5百万円減少したことなどにより固定負債が21億77百万円減少した。尚、1年内返済予定の長期借入金に関しては、年内の借換えを想定している。
純資産は前期末比2億51百万円増加し、20億14百万円となった。当期純利益を2億25百万円計上したことによるもの。
自己資本比率は前期末比2.1ポイント増加し、18.7%となった。
 
 
15/2期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比3億60百万円増加し、20億84百万円となった。
営業CFは95百万円の収入超過となった。収入の主な内訳は、投資不動産賃貸収入を3億57百万円計上した一方、店舗閉鎖損失により5億31百万円、投資不動産管理費により2億40百万円の支出があった。投資CFは33百万円の支出超過となった。主な内訳は投資有価証券の売却による収入1億22百万円、敷金及び保証金の回収により1億11百万円の収入があった一方、投資有価証券の取得により1億54百万円の支出があった。これらにより、フリーCFは61百万円の収入超過となった。財務CFは2億98百万円の収入超過となった。主な内訳は、短期借入金の純増により6億円の収入があった一方、長期借入金の約定弁済により2億99百万円の支出があった。
 
 
2016年2月期業績予想
 
 
16/2期は0.6%の増収、28.1%の経常減益予想
16/2期は営業総収入289億円(前期比0.6%増)、経常利益2億円(同28.1%減)を計画する。
同社単体では営業総収入217億60百万円(前期比1.6%減)、経常利益1億45百万円(同13.7%減)を計画する。コンビニ既存店売上は上期下期とも0.1%増を見込む。ホテル事業の稼働率は前期比2.3ポイント減の86.0%増と保守的計画。稼働率の上昇余地は狭まるが、客室単価については調整可能と想定している。尚、前期より小規模修繕(壁紙、エアコン等)を実施している。新たな宿泊事業は下期以降に織り込んだ。不採算店の閉店効果、減価償却費会計方法の見直しがあり、営業利益は前期比54.3%増の1億8百万円となる見通し。営業外では前期に43百万円計上した有価証券関係の利益は見込まず、経常利益は同13.7%減の1億45百万円予想。追加の特別損失は見込まないが、前期に計上した特別利益も見込んでいないこともあり、純利益は同44.3%減の1億7百万円を計画する。
子会社では(株)アスクは営業強化への人材確保、準備経費により増収ながら経常減益を見込む。(株)FA24は大口顧客の逸失により減収、経常減益を計画する。
尚、配当については1円の期末配当を見込む。
 
 
 
今後の注目点
既存店の低迷が続いていたが足元は回復、効率化の進展により増益となった。コンビニ事業では、「サンクス」から「ローソン」への移行や不採算店舗の見直しなど、経営は混乱気味であったが、落ち着きを取り戻した。復配を実現し、株主の期待に応えることができる体制になった。16/2期予想は経常減益予想だが、ホテル事業の稼働率などで保守的印象もある。
コンビニ事業が落ち着きを取り戻す中、注目されるのは新たな取り組みであろう。「CVS・BAY HOTEL」新館や新業態の宿泊施設では、既存店舗の高稼働に加えインバウンドの増加等により都心の宿泊施設不足が深刻化していることから開業後早期に収益貢献するだろう。(株)アスクの新規事業にも注目。16/2期はこれら新たな取り組みの進捗に注目したい。