ブリッジレポート
(3667:東証1部) enish 企業HP
安徳 孝平 社長
安徳 孝平 社長

【ブリッジレポート vol.10】2015年12月期第1四半期業績レポート
取材概要「15/12期は計画通り新規6タイトルをリリースすると共に前期に投入したタイトルの収益化を図り、業績予想を確実に達成する事が必要だ。それが・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年5月26日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社enish
社長
安徳 孝平
所在地
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
事業内容
ソーシャルゲームの企画・開発・運営会社。ゲーム運営能力に優れ、主力の経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストラン供廚筺屮ルショ☆」はロングランのヒット作品
決算期
12月末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年12月 6,624 1,109 1,078 653
2012年12月 4,430 666 654 373
2011年12月 2,590 526 523 298
2010年12月 415 64 71 55
2010年1月 22 -40 -41 -41
株式情報(5/1現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,409円 6,939,360株 9,778百万円 0.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 0.0% 25.94円 54.3倍 397.49円 3.5倍
※株価は5/1終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
enishの2015年12月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
レストラン経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストランII」やアパレルショップの経営シミュレーションゲーム「ガルショ☆」、カードバトルゲーム「ドラゴンタクティクス」等の人気作品を有するソーシャルゲームの開発会社。14年3月には実質的創業者である安徳孝平(アントク コウヘイ)氏が代表取締役社長に就任。ブラウザアプリの収益性を維持しつつ、ネイティブアプリでヒットを創出し、国内とアジアを中心にしたグローバル配信で業容拡大を図っていく考え。

尚、ネイティブアプリとは端末にダウンロードして楽しむアプリで、主にスマートフォン向けに提供されている。一方、ブラウザアプリはダウンロードせず、GREE、mixi、Mobage等のプラットフォームにアクセスしてブラウザ上で楽しむ。いずれも、アプリは無料だが、アプリを進める上で有効なアイテム等(「ぼくのレストランII」の場合、店を繁盛させるために必要なレシピや店舗を飾るアイテム等)を購入した場合、課金が発生する。ブラウザアプリでは、ユーザへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。
 
【経営方針 −付加価値の高いサービスの創出と新たな喜びの提供−】
「Link with Fun」というスローガンの下、「世界中にenishファンを作り出す」ことをミッションとして掲げ、ゲームデザイナー、エンジニア及びアートデザイナーが付加価値の高いサービスを生み出す会社である事。そして、「グローバルマーケットに立てるクリエーター、スペシャリストを生み出す会社でもあり続けたい」という経営の基本方針のもと、ソーシャルアプリを通じて、世界中のユーザに新たな喜びを提供していく事。この2つを経営方針としている。
 
 
【事業内容】
事業はソーシャルアプリ事業の単一セグメント(ゲームはアプリのカテゴリーの一つ)。ブラウザアプリを収益基盤にネイティブアプリを強化している。ゲームは無料だが、ゲームを展開する上で有効なアイテム等を購入すると課金が発生する。ブラウザアプリの場合、ユーザへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。また、ゲーム内で提携企業の広告を展開するO2O(Online to Offline)事業を育成中である(提携先企業は販売促進の一環として同社のゲームを活用)。
 
【主要タイトル】
「ぼくのレストランII」、「ガルショ☆」等の経営シミュレーションゲームは女性に人気があり、いずれもロングセラー。特に「ガルショ☆」は、リリースから4年が経過した今も売上が増加している。ブラウザゲームベースの男女比率は、女性60.9%、男性39.1%。
現在、ブラウザゲームからネイティブゲームへのシフトを進めており、14/12期は「千年の巨神」、「バハムートクライシス」、「ぼくのレストラン3」のネイティブゲーム3タイトルをリリースした。
 
 
【成長戦略】
ロングセラーとして安定した収益が期待できるブラウザゲームを収益基盤として、ネイティブゲーム、グローバル展開(アジア及び英語圏)、更にはO2O事業へと事業を拡大させていく考え。14/12期はネイティブゲーム3タイトルをリリースすると共に、採用・教育に力を入れネイティブゲームの開発体制を強化した。また、グローバル展開に向けた取り組みとして、韓国、中国、タイに拠点を設置して配信準備を進めた。
15/12期は海外での開発体制の強化・充実を図りつつ、アジア及び英語圏への展開を進める。また、16/12期以降のO2O事業の本格展開に向け、国内外でネイティブゲームユーザの組織化とその活性化にも取り組む。
 
 
14/12期はブラウザゲームからネイティブゲームへの端境期となった事で売上が減少する中、次期以降のリリース分を中心にしたネイティブゲームの開発費増や期中にリリースしたネイティブゲームの広告宣伝費等の先行投資が負担となった。上記要因分析の観点から言えば、開発費及び広告宣伝費等の先行投資負担により売上高当期純利益率が悪化し、売上の減少で総資産回転率も悪化した。一方、レバレッジの低下は未払法人税等の減少によるもの。同社は、流動性に富み、かつ、長期的な安定性にも優れた財務体質を有する(流動比率519.6%、固定比率25.5%、自己資本比率82.9%)。
尚、15/12期の業績が会社予想通りであれば、ROEは5〜6%程度に回復するものと思われる。
 
 
 
2015年12月期第1四半期決算
 
 
先行資負担から1億50百万円の営業損失ながら想定通りの着地
売上高は前年同期比13.8%減の15億20百万円。ブラウザゲームからネイティブゲームへのシフトを進めており、その端境期となったため新規タイトルのリリースはなく、ブラウザゲーム中心の売上となった。

費用面では、売上高の減少に伴い課金手数料が減少したものの、新規タイトルの開発に伴う労務費・外注費を中心に売上原価が13億87百万円と同10.9%増加。一方、販管費は同3.0%減の2億83百万円。韓国及びタイの体制強化等で支払手数料が増加したものの、第2四半期以降に予定されている既存タイトルのアップデートや新規タイトルのリリースに備え広告宣伝費が未消化となった。

第1四半期末の従業員は前期末に比べて18名増の196名。このうち開発運用関連は170名(前期末に比べて18名増)。
 
 
(2)財政状態
第1四半期末の総資産は前期末に比べて2憶20百万円減の32億35百万円。借方では、キャッシュ・フローの悪化で現預金が減少した他、売上の減少で売上債権も減少。貸方では、損失を計上した事で純資産が減少した。自己資本比率は85.3%と前期末に比べて2.4ポイント上昇した。
 
 
 
2015年12月期業績予想
 
 
上期及び通期の業績予想に変更はなく、通期で前期比31.7%の増収、同98.3%の経常増益を見込む
通期売上高は前期比31.7%増の85億円。夏にリリースを予定している新規6タイトルの寄与に加え、前期に投入したネイティブゲーム3タイトルもチューニングが一巡し業績に寄与する見込み。ブラウザゲーム、ネイティブゲームの比率は、上期90:10、下期40:60を想定している。

利益面では、新規タイトル(16/12期リリース分も含む)の開発費を中心に先行投資負担が増加するものの、引き続きコストコントロールを徹底する。広告宣伝費は1タイトル30百万円を予定しているが、CPA(Cost Per Acquisition:ユーザの獲得コスト)を見ながら機動的に投下していく。

尚、海外でも「千年の巨神」を含む6タイトルのリリースを予定しているが、売上・利益共に業績予想には織り込んでいない。
 
 
(2)今後の事業展開と取り組み
新規ネイティブゲームの投入、グローバル展開、安定した収益基盤の維持、の3点をメインテーマとして事業を展開し、並行して開発体制及びゲームの品質向上への取り組みも進めていく。
 
新規ネイティブゲームの投入
ネイティブゲームは、男性向け、女性向けを問わず、多様なゲームジャンルを計画しており、15/12期の新規タイトルは、オリジナル3タイトルに加え、共同開発2タイトル、パブリッシング1タイトルを予定している(男性向け4タイトル、女性向け2タイトル)。オリジナルタイトルは、男性向けの「Valiant Soul」、「12オーディンズ」、及び女性向けの農園ゲームの3タイトルを2015年夏頃にリリースする予定。「Valiant Soul」は個性溢れるキャラクターが戦うリアルタイム・タクティカルRPG。グローバル市場でメジャーなジャンルのミッドコアタイトルとして期待がかかる。「12オーディンズ」は“みんなで×つながる”をコンセプトにした王道RPG。リアルタイム共闘や自由度の高いキャラメイク等、ヤリ込み要素が満載(課金率も高い)。農園ゲームはかわいいキャラクターが動き回る農園ゲームで、「新しい菜園体験」をコンセプトとするライトゲーム。
共同開発タイトルは、男性向け「ゆるかみ!」と女性向けアバターゲームの2タイトル。「ゆるかみ!」を2015年夏頃にリリースする予定。「ゆるかみ!」はスクウェア・エニックス社開発のゲームを同社が拡張した上で配信するもので、日本各地の名産・名所を由来とするキャラクターを探して育てるRPG。
パブリッシングタイトルは、「熱血硬派くにおくん」を2015年夏頃にリリースする予定。根強いファンがいる「くにおくん」をテーマにしたアクションゲーム。韓国メーカーの作品に同社が企画参画し、日本でおなじみの「くにおくん」を用いてローカライズした。
 
グローバル展開
グローバル展開は、アジアを中心に進めており、早期に海外売上基盤を構築したい考え。現在、「千年の巨神」の配信準備が最終段階にあり、「Valiant Soul」及び「12オーディンズ」も、日本でのリリース後、速やかに海外展開できるよう準備を進めている。自社の拠点があるエリアでは原則として自社で配信を手掛けるが、タイトルやエリアの特性に応じて現地パートナーとの提携も活用していく。「千年の巨神」については、タイ向け配信についてインデックス社と提携し、韓国向けは同社の韓国支社で準備中。その他エリアにも順次展開していく予定だ。
 
安定した収益基盤の維持
運営力を活かし、既存のブラウザゲーム及びネイティブゲームの収益を維持していく。ブラウザゲームは、ネイティブゲームへの経営リソースのシフトとコスト削減を目的に運営を外部委託に切り替えた(第1四半期に移行完了)。重要な機能は引き続き同社がコントロールすると共に、継続的なクオリティチェックや委託先との毎月のレビューを実施する事で運営品質を担保し、売上の減少を最低限に抑えていく。
また、ネイティブゲームはチューニングを継続的に実施していく。第1四半期は、「千年の巨神」、「ぼくのレストラン3」、及び「バハムートクライシス」のチューニングに取り組み、「千年の巨神」については、PvP(ユーザ同士が対戦する機能)及びスキルシステムの追加等のチューニングがほぼ完了した。2015年5月に「Ver.2.0」としてアップデートする予定で、運営面では、イベントの多様化等でコンテンツ消費をコントロールしていく。この他、大幅なリニューアルとなる「ぼくのレストラン3」については、動作速度やイベントを含めたゲームボリュームの改善に取り組んでおり、「バハムートクライシス」については、PvP、GvG(ユーザがチームを組んでの対戦)のブラッシュアップを行っている。
 
開発体制およびゲームの品質向上への取り組み
進捗管理体制を強化してリリース遅延リスクの軽減を図ると共に、品質管理センター(QA/CSセンター)を拡充して品質向上を図る。進捗管理体制の強化では、マイルストーン管理を徹底し進捗をモニタリングするプロジェクトマネージメント専門職を設置した。また、プロトタイピングにより、早い段階で品質を確認できる体制も整えた。
QA/CSセンターの拡充では、タイの自社QA/CSセンターを拡充し、開発中に順次QAを実施して品質を担保しつつ開発を進める体制を整えた。CSを内製化する事で問い合わせを起点に顧客満足度を高めていく考え。
 
 
今後の注目点
15/12期は計画通り新規6タイトルをリリースすると共に前期に投入したタイトルの収益化を図り、業績予想を確実に達成する事が必要だ。それができれば、来16/12期以降の展望が開けてくる。タイトルのリリースが無かった第1四半期の評価が難しいが、第2四半期はチューニングを終えた「千年の巨神」が5月にVer.2.0としてアップデートされ(リリース後に判明した課題を解消)、夏には新規タイトルが相次いでリリースされる。加えて、収益を支えているブラウザゲームが減速感を強めているように思われる。第2四半期以降は結果が求められる。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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